東方繋華傷   作:albtraum

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自由気ままに好き勝手にやっています。

それでもいいよ!
という方は第七十九話をお楽しみください。


東方繋華傷 第七十九話 バレる

 風がヒュウヒュウと私たちの間を抜けていく。木の葉や枝が揺らされて擦れる音が聞こえる。夏の風物詩のような音を聞いているとふいに話しかけられた。

「パチュリー様……これから、私たちはどうしましょうか」

 私よりも身長が頭一つ分以上高く、整った顔立ちで深紅色の長髪の女性。紅魔館の門番をしている美鈴が、横に立ち前方方向を見下ろしながら私に呟いた。

 いつも元気な彼女が今日だけはずば抜けてテンションが低い。私も同じことだがそれもそのはず、彼女は忠誠を誓っていたご主人を失い。私は百十数年も一緒に過ごした大切な友人を失った。

 そこに追い打ちをかけるように美鈴は仲のいい上司もとい友人を亡くし、私も優秀で家族としても大切な部下を亡くした。

 そんなことがあったのだ。元気がないのは当たり前と言えば当たり前だろう。

「そうね…。私たちはどうするべきでしょうね」

 火事などで半壊していた館は修復作業を終えて、前と同じぐらいには建て直された。その紅魔館の中庭で、これからのことを考えていなかった私は部下にそう質問され、言葉を濁して上を見上げた。

 種類は知らないが大きく育っている樹木の枝の間から太陽の光が漏れている。夏にふさわしいぐらい気温が高いが、木が影になっているおかげでさほど暑さは感じない。

 彼女は私の答えを待っている、返答次第で紅魔館の行く末が決まるだろう。生かすも殺すも私の答え次第だ。慎重に物事を決めなければならないだろう。

 そう思っていると私のすぐ後ろに立っている美鈴と同様に、赤い髪で背中から悪魔の羽をはやしている女性が嗚咽を漏らしているのが聞こえた。現実を受け入れたつもりであったが感情が高ぶってしまったのだろう。彼女は図書館で本の整理をしてくれていた秘書の小悪魔だ。

 なぜ私たちがこんなところに立っているかというと、紅魔館の主だったレミリア・スカーレットとメイド長の十六夜咲夜の墓があるからだ。

 昨日の夜、咲夜が死んだと連絡があった。死体を回収し、一時間ほど前にようやくここに埋めたのだ。

 木の根元の地面に大きな十字架が二本刺さっており、二人がここに眠っている。二人が死んだという実感が少しずつ沸いてきて、また涙がこみ上げてきそうになるが私はそれを押し殺した。感傷に浸るのはすべてが終わってからだ。

「美鈴、私たちのやることは決まってる」

 隣に立っている美鈴の方を見ると、彼女もこちらを見た。不安や悲しみが見て取れる瞳を向けてくると、風が私たちの間を吹き抜けていく。美鈴の左腕の入っていない袖が風に吹かれてパタパタとなびく。

 彼女は先日左腕を切断されてしまったのだが、レミリアや鬼のように強力な妖怪ではない。腕を再生させるだけの魔力力を有していなかった結果、左腕をなくしてしまった。それでは戦闘に不都合だろう。だが、それは私たちが補助してやれば問題は無いだろう。

「心も体もボロボロかもしれないけど、あなたたちには…もう一仕事頼むわ」

「勿論です。絶対に二人を殺した奴を許しません」

 ギュッと右手の拳を握りしめ、美鈴は呟いた。

「小悪魔も、いいかしら?」

 私が振り向いて小悪魔の方を見ると力強く頷いている。そうと決まれば霊夢たちに協力するために合流するとしよう。博麗の巫女と一緒にいればそれだけ異次元咲夜と咲夜を殺したとされている魔女にも会える確率が高くなるだろう。

 二人に礼を言おうとしていると、小悪魔の後ろに人影が見えた。いつの間にか接近していた人物の正体はレミリアの妹、フランドール・スカーレットだ。

 レミリアとは違った金髪の髪に、赤い洋服、背中から生えているのは羽とはいい難い形状のダイヤがぶら下がっている翼。そして、特徴的な真っ赤な瞳がこちらを捉えている。

 彼女の姿を見た時、私は少し表情を険しくしたかもしれない。レミリアが死んだときの戦いを思い出したからだ。

 異次元咲夜の襲撃によって紅魔館がかなり破壊されたが、そのうちの三割はフランドールのせいである。

 爆発の衝撃などで精神を逆撫でされて狂気で自我を失い、紅魔館を破壊しながら滅茶苦茶に戦われたのだ。おかげで損壊はさらにひどくなり、レミリアが殺されるきっかけとなった。

 隙を見せて首を跳ねられる寸前だったフランドールをレミリアが庇い、重傷を負った。こいつが出しゃばらなければレミリアはまだ生きていたかもしれない。

 そう思うと怒りが込み上げてしょうがないのだ。

「久しぶりね。…何の用かしら?」

 死にはしなかったが重傷を負ったためか頭を打ったのかよくわからないが、十数日程度彼女はずっと眠ったままだった。ためそうたずねると、フランドールは少しの間黙っていたがすぐに返事を返してきた。

「お姉さまが死んだから…私も、花を持ってきただけ」

 確かにフランドールの右手には小さな白い花が握られている。しかし、何だろうか。彼女に対してなんだか違和感がある。

 私たちが左右に避けると、フランドールは墓が二つあることに気が付いたらしい。

「もう一つの墓は、誰の墓?」

「咲夜さんです」

 フランドールの質問に対して、比較的仲がいい方の美鈴が咲夜の墓の方を見てそう答えると、彼女は何も言わずに歩み寄ってくる。

「咲夜、ごめんね…。後でお花持ってくるから」

 墓の手前でしゃがんだフランドールは咲夜にそう呟くと、今度はレミリアの墓の上に小さな白い花を添えた。

「あなたのせいで、レミィは死んだのよ」

 怒りが抑えられず、しゃがんでいるフランドールに対して私は辛辣な言葉をかけてしまった。

「うん。そうだね…私のせいでお姉さまが死んだ…。ごめんね」

 フランドールはレミリアの墓に向けてそう呟くと、すっと立ち上がってこっちを見た。私は彼女の何にひっかがっているのかようやく理解した。

 落ち着いているのだ。今までにないほどに。

 表情や声のトーンも、身長や子供っぽい童顔には似合わないほどに落ち着きを見せている。まあ、似合わないように見えるのは今までの気の触れているイメージが強いからだろう。

 でも、表情が落ち着いているだけで雰囲気がガラリと変わる。

「妹様…?何かあったんですか?」

 私と同様にフランドールの変化に気が付いていた美鈴が、そう彼女に尋ねると短く答えた。

「別に何も」

 でも、起きる前と起きた後で、性格が違いすぎる。何かあったほかないだろう。

「何もないわけがない。以前と全然違うじゃない」

「まあ、確かにね……あの戦いでお姉さまに正気に戻してもらっただけ」

 フランドールはそう言うと、踵を返して屋敷の方へと歩き始めた。歩き方にさえ変化がみられる。以前の子供っぽさが全くない。

「妹様。どちらへ行くのですか?」

「霊夢のところ」

「何しに行くのかしら?」

 私がそう聞くとフランドールは歩みを止め、こちらを振り返った。

「お姉さまの、咲夜の、仇を取りに行くの……お前たちも手伝ってくれない?」

「いやよ。貴方はレミリアと違って信用できない」

 フランドールの提案を考える間もなく突っぱねるが、彼女の表情は驚きを示したりはしてない。やっぱりねぐらいだ。

「確かにね、そういわれても仕方がない。…でも……。ねぇ……この話は向こうでしない?二人の目の前でするのはなんだか気が引けるから」

 そう言われて私はハッとした。レミリアはいつもフランドールのことを気にかけていて、目の前で彼女が責められる姿を見たらレミリアの気分はよくはないだろうし、咲夜も家族同然だった者同士が争っているのなど見たくはないだろう。

 いらだちや怒りでそう言った配慮ができていなかった。そこに申し訳なさを感じた。

「レミィ、咲夜、ごめんなさい」

 私はレミリアにそう呟いてから、美鈴達と館へとフランドールを追う形で戻った。正気なら、やはり腐ってもレミリアの妹だ。

 

「私は、二人の仇を取りたい。でも、一人では無理。三人に手伝ってほしい」

 薄暗い紅魔館の中に移動して早々に、私たちが入って来るのを待っていたフランドールがそう話し出した。

「…………」

 目的は一致しているし、断る理由は無い。むしろレミリアか彼女以上の戦力の増加が見込めるだろう。

 しかし、その提案をしているのがフランドールというところですぐに返答をすることはできない。なぜなら今はこうしてまともかもしれない。でも、以前のようにイかれた状態へと戻らない可能性も否定はできないからだ。

 そもそも、本当に正気に戻っているのかもわからない。気の触れている状態が子供っぽいものから、今のようにまともに見えるものへと切り替わっただけかもしれないからだ。

「……」

 異常か正常なのかを証明することは私たちにも彼女にもできない。どうしたものか。

「…無理ならそれで構わない。お前たちがそうなるのも無理はないからね」

 いろいろと考えていてフランドールの返答に迷っていると、彼女がそう切り返してくる。

「今の私たちは誰かの協力を得ないと戦力不足ではある。でも、さっきも言った通りあなたのことを信用できないし、レミィが死んだ今は直系の血筋であるあなたが次の紅魔館の主になるわけだけど、正直に言って私は主だとは認めたくはない」

 私がそう本音をフランドールに伝えると、彼女は小さくうなづいた。言いぐさから断られたと思ったのだろう。一人で歩き出そうとするが続けて言った。

「でも、あなたがいなければレミィの仇を取ることもできない。だから、あなたと手を組むことにするわ」

 フランドールが足を止め、こちらに歩み寄ってきて目の前で止まると右手を差し出してきた。

「それじゃあ、よろしく。私が信用で切る奴か、パチュリーが見極めてくれ」

「ええ、そうさせてもらうわ」

 そう言って差し出してきたフランドールの小さく同じ長さに切りそろえられている爪のある手を、私が握り返すと彼女はレミリアに似た表情で口角を上げた。

 

 

「……!」

 自分の左手を見たまま絶句し、何も言えなくなっている自称人間の魔法使いは泣きそうな顔をしている。

 彼女が本当に自分のことを人間だと思い込んでいたのならば、ショックなことだろうな。人間という種からかけ離れた存在だったということに。彼女の存在をもっと調べたいところだが、今はもっと優先順位の高い用事がある。

「ショックを受けているところ申し訳ないね。聖が何か聞きたいようなんだ。答えてくれるかい?」

 私がそう言うと、聖は女性から見えやすい位置に移動し、そこに座り直した。じっと自分を見据える聖に対し、女性も顔を向けて聖を見返した。

「私が答えられることなんて、少ないと思うぜ?」

 まだショックから抜け出せていないのか、そう言った彼女の声はわずかに震えているのが耳を澄まさなくてもわかる。

「いや、異次元の者たちは何の目的でこっちに来ているのか、気になりましてね」

「……そんなことを聞いてどうするってんだ?お前らは異変に関与しようとしてなかったじゃないか。首を突っ込んでいいのか?」

「首を突っ込まないでいられたのならそうしていました。しかし、先日博麗の巫女から幻想郷にいる全員が標的の可能性があると連絡がありまして、いろいろ考えましたが参加をすることにしたのです」

 そう言えば、霊夢が文に頼んで幻想郷中にその情報を広げたことを思い出した。異変に関与しようがしまいが標的になりうるため、手伝いをするということだ。それにしては随分と遅いがね。

「なので、状況を教えていただきたい」

「そんなの、霊夢から聞けばいいんじゃないか?」

「もともと異次元にいた人物に聞く方が情報を多く教えてもらえるのではないかと思ったので、あなたに聞きます」

「……。別に話してもいいが、霊夢が持っている情報と大差ない。知っての通り、しばらく向こうにいなかったからな…古い物しか持っていない」

 彼女はそう言うが、聖はそれでも構わないと言った態度だ。まあ、情報がゼロよりはいいだろうからな。でも、たった数日程度でそこまで状況など変わるのだろうか。

「向こうでは最低でも2つ以上の勢力がある。そいつらに怪しまれないようにするためか、他の理由があるのかはわからないが、今のところ来るのは三日に一度だ。来るのは向こうの霊夢とそいつと手を組んでる連中だ。奴らの狙いは……。……よくわかってない」

「そうですか。では、あなたの立ち位置は?」

 聖がそうたずねると女性は考え込み始める。そんなに難しいことだろうか。

「連中と敵対している…って感じかな」

「敵対をしているのになぜあなたはこちら側へこれたのですか?」

 それは私も気になっていたところだ。話からするに、異次元霊夢達は異次元紫がこちら側へと連れてきている。だから女性は今のところは異次元霊夢達しか来ないと言った。奴らと敵対している彼女はなぜこちら側へと来ることができたのか。

「そうだな……だいぶ前だが気が付いたらこっちにいたんでな。なぜこれたのかは私もわからん」

「…そうですか。では…」

 聖が次の質問へと移ろうとした時、一輪が血相変えてノックもせずにこの部屋へと駆け込んできた。

「聖、大変です!」

「どうしました?」

 部屋に入って来た一輪の方を向くようにして聖が座り直すと、一輪は興奮気味に話しだす。

「博麗の巫女が、来ました…!聖と響子に話を聞きたいそうです…!」

 その言葉を聞いた途端に私は血の気が引くのがわかった。聖もこんなに早く博麗の巫女が来ることは予想していなかったらしく、目を見開いている。

「ど、どうしますか聖!?」

 座っていた水蜜は慌てて起き上がり、聖に指示を仰いだ。確かに早くしなければならないな、博麗の巫女にこんな異次元の人間を匿っているところを見られたら全員殺されかねない。

「………。どうしましょうか」

 聖は表情を変えずに、一言呟いた。

 あ、これマジで焦ってるやつだ。

「と、とりあえず…ご主人か聖に対応してもらって時間を稼ぐことにしよう…」

 私が部屋から出て行こうとした聖に早口にそうたずねると、慌てて出て行こうとしていた彼女は足を止めて言った。

「わかりました。水蜜は早く響子を連れてきてください」

 聖がそう水蜜に言おうとすると、廊下から響子の物ではない足音が既にこちらに向かってきているのが聞こえて来た。

「っやばい!」

 青ざめて立ち上がろうとしている女性には悪いが、もう部屋を移動している時間は無い。私は立ち上がろうとしていた女性の肩を掴んで押し倒し、布団に横たわったところで全身が隠れるように頭からタオルケットを被らせた。

「な、なにしてんだ!?」

 小さく押し殺した声で女性は私に言ってくるが、響子と女性を入れ替える時間がないため手短に何をするか彼女に考えを伝えた。

「静かに、君を助けるために幽谷が昨日攻撃されたということになっているのだが、それでショックを受けて誰とも話したくないという状態ということを押し通す。病人だから向こうもあまり無理なことはしないと思うが…できるだけ動かないように頼む」

「わ…わかった」

 私たちがやりたいことを理解してくれ、体の力を抜いて寝ているフリをしてくれた。上手く行く保証はないが、やるだけやってみよう。

 聖が来るのを待たずに博麗の巫女が来たらしく、ここからでも話し声が聞こえる。

「あら、わざわざあなたがきてくれなくても私が玄関まで行きましたよ」

 向こうでは聖がそう言って時間稼ぎをしてくれるが、足音的に博麗の巫女が止まる様子もなく歩き続けている。

「…ちょっと急いたのよ。あなたと響子に昨日の話を聞きたくてね」

「そうですか…」

 聖の声に緊張などは特に感じられず、スムーズに事が運んでいるようにうかがえる。本番はここからだ。

「…響子はどこ?」

「すぐそこの部屋です。ですが、一応病人なので無理はさせないでください」

「…わかってるわよ」

 障子を開け、聖と博麗の巫女、それと確か白玉桜の庭師をしていた魂魄妖夢が部屋に入って来た。私たちを疑っているのか、目つきが以前に来たときとは違って鋭い。

「やあ……君らが来たってことは…幽谷に話を聞きに来たんだろう?」

「…ええ、話を聞きたいから起きて貰ってもいいかしら?」

「それなんだが、話を聞きたいのはわかるんだが、幽谷は普段から全く戦いに参加しない。…だから妖怪とは言え気の弱い幽谷にとって昨日の出来事はショックだろうし、今はあまり無理をさせたくないんだが?」

 私がそう言うと、博麗の巫女は部屋にいるメンツに目を配らせてから私の方を見る。やはり納得している様子はない。このまま話を聞かない方で押し通したいが、難しいかもしれない。

「…大丈夫、少しだけ話を聞くだけだから」

 博麗の巫女がタオルケットをかぶって布団に縮こまっている女性の方に歩いて行ってしまう。

「おい、全然わかってないじゃないか。君が思っている以上に幽谷は精神的に来てる。もう少し時間が経ってからにしてしてほしい」

 博麗の巫女に詰め寄って離れさせようとするが、後ろから伸びてきた手が私の肩を掴んで巫女に近づこうとするのを邪魔されてしまう。

「少し話を聞いて終わりです。協力をしてください」

 白髪おかっぱの白玉桜の庭師が私を掴んだままそう呟く。

「君らは戦闘に慣れて少し傷を負ったぐらいでは別に何ともないだろうが、そう言ったのに慣れていない幽谷はそうじゃない…博麗の巫女はそんなことも考慮できないのか?」

 続けて博麗の巫女たちに退くように言おうとするが、

「…まあ、確かにそこも考慮すべきなのだろうけど、そうも言ってられない状況なのよ。異変に参加してない側にはわからないだろうけどね」

「耳が痛いな」

「…昨日起きた状況はもう知ってるわよね?きちんと理解できてるならここで止めるようなことは無いと思うけど……それとも、昨日私たちが追っていた異次元の人間をあんたらが保護してる…なんてことはないわよね?」

 確信を突いてきた博麗の巫女の物言いに、私は止めようとするのをやめるしかなくなってしまう。これ以上無理に止めようとすれば、女性を見つけられてしまうのと変わらないぐらい疑われてしまう。

「……そんなわけないだろう」

 私には表情を変えずにそう言うのが精一杯だった。やばい。全然いい案が浮かばない。

「五分以内に終わるような質問だから大丈夫よ」

 博麗の巫女はそう言うと、女性のそばに膝をついて頭から被っているタオルケットを掴んだ。

 ドクン、ドクンと心臓の鼓動が耳に届くぐらいに脈打っているのがわかる。博麗の巫女が捲り上げようとするとそれに比例して血の気が引いていくのを私は感じる。

 水蜜も青ざめ、どうしていいかわからないと言った様子で私たちの方を見回している。ご主人や聖は位置的に見えないがきっと水蜜と同じ表情をしていることだろう。

 ここで止めに入れば私たちは裏切り者とされ、布団の中にいる女性を見つけられても裏切り者とされる。八方ふさがりだ。

 こんな時に限ってぬえの姿が見えない。あいつがいればまた博麗の巫女に響子であるように見せることができるのに。

 止めろと心の中で叫んでいる私たちをよそに、博麗の巫女がタオルケットを捲り上げた。

 




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