なのに今回の他のピックアップサーヴァントはちゃんと出やがりましたよ、ええ。物欲センサー働きすぎです。てか何でネロ星5なんだよー。せめて星4とかにして出やすくして欲しかった。性能とかどーでも良いからネロ欲しいぃ!!
個人的に「あれは誰だ? 美女だ!? ローマだ!? もちろん、余だよ♪」が好き
オルレアン宮殿内にて。
ローズリィは床一面、文字でできた円陣の中にいた。
床に彼女の細剣を突き立て、柄頭に両手を置いて微動だにしない姿は、騎士のような出で立ちだ。
そんな彼女が何かに気付いたように、ピクりと僅に身体を上下させる。
暫くすると、彼女のいる室内の大きな扉が開いた。
「いま帰りましたってきゃぁ!!?」
帰って来たジャンヌに気づいたローズリィは、部屋に彼女が入ってきた瞬間飛び付いた。
さながら獲物に飛び掛かるチーターのような速さで抱き付き、勢い余って二人縺れながらゴロゴロと廊下を突き進む。
十数メートル転がると、ようやく二人は止まる。
「おかえりなさいジャンもふもふ」
「ええい! 離れなさい! このッ、力強!? 私筋力A何だけど!?」
「よくわからないけど、私も筋力A?だから」
「アンタのステータスちょっとおかしいのよ!」
転がったまま抱き枕のように抱き付いてジャンヌを放さないローズリィは、そのまま彼女の豊満な肢体を堪能する。
ようやく満足したのかジャンヌが放された頃には、既にジャンヌは息を整えるので精一杯となっていた。
「ゼェ、ゼェッ…………」
「ところでジャンヌ………もう、満足したんですか?」
ジャンヌが落ち着いた頃を見計らって、ローズリィが帰って来たジャンヌの真意を尋ねる。
オルレアンから出発する際、ジャンヌは復讐と言う名の憂さ晴らしをすると宣言していた。
が、予想していた時間よりも早くに帰って来たことに、ローズリィは違和感を覚えたのだ。
単純に、ローズリィが予期していたより早くにジャンヌが復讐に飽きたのか。
それとも、ジャンヌが早急に切り上げる程のイレギュラーが発生したのか。
「そうではありません。サーヴァントが現れたんですよ」
「ふぅん………とうとう、介入してきましたか。………私が、殺りに行きましょうか?」
サーヴァントと聞いても、ローズリィは気負うことなく敵を殺して見せると宣言した。
彼女にとって、ジャンヌの邪魔する者は何であろうと。例えガイヤやアラヤと言った抑止の手先であろうと排除して見せると言外に言っているのだった。
むしろそう言った者達程、ローズリィはやる気の源となる。
生前は未知の者達に突如襲われたこともあって、最後の最後で力尽きてしまった。
だが、今なら。
雑魚相手ばかりして感覚が鈍っていたあの頃と違い、嘗て無いほどに研ぎ澄まされた今なら。
数え切れない程の量のサーヴァントだろうと、ジャンヌの為なら討ち取ってみせる。
ローズリィの瞳には復讐と絶望と後悔。全てがない交ぜになって出来た殺意の炎が宿っていた。
「それも良いですが…………まずはサーヴァントを新たに召喚します。それらを加えてリィル。貴女が加われば万に一つも負ける要素は無くなる」
「む。私は一人でも平気です…………」
そんなローズリィの出鼻を挫くようなジャンヌの発言に、彼女は目に見えて不満気になる。
ジャンヌの言いたいことも理解できるが、自分の実力が認められていないような発言が気に食わないのだ。
だが、ジャンヌは是としない。
「リィル。私は貴女と言う戦力を十分理解しています。並のサーヴァントでは貴女に太刀打ちすることも出来ない。
だが貴女は甘い。こと私の事になると急激に惰弱になる」
「…………? 確かに私はジャンヌには甘いと思うけど………だからと言って、私の絶望が尽きることはありえません。止まることすらない。それはジャンヌが一番わかっているはずです」
「そうであると………私の杞憂なだけであると、それだけなら良いんですがね………」
何処か煮え切らない態度のジャンヌが、背を向けてサーヴァント召喚の儀式準備を始めた事で、話は打ち切りとなる。
そんな彼女の態度にローズリィは違和感を覚えたが、生前からジャンヌの采配に誤りは無かった。その才能は曲がりなりにも主に認められた程だ。
その事を思い出したローズリィは抗議を諦めて、先刻やっていた術式の刻印作業に戻った。
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「っ…………ライダーが自決しましたか。凶化しているとは言え、流石は聖女と言うべきか」
ジャンヌが新たに二人のサーヴァントを召喚した直後のことだった。
「ですが、彼女も全力で戦ったのでしょう。それを退けるとは油断なりませんね」
「あの人…………死んじゃったのですかジャンヌ? それは少し…………残念、ですね………」
ジャンヌの独り言を聞いて、バーサークライダー、真名マルタが殺られた事を知ったローズリィは、普段変わらない表情を落ち込ませていた。
親しいと言えるほど関係を築いた訳では無かった。だが、他のサーヴァント達よりは会話をしていたし、何よりマルタは、ローズリィにとってどこか懐かしい存在であったのだ。
「ジャンヌとあの人。マルタを足したら…………ええ、本当に残念です………」
「ですが残念がってはいられませんよ。油断は出来ない以上、次は私と彼も出ましょう。それと、貴方も出なさいリィル」
「わかっています。………今度こそジャンヌ、貴女を守って見せます。それは今生の私の義務。果たさなければならない責任ですからね」
怒りと覚悟、その両方の光を帯びた眼を向けるローズリィ。
「……………」
そんな彼女を見て、ジャンヌは普段のように誇らしそうな態度を何故か取らなかった。
唐突に黙ると、いつもとは違う不安な表情でローズリィに詰め寄る。
まるで、何かに緊張しているかのように。この後に起こる出来事に恐ろしさを抱いているように。ジャンヌはローズリィに尋ねるのだ。
「…………ねぇリィル。貴女は、私が本物であると、そう思いますか?」
不安そうだが、嘘を許さないと言わんばかり真剣な表情をしてローズリィに詰め寄るジャンヌ。
彼女の瞳はやはり何かに恐がっているようなのは明白で。
そんな彼女にどう思ったのか、ローズリィはただいつものように抑揚の無い声で応える。
「………………確かに、ジャンヌは私が知っているジャンヌと
「…………」
「ですが」
無言となるジャンヌの顔を見ながら、ローズリィは目の前にいる存在が偽者であると断言した上で、話を進める。
「私の知らないジャンヌでも、貴女はジャンヌ・ダルクと名乗りました。…………そこに嘘偽りは無かった。であれば、貴女はジャンヌなのです」
「…………」
「むしろ………いや、もしかしたら………私が偽者なのかもしれないのです。…………私がいるせいで、ジャンヌは神を信じ続けてしまったのかもしれない。私と言う存在が、ジャンヌを神の傀儡に変えてしまったのかも…………」
それは世界を怨み続けたローズリィの、ほんの僅かな疑問だった。
彼女の前世の知識には色んな情報が溢れていたが、ローズリィ・ゲールと言う名前だけは一つも該当が無かったからこそ生じた疑問。
自分はイレギュラーで、あのジャンヌも自分が正しい方へと導いたが故に、歪めてしまったのかもしれない。
ならば自分の復讐は本当に正しいのか。正しいにしても、自分は消えなくてはならない、ジャンヌの傍にいてはいけない存在なのか。
実際に世界は自分を消しに掛かった。それが答えなのではないか。
そう言った危惧がローズリィにはあった。
そんな葛藤に苦しむ彼女に対して、じっと無言で聞き続けたジャンヌが唐突に鼻で嗤った。
「……ハッ! 何言ってんのよリィル。アンタ、ホントに馬鹿ね」
ジャンヌがローズリィの話を遮ると、彼女の傍に一歩近付く。
そのまま、話の途中から少しずつ地面に顔を向けていった彼女の白い頬を両手で挟み込むと、まっすぐ自分へと向ける。
「? ひゃんふ?」
「………………アンタは私の為に最後まで戦い続けた。
ジルでさえ私を救いに来なかったくせに、最後まで私を救おうとしていた…………
そんなアンタが、偽者である筈がないでしょう?」
「!!」
ローズリィは眼を見開いた。いつもの無表情が保てないほどに彼女は驚く。
それはジャンヌが言った言葉に、ではない。初めてローズリィに見せたジャンヌの表情に、だ。
何故ならその表情は、かつて何度も見た彼女の表情とまったく同じであったから。あの頃に何度も見せていた、ローズリィが惹かれ護りたいと感じた、ジャンヌの表情。
それと同じ表情を、目の前の彼女が出している事に驚いた。
だがそれも一瞬だった。ジャンヌは不健康に見えるほどの真っ白な顔の肌を赤く染めると、そっぽを向いて早口に言葉を紡ぐ。
「い、言っておきますけど別にアンタの為に言っているのでは無いですからね。私がただ事実を言っただけでアンタを慰めようとか考えたわけじゃ無いから。ハッ!て言うかアンタ卑屈すぎ。私はただ本物かどうか聞いただけで偽者かどうかなんて思ってないですし。なに自分は偽者かもしれないとか。恥ずかしい。恥ずかしいことこの上無いわホント」
「ジャンヌ」
「ッ、何よ」
「ありがとう」
それは不意打ちだった。
振り向いたジャンヌが見たのは美しい笑顔を浮かべたローズリィ。そんな彼女に、不覚にもジャンヌは顔を赤く染めてしまう。
その姿は世界に復讐を唱える者とは誰も思わないだろう。そう思えるほどに彼女は穏やかな笑顔を浮かべていた。
絶望と言った
争いが無ければ。フランスと言う国に生まれなければ。ローズリィがローズリィで無ければ。
そんなif。生涯悪意とは無縁で微笑み続けることができただろう、あり得たかもしれないローズリィの姿だ。
だがその笑顔も、ほんの僅かの時間だけだろう。
復讐者としてではなく、ジャンヌの友としていられるのは奇跡の時間。
なぜなら、一瞬にも思える程に幸せに満ちた二人の全てを奪った神を、ローズリィは赦すことは出来ないから。
大切だったからこそ、それを奪った世界にローズリィは憎悪するから。
どんな結末であれ止まることはない。恨み、怨み、憎み続けて、彼女は破滅へと進み続ける。
崩壊の足音は着々と彼女に迫っていた。
FGOは向いてないとの声が多数届いて、なるほど。私のやる気が文章にモロ出ているようです。
まあ、確かにローズリィ虐めている時が一番輝いてた気がしますからね作者。
頑張ってやる気、出します