東方繋華傷   作:albtraum

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自由気ままに好き勝手にやっています。

それでもいいという方は第四十七話をお楽しみください。

今回は短めです。


東方繋華傷 第四十七話 再来

「…それじゃあ、寝るとしましょうか」

 紫が帰ってからしばらく時間がたち、霊夢が私に言った。

「へ?まだ四時だぜ?なんでこんなに明るいうちから寝るんだ?」

 私が聞くと、霊夢は押入れを開けて布団を取り出し、床に敷いた。一枚しか敷かないのは、朝に布団を洗って現在干しているからだ。

「…そりゃあそうでしょう?朝起きてからその日が始めるわけじゃないわ。その人自身の一日はそこから始まるけど、時間的に言ったら午前零時とか、奴らが出て行ってからちょうど三日なら、もっと早まる可能性だってある」

「まあ、それもそうだな」

 私がうなづくと霊夢は私においでおいでと手招きをする。

 私が霊夢が寝っ転がっている布団に潜り込むと、彼女に背中を掴まれて引き寄せられ、抱き寄せられた。

「…お休み」

「ああ、お休み」

 霊夢は呟くと私を抱きしめたまま目を瞑り、私も彼女の背中側に手を回して抱きしめ返し、霊夢の胸に顔をうずくめた。

 温かい。夏で暑いはずなのに霊夢の心地よい体温によって体が温められ、それが眠気を誘った。

「……」

 

 

「霊夢、三日がたちました…行かないんですか?」

 三日ぶりに神社に姿を見せたと思ったら開幕から魔理沙のいる世界のことを聞いてくる。あまり大きな声でいうんじゃない。誰かに聞かれたらどうするつもりだ。

「まだ行かないわぁ。それに今回は事前準備のために少し顔を出すだけだし、あんたらはこなくても大丈夫よぉ」

 私が言うが、咲夜が睨み付けてくる。私がいないうちに進めるつもりじゃあないのかと言いたいのだ。

「ふん、勝手にしたらぁ?」

 私が背筋や腕を伸ばしていると、咲夜がいる方とは別の方向から声が聞こえて来た。

「私も混ぜてくださいよ。二人だけで行くなんてずるいじゃないですか」

 高い位置から降りて来たのか、屋根の瓦を一部踏み砕いて速度を減速し、庭の石畳へと白と青の巫女装束を着た早苗が着地する。

 ご自由に、と。早苗に促すと彼女は嬉しそうに微笑む。それはただのほほえみではなく、残虐的なものだ。

「仕方がないわねぇ…紫を呼んで向こうにいくとしましょうかぁ」

 

 

「……沙…魔理…沙」

 霊夢が私のことを軽くゆすっている。しかし、熟睡していた状態からいきなり起こされ、頭がはっきりとしない。

 よく眠れた気がする。瞼を通して入って来る光の量が少なく、あたりが暗いのだというのが何となくわかる。

「…ん……あ?」

 眠い目をこすり、顔を上げると何か不安そうな顔つきでいる霊夢が目の前にいる。

「どうした?」

 その顔を見て眠気が消し飛んだ。

「…奴らの嫌な魔力を感じない?」

 霊夢に言われ、奴らの漂ってくる魔力を探すと確かに異次元霊夢の魔力の波長を強く感じる。

「奴ら、来やがったな…!」

 私が呟くと霊夢と顔を見合わせ、そろって布団から飛び出した。時刻は午前一時、いつから来ていたのかは知らないがあの二人はとっくに感づいて動いているはずだ。

 奴らの魔力は、河童たちの協力で七割程度は復興できていた村の方向から感じる。寝間着を脱ぎ捨て、魔女の服を頭からかぶってすぐに着替えを済ませた。

 霊夢もいつでも出るようにある程度の準備をして寝ていたことで、すでに着替えを終えてあとは向かうだけとなっている。

「…魔理沙!先に行くわよ!」

 空を飛ぶのは私の方が速度が出る。向かっている途中で私が追い付くことができると判断し、靴を履くと霊夢は全速力で空に飛びだした。

「ああ、先に行け!」

 ポーチを肩にかけ、ミニ八卦炉を取り出しや使いやすい位置に配置し、履きにくい靴に足を突っ込んで無理やり履き、すでに小さくなっている霊夢に追いつくため、庭で助走をつけて鳥居の下をくぐり、階段につく一歩手前で魔力で体を強化した身体能力で跳躍した。

 十数メートルの距離を跳躍で上昇し、落下しないように魔力で跳躍の最高速度を保ちつつ、加速していく。そこらの馬なんかよりは断然早い速度だ。

 そうしていると小さな爆発が村の方向で起こり、数秒遅れて爆発音が耳に届く、だが、今のは爆発というよりも火柱といった方が正確だろう。

「妹紅か…?」

 小さく呪文を唱え、魔法を発動させてレンズなどの光の屈折などと同じように光を屈折させ、双眼鏡やスコープと同じ効果を目の前の空間に作る。

 村まではかなりの距離があるが、十数メートル程度の距離で眺めているぐらいにまで見ている景色がズームされた。

 炎の近くを見てみるとそこにはやはり妹紅が立っているが、よく見ればもんぺの赤いズボンが破れていたり、切り裂かれていたりしていて、上着や髪を止めているリボンも破れている。

 傷もなかなか深そうで、切り裂かれ場部分からは赤黒い血がダラダラとこぼれているのが見え、彼女と対峙しているのはやはり異次元霊夢だ。

 異次元霊夢の周りを見ていると異次元咲夜もナイフを片手に持っていて、妹紅とにらみ合いをしている。彼女の炎と不死身に警戒しているのだろう。

「…魔理沙!」

 いつの間にか霊夢に追いついていたらしく、彼女が前方から私に声をかけて来た。並ぶために加速しようとするが、私たちの横を後方から高速で何かが飛来し、そのまま通り過ぎていく。

「なんだ!?」

 私なんかよりも速い速度で何かが移動していったことにより風が巻き起こり、風にあおられて倒れそうになるのを後ろを見て何かが来るのを早くに見ていた霊夢が、バランスを崩す前に私を受け止めた。

「…大丈夫?」

「ああ、攻撃じゃあ無いみたいだったしな…それより、今のはなんだ?」

 霊夢に建て直されて再度村に向かい、前方で小さくなっていく人物について彼女に聞いた。

 幻想郷の中では私は結構早い方だが、それをやすやすと抜いていく奴なんて、文ぐらいだ。でも、文は血なまぐさい事件は好まないし、それに現在進行形で戦いが起きている場所に向かうとも思えない。

「…すっごく早かったから見えづらかったけど、今通ったのは間違いなく咲夜だったわ」

 あの速度、時間操作による高速移動だろう。奴らが現れた時点で咲夜が気が付いていたとしたら、あの速度でならば紅魔館からこの村につくのに数分程度の時間がかかる。奴らが現れたのはほんの数分前ということになる。

 私たちが数分かけて突くだろうという距離を数十秒で駆け抜けた咲夜は、異次元霊夢の近くに着地すると真後ろから奇襲をかける。

 パッと異次元咲夜の背中から火花が散る。切られたはずなのに血ではなく火花が出るとは、奴の体は鉄でできているのかと長距離で見ていて思ったが、単純に異次元咲夜は腕を後ろに回して銀ナイフで咲夜の攻撃を防いだだけだ。

 二人の銀ナイフが妹紅の放った炎でオレンジ色に輝いて見える。異次元咲夜が銀ナイフを振って咲夜を弾き飛ばし、咲夜と向き合っている両手のナイフを逆手に持ち替えた。

 咲夜は持ち方を変えず、そのまま少しだけ体の重心を下げて異次元咲夜に向かって走り出す。それが開戦の合図となり、咲夜と異次元咲夜の切りあいが始まった。

 




忙しくて書いている暇がないので、投稿が遅れてしまうことがあると思います。ご了承ください。
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