…………それは真であったッ
最初から原作込みで書くなら楽でしたが、オリジナルから原作沿いに変えるのがここまで難しいとは…………
つーかFGOの語り難しい過ぎます。主人公達の地の文がふわふわしてる
ちなみにですが、ローズリィのステータスとか考えた方がいいんでしょうか。
何かに引っ張られる感触がして、彼女は目を開けた。
そこは広い部屋。遠くには数人の人間が自分を睨み付ける。
そして、目の前には最も愛しいジャンヌの姿があった。
「………………ぁ」
「おはようございますリィル。いえ、バーサーク・アヴェンジャーと言うべきでしょうか…………まあとにかく、良い悪夢は見られましたか?」
「………ジャン、ヌ?」
「ええ、そうですとも。卑しくも聖女などと夢見ガチな汚名を付けられた、哀れなジャンヌです」
先程と同様、邪悪な笑みをローズリィに向けるジャンヌ。
その表情を見て、彼女はポツリと呟いた。
「………………でも、何か違う」
「…………はい?」
声が小さすぎて言葉が聞き取れず、聞き返してしまうジャンヌ。
そんな彼女を他所に、ローズリィはジャンヌに抱き付いて彼女の胸に顔を埋めた。
「なっ!?」
「感触は…………フカフカのふわふわ。久し振りの感触………形も完璧………」
「あっ……ちょ、ちょっと!」
「もふもふ………………良い匂い、です」
「な、なに人の体臭嗅いでるのよこの子!?」
いきなり抱き付きつかれ、ジャンヌの豊満な胸を堪能するローズリィに、彼女は驚きと困惑を隠せなかった。
そんなジャンヌに、ローズリィはいつもと違う反応に首を傾げる。
「?…………どうしたのジャンヌ。これくらい………幼い時からいつもやっていましたよね?」
「え……………………そ、そうだったわねリィル。すすすっかり忘れてたわ」
「ん…………なら、もう暫くこのまま」
ジャンヌより頭半個分小さいローズリィは、腰を少し折るだけで簡単に抱き付ける。
つまり、抱き付く体勢は彼女にとってツラく無いため、この光景はいつまでも続くのである。
困った表情のまま固まるジャンヌと、スリスリと豊満な胸に顔を擦り付けるローズリィ。
そしてその光景は、先程まで張り詰めていた空気を纏っていたサーヴァント達にとって、何とも言えない微妙な気持ちにさせていた。
「ふむ。一度しか見たことありませんでしたが、二人はよくこうしていたのですね」
「そこなキャスターよ。いい加減止めなくて良いのか?」
ピエールは未だ怯え続け、ジャンヌは未だ抱き付かれ、サーヴァント達は空気となるしか無いカオスな空間。
王としての矜持か、この空気に居ることが耐えられなかったヴラドが、ジルに声を掛ける。
「いえ、駄目でしょうね。彼女の機嫌を妨げるのは良くない。まして今の彼女は聖杯によって狂っている。だから」
それ以上ジルは声を出せなかった。
いつの間にかジャンヌから離れたローズリィが、激情を露にジルの首元に彼女の剣が添えられていたからだ。
「っ!」
「ローズ、殿?」
「…………何故……何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故。何故、貴様がここにいるのですかジル・ド・レェ? ………ジャンヌを裏切った貴様が、何故今もノウノウとその薄汚い姿を私に晒しているのですか?」
気を抜いていたとはいえ、まったく彼女の気配に気付かなかったことにヴラドは驚愕する。
しかも部屋の中を満たす濃厚な殺気。
彼はその場から即座に飛び抜き、臨戦態勢を取った。
そんなヴラドを無視してローズリィはジルに殺気を向け続ける。
「…………ジャンヌを裏切り、こうしてオメオメと生き延びて………よくまあ私の前に居座ることができますね。…………やはり、愚かだからでしょうか? 当然ですか。彼女を裏切ったのだから」
「待ちなさいリィル!そのジルは私達の味方ですよ」
「…………どうしてですか、ジャンヌ? こいつは私が最も憎む裏切り者の一人。なら惨ったらしく殺すのが筋でしょう?」
「ジルは私が呼び寄せたのです。下がりなさい」
「………………」
ジャンヌの言葉を聞いたローズリィは、些か渋った後、怒りが抜け落ちたかのように無表情に戻り、剣を鞘に納める。
そして威圧から解放されたジルは、どこまでもジャンヌに従順であり狂気が見える彼女に、喜んだ。
「やはり………やはり、貴女は何処までも素晴らしい! これほどにジャンヌを守る騎士は貴女だけでしょう!」
「…………御託は結構です。貴方がジャンヌを助けなかったのに変わりは無いのですから。…………覚えておきなさい。私は貴方を許さない。決して」
「肝に、銘じておきましょう」
ローズリィの言葉に、ジルは満足そうに頷いた。
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「さて。役者も揃ったことで…………まずはそこに転がっている司教様に復讐しましょうか」
場も落ち着いた頃、ジャンヌは改めて怯えるピエールに近づいた。
だが、今まさに危機的状況である筈の彼はジャンヌを見ることなく、ローズリィだけを見て怯えていたのだ。
「へぇ…………私を無視しますか。なんです? それほどまでに苦痛と絶望に満ちた処刑。泥水を啜るよりも無様な死に方がお望みかしら?」
ジャンヌが掌に炎を宿し、その手をピエールに向けようとする。
が、邪悪な笑みを浮かべて掌を下ろした。
「ああ…………そうでしたね。貴方はリィルが起こした『怒り』を実際に見たことがあるのでしたね。———リィル?」
「…………どうしたのジャンヌ」
「この男は貴女が惨ったらしく殺しなさい。方法は…………フフっ。任せます」
ジャンヌの呼び掛けにトコトコとやって来たローズリィ。そんな彼女にピエールの処刑を任せ、より残虐な方法で殺させようとして、オーダーを止めた。
なぜなら、ピエールを見たローズリィが普段の無表情を止め、憤怒の表情を浮かべていたからだ。
ジャンヌがその場からローズリィと入れ替わりで離れると、ピエールは再び喚き始める。
「あああああああああ!!!来るな!来るな悪魔!!」
「…………よくも、ジャンヌを殺しましたね。いえ、黒幕はわかっていますが、それでも私は貴方達を許さない」
そう言ってローズリィは掌をピエールに向ける。
「嫌だ嫌だ!! あの炎だけは! いやだぁぁああああ!!!」
「■■■■」
雑音に似た言葉がローズリィの口から放たれる。
そして、ピエールの身体からドス黒い炎の柱が上がった。
「いぎゃあああああああああああああ!!!!」
「燃え尽きなさい、その魂まで。地獄すらも生温い永遠の苦しみを感じながら、灰も残さず世界から消えなさい」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!」
魂まで焼き尽くす炎に、ピエールは絶望の声を上げ続ける。
その痛みは、彼の身体が燃え付きようとも、その魂に刻み付ける。
世界から存在全てを抹消されていくピエール。苦痛の中で死んでいく彼を見続けるローズリィの表情は、しかし未だ晴れることはなかった。
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フランスのとある草原にて。
そこに二人の人間と一匹の小さな生物がいた。
「レイシフト成功。―――先輩、どこか調子の悪いところはありますか?」
「うん。大丈夫だよマシュ」
「フォーウ…………キャウ!」
一人は拘束具のベルトのようなものを服に巻いたオレンジの髪の少女。もう一人は、ピッチリしたタイツのような服に大きな盾を持つ少女だった。
藤丸立香とマシュ・キリエライト。
人理修復を担う最後のマスターとそのサーヴァント。それが彼女達である。
『――――――どうやら無事レイシフトに成功したようだね』
すると、二人のすぐそばに突如一人の男が映ったホログラム映像が現れた。
「はいドクター。しかし、これからやることは多いです。現地の人との接触や霊脈を探さなければ」
「…………ねえマシュ。何か空気が澱んでない?」
これからのことについてマシュが立香と相談しようとした時、それを遮って立香が疑問を口にした。
「?…………確かに、なんだか息苦しい気がしますね。ドクター、これは?」
『ちょっと待ってくれよ…………うわ、なんだこれ!?』
「どうしたのロマン?」
いきなり声を上げた映像の男・ロマニ・アーキマンに、空気が澱んでいる現象を尋ねる。
だが、彼の口から放たれた言葉は空気が澱んでいる処の話ではなかった
『少しだけだがその空間………いや、その特異点全体か? と、とにかく物凄く広範囲にかけて呪いが充満しているんだ! 僕もこんな現象見たことないよ!』
「!? それは大丈夫なんですか? 私はサーヴァントだからともかく先輩は………」
「うーん…………でも身体に異常は無いよ?」
『………わからない。こんな呪い、カルデアのデータにも登録されて…………いや、まって』
考え込んでいたロマンが、何か思い出したかのようにコンソールを操作する。
『その特異点は1431年…………つまり、あの聖女が処刑された年だ。ならこの呪いは…………』
「ドクター!熟考のところ悪いですが、どうやらフランスの軍隊のようです。接触を試みます」
ガタッ
ジャンヌ「リィルが盗られた!」