マイナー能力者が往く異世界記   作:じろー

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 はじめまして、これから書かせていただきます、じろーです。
 作品のコンセプトは、作者がマイナーだと思っている作品の能力を駆使して大暴れするお話になります。
 この作品を見てこんな作品があるんだなと興味を持っていただければ嬉しい限りです。
 またマイナーの定義は人によって様々だと思います。
 昔過ぎて忘れられているもの、人によってはマイナーとは思えないもの、そういった能力もマイナーとして含まれていますがご了承ください。

 誤字報告、意見、感想などお待ちしております。


プロローグ(改訂版)

 Q:例題です。

 

 ―――いえ、これはとある少年の、青年の戦記譚。

 

 今ではない昔、とあるところで……。

 

 一人の少年がいました。今までの記憶というものがない空っぽの少年でした。

 

 そんな少年の目の前に現れたトランペットを持ったハムスターは言いました。

 

 ―――力を貸しておくれ

 

 ―――その代わりに君に力を与えるよ

 

 少年は頷きました。

 何故ならどうしていいかわからなかったからです。

 自分のこの先に意味を持たせられるならそれも由としたのです。

 

 彼は誓いました。カミサマに誓いました。

 二次、分かたれた異なる世界を管理するナニカに誓いました。

 

 そして。

 

 彼はマイナー能力者となりました。

 日の目を見ない名作、知られざる名作、忘れられた名作、その力という力、全てを扱う力です。

 悪魔にだって、神様にだって、なんにでもなれる分不相応な力です。

 

 でもそんなことを思いつきもしませんでした。

 彼は空っぽだったからです。

 

 彼は旅をします。

 時には流されるように

 時には自分から行動を起こして

 彼の空っぽを1つ1つ埋めていくように

 

 物語に茶々を入れます。

 自らの思うがままに、流されるままに、彼の起こす行動が波紋となって、物語を変えてしまいます。

 

 彼は望まれてマイナー能力者となりました。

 それは彼も望んだことです。

 

 彼は旅をします。

 いつまでも、どこまでも

 

 そして最後に1つ、問いを投げましょう。

 

 

 

 

 

 ――――――Q:旅の行き着く果てとは?――――――

 

 

 

 

 

 A:それは――――――

 

 

‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡

 

 

 どこでもないどこか

 足音が聞こえる。

 

「……! ……!」

 

 夜闇の中で、人が影が見えた。

 数は2つ。

 そして、それを追う様に影が1つ、2つ、3つ、……たくさん。

 2つの影は誰かに追われているようだった。

 逃げているのだ。何者かに追われて

 いや、違うのかもしれない。

 

「どこまでいくのよ!」

 

「もっと先に……!」

 

 2つの影から、声が聞こえる。

 それは女の声だった。

 人気のない公園を誰かの追われるように、2人の女が走っていた。

 壊れかけた電灯が彼女等を照らす。

 長い紫色の髪を靡かせて走る女、そしてそれに手を引っ張られるように走るショートヘアの金髪の女。

 

「アリサちゃん、もっとはやく!」

 

「無茶言わないでよ! すずかみたいに底無しの体力しているわけが!」

 

 彼女達はすずかとアリサと言うのだろう。

 息も絶え絶えに反論しながらも足を止めることは無い。

 しかし、背後の影は、着実に彼女達に迫ってきている。長くは持たないだろう。追いつかれた果てはきっと彼女達もわかっている。

 そして、それはやってきた。

 走って、走って、走って

 彼女達は足を止めてしまった。

 いつの間にか囲まれてしまったからだ。

 

「そこまでだ」

 

 そう宣言するように男が前に躍り出た。

 長い犬歯を見せて、それは嘲る様に笑う。

 

「……」

 

 それを見ながらも彼女達は冷静だった。じっと黙りながらこちらの出方を伺っている。

 その反応が男には気に入らなかった。

 

「お前達、これからどうなるかわかっているのか?」

 

 それは脅しも孕んだ言葉、彼女等の反応を見たくていった挑発に過ぎない。

 

「いい加減、慣れてるのよ」

 

 それに男の反応とは予想外の形で答えたのはアリサと呼ばれた女だった。

 

「誘拐、脅迫、色々よね。懲りないわね、本当に。それが最後まで成功した試しがあって?」

 

「強がりもそこまでいくと滑稽だな。アリサ・バニングス、今のこの現状が失敗につながると思うか?」

 

 そう言う男、そして彼女達を囲むように影がいる。

 20、30、いやもっといるかもしれない。

 しかし、それが彼女達を怯ませる理由にならない。

 

「うん、普通ならきっともう駄目だって思うかもしれない」

 

 木々がざわつく。

 それを言ったのはすずかと呼ばれた女だ。

 

「私達ははここまで来れたよ」

 

 それは一体どういった意味なのか、男にはわからなかった。

 男は苛立っていた。泣き叫び、許しを請うくらいは見せてほしかったのに、これでは興冷めだ。

 

「こんな誰にも人目につかないところに態々逃げ込んで?」

 

 これも不可解だった。

 普通なら人目がつく場所、助けを呼べる場所に逃げるのが普通だ。

 だがそれは逆、誰もいない古びた公園まで彼女達は走っていたのだ。

 そして依然として、彼女達には怯えはない。

 もういい、さっさと切り上げよう。

 そう思い、男は合図すると一斉に影が彼女達を取り押さえようと迫った。

 

 だがもう遅い。

 

 いや、初めから、早いも遅いもない。

 

 ただ1つわかることは男達の計画が成功することは万に一もありえないということだ。

 

 何故ならば

 

「だって、人目につくと」

 

 瞬間、怖気が走った。

 

「彼が、困るから」

 

 男達が掴みかかろうとしたところで、彼女達がを囲むように地面から何かが突き出た。

 それは男たちを弾き飛ばし、突き刺し、守るように立ちはだかる。

 

「何だ!」

 

 一体何があった。

 だがそれはわかりはしまい。

 月明かりが公園を照らし、その全容が明らかになる。

 それは木だった。すずか達を囲む用に地面から現れた木、蔓、蔦が男たちを弾いたのだ。

 そして、新たにそれを起こした主が現れる。

 

 月明かりを背に、それは舞い降りた。

 

「京!」

 

「手間を、掛けさせた」

 

 男と彼女達の間に、立ちはだかるようにそれは現れた。

 京と呼ばれた男、あれが全ての元凶だ。

 見えているだろう。その姿が、その異様さが

 

「化け物……」

 

 それが男の感想だった。

 黒い長髪の男、右顔が仮面のようなもので覆われ、右目には3つの複眼が嵌まっていた。額には奇妙な1つ目が、頭には羊のような巻き角が、左腕は歪に黒く歪み異形の様相を発していた。

 人ではない。あれが人あってたまるか

 

「いけぇっ!」

 

 恐怖を振り払うように、男は号令を掛けた。

 一斉に襲い掛かるようにと、それだけで周りもどういう意味か悟ったのかそれをを忠実に実行する。

 すずか達を眼中にないように異形の男、京に襲い掛かる。

 だが動じることはない。

 そんなことでどうにもなりはしない。

 

「―――流―――術11式――――――!!」

 

 いつの間にか現れたメリケンサックを右手に構え、京は円を描くように拳を振り回した。

 そう、たったそれだけで

 襲い掛かろうとした男たちが停止し、転げ落ちた。

 

「一体何が……」

 

 男たちには赤い十字の刃が全員に突き刺さっていた。

 匂いでわかる。これは、血だ。

 そして、これは自分達を殺し尽くすものだと直感した。

 

 だがそれでもこの人数ならば

 京の隙を見逃さなかったのか、背後から一人の男が刀を振りかぶっていた。

 

「……完成!」

 

 ボソリ、と嘆いた京。

 そして、刀は振り下ろされた。

 やったと直感し、口を吊り上げる男。

 だがその目の前には異形の左拳が見えていた。

 

「ZOOM」

 

 映画の1カットのように京の左拳が男の顔にめり込むシーンがそれを見ていた全ての者の目に映し出される。

 男は空に舞い、そして落ちると動かなくなった。

 どうして、刀は振り下ろされたはず、そう誰もが思った。

 だが未だに男が握る刀は半ばから斬られて(・・・・)いた。

 

「ふん……」

 

 シャキン、と甲高い音が聞こえる。

 京の背には刀が携えられていた。刀の柄にはニヤリと笑うてるてる坊主が吊り下げられている。

 あの刀が受け止めて、ただそれだけで切り裂いた。それが答えだ。

 あっという間に半数がやられた。

 何だ、一体、お前は

 

「何だ!」

 

 だがその言葉に答える者は誰もいない。

 答える必要を感じないから

 ガサリと音が聞こえた。

 振り返れば少ない人数が逃げ出そうと走っている。

 

「貴様等……!」

 

 許されると思っているのか、そう叫ぶ。

 だがそれは他のものも許しはしない。

 

「――――砲」

 

 敵前逃亡、それはあっけなく終わる。

 逃げ出した者達場所が爆発したからだ。

 目を向ければ、そこには線香を持った男がいた。

 そして、その背後には

 

「ヒッ……」

 

 大口を開けた鬼がいた。鳥に角が生えたような3m近い鬼。

 あれが何かをしたのだ。

 

「大丈夫?」

 

「うん、平気」

 

 大半を蹴散らした後、静かに京はそう言った。

 それににこりと笑ってすずかは返す。

 しかし、まだ全ては終わっていないのだ。

 

「まだだ……、まだ!」

 

 ここまでコケにされて溜まるか、そう言う様に叫んだ。

 公園に更に、更に影が増えていく。増援がいたのか、それとも呼んだのか

 

 

 

 ―――これはある少年の、青年の戦記譚だ。

 

 

 

 静かに、京と呼ばれた男が前に出る。

 当たり前のように、当然のように、

 京は、構える。

 

 

 

 ―――長い長い、話だ。

 

 

 

 京は目の前の敵に対し、揺るぎもせずに

 紡ぐ。

 

 

 

 ―――彼はマイナー能力者、知られざる能力を扱う者。

 

 

 

 それはそれに答えるように

 発動する。

 

 

 

 

 

「――――――より――――――、――――――    ……発動!!」

 

 

 

 

 

 これは1人の男の、物語である。

 




プロローグの完全改訂版です。
やっぱりこういうプロローグのほうがいいかな、と

原作:マイナー能力者が往く異世界記
ジャンル:小説
使用者:京
能力:マイナー能力
人にあまり知られていない作品、マイナーと分類される全ての能力を扱うことができる能力。
1つの作品に1つの能力まで、特に強力な能力は1つの世界に1回まで発動を許される。
詠唱を必要とし作品名、使用者名、能力名の3つを唱え能力が自身に定着される。
発動されればその能力に関しては即座に十全に扱うようになれる。
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