それでもいいという方は第四十九話をお楽しみください。
投稿が遅れてしまい、申し訳ございません。
妹紅の頭部に異次元霊夢が振り下ろした針が突き刺さる。その寸前に針と妹紅の間にお祓い棒が滑り込み、ギリギリで攻撃をはじき返す。火花が散って異次元霊夢の針が遠くへと回転して飛んでいく。
私はほっと胸をなでおろして落ち着いて異次元霊夢に標準を合わせる。針が飛んでいったのは殴りかかった部分だけだったらしく、折れて手元に残っている針だったものを投げ捨て、異次元霊夢は新しい針を取り出した。
霊夢を見ると危ない状況だというのを感じ取って全速力で走って来たらしく、息を切らして肩を上下させている。
霊夢は異次元霊夢がどんな行動をとってもすぐに反応できるように構えているが、パクパクと口を動かした。
次に異次元霊夢が口を動かしたことで霊夢と会話をしているということがわかる。針などを投げられても大丈夫なように後ろに倒れている妹紅に気をかけている。
妹紅が頭を振ってクラクラしていた意識をはっきりさせ、両手に炎を作り出して霊夢のすぐ横に立った。
あの二人なら問題は無いだろう。霊夢程とは言わないが妹紅も幻想郷では上から数えた方が速いぐらいには強い。さて、問題があるとすれば、咲夜かもしくは私の方だ。
咲夜は言わなくてもわかるが異次元咲夜が原因で、私の方はというと、異次元早苗だ。狙撃でずっと同じ場所にいるのは敵に位置を悟られてしまうため危険だ。あと数回狙撃をしたら霊夢に合流することにしよう。
手先に魔力を溜め、異次元咲夜が取り出したスペルカードを撃ち抜いた。魔力を流す前のただの紙切れであれば、破壊した時点でそれは本当に紙くずとなって使えなくなる。
異次元咲夜が驚いた表情を見せ、その隙に咲夜がスペルカードに魔力を流し込み、それを叩き切ってスペルカードを発動させた。
咲夜の周りに大量の魔力で作られた銀ナイフが配置され、各自が独立してその場で回転していたがすべての銀ナイフが咲夜が出した合図とともに周りに散開し、ほぼ同時に異次元咲夜へと全方向から襲いかかる。
あれは幻符『殺人ドール』だ。強力なスペルカードですべての銀ナイフをはたき落とすのは至難の業だ。いつもよりも銀ナイフの数が少なく、狙いも的確で弾幕ごっこで使えば確実に死人が出る一撃だ。
異次元咲夜への狙っている部位や角度、その数で咲夜が確実に異次元咲夜を殺そうとしているのが伝わるが、何よりも使っている銀ナイフが魔力でどれも本物に近い形で作られている。それがいっそう咲夜が本気だということを物語っている。
百十数本の銀ナイフが同時に全方向から襲いかかる。完璧な攻撃に見えたが、しかしこの世に完ぺきというのは存在せず、時の操作により自分の行動速度を上げ、すべての銀ナイフを異次元咲夜は破壊した。
「は…っ…?」
私は目を見張った。一部の銀ナイフならともかく、すべての本物と変わらない精工に作られた銀ナイフを破壊しきったことに驚きをかくせない。逃げられたとしても普通なら一部の銀ナイフのみを破壊して逃げるはずだ。
咲夜は弱い人間じゃない。そこらの妖怪や鬼を相手にしたって後れを取ることは無いだろう。そんな彼女のスペルカードから逃れるにはかなりの魔力を消費し、撃ち落すとなればさらに多くの魔力を消費して、後の戦闘に支障をきたしかねない。
であるため撃ち落とすなどで魔力を無駄に使うのならばのちの戦闘のために普通は温存するだろう。しかし、異次元咲夜はそれをしなかった。する必要がないほどに余裕だということだろうか。
奴は化け物か?と言いたくなる。涼しい顔をして戦闘をそのまま続ける異次元咲夜に次の射撃を行うことにする。
魔力を凝縮して高出力だが光の性質が強いレーザーを再度切りあいをし始めた異次元咲夜に標準を合わせ、レーザーを照射した。
しかし、レーザーは狙ったはずの場所には飛んでいかず、あらぬ方向にぶっ飛んでいく。少しずれるなどの誤差のレベルではない。
「あれ?」
そんな声を口から漏らしたころに、後頭部から強い電流を流されたと錯覚するほどのビリビリと響く鈍痛が伝わってくる。
「う…ぐ…!?……あああぁぁっ!!?」
遅れてきた痛みに霊夢たちを援護しなければならないということも忘れ、頭を抱えた。
「きゃははははっ!!後ろががら空きですよ!!」
笑い声がし、痛みと衝撃で気が遠くなりそうな頭を必死に回転させて意識を保ち、後方から攻撃してきた人物に振り向きざまに手のひらを向け、レーザーをぶっ放す。
太陽の光と変わらない光量が手のひらから発生し、真後ろから奇襲をしてきた異次元早苗の顔面にレーザーが浴びせかけられる。
構えることやかわすことをしない異次元早苗の頭から胸を薙ぎ払う。直撃すれば致命傷は避けられないはずだったが、当たる寸前三十センチ手前で私のレーザーが消え去ってしまう。
「なっ…!?」
私が意図的に消していたり、異次元早苗が結界を張っているわけではない。自然とそこで消滅したのだ。レーザーとして使われていた魔力が塵となって消えていく。
いったいどんな奇跡を起こす程度の能力を使ったらこんな風に目の前でレーザーが消えるんだ。必然であることを奇跡で捻じ曲げるならば相当な量の呪文詠唱が要求されるはずだ。
呪文の質を上げたとか、奇跡を起こす程度の能力の使う呪文効率を上げたとか、そう言ったことを考えるが今はどうでもいいことだ。
呪文詠唱を行い、それを作り置きしているのだろう。そうでなければこんなに攻撃が通らないということは起こらないはずだ。そうだとして、作り置きをしているのではればそれには上限があるはずだ。こいつを倒すにはそれをすべて消費させるしかない。
だが、奇跡を起こす程度の能力にもできないことがある。こっちの早苗は近接戦闘で、あたるか当たらないではなく、当たったダメージが軽減されるというものだと聞いたことがある。異次元早苗が同じなれば、与えられるダメージは少ないがそれと同時に呪文詠唱を削り取ることができる。
自分で直接戦う近接戦闘は不得手であるが、異次元早苗へとこぶしを握って攻撃を仕掛ける。髪の毛から足のつま先まですべての細胞、組織、気管を魔力で強化した。
足元に魔力の足場を作ってそれを蹴って加速、異次元早苗の胸に向かって握った拳を振りぬいた。私が接近してきて直接攻撃を仕掛けてくるとは思わなかったのか、異次元早苗は構えてはいない。
当たる。そう思ったがやはり異次元早苗から三十センチ手前でなぜが拳が減速し、異次元早苗の胸に当たる頃には普通に触れるのと変わらない弱々しいものとなっていた。
「へ…?」
驚いて手を引っ込めることを忘れていると、異次元早苗が薙ぎ払ったお祓い棒で頬をぶっ叩かれ、後方に吹き飛ばされる。
「あぐっ!?」
後ろに体を投げ出して吹っ飛ばされてしまい、見ていている景色が上下反対に見える。どちらに体を浮き上がらせていいのかちぐはぐでわからなくなり、重力方向に落下し始めるが地面までの高さは十分にあったはずだ。背中の方向へと魔力を放出して立て直そうと魔力で足場を作り、そこに着地した。
少し足場の強度が足りてなかったのかガラスが割れるのと同じ、硬質なものに亀裂が入る音がする。が、なんとか私の体重には耐えてくれたようだ。
手先に魔力を再度溜め、こちらに向かって飛びかかってきている異次元早苗に向けてレーザーをぶっ放す。だが、レーザーが異次元早苗を貫くことは無く、目の前で消えていってしまう。
今からもう一度攻撃をしようとしても間に合わないだろう。異次元早苗が振り下ろしてきているお祓い棒をガードする為に手を交差して、異次元早苗の得物を受け止める。
ビキッと腕に痛みはあるものの私自身は耐えられたが、殴られた威力と異次元早苗の体重が一気に足場にかかり、私の体重だけでもギリギリだったため耐え切れずに砕け散り、私は大きくバランスを崩してしまう。
その隙に異次元早苗が私の胸に向けてお祓い棒を薙ぎ払う。胸のど真ん中を捉えた攻撃に息が詰まり、体がまた後方に百十数メートルぶっ飛ばされて地面にぶつかり、転がった。
魔力で体を強化していなければ死んでいるところだ。地面との摩擦で転がっている速度が減速され、手足を地面につけて地面との摩擦を増やし、動きを停止させた。殴られた胸が痛み、小さくせき込んだ。
直接的な攻撃方法がダメというのならば、他の手を使ってみよう。
手にこびりついている砂を振り払い、肩から下げているバックの中から閃光瓶と爆発瓶を取り出した。魔力をその二つのうち一つに込め、魔力を込めていない瓶をバックの中に落とし、魔力を込めていた閃光瓶をこちらに向かって着地して走ってきている異次元早苗へと投擲する。
魔力を投げた方の手のひらに溜め、回転して飛んでいく閃光瓶を異次元早苗の目の前で通り過ぎる前にレーザーで撃ち抜いた。
たぶん五日から一週間後に次を投稿します。
文字数はどれぐらいにした方がいいんでしょうか。