シナリオもすぐ変わるから、他サーヴァントのキャラもしっかり把握できないのが難しいです。
完璧に愚痴です本当にありがとうございました。
都市、リヨン。
聖女マルタが最後にオルタから抗って示した場所が、その都市であった。
そこにいる二体のサーヴァントがこの世界を救う鍵になると言い残し、マルタはジャンヌ達の前から消滅した。
彼女の遺言を受け取ったジャンヌ達は、道中情報を聞き込みながらリヨンに向かうかを考えていた。
「やっぱり、マルタが言ってたサーヴァント達は本当にいるみたいだね」
「ええ。マリーが集めてくれた情報では、その二人はリヨンの街からワイバーンの群れを退けて、街の守り神として噂になっているようです。
………近隣の人々も安全のために、そこに避難しているようですね」
『しかし解せないな………。何故、黒いジャンヌはそこを攻め落とさないんだろう? 数の上ではあっちが有利なんだし。マルタ曰く、その二人は彼女達の一番の障害なんだろ?』
ジャンヌ達が情報を整理していると、ロマンから疑問の声が上がる。
と言うのも、ロマンの疑いは最もであるのだ。
マルタがその情報を知っているのならば、当然黒のジャンヌ達もそれを知っている筈。であるのに、彼女達はその都市を攻めない。
マルタの言と今の現状は矛盾しているのだ。だからこそ警戒してしまう。
であるが、
「………確かに、ロマンの疑いもわかります。ですが、逆にこうは考えられませんか?
黒の私が持つ戦力では現状のリヨンを落とせない何かがあるのだと。彼方のサーヴァントを持ってしても覆せない、何かがあるのでは無いでしょうか?」
「そうですね。ジャンヌさんの言う通りだと思います………………それに、私はマルタさんが嘘をついたとも思えません。きっと、そこに何かあるのでしょう」
と言うのはジャンヌとマシュの発言。
ジャンヌは持ち前の慧眼で現状を考え、マシュは自身が見た最後の聖女マルタを信じてそう考えていた。
抗うマルタの姿に、二人は何かを感じ取ったのだ。聖女として。稀薄な在り方ゆえに他者を真理を見抜く者として。
マルタを信じた二人は、リヨンに行くことに強い賛成を示していた。
「うーん………僕としては疑わしいところだな。彼女、敵だったし。リヨンと言う都市も怪しい気がしてならない」
「もう、アマデウスったら心配性ね。変態って認めるくせに変なところで神経質なんだから………私はリヨンに行くのに賛成だわ」
お互い対立した意見を告げ合ったのは、二人のサーヴァントであった。
三人がラ・シャリテでジャンヌオルタ達から逃げる時に、彼女達の手助けをした今回の特異点の野良サーヴァント。
フランス王妃として名高いマリー・アントワネットと、天才作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトだ。
天真爛漫なマリーと陰険で疑い深いアマデウス。
対極に見えて二人は仲がいいのか、意見しながらもマリーがアマデウスに対して軽口を言っていた。
「………私もリヨンに行くのに賛成かな。マルタが言っていた言葉。信じてみたいんだ」
『見事に男女で意見が割れたね。まったく………ロマニと言い、男と言うものは勝負どころになるとどうして弱気になるのか』
『ちょ、ダヴィンチちゃん! 僕は現地にいる立香ちゃん達の事をちゃんと考えて意見しているんだからね!? なのにその言い草は酷くないかい!?』
マスターである立香がリヨンに行くことを決めたことで、方針は決まった。
一人心に傷を負った者がいるが、戦力にはならないため関係なし。
彼女達はリヨンへと急いだ。
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リヨンについたカルデア一行は、都市の中を見て驚くこととなった。
「な、なんか皆………凄く元気じゃない?』
「そうですね………笑顔に満ちている、とは言えませんが、どこか活気を感じます」
「と言うよりも他の街の人達が元気無かったから、余計にそう感じてしまいそうだわ?
ヴィヴ・ラ・フランス!」
彼女達が見た街の人々は、他の街にいる人達と明らかに雰囲気が違っていたのだ。
魔女の存在が攻めてきていることに悲壮感はあれど、それでも敵に反抗するためか、予想以上に活気に満ちていた。
これも守り神と讃えられた二人のサーヴァントによる影響か。それとも、何らかの被害を受けていないことによる本来の状態なのか
立香達は都市の門で警備している兵士に二人の事を聞くため、声を掛けた。
「ん? お前さん達、新しくここに来た者達だな? 大変だっただろうに長旅、ご苦労であった」
「あの………何故この街は他の街よりの皆さんよりも明るいのでしょうか?」
「ああ。お前さん達は知らんのか。それは全てあの方々のお陰なのだが…………おお! ちょうどセイバー様が巡回しているようだ!」
マシュの質問に答えようとした兵士が、唐突に街の大通りの方を見て叫んだことで、皆もそちらに目が向いた。
その大通りには、甲冑を付けた白髪の男が街の人々に駆け寄られながら、ゆっくりと此方に歩いているのが見える。
男の気配は人のそれではなく、サーヴァントの気配。同じサーヴァントだからこそ、すぐに彼が都市の守り神と呼ばれる者の一人だと勘づいた。
そのサーヴァントは周りの人々に謝罪を口にしながら離れてジャンヌ達の近くに来ると、その兵士達に声を掛ける。
「警護の者よ。すまないが、この者達と話がしたい。連れていっても構わないだろうか?」
「これはこれは守り神様! 了解しました! 私は警護に戻りますので、では!」
「守り神と呼ばれるほど、私は高尚な者では無いのだが………戻ってしまったか。すまない………」
男はジャンヌ達に向き合うと、着いてきてくれとだけ伝えて、門の外へと出て行く。
彼女達がその男に着いて行くと、人気の無い門の外で男は彼女達に向き合った。
「君達はあの魔女に付き従う者ではないようだ。であるならば、我々の味方という認識をして構わないか?」
「うん。それで構わないよ」
サーヴァントとの会話に代表してマスターである立香が対応する。
立香はカルデア側の事情についてと、この特異点で起こった経緯をそのサーヴァントに語った。
話を聞いたサーヴァントはそれらに納得すると了承の意を示した。
「我々もそろそろ限界を感じ始めていたからな。いくらリヨンが他の街より大きな都市だとは言え、放っておけば人で溢れかえってしまう。
………この状況を打開するためにも、力を貸そう」
どうやらサーヴァントの方も戦力が欲しかったのか、味方云々になることや会話の流れ事態も中々にスムーズだった。
「良かった………手伝ってもらえるんだね」
「ああ。俺の他にもう一人サーヴァントがいるんだが………すまない。ちょうど彼女は食料確保の為にワイバーン狩りに出ているんだ。
帰って来る時に、手伝ってもらう為に彼女にも救援を求めよう」
男がそう言うと、今度は聞いていたマシュがサーヴァントに質問する。
「あの………もしよければ貴殿のクラスを教えて貰えないでしょうか?」
「………すまない。君達だけ素性を言わせて俺は何も言っていなかった。本当にすまない」
「いえ、頭を上げてください! 大丈夫ですから!」
「む、そうか………。此度は聖杯によって召喚されたジークフリート。クラスはセイバーだ。よろしく頼む」
『ジークフリートって! ニーベルンゲンの歌に出てくる竜殺しの大英雄じゃないか!?』
通信越しに聞いていたロマニが驚きの声を上げた。
声こそ上げなかったが、立香以外の一同も驚愕した表情になる。
ジークフリートは邪竜ファヴニールを打ち倒したドラゴンスレイヤーだ。彼の武勇は大英雄と呼ばれるのに遜色無いほどの偉業。
最大戦力と言っても過言ではない。
「………なるほど。だから黒の私は、この街を攻めなかったのですね。貴方ほどの英霊がいれば、彼方も被害は甚大でしょうから」
「………いや。期待しているところすまないが、そうではない。
この街が襲われていないのは彼女のお蔭だ」
「彼女?」
「ああ。と言ってもすまないのだが、俺は詳細を知らなくてな。
彼女の言葉に従うならば、この都市全域に魔術を施し、敵意や悪意在る不埒な者達から認識を誤認させることが出来るらしい」
「ぜ、全域ですか!?」
ジークフリートの発言は、魔術をより理解している者ほど驚く内容だろう。
なにせ、魔術を理解していないジャンヌ、立香、マリーはわかっていない様子であったが、アマデウス、特に現代の魔術に精通しているマシュとロマニが一番驚いているのだから。
「ねえねえアマデウス。私にはわからないけど、素敵な魔術を操る英雄の方なら出来るのではないの?」
「ふむ………僕は音楽のために多少魔術を扱っていただけだから何とも言えないけど………
考えてみなよマリー。いくらサーヴァントの宝具であったとしても、都市一つを丸ごと覆うほどの力なんて普通じゃないだろ?」
『しかもそれが魔術となると………そのサーヴァントは神代の魔術師と言っても遜色無いレベルだ!』
説明されてもあまり理解できなかった立香であったが、凄いサーヴァントなんだろうなと大まかに理解する。
そうなると、そのサーヴァントがどういった人物であるのか気になってくる。
ジークフリートは快く仲間になることを承諾してくれた訳だが、その彼女と呼ばれる人物が自分達の味方になってくれるかはジークフリート曰くまた別の話らしい。
「彼女は少々スタンスが俺とは異なっていてな。食料補給や街の援助はしてくれるのだが、都市自体にはあまり近付かないのだ」
「他の場所に拠点を置いているのでしょうか………? ちなみにどういった人物なんですか?」
「そうだな…………すまない。一言では言い表せる程、私には語彙の力がないんだ。すまない………だが、強いて言えば―――」
『皆、会話の途中で悪いんだけど敵だ! 物凄い数のワイバーンの群れがそっちに向かってる!』
ジークフリートが振り絞って考えたもう一人のサーヴァントの特徴を言おうとして、ロマニに遮られる。
こればっかりは緊急事態故に仕方ないことであるが、ジークフリートの士気が少々低下してしまった。
「………いや、構わない。俺が早く言わなかった事が原因なのだ。すまない………」
「あ、あの立香。ジークさんが意気消沈してしまったんですが………」
「よーし。やるぞー!」
「ええー………」
ジャンヌの気遣いも空しく、戦闘が始まった。
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ワイバーンと戦闘を始めてから幾分か経った頃であった。
「凄いですねジークフリートさん………流石、竜殺しの英雄です」
「ええ。彼一人で殆どのワイバーン達を倒しています」
『いや、そうも言ってられないぞ………なんだこれ!? ワイバーンなんて比じゃない。超巨大な生命反応だ! 皆、すぐに都市まで撤退を推奨する!』
粗方ワイバーンを退治し終えた所で、ロマニから通信が入る。
どうやら先程以上に緊急事態らしく、普段のホンワカしているロマニからは考えられないほどの切羽詰まった口調であった。
「超巨大って………まさか、上位の竜種ですか?」
『そんな事わからないよ! ただそれだけじゃなくて、五体のサーヴァントも確認できる。流石にこの戦力では勝ち目がないぞ!』
「いや、すまないがそれは出来ない」
必死に逃げることを推奨するロマニに対して、反対の意見を告げたのはジークフリートだった。
彼は既に覚悟を決めた表情で、敵がやって来るであろう方角を見つめている。
「既に俺達は敵に感知されている。今更リヨンに逃げても誤魔化しは利かないだろう。迎え撃つしかない」
「それに、私達が逃げればリヨンに住む人々にも被害が出てしまいます。それだけは阻止しなくては」
「ええ。ジャンヌの言う通りよ! いつだって
ロマニ以外のメンバーもこの場で事を構える気満々であった。
それに応えるのがマスターである者。立香や、それに付き従うマシュも覚悟を決める。
「戦おう。あの人達にこれ以上好きにさせない」
「はい先輩。マシュ・キリエライト、マスターの盾となります!」
次回憂鬱回ですかね。ツラいわー。
今回はオリ展開ですが、今後もオリ展開で乗り切ろう、うん。
ところで、水着オルタ出ちゃった。しかも二体