薔薇の騎士   作:ヘイ!タクシー!

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ローズリィちゃん。この時代では考えられないくらい強い設定にしてますが………良いですよね?


フランス救済

『たちの悪い』

 

兵士を率いるジャンヌを見ながら、ローズリィはそう思った。

 

煌めく金髪を靡かせ、何よりも輝く我等の旗を掲げ、兵士達を先導するその姿は、まさしく『オルレアンの乙女』に相応しい姿なのだろう。

 

ただ、旗しか持たずに先陣を突っ切って行くジャンヌはローズリィにとって不安でしかない。

今もなおジャンヌ目掛けて飛んで来る矢を、ローズリィは己の長剣で叩き落としたばかりなのだから。

 

(どうしてこうなってしまったんでしょう………)

 

ジャンヌに襲い掛かる敵兵士を切り捨てながら、彼女はそう思わずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ローズリィが守備部隊を壊滅させたことを知ったボードリクール伯は、ローズリィを己の下に呼び寄せた。

 

「………貴殿がローズと名乗る者か。貴殿の行った事は既に伝わっている」

 

「…………そう、ですか。ですが私は彼等と模擬戦を行っただけで、何か咎められることは無いと思うのですが?」

 

「……………確かに、君は普通の子供では無いようだ。なら単刀直入に聞こう。ローズ殿、貴殿は私に雇われないか?」

 

ボードリクール伯にとって、突如現れたローズの実力はとても嬉しい誤算だった。

仮に彼(男装中)を部隊に組み込めば、戦争に勝てなくともフランスの劣勢における何かしらの一石を投じることが出来るかもしれないと考えたからだ。

 

ローズリィはこれに、ある条件を出した。それは自分が騎士を目指している事を伝え、その過程での手助けを求めるモノ。

ボードリクール伯はその条件を当然のように了承する。

 

 

こうしてローズリィはヴォークルールの街の兵士となった。

 

 

 

 

 

 

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ローズリィがボードリクール伯に雇われたのは半年間だった。

そしてそれだけの期間があれば、ジャンヌダルクは聖女であるという噂が街中に広まることも当然の帰結だろう。

 

 

 

 

ローズリィの知り合いと言うことで、ジャンヌもよく駐屯所に訪れていた。

その時にジャンヌは、オルレアン近郊でのニシンの戦いでフランス軍が敗北するという、驚くべき結果を予言していたのだ。

 

オルレアンは、フランス中心部への侵攻を防ぐ最後の砦であり、オルレアンの趨勢が全フランスの運命を握っている。

つまり、フランスの敗北は一刻の猶予もない。

 

敗北の結果を知らされたボードリクール伯は、ジャンヌをローズリィと同じ特別な人物と認め、前から請われていたシノン訪問の許可を出した。

それと同時に、ローズリィを騎士にするためにジャンヌを連れていくことも認めることとなった。

 

 

 

 

 

 

ジャンヌがシャルル七世と面会を行ってからは、二人の周りの変化は劇的だった。

そのあまりの変化にローズリィでさえも声を上げて驚いたのだから。

 

ジャンヌは軍の指揮官となり、ローズリィはその護衛となった。

 

ローズリィとしてはジャンヌがそれほどまでの出世をしたことに動揺したが、それは周りの兵士や騎士達も同じである。

まだ年端もいかない子供のジャンヌが自分達の上官になるなど在ってはならない。

 

ジル・ド・レェや、ラ・イルなどの指揮官や他将校の人物達とオルレアン包囲戦の作戦時に顔を合わせた。

 

男装をするジャンヌは多くの者から懐疑的な目を向けられていたが、ジャンヌと、彼女と共にいたローズリィはまったく気にすること無く作戦会議に参加した。

 

そして彼女達は、のちに彼等にとって驚くべき成果を見せることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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オルレアン包囲戦。

あれだけ劣勢だったフランス軍だったがジャンヌの登場により、たったの八日間でイングランド軍を壊滅させた。

 

ジャンヌの大胆不敵な各個撃破による作戦と、彼女に付き従う美しい兵士の武力。

どんな兵力差だろうと本陣へと突き進んで行くフランス軍に対して、イングランド軍は恐怖を覚えたのだった。

 

 

 

フランス軍はオルレアン解放からさらに勢いに乗ることとなる。

そして、この頃から次第にジャンヌの偉業とも言える功績が各指揮官に認められ始めたのだ。

 

それによって強固になったフランス軍は、怒涛の勢いでイングランドに占拠された地域を解放していった。

 

 

 

この時、ジャンヌに付き従うローズリィもまた武功を上げていた。

曰く。ジャンヌに迫る全ての脅威をその手に持つ長剣で防ぎ、ジャンヌを救った。

曰く。敵陣に真っ先に突っ込み、ジャンヌ率いる軍の尖兵を担った。

曰く。状況に合わせて敵から千差万別の武器を奪い取る。敵から奪った矢で、離れた位置からクロスボウを構える弓兵を狙い撃ちにした。

 

ジャンヌが救国の聖女として名を広める度に、ローズリィもまた様々な武功が国中に広まっていった。

 

いつの間にか二人の功績はフランス王族にも認められ、シャルル七世よりジャンヌは貴族、ローズリィは騎士の地位を叙せられたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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side ローズリィ

 

ラ=シャリテ=シュール=ロワール包囲戦。

私はこの戦ほど肝が冷えた日はありませんでした。

この戦い勝つことはできました。

だけど相手側もこの戦いにかなりの戦力を投入していたようで、私やジャンヌを含む先陣を切った数人の兵士だけが、敵によって囲まれたのです。

 

あまりにも猪突猛進のジャンヌではありましたけど、孤立すると言った采配を取るほど間抜けでもないのです。

 

つまりこれは敵の作戦。

 

確実にジャンヌを殺すために取られた作戦でした。

ただ敵陣の中と言うこともあり、敵の大将も目と鼻の先。

 

これを好機と踏んだ私は、数人の兵士達にジャンヌを庇わせながら、隊列を組むことで大将である敵将軍の下へと突入しに行ったのです。

 

敵側もこれには予想外だったのか、隊列が乱れました。

 

その隙を逃さず、私は右手に愛剣、左手に敵から奪ったバトルアックスを持って敵陣中央へと突撃しました。

 

ジャンヌを護衛していた兵士達は死に、私はジャンヌを守りながら敵兵を殺していく。

運良く敵将軍を見つけてその首を獲り、敵兵の士気を落としましたが………あと数十分援軍が遅ければ危なかったでしょう。

 

ジル・ド・レェには感謝しなくては。

 

なにせあのままでしたら、私はともかくジャンヌは確実に怪我を負っていたでしょうから。

 

ただ助けに来たジル・ド・レェは私達の姿を見て驚いていましたが。

あまりの驚きっぷりに目が飛び出していました。

まあ、目が飛び出すのはいつものことですがね。目を突っついて戻してあげましたよ。

 

それにしても、まさか貴方………私達が死んでると思ったのですか?

 

………え?違う?私が血にまみれていたのに対してジャンヌがまったく汚れていなかったのに驚いた?

なるほど。ですが、それは当たり前なのです。なにせ私が付いていながら、ジャンヌを敵の血で汚すわけにはいきませんからね。

 

………何故か私は彼に酷いモノを見る目、化物を見る目と言ったら良いでしょうか………そんな涙が残る目で見られてしまいました。

 

まあ別に良いですが。ジャンヌは無事ですし。

 

………………それにしてもジャンヌが離れてくれません。いえ、私は良いのですが。でもせっかく綺麗のままだったジャンヌが私に引っ付いていては汚れてしまうのですが………。

 

他の司令官からも生暖かい目で見られてますけど良いんですか?

………はぁ。まあ確かに私達の男装は見破られてますから変な目で見られてる訳では無いでしょうけど………。

 

変なジャンヌですね。今更あれくらいの兵士に囲まれるのだって慣れてるでしょうに。

と言うか、貴女が大軍を目にしてビビるほどのタマでも無いでしょうが。

 

ええ、ええ。わかってます。今夜は一緒に寝ましょうねジャンヌ。

 

いえ、子供扱いしないで下さいと言われても………。

え。貴女がお姉さん何ですか?まあ身長は些か負けていますが、どちらかと言うとこの状況ならジャンヌが妹では………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時、私は浮かれていたのかもしれません。

私はただ彼女の選択肢を少しだけ変えるだけで、ジャンヌの運命を助けることが出来ると思っていたのです。

 

浅はかにも神などと言う、ふざけたモノの言うことを聞けば良いと思っていたのです。それがどれ程愚かなことかも知らずに。

 

 

 




結構ダイジェストになってしまったが………まあ戦争を書けるほどの才能は作者にはありませんでしたので
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