東方繋華傷   作:albtraum

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自由気ままに好き勝手にやっています。

それでもいいという方は第四話をお楽しみください。


東方繋華傷 第四話 襲撃

 神社の後方から近づき、回り込んで神社の庭側に回り込んで庭に着地した。

「あら帰ってきたのね…それで、なにか有益な情報は聞けたのかしら?魔理沙」

 着地した私に、ちょうど村から神社に戻ってきた霊夢が縁側に座っていて、庭に降りた私に言った。

「…ああ、いいことが聞けた…ぬえは違うってことと、もう一つある」

 またがっていた箒から降り、縁側に立てかけて霊夢の隣に座りながら私が言うと、霊夢はどんなこと?と私に聞いてくる。自分から自分のきいた情報を言わないということは、おそらく村ではいい情報なんかは聞けなかったのだろう。

「聖がドッペルゲンガーの噂が広まり始める少し前に…太陽の畑の方向から強い魔力を感じた…っていう情報を聞いたぜ……出所を伏せておく代わりに教えてもらったぜ」

 私が言うと、霊夢は太陽の畑のある方向を眺めながら、ふむっと唸る。幽香の能力からドッペルゲンガーへのつながりを考えているのだろうか。

「私はその強い魔力の力は感じなかったのだけど、何時ごろの話なの?」

 少しの間考え込むと、霊夢は私に聞いてきた。

「丑三つ時だとよ……その時間帯に霊夢は起きてたか?」

 私が聞くと霊夢は首を横に振る。巫女の仕事は朝早くから始まるため、その分だけ夜も早く寝てしまう。だから霊夢は聖が感じたというその魔力を感じてはいないだろう。

「…とりあえず、幽香のところに行きましょうか…誰かを使って今回のドッペルゲンガーを起こしているとは考えられなくもないからね…」

「そうだな…私は一度家に戻っていろいろと準備してくる。今日は弾幕勝負なんかやる予定はなかったからな…荷物なんてないに等しいぜ」

 私はほとんど物が入っていない肩から下げている鞄をひっくり返し、霊夢に中身を見せた。

「わかったわ、じゃあ…一時間後に神社に来てもらえるかしら?」

 霊夢はそう言って神社に上がっていろいろと準備を始めようとし、私は箒に手を伸ばして取ろうとしたとき、下に視線を傾けていたことで気が付かなかったが足元まで誰かの影が伸びていることに気が付いた。

「…ん?」

 参拝客にしては道が外れていて、賽銭箱はもう少し離れた位置にあるため、普段は霊夢とつながりのある人物しかこちら側に来ないはずなのだ。

 それに今日はいつも以上に気温も高く、日の光も強い。そんな日にわざわざ神社に来る人間がいるとは思えない。

 私が顔を上げるとかなりの長身で、座っている私よりも一メートル程度も背の高い人物が立っていた。

「ごきげんよう」

 緑色で肩に当たらない程度の長さがある少し癖のある髪に、真っ赤で血の様に赤い瞳、胸元には黄色いリボン、赤色のチェックのスカートと上着を身に着けている。今回の異変に何かしらかかわりがあるとされている。風見幽香が目の前に立っている。

「…っ!!?」

 私は驚きすぎて飛び上がりそうになりながらも、身構えようとしたとき、幽香は閉じていた弾幕や高出力のレーザーすらも弾くことのできる。日傘としても使える傘を閉じて、剣のよう持ち替えて静かにつぶやく。

「そして、さようなら」

 瞼の瞬きよりも数倍は速い速度で、幽香は私に向けて構えた傘を振り下ろす。剣の達人の振る剣は剣先が見えないなどと話を聞くが、幽香の振る傘の速度はその比ではない。どの角度から傘が降られているのか全く見えず、なすすべもなく殴られてしまう。

「―――っ!!」

 そのとき爆発物が近くで爆発したのではないかと思うほどの爆風が正面方向から吹き荒れ、舞い上げられた砂などによって私は目を瞑ってしまう。

 その時点でおかしいことに気が付いた。もうすでに殴られていなければおかしいぐらいに時間が経過しているはずなのに、私は吹っ飛ぶどころか痛みすら感じてはいない。

 風が収まってから恐る恐る目を開けると、霊夢が私と幽香の間に立ちはだかって彼女は幽香の傘を手の甲で受け止めているのが見えた。普通の人間どころか少し強い妖怪程度までなら、木っ端微塵に吹き飛ばす威力を持つ攻撃だというのに霊夢はそれに耐えきった。彼女の強さには舌を巻かされるばかりである。

「霊夢!」

 私はすぐに動いて幽香に対して高出力でレーザーを放とうとするが、幽香の姿が分裂というよりももう一人の幽香が現れた。そう表現する方が近い感じで増えた幽香に、接近されてしまって腕を殴られ、レーザーの軌道を逸らされてしまう。ズキリと殴られた腕に鈍い痛みが走る。

「っ!!」

 右腕に魔力を集中させていたため、左手にすぐに魔力を集めることができずに幽香に胸倉を掴まれ、幽香の傘を手の甲で受け止めていた霊夢へと投げつけられてしまった。

 霊夢の肩に背中を打ち付けた私は、彼女と一緒に数メートルほど吹っ飛んで地面に倒れこむ。

「…くっ…」

 霊夢は地面に倒れこんだ私とは違い、受け身を取って幽香に隙を見せない様、すぐに起き上がって左腕を庇うように右手で握りこぶしを握る。

「さすがは博麗の巫女…私の攻撃を素手で受け止めて五体満足でいられるなんてね……でも、軽傷でもなさそうね」

 幽香が霊夢にそう言って私は初めて気が付いた。幽香の傘を受け止めていた左手。そこの手の甲が打撲によって紫色に変色して、一部から血が滴っているのだ。

「霊夢!大丈夫か!?」

 私は立ち上がり、幽香と対峙したままにらみ合っている霊夢に駆け寄る。

「ええ、何とかね………まったく…こんな暑い日に異変なんか起こしてんじゃないわよ」

 ダラリと重力に逆らえずに下がったままの左手から、血が時々水滴となってしたたり落ちているのには霊夢は目もくれず、幽香を文句を言い放つ。

「「こっちにもいろいろと事情があってね……今日じゃないといけないらしいからね」」

 質量がそのまま増えた幽香は、一つの体に戻りながら同時にしゃべるため、声が二重になって私たちに聞こえてきた。

「……霊夢、どうする?」

 幽香につかまれた胸元当たりの服が変に破れてしまって邪魔になるため、少し破り捨てて私は全身を魔力で強化し、万全な状態に体をさせた。

「…どうするって……やることはいつもと変わらないわ……敵を倒す…それだけよ」

 霊夢はそう言って魔力で傷を治療させ、応急処置程度に治した手を握ったり開いたりしてきちんと動くかを確認している。

「そうだな……それにしても…随分とひどい挨拶の仕方じゃあないか?幽香…いきなり襲ってくるなんてな」

 私は手先に魔力を手中させて、いつでも攻撃ができるように幽香にわからない様に口の中で魔法の詠唱を済ませた。

「…そうかしら?…ほかの連中が異変を起こしたときは、あいさつにすら来なかったと記憶しているけど?」

 私は幽香の言葉を聞き流し、状況の整理を素早く始める。

 こいつは私が聖から情報を聞いたとたんに奇襲をかけてきた。どこかで情報が漏れたか、幽香が盗み聞きでもしていたのかは知らないが、ドッペルゲンガーの犯人はこいつで間違いはなさそうだ。

 幽香は持っている傘を横になぐように振って、ゆっくりと構えに入る。

「…魔理沙この際そんなことはどうでもいいわ……弾幕で戦うっていうルールを破って直接的な攻撃を仕掛けてきたということは、それ相応の覚悟があるんでしょうね?」

 霊夢がそう呟きながら、この場にいれば鬼でさえ尻込みするような敵意を幽香に向け、妖怪退治用の針を数本持ち出した。

「ええ」

 表情のない幽香はそう言って、岩のタイルを踏み砕きながら私たちに飛びかかってきた。

 




一週間後ぐらいに次を出すと思います。
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