それでもいいよ!
という方は第七十四話をお楽しみください!
これからかなり不定期な投稿になります!申し訳ございませんがご了承ください!
私は気が付くと叫んでいた。どう叫んでいたかは無意識で覚えていないが、叫び声は異次元早苗の足元で解放された魔力の爆発によってかき消された。
着地地点の地中の中で爆発が起こったかのように土が盛り上がり、空中に舞い上げられていく。
更に跳躍した時とは比べ物にならないほど広範囲で地面に亀裂が入り、数メートルの高さに捲られて行く。
そして、異次元早苗を中心にして水面に水滴を落としたように魔力の波が全方向へと広がり、上方向に斬撃属性のある爆発を起こして向かってくる。
進行方向上にある土や岩、私も含めてすべてを切り刻んだ。
爆発に巻き込まれた私は、爆発のエネルギーで上空に向けて切り刻まれながら吹き飛ばされた。魔力で体の周りを覆っていたが、その上からでも皮膚を皮下組織とその下まで達するほどの傷を全身のあらゆる部分に付けられたが、二十メートルほど上空にいるためそれを気にしている暇がない。
体は回転しているがどの方向を向いているなどは何となく分かる。魔力調節をして浮き上がると落下の速度が緩まっていく。
異次元早苗のスペルカードを止めることができず、早苗に直撃しているのを目の当たりにしたことで動揺していたのだろう。着地で調節をミスり、変な体勢で倒れ込んでしまう。
すぐに立ち上がろうとするがスペルカードのダメージが想像以上で腕に力が入らず、膝がガクガクと笑って立つために踏ん張ることができない。
「ぐっ…!」
体中あちこちにある切り傷からどくどく血が流れ出している。この調子で出血していれば20分も経たないうちに失神し、それから五分以内にあの世行きだ。
魔力で血の生成と傷口の修復よりも先に、出血部分の止血を促進させた。出血量を減らせれば死ぬまでの時間を稼げる。
魔力で疲労とダメージによる疲弊を緩和させ、走ったりなど激しい運動は少しの間はできないが動けるようにはなった。まだ戦いは終わっていない、ゆっくりと立ち上がって異次元早苗がいた位置に警戒しながら進むが、舞い上げられた砂煙で視界が悪く三メートル先を見るのがやっとだ。
十数メートルほど進んだ時だろうか、砂のにおいに混じって血の匂いが漂ってきたのを感じた。
「…っ」
もしかしたら早苗の能力で生きているのではないか、という楽観的な想像が打ち砕かれた。
足を引きずりながらも数分かけて十数メートル進んできたが、既に進んでいた目的が変わってしまっている。
異次元早苗がいるかもしれない状況なのに、奴をそっちのけで急いで匂いが強くなっていく方向に進もうとしたが、地面に肉片が飛び散っているのが見えて足が前に出なくなってしまった。
「……!」
普通の人間でも、魔力を使える人間でも死んでいるほどの血痕が広がり、ところどころには早苗の物と思わしき肉片がある。その中心では切り刻まれ、上半身が潰れた彼女の死体が横たわっていた。
直視することができず、私は目を背けた。
「何のために来たんですか?死んじゃいましたね!!」
そうしていると私の心の中を見透かしたように、後ろに回り込んでいたらしい異次元早苗にそう呟かれた。
「っ……!」
友人の仇が後ろにいるというのに、私はその胸に刺さる言葉に息をのんで動けなくなってしまった。喉に舌がへばりついてしまったかのようにしゃべることができず、植物が土に根を張ったようにもっと動けなくなっていく。
「クスクス」
異次元早苗は息をのんでいる私を見て笑うと、背中を蹴りつけて来た。前のめりになって地面に手を付くと丁度そこには内臓が転がっていて、肉片と管状の臓器が視界いっぱいに見えた。
「ひぁ…っ!?」
そこから顔を背けようとした私の頭を異次元早苗が後ろから掴み、真下にある臓器とは違う方向を向かせられた。
「や、やめ…!」
抵抗する間もなく私が向かせられた方向では砂煙で霞がかっているが、顎から下が爆発の影響で砕けて押しつぶされて吹き飛ばされてなくなり、唇も衝撃と爆風で引きちぎれて歯がむき出しになっている早苗の頭部がこちらを濁った眼で見つめている。
頭と体を繋げていたはずの首は、半ばからへし折れて周りにくっ付いていた肉も同様にはぎ取られてしまっている状態だ。
その友人だった者の意識のない虚空を見つめている目は、生前の面影などなく。視線が合うと吐き気が込み上げていて、嘔吐しそうになった。
胃が収縮して胃の内容物を吐き出そうとするが、喉の奥を締めたことで吐しゃ物をまきちらすことは無かった。しかし、異次元早苗の掴んだままの手に引っ張られてその生首に近寄らせられた。
「よかったですね。あなたのせいで死にましたよ!弾幕だの石なんて飛ばしてるくだらない時間さえなければ、助かったかもしれないですよね!お悔やみを申し上げますよ」
異次元早苗は私が早苗の頭と向き合ってから、わざわざ聞こえるように大きな声で愉快そうに語り始める。
「本当、バカですよね!!私に攻撃を当てることなんて不可能だということを早く理解し、行動していれば結果も違ったんじゃあないですか!こいつが死んだのは、止めなかったあなたのせいですよ!」
確かに、私のせいだろう。もっとやりようがあったかもしれない。初めからどうせ受け入れられることは無いだろう。と無駄だと決めつけて早苗に話しかけることなく参戦した。あそこでどうにかして説得していればまた結果は違っていただろう。
そんな無駄なことを考えているうちに、異次元早苗が掴んでいた後頭部を離したらしく、早苗の方に向かわせようとする力が無くなった。すぐに行動しようとしたが私は罪悪感に押しつぶされそうで、じっと目を閉じて耐えていた。
体感的には十分ほどの時間そうしていただろう。いつの間にか異次元早苗の姿気配は消えていて、私一人になっていた。のに、他の者の声が聞こえてくる。
早苗の方向を見ないように気を付けながらその声の方向である右側を見た。砂煙や薄暗さのせいで見えないのではなく、本当に人影が見当たらなかった。
「…?」
『魔理沙、聞こえる?』
その声は私のすぐ近くからで、下側から聞こえる。ポーチの中に入れていたスキマの性質を持っているボールからだろう。
何度も声をかけていたのだろう。声が少し枯れているように聞こえる。そして、珍しく少しだけ切羽詰まった様子だ。
「紫か…どうした?」
『どうしたじゃないわ。早くそこから…。』
そこまで紫の声は普通に聞こえていたが不自然に途切れた。一瞬誰かから攻撃を受けたのかと思ったが、私への警告中に途切れるのは不自然だ。連絡している相手に紫が攻撃を受けていると知られてしまうからだ。
なら、伝えようとしたが伝えられなかったから彼女が意図的に通信を切ったのだろう。
なぜ途中でやめてしまう状況になったかだが、魔力切れや戦っていて連絡の余裕がないからではないだろう。単純に、彼女が自分の声を他の第三者に聞かれたくないからだろう。そして、声を聴いただけで紫だとわかってしまう人物など、限られてくる。
砂煙の中をかき分けて歩いて来たのは、白と赤色が主体となった巫女服を着たこの幻想郷で知らない者はいない博麗霊夢だった。
飛び上がるようにして私は立ち上がり、後ろに数歩下がった。霊夢は転がっている早苗の頭を持ち上げて悲しそうな瞳で見下ろした。
死んだ人間の頭部を持っているという異常な状況だというのに、月明かりでうっすらと照らされている彼女は恐ろしいほどに美しく、数秒間の短い間だが目を奪われた。
早く逃げ出さないと。そう思ったのは霊夢が早苗の見開いたままの乾いた眼を閉じさせ、潰れた上半身の傍らに頭を置いたころでだ。
怒りの矛先が私に向けられ、遅すぎるが霊夢から一秒でも早く逃げ出そうと背を向けて、全力で走り出した。彼女の刺すような敵意に、出血死しかけていた時よりも生きた心地がしない。
一歩目を踏み出し、二歩目も一歩目と同様に大きく踏み出そうとした。だが、その突き出した足が地面を踏みしめることはなかった。
気が付くと怒りを通り越して憎しみすら感じる表情を露わにした霊夢がすぐ横にいて、後頭部を掴んできている。音も気配も感じず、いつの間にか掴まれていた。
ミシッと掴まれている部分の骨が軋む。その痛みが生じる前に地面が陥没して亀裂を生み出すほどの勢いと威力で頭を叩きつけられた。
次、近いうちに上げられたらいいですね(白目)