それでもいいという方は第四十八話をお楽しみください。
白色だったり赤色だったり、オレンジ色だったりと多彩な色の火花が異次元咲夜と咲夜の銀ナイフが打ち合わされるごとに飛び散るのが数百メートル離れていても私の目に見える。
「霊夢、先に行っててくれ。咲夜と妹紅が危なそうだし、私はここから援護しつつ少しずつそっちに向かうことにするぜ」
「…わかったわ。でもまだもう一人を見つけてないし…気を付けて」
異次元霊夢と異次元早苗は見つけられたが、異次元早苗の姿が見つけられない。奴らのことだから来ている可能性が高く、姿が見えないためどこから来るかわからない。
向かっている村のどこかにいるだろうが、離れている私も用心するに越したことはないだろう。
「ああ、地上から向かってくれ…狙撃するから空にいると誤射しかねない」
「…ええ、わかってるわ」
霊夢が下方向に移動したことで私の射線上から彼女の姿が消え、異次元霊夢に炎を放っている妹紅と異次元の自分と切りあいをしている咲夜が視界に収まる。
「…」
手先に魔力を手中させ、高出力でレーザーを妹紅に襲いかかろうとしていた異次元霊夢に放つ。
弾幕はただでさえ光を放ち、狙撃に向かないというのに光の魔法で貫通力を高めている私のレーザーは普通の弾幕よりも強い光を放ち、それが目印となって横側からの狙撃に異次元霊夢は身を翻してレーザーを避けた。
やはり当てられないか、しかしそれでも牽制にはなっているはずだ。霊夢が到達するまでの時間稼ぎにはなる。
距離があり、私からはよく異次元霊夢の表情などが見えているが、奴からは見えず、ずっと私が見ていると思っているだろう。警戒してさっきまでのように妹紅に突っ込むことはしないはずだ。そのうちに異次元霊夢から咲夜へと視線を変えた。
高速で切りあっている彼女らは目が回って来る速度で動き回っている。初めは咲夜が互角かそれ以上かと思っていたが、いつの間にか咲夜は守りをするので精一杯となっている。
そっちも援護したいところだが咲夜の方向に撃てば自分が狙われていないと、異次元霊夢が動いてしまう。霊夢が到着するまでの時間もできるだけ稼ぎたいため、異次元咲夜と異次元霊夢の両方に狙撃をしなければならない。
そう思っていると、異次元霊夢が私の次の射撃がないことから自分に標準が向いていないと思ったのか、攻撃されて片膝をついている妹紅に向かって走り出す。まずい、今すぐに行動を開始しなければならない。
手先に溜めていた魔力を二つに分割し、それぞれを少しずつ強化して分割した一つを走っている異次元霊夢の鼻先に狙いを定め、それと同時にもう片方を咲夜の防御に構えていた魔力で作り出していた銀ナイフを砕き、胸に銀ナイフを突き立てようとしている異次元咲夜のほんの少し前の空間に狙いを定め、レーザーを照射。
キンッと暗い場所でカメラのフラッシュをたくのを連想する光量が手先から発生し、発射してから数百メートル先にいる異次元霊夢たちにコンマの時間差でレーザーが到達。
しかし、強い光が射撃のタイミングを異次元霊夢に悟られてしまったらしく地面を踏みしめて急停止し、後方に跳躍すると丁度よく当たるはずったレーザーが空を切り、地面を焼け焦がした。
二発同時に放ったため、普段撃つレーザーよりも細くなっていて、それ会が異次元霊夢に当たらない要因にもなっている。
異次元咲夜も私の放ったレーザーの光が目印になったらしく、こちらを振り向いてレーザーの射線上にナイフを配置し、それを傾けてレーザーを反射させた。
光の性質を強くしてレーザーの速度が数百メートルを一瞬で飛んでいくようになったが、光の性質が強くなっている分だけ弾幕が光に近づき、銀ナイフを鏡と同じ使い方をされてあっさりと軌道を捻じ曲げられてしまった。
どちらもダメージにはならなかったが、どちらも牽制にはなったはずだ。
「…」
しかし、一向に異次元早苗の姿が見えない。妹紅や咲夜を見つつ村を見回してみたが私が見える位置からは奴の姿はどこにも見えない。移動して探したいところだが、妹紅と咲夜が見える位置というのがこの地点でこの角度しかなく、ここから移動するとどちらかに援護ができなくなってしまう。
だが、二度の狙撃で私の位置はすでに割り出されているだろう。射線が通る場所にわざわざ顔を出すとは思えない。
周りを見てみても異次元早苗の姿は見えない。本当にいないのかは知らないが、いないのなら好都合だ。このままこちらが優位に進むように狙撃が続けられる。
咲夜の方を見ると、銀ナイフを取り出してか魔力で作り出したのかは知らないが、立て直すことはできたらしい。でも、私のことを身震いする形相で睨み付けている。
邪魔をするな。と言いたげだ、というかおそらくそう思っている。まあ、奴がレミリアの仇でそれを倒したい。いや、殺したいという気持ちはわからんでもない。
でも、さっきまでの戦いは怒りや憎しみに身を任せたもので、それでは常に我々の一歩先を行っている奴らに殺されてしまう。そうならないためにも、援護は必要だろう。
あとで怒られるかもしれないが咲夜に死なれるよりはましだ。もし死なれたらパチュリー達に顔向けができない。
レミリアが死んだことについての罪滅ぼしのつもりかと思われようが仕方がない、パチュリーたちに顔向けできないとか死なれたら困るとかは建前であって、実際のところはその通りだからな。
でも、言っていることが矛盾しているが死なれたくないというのは本心だ。パチュリー達には泣いてほしくもない。自分勝手ではあるが援護はさせてもらうとしよう。
霊夢が村に着くまではもう少し時間が必要そうだ。一度立て直したことで咲夜は少しの間は大丈夫そうで、援護をするために咲夜から視線を妹紅へと向けると、手のひらの上に作り出した炎に魔力を作用させることでそれを増幅させ、彼女は異次元霊夢に向けて炎を放射した。
小さく手のひらでチラついていた炎が数百倍にも膨れ上がり扇状に広がっていき、異次元霊夢を中心に数十メートルが焼き払われる。
オレンジ色の高温な炎の後に黒色の煙が発生し、それが視界を遮り異次元霊夢の様子をうかがおうことができない。
だが、あの程度でくたばるようなやつでなければ、食らうようなやつでもない。油断せずに構えていると炎が通り過ぎ、温度が下がった黒い煙の中から異次元霊夢が飛びだし、距離を一気に詰める。油断していたわけではないが、この中を突き進んでくるとは思っていなかったのか、妹紅が腹部を下から突き上げられる。
ここで見ていても痛々しいのが伝わってくる妹紅の苦しそうな表情が見え、更なる追撃を受ける前に私は異次元霊夢に向けてレーザーを放つ。
自分ではできるだけ早くその援護を行ったつもりであったはずだが、一足遅かったらしく胸の高さに崩れ落ちた妹紅の頭を異次元霊夢は掴むと、顔にお祓い棒を叩き込む。
奴は殴るのと避ける準備を同時並行で進めていたらしく、ギリギリではあるが紙一重でレーザーには当たらずに数歩後ろへと下がる。
「くそっ!」
撃ってからの若干の時間のラグを減らすために村に少しずつ近づき、民家や木などの障害物に邪魔されないように移動し、魔力を手先で凝集させた。
咲夜はまだ異次元咲夜と切りあっていて、今のところは互角に戦っている。しかし、私がさっき異次元霊夢に狙撃したことで現在は狙いが自分に向いていないとわかってしまっている。それは狙撃を受け流すために目の前にいる咲夜に集中できていなかったが、今なら咲夜を集中的に攻撃することができるということを示す。
異次元咲夜の攻撃が激しくなっているのが現地で戦っていない私にもわかり、急いで咲夜を援護しなければならないが、殴り飛ばされて地面を転がって起き上がろうとしている妹紅に向かって異次元霊夢が歩みを進めている。どちらにも援護が必要だ。
もう一度、二つに分割したレーザーを異次元咲夜と異次元霊夢に撃てばいいと思うかもしれないが、二つに分割したレーザーが大した威力を持っていないことをもうすでに二人は知っている。
分割しない普段のレーザーは人体を切断とは言わないが、かなり重症のダメージを与えることができるほどの威力を持っている。しかし、今は分割してしまっていてさらに光の性質が強い分だけ貫通力が著しく低下し、表面を超高温の光があぶる程度になってしまっている。
それでも一秒もない時間で物を焼け焦がすほどではあるが、当たったとしても奴らを戦闘不能にさせるのには足りなすぎる。
それを異次元霊夢は初手の弾痕から察し、異次元咲夜は反射できる程度のものだとわかっている。さて、どうしたものか。魔力を二つに分割しようとするが、私の射撃準備ができる前に異次元霊夢が倒れた妹紅に向かって走り出してしまい、その走行速度が速くて私がレーザーを撃ったとしても、奴が妹紅を攻撃した後となってしまう。それに当てられるかもわからない。
でも、当てるかどうにかして異次元霊夢を止めなければ、脳震盪を起こして立ち上がろうとするがおぼつかない足取りの妹紅が地面に尻餅をついてしまう。とてもじゃないが殴りかかられたら抵抗することなどできやしないだろう。
妹紅を助けなければならないという焦りが判断や魔力調節を狂わせ、凝縮しかけていた魔力が少しだけ霧散してしまう。
「…くそ…っ…!」
落ち着けと自分に言い聞かせるが、無くなった分の魔力を補給している暇はない。
分割したレーザーの一発分程度にまで減ってしまった魔力を分割せずに異次元霊夢に撃とうとするが、異次元霊夢の攻撃圏内に妹紅は入ってしまい、彼女がお祓い棒の代わりに持っている針を振り下ろした。
五日から一週間後に次を投稿します。
読みづらかったら申し訳ございません…