東方繋華傷   作:albtraum

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自由気ままに好き勝手にやっています。駄文です。

それでもいいという方は第六話をお楽しみください。


東方繋華傷 第六話 花の化け物

 私が投げた針のお返しだと言わんばかりに、頭に向けられた傘の先端から放たれたソフトボール台の細いレーザーを、体の浮遊に回していた霊力を止めて体を地面の方向に落とすことで避けた。

「…っ!?」

 強い熱、たき火などとは比べ物にならないほどの熱を放つ熱線が顔のすぐ上をかすめて通り、その熱気に顔をしかめてバランスを崩しかけながらも霊力を使って立て直し、真上をレーザーが通っているため、別の方向に宙返りをして上方向に飛んで幽香を見下ろす。

 遠くでは幽香のレーザーに当たった山の岩肌が超高温により融解し、一部の岩石が蒸発して体積が膨れ上がることにより発生した数千度にもなる暴風で溶けた岩石が噴水の水のようにあふれ出してきている。

 それを連続的に繰り返すことで山の山頂付近を幽香のレーザーが丸ごと融解させてしまった。

「…馬鹿げた威力ね…!」

傘で殴りかかってきた幽香の攻撃を、私は何かにぶつけたら簡単に折れてしまいそうにも見える強化したお祓い棒で受け止めた。

「この程度で驚いてるようじゃ、この異変は生き残れないわよ。霊夢」

 幽香が私が押し返す以上の力で傘を振り払い、花を操る程度の能力で急成長させた異常に茎が伸びた花を私にけしかけてくる。

「…じゃあ、頑張るしかなさそうね」

 

 嗚呼、私はため息の様に小さく息をつきながら走る。魔法使いである私が空を飛ばずに走っている理由は、時には地面を走るのも悪くはないと思ったからではない。

 異変が起きている状況では、そんな悠長なことをしている暇などはないだろう。では、なぜ私は走っているのか。

 村についた途端に、幽香が作り出したと思われる花の化け物が伸ばしてきた蔓に箒を掴まれて引きずり降ろされてしまったのだ。

 それはいいとして、上記ではなぜ走っている、の理由にはなっていない。説明しなくてもすでにわかっているとは思うが、私を引きずりおろした化け物に追われているからだ。

 こんな妖怪は見たことはない。全身を長い茎や蔓、葉っぱなどで形成し、体の各部分から色鮮やかな花を咲かせている。

 それに加えて化け物の体の形は人間のような二足歩行から犬猫のように四足歩行の形態の奴もいる。

 普通の植物の細胞というものは、柔らかくて形が変形する細胞膜のほかに、細胞膜の周りを囲うように細胞壁という頑丈な壁がある。従って、硬質な小さな壁の細胞が大量に集まって形成されている植物の体は、動物のようには動けないはずなのだ。

 なのに、こいつらと来たら人間や犬などの動物の様に走って来る。いったいどんな体の構造をしてるんだか。

「っ…おっと!」

 肩越しに振り返って追ってくる化け物どもを見ているとその中から、私を捕まえようとするやつがいて、箒から引きずり降ろされた時のように蔓がこちらに向かって伸びてくる。

 私はその蔓が体に当たる直前に、体を前方に飛びこむようにして投げ出して拘束を逃れて地面に手をついて体を持ち上げると、前転をする途中のような形になっているため今まで背を向けていて見えなかった景色が目に映し出される。

 化け物どもの数はパッと見たところ二十数体いて、一体だけかと思っていたが数体が私に向けて蔓を伸ばしてきているのがわかり、蔓を伸ばしてきている化け物どもに掌を向けて溜めておいた魔力をレーザーとしてぶっ放す。

 二足歩行で頭だと思われる部分に大きな花が咲いていて、それを試しに撃ち抜いてみたがそいつらは止まる気配もなく走り続けている。

 こういうやつには狭い範囲を撃ち抜くよりも、広い面積を吹き飛ばした方が効果はありそうだ。

 地面についていた腕を曲げて体の位置を下げ、飛び込んだ勢いを殺さずに転がって立ち上がり、飛び込む前と変わらないスピードで走り続ける。

 再度魔力を手に溜め、前方から向かってきている背中から花を咲かせている犬に似ている四足歩行の化け物に向けて手をかざし、大量の星形の弾幕を浴びせてやった。

 体の構造が人間などの動物に近くなったことで、体の耐久力が低くなったのか。化け物が星形の弾幕を体中に受けて、体に大穴が開いていく。

 驚いたことに化け物の体にめぐっているのは、動物のような赤血球で赤く見えている血ではなく、水に高濃度の養分などが溶け込んでいる粘性の強い液体らしく。傷口から大量に粘性の高い液体を吹き出しながら化け物は地面に崩れ落ちる。

 しかし、それでもまだ化け物は死んではいないらしく、無くなっている足や腕をもがいて私を追おうとしているのがうかがえた。

「うわあああああああああっ!!」

 女性の高い声が聞こえ、そちらに視線を向けると村人が数匹の化け物に襲われていて、悲鳴を上げているのが見える。

「何やってんだ!?家に隠れてろ!」

 星の弾幕よりも弾速の早いレーザーを撃ち、花の化け物が伸ばしていたハエ取り草のような口を切断して地面に落とす。

 助けた女性はわき目も振らずに走っていく。女性が外をうろついていたのは仕方のないことだろう。化け物の中には犬ぐらいのサイズの物から人間ぐらいの物、ほかには二メートルも三メートルも身長があるやつがいる。そいつらが家を破壊してしまって逃げるしかなくなってしまったのだろう。

 そのため、さっきの女性以外にも家の外を村人がうろついている姿はちらほらとみられる。

 一匹一匹始末している時間はない。これ以上時間をかけていると被害が大きくなってしまう。

 もっと効率よく倒すには魔法を使う方がいいだろう。植物などを相手にするならば、やはり炎系の魔法だろう。これならば効率的にダメージを与えられるはずだ。

 私が魔法を発動するために呪文を唱え始めたとき、肩越しに振り返って追ってきている化け物どもを見ると、一つだけ嫌に大きな個体がいるのがわかった。

 そいつ自体については別に変なことではない。そいつほどまではいかないが大きな体をしている奴はほかにも存在しているからだ。でも、なぜかほかの個体よりも異質な感じがしたのだ。

 それは、花の茎が複雑に絡み合ってできている巨大なオオカミのような姿で、その背中にはたくさんの巨大な花を背負っていて、その花の一つ一つから黄色っぽい煙のようなものが漏れ始めているからだ。

 気のせいかと思っていたが、その量がだんだんと多くなると花びらが蕾のように合わさって閉じると、中で煙に見えたものが大量に生産されているらしく、すぐに蕾がパンパンに膨れ上がる。

「なんだ…!?」

 何かろくでもないことをしようとしているのには変わりない。その巨大なオオカミの化け物をすぐに撃ち殺そうとするが、膨れ上がっていた花が勢い良く開花したことで大量の煙を周りにまき散らす。

「…これは……花粉か…?」

 ただ単に花が化け物になったわけではなく、花の性質もきちんと受け継いでいるらしい。

「……まさか…」

 花粉を飛ばすというのは、自分の子孫を増やそうとする行為である。ということは、だ。

「…やべぇ……」

 まき散らしたガソリンに火をつけるように花粉が広がり、周りにいる化け物どもが花粉を雌花に受粉していく。受粉したすべての化け物たちが超高速で果実などを形成していき、今まで走っていた動きをぴたりと止める。

 種が大量に果実の中に作られて行っているらしく、化け物果実がどんどん膨らんでいって果実の直径が三十センチにもなると、ほんの少しの衝撃で爆発しそうにも見える。

 花の種類の中には爆発植物といわれる種が存在し、その名の通りに爆発する。

 しかし、その爆発は火薬などを使ったものではなく、種子を周りに飛ばすために限界まで内部の圧力を高め、破裂させたことによる爆発だ。

 果実の大きさは三十センチもあり、その中から飛ばされる種はいったいどれだけの量と速度を持っているのか、考えたくもない。

「おい!どこかに身を隠せ!!何か来る!」

 私は道の隅に生えている大きな木の後ろに隠れ、逃げまどっている村人に向けて叫んだ。ほとんどの化け物が花粉を受粉したことにより動いている化け物はほとんどいないため、隠れることは容易だろう。

 そうしていると、初めに花粉を周りに飛ばした奴が果実を作って動きを止めていた一匹の化け物を人間の体ぐらいあるぶっとい腕で小突いて刺激を与えた。

 考えてみてほしい。化け物の果実の内部は高い圧力で少しの衝撃でも爆発してしまうだろう。その状態というのは、爆発しないようにする体の構造と、爆発しようとする圧力が均衡を保っているということだ。つまり綱引きをしている状態なのだ。

 そして、オオカミの化け物は全力で引き合って釣り合っている状態の縄に切れ込みを入れたのだ。そうするとどうなるか。

「……泣けるぜ」

 化け物を撃ち抜こうとしていた魔力を身を守るための結界に回し、自分の周りに結界を張って私は地面に伏せる。

 それと同時に、火薬の爆発に引け取らないほどの爆発音が辺りに轟いた。

 




三日後か五日後に投稿します。
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