それでもいいよ!
という方は第七十話をお楽しみください。
前回の内容を忘れた人(私も含め)のために大雑把なあらすじを
咲夜が戦い始めました。
私は砕けた銀ナイフを魔力の塵として消し、新たに魔力で形成した。異次元咲夜は刃こぼれした銀ナイフを捨てて、得物を同様に作り出した。
奴の銀ナイフが地面を転がると石にでもあたったのか、甲高い金属音を発するが閉塞的ではなく開放的な場所にいるため、それが思いのほか小さく聞こえる。
私はそれを合図に、異次元咲夜よりも速く動いた。奴が動き出すのを様子見で待っていてはだめだ。今度はこちらから攻めに行く。
初めの一撃は異次元咲夜が一歩後ろに下がったことで避けられ、銀ナイフは鼻先の何もない場所をかすめた。
まだだ。異次元咲夜と同じ時間の流れだが、ほんの一瞬だけ時間の流れるスピードを上回らせ、彼女との距離を一気に詰めた。
上から下から右から左から、振り下ろしかち上げ薙ぎ払った。両手に持った銀ナイフで、何度もあらゆる組み合わせと角度で切り付ける。
しかしその行為の度に、私が持っている銀ナイフとデザインや形状が少しだけ違う銀ナイフが打ち合い、砕かれていく。
それも当たり前だ。私が敵と戦う際に取っている戦闘形態は、時を止めた際の奇襲と高速移動での攪乱、時間軸の違いを利用した戦闘を優位に進めるという物だ。
それができない以上私は、今までと違うスタイルと戦略で奴と戦わなければならないのだ。
何度も打ち合っていた異次元咲夜の銀ナイフは負担が重なり、耐久性能が大きく低下したらしく、次の攻撃で甲高い金属音を出して弾けた。
私は待っていたそのタイミングを逃さず、隠し持っていたスペルカードの回路に大量の魔力を注ぎ込み、プログラムが組み込まれている回路全体に魔力を均等に巡らせ、起動させた。
スペルカード発動。
「速符『ルミネスリコシェ』」
このスペルカードは本来ならば、狭い部屋などの閉鎖されている空間で真価を発揮するスペルカードだ。どういうことかというと、ゴムボールのようにぶつかると跳ね返る性質を得物に含ませていて、銀ナイフに含まれている魔力が無くならない限り銀ナイフは跳ね返り続ける。
だが、今いる場所は平地で跳ね返らせる壁などは特には無く、木などはあっても距離がありすぎる。例え木の幹に銀ナイフを当てられたとしても、木の壁面は円を描いていてまっすぐな場所は全くない。それではせっかくの銀ナイフが望まないあらぬ方向へと飛んでいく可能性の方が高い。
なのになぜそのスペルカードを使用したのかというと、私が目を付けたのは魔力で強化されたその速度だ。
時の流れを弄って時間軸が違うとはいえ、速度だけ強化すれば理論上は時を速めている異次元咲夜に追いつくことは可能である。
鈴仙がやっているような、ほとんど音速と変わらないように銀ナイフを投擲することは不可能だが、それに近い速度で銀ナイフを打ち出すことはおそらく可能だ。
最低限の形状維持や切れ味、銀ナイフのバウンドに魔力を三割か四割持っていかれるが、その飛行速度に残りのすべてに魔力をすべて注ぎこんだ。
魔力の流れを感じるものはそのまま突き抜け、魔力を感じない物で跳ね返るためすぐ近くにいる異次元咲夜に当てた銀ナイフが跳ね返ってきて自分に刺さることは無い。
形成した銀ナイフに魔力を作用させて投擲すると、ありえない超加速をして異次元咲夜へと向かって行く。私と異次元咲夜の時が速いといっても、秒速二百メートル以上の速度で飛んでいっている物体を視認することは難しい。
「はぁ……。飽きましたね」
耳をつんざく金属音が鼓膜を震わせた。眩しくなるほどに火花が散り私は自分の目を疑った。超高速で撃ち出したはずの銀ナイフは半分に切り裂かれ、左右に分かれて異次元咲夜をすり抜けて飛んでいった。
銀ナイフで切り裂かれたその僅かな時間でも、摩擦によって断面はかなり温度が上昇していて、赤く淡く光っている二つの点が遠くの方で見えた。
「!?」
逃げて射線上からいなくなったり、何かしらの物を盾にして銀ナイフを避けたのならまだわかる。
だが、奴は魔力の通っている銀ナイフで、突き抜ける性質を持っている状態の得物を半分に切り裂いた。
銀ナイフを破壊した直後にスペルカードを放った。奴は銀ナイフを形成してからぶった切ったわけだが、高速で物を形成したのならば普通は作りが荒く、強度はかなり落ちる。
なのに、ほんの一秒にも満たない時間で奴が作り出した異次元咲夜の銀ナイフは、私が放った銀ナイフよりも強度の高い銀ナイフを作り出したことになる。
ありえない。銀ナイフを作るための鋳造を用意をしていたとしても、細かい性格の人間だったとしてもあの速度では必ず粗が出る。
私の銀ナイフが切られたということは、奴の方が強度が高いということなのはさっきも言った。ずっと否定していたがやはり奴が使っているのは、本物の銀ナイフだということになる。
奴は私と同様に銀ナイフを魔力で形成していたはずだが、それ以外には考えられない。なぜなら魔力で作ったものとオリジナルとではやはり性能には差がでるからだ。私が使っているのと異次元咲夜が使っている銀ナイフのように。
奴らは並行世界から来た。世界一つ一つで魔力などの法則が違うのだろうか。
私はスペルカード使用時特有の体の硬直で動けなくなる。
動け、早く動けと自分の体を叱咤し、無理やり動かそうとするが中々体の硬直は溶けてくれない。ようやく動かせるようになったところで、異次元咲夜から離れようとした私に、奴は銀ナイフを投擲した。
額のど真ん中に銀ナイフを叩き込まれた。自分ですらそう思っていたが、反射的に右手を額の前にかざしていて、投擲された銀ナイフは手のひらを貫通した。
痛がっている暇はない。投げられたのはこれだけではないのだ。
「ぐっ!?」
二本目は手に銀ナイフが刺さったことで、私の体勢が少し変わり肩をかすめてく程度になってくれるが、皮膚と皮下組織を少々持っていかれた。
そんなことよりも、三本目が私の頭に向かって避けられない角度で飛んできている。自分までの距離とそれの速度から、新しい銀ナイフを作っている暇はないことがわかる。
なら、ある銀ナイフを使うしかない。突き刺さって手の甲から突き出ている銀ナイフを、奴の得物に当てるように拳でアッパーをするように振り上げた。
手の甲を貫通している銀ナイフの刃と、投げられた銀ナイフが胸の前でぶつかり合って火花がパッと散り、まっすぐ向かってきていた銀ナイフが回転しながら頭の上を通り過ぎていく。
四本目がすぐそこまで来ている。すぐさま左手で右手に刺さっている銀ナイフを引き抜き、一歩後ろに大きく下がって銀ナイフの到達までの時間を稼ぎ、奴の銀ナイフに向けて下から上へ振り上げた。
火花が散ると異次元咲夜の投擲した銀ナイフは回転して跳ね返され、足元の地面に刃の方から落ちて突き刺さる。
「おー、すごいですね。まさか死なないとは思いませんでしたよ」
異次元咲夜は驚いているのかパチパチと手を叩いて拍手をし、新たな銀ナイフを作り出した。腹の立つ奴だ。
私は自分の使い慣れた銀ナイフを使うために、持っている銀ナイフを捨てようとしたが、奴の武器を実際に持ってみて初めて分かった。やはりこの銀ナイフは本物だ。
異次元咲夜が投げてきた銀ナイフを後ろに投げ捨て、使い慣れた自分の銀ナイフをじっくりと作り出した。
奴の銀ナイフで右手のひら部分にある人差し指と中指の骨が断ち切られてしまっている。魔力で骨と神経、肉体の修復を進めるが時間がかかりそうだ。親指と薬指、小指だけでは銀ナイフを持てはするが、切りあうことはできそうにない。
左手のひらの上に銀ナイフを作り出し、握り込んだ。周りをちらっと見てみると妖精メイドは、私が見える位置からは十数人程度がバラバラにいるが、戦える妖精メイドは五人もいないだろう。
そして、奴が投げた銀ナイフが刺さって死んでいる妖精メイドを注意して見てみると、まだ銀ナイフが存在している。ついさっき投げられた銀ナイフだけではなく、戦い始めの方で投げられたものも残っている。それらも本物だ。
銀ナイフを握りしめて油断なく異次元咲夜を睨み付けていると、奴も得物をいつでも切り合いができるように構え、消えた。
奴の時間についていったり、自分の時間を加速させるために気を巡らせていたおかげで、奴の時の加速を検知。私も時を加速させた。
実際には消えたように見えた異次元咲夜が、後方に現れたのを荒々しい殺気で把握できて、振り向きながら強化された銀ナイフを振るう。
時間の加速を検知してから少しラグがあった。その間に異次元咲夜は私のことを一度か二度は切りかかれたはずだが、奴は鬱陶しい周りの妖精メイドを片付けていたらしい。
残っていた妖精メイド全員の頭が、ちょうど地面に転がり落ちていく。体もその後を追ってすぐに倒れる者もいたが、切り殺されたことを体がまだ理解できていないらしく、数歩歩いたのちに倒れる者も少なくはない。
異次元咲夜の振るってきた銀ナイフの衝撃が腕に伝わり、指が痺れる。はじき返そうとしていると、異次元咲夜がもう片方の手に握られている銀ナイフを振るい、わき腹を切り裂いた。
「っ…!」
こんな戦い方じゃあだめだ。お嬢様を殺された時のことを思い出せ、奴の動きをうかがっているのでは続かない。そんな戦い方では命がいくつあっても足りやしない。
怒りを燃やせ。お嬢様の仇を、妖精メイド達の仇を私は取らなければならないのだ。
二度目の斬撃は、銀ナイフの当たる角度を浅くして受け流し、三撃目はやらせずに私が銀ナイフを振るう。
異次元咲夜が身を屈めて斬撃をかわし、後ろに跳躍した。そのうちに大量の銀ナイフを周りに作り出し、魔力で奴に向けて飛ばした。
魔力で飛ばすとなると魔力を余計に食って消費してしまうが、片手しかない状況では手数が足りていないため、こうやって銀ナイフを飛ばすしかないのだ。
空中にいて飛んできている銀ナイフを異次元咲夜は、適当に銀ナイフを振るっているようにしか見えないが、的確に自分に当たるものだけを弾いていく。
地面に着地し、私が投擲または魔力で飛ばしている銀ナイフを、前後左右に妖精メイドから流れ出たことでできた血だまりの中を動いて躱している。
連射されている銀ナイフの雨を、切り抜けてきた異次元咲夜は私に向かって跳躍してくる。奴もこちらに向けて十数本の銀ナイフを投擲か私と同じように銀ナイフを発射し、飛んでいている銀ナイフを相殺した。するとこれで終わりだといわんばかりに持っている銀ナイフを逆手に持ち替えて突っ込んでくる。
私は自分の中で丁度いいタイミングで隠し持っていたスペルカードに魔力に魔力注ぎ込み、起動させた。銀ナイフでそれを半分に切り裂いて発動させる。
奴はさっき私が使った幻符『殺人ドール』などと同じスペルカード、または同系統の物と考えていたのだろう。銀ナイフを飛ばすのには、まずは得物を周りに配置しなければならない。それをする時間が一番隙が大きく、そのうちに私を殺そうとしているのだ。
だが、残念。私が使用としているのは、それらじゃない。
プログラムを組んだ通りに私の体が硬直して動けなくなったとき異次元咲夜が私の首を掻き切り、心臓に向けて銀ナイフを柄に達するまで突き刺した。
首を掻き切られたことで頸椎にまで銀ナイフが及んで骨が砕ける音、肉を鋭い刃が切り裂く音が頭の近くで発生し。肋骨をすり抜けた得物が心臓の心筋を貫いて中身をぐちゃぐちゃに掻き混ぜた。
奴は勝ったと顔を歪ませるが、その私はタイムパラドクスを利用した幻影というよりは、そうなるはずだった数秒後の私であって、そうならなかったためタイムパラドクスの私は消え去り、奴の後方に現れた。
そして、異次元咲夜は気が付いた。自分の周りに無数の銀ナイフが配置されており、一斉に向かってきているということに。
だが、焦りが見られない異次元咲夜から時の加速を感じ、私も急いで自分の時間を加速させると、奴の周りに配置されて飛ばされていた銀ナイフの動きが緩慢になって行き、ついには停止した。
「惜しい、非常に惜しいですね!」
異次元咲夜は自分の進行方向上にある銀ナイフを破壊し、得物でできた檻の中から悠々と歩いて出てくると、クスクスと笑って私に言った。
「それじゃあ、やり返すとしましょうか」
奴は銀ナイフを取り出し、猛スピードで走り出すと私のことを切りつけてくるが、それをはじき返した。
時が静止している中では生物に触れたり危害を加えることはできない。だが、得物同士であれば関係は無い。
火花が打ち合わせた銀ナイフから散っていくが、散ったそばから時が止まりその場に留まり続ける。
打ち合い始めは、奴のスピードについていける。だが、片手では奴の猛攻を防ぎ続けることはできない。切られたわき腹が無理な動きに痛み、それが私の動きを更に鈍らせた。
左手の二の腕に銀ナイフが突き刺され、静止したように見える時が加速し始めようとしている。
そのうちに奴は私の首に手を伸ばし、掴んできた。その握力に身体を魔力で強化していたというのに締め付けられて息ができなくなった。
「かっ……あぁっ…!?」
異次元咲夜に銀ナイフを突き刺し返そうとすると、ぶん回されて奴の後方へと投げ飛ばされてしまった。首を軸にして投げられていて首が折れそうだった。鉄臭い地面の血だまりの上を転がり、カメラで撮ったようにゆっくりと血が跳ねる。
体中が血まみれになって止まれた場所は、私が異次元咲夜に対してスペルカードを使ったまさにその場所だ。
異次元咲夜が私の罠にひっかがった場所ともいうが、そんなのはどうでもいい。今は私がそれにかかったといっても過言ではないのだから。
自分自身への時の加速が無くなり、大量の銀ナイフが私に降り注いでくる。時を止めるまで時間を加速させた後は、数秒間の時間を置かなければ時を加速させることはできない。
「くそ…っ!!」
自分のスペルカードを食らうことになるなど、なんてザマだ。奴が出た場所から逃げるのには時間が足りない。
魔力を放出して一部の銀ナイフを吹き飛ばしたが、それだけではまだまだ足りない。持っていた一本の銀ナイフを振るうが、撃ち落すのには限りがあった。
足や背中、腕に銀ナイフが突き刺さっていく。
これを作ったのは私だ。だからどれだけの銀ナイフがどのタイミングと角度で到達するのかは知っている。だが、それをすべて叩き落するのは両手が使えることが前提である。
だが、それでも何とか切り抜けることができた。
「あぐ…っ……く…そっ……」
腕一本でやってにしては少ないが体のあらゆる場所に銀ナイフが突き刺さり、傷口と得物の間から漏れだした体液で血まみれになっていく私を見て、異次元咲夜は楽しそうに顔をゆがめて笑う。
銀ナイフを構えることもなく私に歩いて近づいてきている異次元咲夜に、私も銀ナイフを構えて迎え打とうとするが、腕が胸の位置まですらも上がってくれなくなってしまっている。
腹に蹴りを叩き込まれて地面を転がり、倒れ込んだまま動けなくなってしまった。
妖精メイドと自分の血、どちらが体にこびり付いているのかわからない。身体に突き刺さっている片手では数を数えられない自分の銀ナイフを手の届く範囲で引き抜き、全身を魔力で限界まで強化して無理やりに動かせるようにした。
体のあらゆる部分で痛むが魔力で痛覚を遮断し、鉛のように重たい足を動かして異次元咲夜に切りかかった。
上から銀ナイフを叩きつけると、奴はそれをまた銀ナイフをクロスさせて受け止めるが、今回は靴が地面にわずかにめり込む。それだけでは止まらず、小さな亀裂が入っていく。
「りゃぁぁっ!」
「なっ!?」
私の悪あがきだと異次元咲夜は完全に油断していたらしく、初めて驚きで顔を歪める。さらに銀ナイフを押し込むと奴は押し返そうと踏ん張るが、押し返すことができずに片膝をついた。
奴は目を細めると銀ナイフを左に受け流し、私の首を落とすために得物を首へと向けて振り上げる。
ボーッとしていれば首が落ちていたはずだ。だが、私は使えない右手を顔の前に差し出して、首の代わりに切りつけさせた。
手首から先の感覚が無くなったが、それをやるだけの価値はあった。銀ナイフを奴の額のど真ん中へと叩き込むことができる。
銀ナイフを振り下ろそうとした直後、体から力が抜けた。銀ナイフ一本も握り続けることができず、ポロッと銀ナイフが地面に落ちてしまう。
体がセメントで固められているように動かせず、膝から地面に崩れ落ちると奴はすっと立ち上がり私を見下ろして言った。
「バカですね。魔力切れですよ。本物に近い銀ナイフを作って使い続けたんですから当たり前ですよ。それに加えて体を最大まで強化していたわけですからね」
「く……こんな……時に…!」
魔力切れで体を動かすことができず、崩れ落ちた私に追い打ちをかける形で遮断していた痛覚が遅れて神経を通じて襲い掛かって来る。
「ぐっ…!?ああああああああああっ!!?」
そして、魔力切れでの痛みに紛れて疲労感も体にのしかかり、激しい運動で酸素が足りていなかったのを魔力で賄っていたが、それも賄えなくなったことで影響が体に一気に現れる。
息が切れ、酸素が足りていない体全体の動きが鈍くなっていく。当然脳にも酸素は回らず低酸素により頭の働きが悪くなっていく。
「よくも私に膝をつかせてくれましたね。苦しませてからじわじわと殺して差し上げようと思いましたが、止めました」
異次元咲夜が私の肩を掴んで持ち上げると、腹に拳を叩き込んできた。身体強化すらもできていないただの人間に、魔力強化された者の攻撃をモロに受ければただでは済まないのは当たり前だろう。
グチャっと体の奥で何かが潰れた音がする。殴られた位置的に肝臓か胃か、胆嚢などかもしれない。
痛い。本当はかなり痛いのだろうが、他に傷を負いすぎていてそこまで痛みを感じない。でも、それももう終わりだ。
私はここで死ぬ。
「そうですね。せっかくですし、お前のお嬢様と同じように殺して差し上げましょう」
くそ、まだ死にたくない。こいつを殺さなければ死ぬに死にきれない。死にたくない!
そう思って必死にどうにかして腕を上げようとするが腕が上がらず、私は自分の首が掻き切られるのを見ていることしかできないのだろうか。
……お嬢様、申し訳ございません。
銀ナイフが薙ぎ払われる寸前、私は目を閉じて主であったレミリア・スカーレットのことを思い出した。
そんな諦めかけたときに私の耳に届いて来たのは、自分の身体を銀ナイフが切り裂く音でも頭が地面に落ちた音でもない。
金属音だ。金属と金属が打ち合った際に起こる音。
目を開くと誰かの背中が見える。異次元咲夜と私の間に割り込む形で入り込んできたらしい。
そいつは、異次元咲夜の得物を砕き、銀ナイフが投擲された際にも私に刺さることがない位置に陣取り、奴から私が見えないようにしているのは、驚いたことに敵対していたはずのあの魔法使いだ。
私が生きているかどうか顔を傾けて目だけこっちに向けているが、その瞳がとても印象的だった。
一週間後に次を投稿できたらいいな、と思っています。
もし、何か意味が分からない部分やアドバイス等がありましたら気軽にご連絡ください。
気を付けているつもりですが、誤字脱字等がありましたら申し訳ございません。