それでもいいという方は第三十九話をお楽しみください。
この話は微百合話。
最後に口に含んでいた食べ物をよく咀嚼して細かくかみ砕き、ある程度細かくしたところで飲み込んだ。
「ごちそうさまでした」
一足先に自分の分を食べ終えていた霊夢に続いて、私は手を合わせて呟く。ちゃぶ台の上にある皿には何も残っておらず、あとは片づけるだけであるため、同じ皿は同じ皿で重ねてお盆の上に置いた。
「さてと、作ってもらったわけだし…皿洗いは私がするぜ」
「…そう?なら私はお風呂の準備をしてくるわ。それまでよろしく」
霊夢は立ち上がってお皿が山積みに置かれたお盆を私に手渡し、私も立ち上がってそれを受け取った。
「ああ、わかった」
お盆を受け取ったことで手がふさがっていたが、霊夢が襖をあけてくれてそこから廊下に出た。飛ばされた砂で少し足元がじゃりじゃりしているが、仕方がないだろう。
霊夢は風呂場に歩いて行き、私は台所に入った。台所はさっき調理したとは思えないぐらい綺麗で清潔感がある。机にお盆を置き、シンクの中に皿を運んで水道についている蛇口を皿の方に向け、上についているハンドルを回した。
蛇口から出て来た水が少しだけ汚れを落としていく、シンクのわきに置いてある地味に濡れているスポンジを手に取り、石鹸をこすりつけて泡立たせ、ニギニギと何度か握ると泡がスポンジ全体にいきわたる。
水をかけて置いた皿を手に取って泡立ったスポンジを押し付けてこすりつけ、皿についている調味料の汚れや、脂汚れなどを石鹸で絡めとって蛇口から出している水につけて泡を洗い流して汚れのほとんどを落とした。
お茶碗や皿をすべてスポンジで洗い、次に流水ですべての泡をお洗い流す。洗った皿を洗いものを置く籠にできる限り水を落とすために洗った順に置いていく。
最後に水洗いした皿を籠に置き、ポケットに入っているハンカチを取り出して濡れた手を拭いた。手を拭いたところで濡れたハンカチをまたポケットに入れ直し、台所から茶の間の方へ出た。
十数分かけて洗い物をしていたが、霊夢の方も丁度風呂を洗い終えたらしく、風呂場の方向から濡れた手を拭いて出てくる。
「…あ、そっちも丁度終わったみたいね」
手を拭くには、だいぶ小さいサイズのタオルで手を拭いている霊夢が私に言った。
「ああ、あとどのぐらいで風呂にはいれるんだ?」
私が霊夢にそう聞くと彼女はいつもどれぐらいの時間で風呂が沸いていたのかを思い出し、言う。
「…だいたい十分くらいかしら?でも、魔理沙が魔法でお風呂を沸かせば今すぐ入れるわよ?」
「そうだなぁ。急いでるわけじゃないけど……タオルで拭いた程度じゃあ血も完全には取れてないだろうし、早く入りたいな……熱魔法でちょっと温めるか」
私がそう言うと、霊夢は寝間着などを持ってくるつもりなのだろう。よろしくねと言い残すと寝室の方向に歩いて行き、壁が遮って彼女の姿が見えなくなる。
霊夢がいた風呂場に行き、温まっていない冷水の水に手を付けて短く呪文を詠唱し、熱魔法を加えてみると人肌よりも少し暖かいぐらいに冷水が温まる。が、少し温めすぎてしまったらしく、熱を水面に触れていた指先に感じ、手を引っ込めた。
「温めすぎたな…まあ、いいか」
風呂に入るときにでも水などを入れて温度の調節はすればいいだろう。
「…」
水面に触れたことで小さな波紋ができるが、それでも水面は平衡を保って光を反射して鏡と同じ役割となっていて、私の顔をそこに映し出した。
ひどい顔だ。左頬から左目とその周辺の皮膚に跡が残っていて瞼などが残っていたのが奇跡といえるぐらいだ。左目と右目を見ると、もともと用意されていた義眼を使ったためなのか、私の目の色と全く同じではなく左右で若干だが目の色が違う。
あれだけの怪我で目が見え、あとは残ったが以前と変わらないぐらいにまで治った。それだけでも恵まれてはいる。だが、やはりそれでもきついものがある。
「……」
少しの間そうして自分のことを眺めていたが、ここにとどまっていても顔が変わるわけではない。風呂を沸かした私は浴槽から離れ、風呂をお洗う時に跳ねたのだろう水を踏んでしまい。脱衣所の床に敷いてあるマットで足を拭いた。
「霊夢ー、風呂には先に入るか?それとも後に入るか?」
風呂場から茶の間に戻って寝室にいるはずの霊夢に聞くと、彼女は寝室から寝間着を持って出てくる。先に風呂に入るということらしい。
「霊夢が先か、それじゃあ私は寝室で待ってるとするぜ」
私が霊夢の横を通り過ぎようとすると、彼女が私に寝間着を差し出した。先に入れということかと思ったが、彼女の手にも寝間着が握られている。
「…久々に二人で入らない?」
霊夢の口から衝撃の一言が聞こえてきた。
「へ?」
私は驚いて間抜けな声を出してしまうが、霊夢は私に考える暇を与えずに続けていった。
「…小さいころはお風呂には一緒に入ってたし、たまにはいいじゃない」
「そ、それは小さいころの話だろ!?今は大人なんだし、一緒にお風呂に入るなんて年でもないだろ!?」
私が慌てふためいてテンパって霊夢に言うが、彼女はなぜ慌ててるのと言わんばかりに落ち着いたまま言った。
「…それに、十数分一人で待ってるだけであんなに不安そうな顔をされたら、誰だって心配になるわよ」
自分では不安でおびえていたのを上手く誤魔化したつもりだったが、霊夢にはばれてしまっていたらしく、急に恥ずかしくなってしまって顔が熱くなっていく感覚がするし、事実であるため彼女に何も言い返せなくなってしまう。
「…わかったなら一緒にお風呂に入るわよー」
私の後ろに楽しそうに回った霊夢に肩を掴まれ、脱衣所にまで誘導されてしまった。霊夢がこうなってしまってはもう言うとおりにするしかない。
脱衣所に入ると霊夢は扉を閉め、問答無用で自分の服を脱ぐ前に私の服に手をかけて、引っ張り始める。
「ちょ!?何すんだ!?」
ぐいぐいと私の服を脱がせようとする霊夢に私が叫ぶが、彼女は首をかしげている。
「…お風呂に入るんだから服を脱ぐのは当たりまえじゃない、それに、女の子同士なんだから恥ずかしがってないで、さっさと万歳しなさい」
永遠亭では私が服を脱ごうとした時には恥ずかしそうにしていたくせに、今はそんなことは無い。霊夢の恥ずかしさの基準がよくわからない。
「わ、わかってるって!自分で着替えるから手助けはいらないぜ!」
ボロボロの魔女の服を脱ぐと、服の下にはたくさんの包帯が巻いてあって、やはり隠す必要がないぐらい体が隠れている。
「ミイラかよ」
腕や首、胸、腰、太もも、足に巻かれている包帯を順番にほどいていくと、以前と変わらない素肌が現れてきて、少しだけ安心した。
私が裸になるころには霊夢も自分の服を脱ぎ終わっていて、後ろを向くと一糸まとわぬ姿で立っている。
「……」
彼女の体は出るところはある程度は出ていて、引っ込むところは引っ込んでいる。極端に胸が出ていたり腰回りが細いわけではないが、とても魅力的な体つきをしてる。正直、女の私でも見とれるぐらいだ。
普段はさらしを巻いていてよくわからないが、胸は私が掴んでも余るぐらいはあるだろう。それに加えて綺麗な形をしてる。昔とは似ても似つかない体型だなと思う。
それに比べて、
「……………。………うん」
自分のことは考えないことにした。悲しくなるだけだ。
霊夢に続いて風呂場に入ると、椅子の後ろに霊夢が立っていて、前にある椅子に座って座ってと指をさしている。
「はいはい」
ポリポリと頭をかきながら霊夢の前に置いてあるプラスチックでできている椅子に座ると、私の正面の壁に取り付けられているハンドルを捻り、壁にひっかけられているシャワーから水が出始める。初めは冷たい水が出ていたが徐々に温かい水が出始め、お湯の出る強さを調節して、かけられている部分からシャワーをはずして私の頭にお湯をかけた。
シャワーの口からでたお湯が髪の毛の間を取って流れていき、こびり付いていた血を少しだけ洗い流していく。
私の髪全体を軽くお湯で濡らした霊夢はいったんお湯を止めてシャンプーを手に付けて泡立てる。ある程度泡立ったところで彼女は私の頭に手を付けてごしごしと髪の毛を洗い始める。
とても丁寧に洗ってくれる霊夢の荒い方は優しくて気持ちがよく、そのまま居眠りデモしそうになるぐらいだ。
「…痒いところは無い?」
頭部から離れ、毛先の方を洗い始めた霊夢がボーっとしていた私に言った。
「今は、特にないぜ」
髪の毛全体を洗い終えた霊夢は再度シャワーからお湯を出すハンドルを捻り、出て来たお湯を私の頭にかけて泡を落とす。
髪の毛に付着していた泡がお湯によって流されると、霊夢はお湯を止めて体を洗う用のスポンジを取り出し、石鹸をつけて泡立てる。
「れ、霊夢?…体は自分で洗うぜ?」
私が彼女に言うが既に首周りを泡立った体を洗う用のスポンジで痛くない程度にこすり始めていた。
「…たまにはいいじゃない。泊まりに来ても一緒にお風呂に入ることなんてなくなってきてたわけだし」
まあ、私が意識しだしてしまったころから一緒にお風呂に入ることは少なくなったから、今回一緒に入ったのは何年ぶりだろうか。
「…それに、魔理沙の体の成長具合も確認しておかないといけないからね」
「おい、それが本音か!?」
私が後ろを振り返って言うと、霊夢がくすくすと笑って言った。
「…冗談よ」
腕と背中、腰などのお尻のあたりも洗い終えた霊夢は私の正面に移動し、スポンジを持った手を胸に伸ばしてくるが、私はその手を掴む。
「前は自分でやるからいいぜ」
私が言うが霊夢は手を引っ込めるようなことはせずにさらにこっちに伸ばそうとしながら言う。
「…恥ずかしがらなくてもいいじゃない。昔は普通に洗わせてくれたんだし」
「そ、それは昔の話だろ!?」
霊夢の話に驚いているうちに彼女の持っているスポンジが胸に触れて、洗い始めてしまう。ひさびさで慣れていないため、とても恥ずかしい。
「…それに、魔理沙だって本当に嫌ってわけでもなさそうじゃない」
「それは、そうだが……」
赤面している私に構わず、胸やわきの下、わき腹、お腹と洗って行き、霊夢の持っているスポンジが股間に触れる。デリケートな部分であるため、今まで以上に優しく、丁寧にゆっくり洗っている。
恥ずかしさで死にそうになっていると、数十秒も時間をかけて大事な部分を洗い終えた霊夢が手を離し、太ももなどの足もスポンジでこすり、全身を洗い終わった。
「なんでそんなに楽しそうなんだよ」
洗っている間、ずっと楽しそうにしていた霊夢に言うと、彼女は口角を少し上げてふふっと小さく笑いながら言った。
「…久しぶりだったし、反応が面白かったからかしら」
霊夢はシャワーのハンドルを捻るとお湯を出して私の体についている泡を手で擦ったりして簡単に洗い流す。
「じゃあ、次は私だな」
私は立ち上がり、霊夢に今のお返しをするつもりで彼女に椅子に座ってもらう。
「…じゃあ、お願いね」
でも座ってもらったはいいが、いざ実際に霊夢の体を洗うとなると緊張する。
初めに座った霊夢の頭にシャワーから出したお湯をかけ、髪の毛が全体的に濡れるようにかけた。
ハンドルを回してお湯を止め、霊夢が使っていたシャンプーの容器に手を伸ばして、中身の液体を手に付けて泡立たせると、意外と早くに泡立ってくる。それを霊夢の髪の毛に付けて頭をあらう。
「…あら、あのころと変わらず、意外にも洗い方は優しいわね」
「意外に、は余計だぜ霊夢」
見た目や性格からそう思われても仕方ないがな。
霊夢の頭が泡でモコモコになって大体洗い終えた私はシャワーからお湯を出して、彼女についている泡を洗い流す。
ほぼ全部の泡を流してからシャワーのお湯を止めると、目を閉じていた霊夢が顔の水を拭い。私の方を見る。
「…」
何も言わないが、頭は洗ってくれないの?とその上目づかいの視線は訴えている。ずるい。そんな顔で見られたら断ることなんてできない。
私の体を洗ったスポンジを取り、含んでいる泡をすべて揉みだしてから、新たに石鹸をつけて泡立たせた。
スポンジを十分に泡立たせてから霊夢の体を洗うためにしゃがみ、片手で肩を掴み、スポンジを掴んでいる方の手で首回りや背中を痛くないように擦る。
いつも何気なく触れたりしていたが、霊夢の体はとても柔らかく、あの幽香との戦いなどを見ていたら想像もできないぐらい華奢だ。
背中と腕、腰回りを洗ってから彼女と同様に正面に回り込むと、頭を洗っていたときや背中を洗っている時以上に緊張してくる。私とは違い、少し大きな胸があるからだ。
勇儀などのように巨乳まではいかないが、ほどほどの大きさはある彼女の胸に緊張しないわけがない。緊張で若干戸惑いながらもスポンジで触れると、それでもわかるぐらいに彼女の胸は柔らかかった。
霊夢の胸はどうやって形を維持しているのか不思議なぐらい柔らかく、弾力を兼ね備えている。
胸とはこんなに柔らかいものなのか、自分のはほとんどないから触る機会もなく、知らなかった。
持っているスポンジが少し小さいせいで霊夢の胸に手が触れてしまう。手に吸い付き、包み込む感覚が気持ちよく、ずっと彼女の胸に触れていたい。
だが、胸ばかりを洗っているとおかしいと霊夢に悟られてしまうため、名残惜しくもあるが次の場所を洗う。
「…どうしたの?魔理沙、顔が赤いわよ?」
「の、のぼせただけだぜ」
霊夢の胸に夢中になっていたとは口が裂けても言えないため、とっさに思いついた言葉で誤魔化した。
お腹に続いて霊夢の股間を見ないようにしてできるだけ優しく洗い、足などその他の部分もすべて洗い終え、私は最後にお湯で泡を洗い流す。
「OKだぜ」
体を洗っただけなのに、かなり疲れた気がする。私は立ち上がると、霊夢に連れられてお風呂に入った。
さっきのぼせたといった私を躊躇なくお風呂に入れる時点で、顔が赤かった理由なんてすでにバレバレじゃないか。
恥ずかしさがまたこみあげてくるが、それを忘れるためにあっついお湯に肩までつかった。
五日から一週間後に次を投稿します。