東方繋華傷   作:albtraum

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自由気ままに好き勝手にやっています。

それでもいいよ!
という方は第八十話をお楽しみください。

誤字等がございましたら申し訳ございません。


東方繋華傷 第八十話 進展

 ドクン、ドクンと心臓の音が自分の耳に聞こえてくるぐらいには緊張している私は、お願いだから捲り上げないでくれと心の中で祈るが、

 バサッ

 と私の上にかけられていたタオルケットが霊夢によって無情にも取られてしまう。

「……っ!!」

 終わった。霊夢に見つかってこのままボコボコにされ、下手をすれば紅魔館の人間に八つ裂きにされてしまう。

 自分の未来を容易に想像でき、血の気が引いていく。それでも死にたくない、と本能が叫んでいるのか、心拍数が速くなっていく。

 そして、タオルケットによって塞がれていた視界が開け、こちらを睨み付けている霊夢と目が合った。見つかったらすぐ様に行動しようとしていた私だが、彼女の目を見た途端に怖気づいて何もできなくなってしまった。

 話の雰囲気からナーズリンの焦りが感じられる。視界の端で彼女らの様子を確認することはできなくはないが、私にそんな余裕はない。こっちを睨みつけている霊夢から視線を逸らすことができないのだ。まるで蛇に睨まれた蛙のように。

 霊夢のお祓い棒を持っている手がゆっくりと動く。初めからここで私が寝ていることを予想していたのか、彼女の表情に驚きなどは見られない。

 殴られる。そう思った私の体は反射的にビクッと震え、どの角度からお祓い棒を振られてもガードできるように腕を掲げた。

「……!!」

 霊夢に完全に圧倒されているせいで、彼女を直視することができず、目をギュッと閉じてしまう。

 その体勢になってから一秒が経過、二秒が経過と時間が過ぎていく。

「…?」

 五秒程度の時間が過ぎたころ、さすがにおかしいと思って恐る恐る目を開けてみると、さっきまで鋭い目つきをしていた霊夢は嘘のように表情を柔らかくして私を見ている。

「へ…?」

「…ああ、ごめんなさい。今しまうわ」

 霊夢は持っていたお祓い棒を袖の中へ隠し、私の隣に座り込む。

「え…ああ…」

 何がどうなっているのかわからず曖昧な返事をしていたが、ナーズリンや聖の方を見ると彼女たちも首をかしげている。

「…昨日の今日で申し訳ないわね。響子、あなたに聞きたいことがいくつかあるの…いいかしら?」

「へ…?…あ、ああ……わ、わかった」

 響子?霊夢は何を言っているのだろうか。訳が分からない。私を騙そうとかそう言ったことではないのは確かだ。ここでそんなことをする理由が見当たらないし、何のためにだますのかがわからない。

 しかし、霊夢のこの表情は何かこちらに被害を及ぼそうとしているものではない、ということが十年も一緒にいた私にはわかった。

 となると、考えられるのはただ一つ。ぬえが私に響子の姿になるように正体をわからなくする程度の能力を使ったのだろう。つまり、私に響子を演じろということだ。

 でも意外だ。ぬえは私が妙蓮寺に短い間でも滞在することに反対していたため、助けないかと思っていた。まあ、ここで私が見つかれば聖たちが責任を負うことになるから、聖たちを助けたのだろう。消して私を助けたわけではないが、この状況に乗らないわけにはいかない。

「そ、それで…私に何を聞きたい……の?」

 自分の口癖が無意識のレベルで当たり前のように出そうになり、最後の言葉が出てくるのに時間がかかってしまった。

「…昨日襲われたって言ってたけど、どう襲われたのか覚えてる?」

 やばい、最初からわからない質問が来た。

「え…えーっと…」

 思い出すふりをして、どう言ったら霊夢が納得するか考え始めた。私が聖たちに教えてもらっている状況は、ぬえに能力を使わせて私が響子のことを怪我をさせたように見せかけたということだ。

 それ以外何も教えてもらっていない。傷が打撲のみなのか切り傷なのか、裂傷なのか骨折なのか全くわかっていない。下手なことを言えば霊夢はすぐに嘘だと気づくだろう。しかも、どう襲われたのかと彼女は聞いて来た。私の戦い方を少なからず知っている彼女がそう聞いてくるということは、少なくとも聖たちが私のことを連れて来たということを完全に否定はしていないということだろう。

 もし疑っていなければ私を見失っていることから、初めの質問はどの方向から攻撃を受け、どの方向へと逃げたのかということが聞きたいはずなのだ。いや、どの方向から攻撃を受けたのかということを聞いた時点で霊夢からしたら、昨日の聖たちの言葉や動きに矛盾があるということだ。逃げた方向が知りたいのに足跡で分かるはずの来た方向を知る必要はないからな。

 そして、怪我の状態というのを知らないとさっき言ったが、私が使う戦法は基本的に熱と光を組み合わせたレーザーであるため、当たったとしても熱線に焼かれて血は出ない。であるため出血は起こさない。

 何が言いたいのかというと、当たり前だがここで大事なのは昨日私は何で攻撃されたことになっているかだ。出血していたはずなのに出血しない攻撃方法で攻撃されていたらおかしいからな。

 咲夜に渡された銀ナイフがあるとはいえ、今のところはそれを使ったことは無いため所持していても使用するということを聖たちは知らないため、切り傷ではないだろう。

 しかし、昨日逃げいてた私は片手を失う重傷を負っていた。打撲で怪我をした響子を運ぶのに酷い出血を起こしていたら矛盾するため、打撲やレーザーでの怪我ではないだろう。

 形状に偏るがその辺で拾った木の棒に魔力を通し、切れ味を上げれば下手な刃物ぐらいには切れる。私が明確な刃物を所持していなくても使える武器はあるため、矛盾はしないだろう。

 もし、打撲だったとしても切れ味の悪い物を使ったため切れなかっただけとなる可能性がある。

「その、いきなりであまり覚えてないんですけど、なにかで殴られたような切られたような…そんな感じだった気がします…」

 響子の話し方を思い出し、できるだけそれに似せて話した。霊夢が響子と仲が良ければすぐにばれてしまうだろうが、彼女は妙蓮寺にはあまり足を運ばない。おそらくは大丈夫だろう。

「…そう、武器の形状なんかは覚えているかしら?」

「あまり武器とかには詳しくないのでよくわかりません…でも、…棒みたいな形をしていた気がします」

 響子はほとんど戦闘には参加しないと言っていた。武器の名前は知らなくて当たり前だろう。

 そう言うと霊夢は目を細めた後に、顎に手をやって考え始める。昨日の傷とは矛盾しなかったのか、私と同じ考えに至ったのかわからないが頷いて納得はしている。

「…そう、なら攻撃を受けた方向はわかるかしら?」

「すみません。わかりません…気が付いたら切られてたので……」

「…ということは、どんな姿をしていたのかも見てないってこと」

 霊夢がそうたずねてきたため、私は小さく頷いた。

「…それなら仕方ないわね」

 霊夢はそう言いながら立ち上がと、ナーズリンや聖たちから何となく安心した雰囲気を感じる。しかし、私は霊夢の退きの良さに違和感があった。なぜ、私がどっちに逃げたのかと聞かないのだ。どうせわからないと高をくくったのかもしれないが、絶対にそうではない。

 その根拠は、彼女の柔らかかった目つきが、また疑っているものへと変わったからだ。

「…それと、最後に一つ聞いていいかしら?」

「な、なに?」

 やはりというか、絶対に何かをしてくると思った矢先に立ち上がって歩き出した霊夢は足を止めてこちらを振り返る。

「…いつも読んでる経を読んでみてくれない?」

「…っ!?」

 やばい表情に出てしまった。私がそう知覚するよりも早く、霊夢は動いていた。裾の中に隠していたお祓い棒を抜き去り、地面を滑るように跳躍して上半身を軽く起こしているこちらへと飛びかかって来た。

 身体能力及び耐久性を向上させる魔力、さらにお祓い棒にも耐久性を上げる魔力を感じる。対してこちらは不意を突かれたという形に近いため、身体能力の強化を行うことしかできなかった。

 顔のど真ん中をお祓い棒で突くようにして霊夢は殴りかかってきた。霊夢のお祓い棒が空気を歪ませるほどのスピードで突っ込んでくるが、辛うじて掲げた左手の甲がお祓い棒に当てることはできた。

 手の皮膚が引っ張られ、さけて裂傷を引き起こす。その甲斐あって軌道が逸れてはくれた。しかし、当たらないという所まではいかず、頬の肉をお祓い棒が抉った。

 顔の表情筋が痺れるぐらいの激痛が顔全体を駆け抜け、顔がしかまる。耳の一部も霊夢のお祓い棒によって頬と同様に少し抉られてしまう。

「ぐっ…ああっ…!」

 しかし、被害をそれだけで押さえることができた。お祓い棒が耳の横を通り過ぎ布団に叩き落された。

 衝撃で布団が破れ、床に使われている木の板が半ばからへし折れてくの字に折れ曲がったことで布団が持ち上がった。

「くっ!」

 歯を食いしばって痛みに耐え、霊夢の胸に蹴りを食らわせた。魔力で身体強化を施していたため、普段の身体能力では考えられないほどに後方へと彼女は吹き飛んでいく。

「…あ…ぐっ…!?」

 霊夢は床にお祓い棒を打ち付けたまま後方へと飛ばされ、布団が引き割かれ綿がまき散らされた。

 その後方では妖夢が楼観剣を抜刀し、吹き飛んだ霊夢の上を跳躍してきている。私は後転して後ろに転がって立ち上がり、彼女の方へ向けて私は手の平を向ける。

「全員、耳を塞げ!」

 どうしていいかわからない聖たちに向けて大きな声で叫んだ。私がどういう行動をするかわからない妖夢は、ナーズリンたちと同様に耳を塞ごうとした瞬間に手からまばゆい光が放たれた。

 目をつぶって光を直視しなくても真っ白になり、目を開いているのか閉じているのかわからないほどの光量が発生する。

「なっ!?」

 妖夢の驚く声が聞こえる。彼女だけではなくナーズリンや聖の声も交じっている。魔力で光の方向を一定方向にいくようにと設定していたため、私は妖夢たちと比べて比較的光は弱い。

 目を開くともうすでに光の影響はなくなり始めている。目を押さえて後ろによろけている妖夢と霊夢から逃げるために私は後ろの障子を突き破った。

 

「…っ!?」

 あの魔女。しぶとい奴だ。目は見えなくても音は聞こえるので耳を澄ますと女性が遠ざかっている足音が聞こえてくる。

「くそっ!」

 妖夢の女性を罵る声が聞こえてくる。ようやく光で全く見えなくなっていた視界が回復し始め、女性が寝ていた布団の上で妖夢が周りを見回している。

「…聖、このことはあとでじっくりと聞かせてもらうわね」

 私がそう言うと、彼女は顔がグッとしかめる。なぜ?と言いたいのかは知らないが、途中まではおかしいと思いつつも騙されてはいた。

「…妖夢、外に逃げたかもしれないから辺りを偵察してきて」

「わかりました!」

 桜観剣を引き抜いたまま、障子を開けて外へと出て行った。私は女性が突き破って行った障子を引き開けてどう進んだのかを読み始める。

「…さて、どう逃げたのかしら」

 部屋を見回して見ると外へと続く障子が開いていて、いかにも外に逃げ出したように見えるが本当にそうだろうか。素直に妙蓮寺の外に向かっていい気がしない。それは何度も私の追撃を振り切っているからだ。

 妖怪退治用の針を裾の中から取り出し、とりあえずは縁側に出た。あいつ、妖夢が切り落としたはずの左手が治っていた。切断した左手は私たちが回収したため、くっ付けたわけではない。無くなったものが再生するなど、かなり強い妖怪と言える。でも、強い妖怪どころか妖怪の気配自体がしない。

 まあいい、そんなことは捕まえてからたっぷりと吐かせればいいだけだ。

「…」

 いや、その情報を聞き出す意味は無い。どうせ殺すんだから。

 私はお祓い棒を握りしめて縁側から庭に飛び降りようとするが、後ろから向かってきた手に掴まれて阻まれた。

「霊夢、今回の件はすべて私が悪い。だから寺の子たちは見逃してほしい」

 声的に私を掴んできたのは聖だ。魔力で強化している皮膚の上からでも痛みを感じるぐらいに強くつかんできている。

「…さあ、どうかしらね。全員に話を聞いてみないとわからないわ。この場所であいつが見つかったんだから、当然よね?昨日、私たちを騙してたってことでしょう?」

 私がそう言いながら後ろを振り向くと、聖が額にしわを寄せた怖い顔つきでこちらを見下ろしている。お前と同じぐらい私はムカついている。二人の親友を殺した奴を匿った聖に。

「霊夢!待ってくれ!」

「…?」

 睨んできている聖に対して私も睨み返していると、別の方向から声が聞こえてきた。そっちに視線をやると背中から左右で形状の違う赤色と青色の羽のようなものを生やし、私と変わらないぐらいの身長に黒髪のぬえが息を切らして走って来る。

「…何かしら?」

「霊夢、聖は悪くないんだ。こうなる原因を作ったのは私だ」

「…どういうことかしら?」

「その、昨日奴に私は脅されたんだ。自分の姿を妙蓮寺の中の誰かにして、匿えって…」

「ぬえ!」

 ぬえを庇おうとしているのか聖が怒鳴るが、ぬえは口を止めようとはしない。

「確かに、それを見破れなかったのは聖だからそこを言われたら何も言い返せない。…でも聖たちは本当に奴を響子だと思ってたし、残っていた痕跡に違和感があったのはそのせいだ」

 そうなると確かに辻褄はあう。響子を襲った痕跡がなかったのも、響子が負っていた怪我に比べて残っていた血の量がおかしかったりというところが。

「…へえ、なら響子はどうしたの?」

「響子は昨日の段階で、皆が偽物に気を取られている隙に縛って屋根裏に隠した」

「…そう」

 正直言って、信じられない。しかし、私はこれを信じるほかない。ぬえが脅されていなかったというのを証明することができないからだ。ところどころ粗は目立つが不安そうな顔をしていたのも嘘を隠すためだと思っていたが、響子を心配していたといわれればそうともとれる。

 彼女が脅されたと言い張ればそれが真実になるため、限りなく黒に近い白だが、ここでそれが嘘だと突っぱねれば彼女らの協力を得られなくなってしまう。ここはそう言うことだったということにしておくしかない。

「完璧に響子の姿と声にしてたのに、なんでわかったんだ?」

 そう考えている私にぬえが聞いてくる。正体をわからなくする程度の能力をあの女性に使っていた彼女からしたら疑問なのだろう。

「…初めは全く分からなかったけど、髪の毛かしらね」

「髪の毛?」

 ぬえは私に首をかしげて聞き返してきた。能力を使っている以上は髪の毛もまとめて別の人物に見せているから私がなぜ見破れたのかわからないようだ。

「…本人に生えている髪の毛じゃなくて、布団に落ちてる髪の毛よ」

「布団に?」

「…ええ、その髪の毛は聖と比べたら色が明るすぎるし、星と比べると長すぎる。本人から離れたらあんたの能力は効果がないのかと思って、経を読めるか聞いてみたら読めなかったから案の定って感じかしら」

 私がそう説明していると、門を出て行っていた妖夢がこちらへと戻って来る。奴が逃げた痕跡を見つけられなかったのだろう。奴は逃げたと見せかけて近くにいるということか。そう思いながら庭に降りようとした時、妖夢が顔色を変えて桜観剣を構えてこちらに跳躍しながら叫んだ。

「縁の下にいる!」

 そう叫んだ妖夢に向けて淡い青色で楕円状の弾幕が一発だけ射撃される。あれは以前私も撃たれたエネルギー弾だ。あの爆ぜた際のエネルギーは厄介だが、弾幕自体は鈍いため直撃することは無いだろう。

 妖夢は空中でエネルギー弾を楼観剣で半分に叩き切るとエネルギー弾が爆ぜ、刀に伝わった強力なエネルギーによって後方へとぶっ飛んでいく。

 私は妙蓮寺の中に移動して床に祓い棒たたきつけ、一部分を破壊して縁の下に侵入した。真っ暗な縁の下は見通しが効かないが、余裕で人が通れるほどの空間がある。そして、ちょうど正面数メートル先に黄色の瞳が私のことをじっと見ている。

 それを確認と同時に、狭い縁の下を柱と天井にぶつからないように奴に飛びかかった。

 お祓い棒を縦と横に二度振り、女性に襲いかかる。彼女はその軌道がまるで前からわかっていたかのように受け流す。攻撃がかすりもせずに終わった私は、もう片方の手に持っていた妖怪退治用の針を投擲した。

 三本の針を投擲し、そのうちの二本は直撃コースだ。女性は左手を構えるとエネルギー弾を発射し、針を打ち落としにかかる。一発は直撃コースの針に命中し、爆ぜると針があらぬ方向へと飛んでいく。もう一本を撃ち落とす暇もなく女性の右肩に半分ほど突き刺さる。

「あぐっ!?」

 後ろによろめいた女性に対して、お祓い棒を叩き込んだ。胸に直撃させると後方に吹っ飛び、妙蓮寺を支えている柱に背中を打ち付けている。

「…りゃあっ!!」

 女性に追撃を食らわせようとお祓い棒を薙ぎ払うが、彼女は屈んで攻撃をかわし、私の胸倉を掴んできた。

 ぐんっと引っ張られ、半回転して女性が背中を打ち付けていた柱に私は叩き込まれた。乾いた木がへぶっ壊れる音が響き、柱が少し砕けた。

「…ぐっ!」

 呻いた私のことを女性が覗き込んでくる。

「私のことは放っておいてくれ」

「…あんたが二人を殺した。放っておくわけがないじゃない」

「誤解だ。2人のことは殺してないし、そもそも霊夢、私はお前の敵じゃあ…ないぜ!」

 女性のことを殴ろうとした矢先、今度は叩きつけられた時とは逆方向に引っ張られ、そのまま投げられ、向かう先では妖夢が縁の下に入ってこようとしている。

「…妖夢!」

 私がそう言うが、私に気が付いていなかった妖夢は私のことを顔面で受け止め、後方に一緒になって転がってしまう。すぐに立て直した私は、女性に向けて札に針を突き刺した物を投擲した。

 彼女に直撃しているかわからないが、その周辺に刺さったことを確認と同時に札に込めた魔力を開放。

「…爆」

 青い炎を四方にまき散らしながら札が爆発を起こし、縁の下から逃げようとしていた女性を飲み込んだ。

 爆風がこっちにまで届き、乾いた地面の砂が舞い上がる。暗くさらには砂煙まで舞い上がってしまったせいで女性のことを確認することができないが、目を凝らしてみると砂煙とは違う動きで動いている者が見える。

「…もう一発いくわ」

 札付きの針を複数投擲後、同様に起爆。よろけながらも立ち上がった女性を爆発の炎が飲み込んだ。

 火事は起きてはいないが、今の爆発でかなり木の耐久性を削ったことだろう。そのうち弁償しなければならないな。縁の下とは言え爆発が起こっている寺を見て若干涙目になっている聖を見ながら私はそう思った。

 奴にとどめを刺すために縁の下に入ろうとするが、大きな何かが隣に立っている妖夢に向けてぶっ飛んでいく。

 刀を抜いていた妖夢は飛んできたそれをいともたやすく両断する。彼女の後方で地面に落ちた二つの物体は柱に使われている太い木だ。私も針を投擲してやろうと裾から出した直後、何かが空を切る音がする。

 そう思った直後、足元に弾幕が直撃し、陶器が割れたような音と共にまばゆい閃光と破裂音をまき散らした。奴の得意なやり方だ。単純とは言え、この間まったく何もできなくなるためバカにはできない。

「…くっ…またか!」

 自分ではそう言ったつもりだが耳鳴りがひどく、自分が何を言ったのかすら聞き取れない。視界も太陽以上の光量によって全く見えない。

 魔力で目の回復を促進させたが、目が見えるようになったのは数十秒後だ。これだけの時間があれば、逃げることなど容易だろう。

「…っち…妖夢、追うわよ」

 私と同様に目くらましを食らった妖夢も回復したため、奴の追跡を始めようとするが目の前に紫が使うスキマが開いた。

「霊夢、追わなくてもいいわ」

 紫がこう言うということは、状況に何かしらの進展があったのだろう。走り出そうとした私は足を止めた。どうせ今からでは追っても捕まえることはできない。

「…あんたが来たってことは、なんかあったの?」

「ええ。奴らの空間を見つけた…今度はこっちから攻め込むことができる」

 




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