マイナー能力者が往く異世界記   作:じろー

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第20話

「条件次第なら考えなくもない、どうだろう征服王よ…?」

 

現れたのは顔の右半分と左腕に包帯を巻いた20代前半の男、全身黒装束に肩に小さな黒コートを羽織っている。

サーヴァントであろう、しかし何故か感じられる魔力が、雰囲気が違う。

突然現れたサーヴァントにイスカンダル以外が警戒する。

 

「ほら見ろマスター、分かってくれるサーヴァントもいるではないか!」

 

「条件次第だってあいつ言ってるだろ!それにマスターだっている、信用できない!」

 

至極尤もな話、まずは相互理解からだ。

 

「ふぅむ、そこの…ぁ〜お主のクラスはなんだ?」

 

「サーヴァント"モンスター"」

 

「イレギュラーサーヴァント!?」

 

セイバーの後ろにいる白い女性が驚く。

 

「アイリスフィール、下がって!奴からは良くないものを感じる!」

 

持ち前の直感スキルのなせる技かこちらの異常性を察知しているようだ。

 

「イレギュラーサーヴァント…ライダー、お前それでも仲間にするとかいうのか?」

 

「それがどうした!イレギュラーサーヴァントか、これも一興!王たる者はその程度抱え込む度量を持って然りだ。モンスターよ、条件というのを聞きたいのだが?」

 

「今ここで言えることではない、この後で言う。」

 

「そうかそうか…して、お主らだが…考え直してみんか?共に夢を見ようではないか!!」

 

「調子にのるなよライダー」

 

セイバーが凄む。

 

「…待遇は要相談だが?」

 

「「くどい!!」」

 

「勿体ないなぁ…残念だなぁ…」

 

心底残念そうなライダー。

それを半ば呆れたように見るウェイバーと京。

何か通じ合うものがあったかもしれない、苦労的な何かが。

 

「私は王の1人だ。王は何者の下にも付かぬ者」

 

「我が槍を捧げるものはマスター以外にありえない」

 

ここにライダーの交渉は完全に決裂した。

 

「まぁ、1人だけでも色よい返事が聞けたのだ、重畳だ」

 

「むぅ…」

 

まさか本当に引っかかるサーヴァントがいるとは思わなかったのか、未だに信じきれずにこちらを睨んでいる。

全員とはいえないまでも1人のサーヴァントを仲間にできるかもしれないライダーはそれでも満足そうに笑っていた。

そこに

 

『そうか、よりにもよって貴様か』

 

響き渡るような声が辺りに響き渡る。

 

『一体何を血迷って私の聖遺物を盗み出したのかと思ってみれば…まさか私に成り代わり聖杯戦争に参加していようとは、裏切られた気分だよ。ウェイバー・ベルベット』

 

「う…うぅ…」

 

ウェイバーは震え上がる、声の主がわかるのか、恐怖するかのように

京は思う、これはいい機会なのかもしれない。ウェイバーの高感度を多少上げておいても損はない。

 

『残念だ。実に残念だな…』

 

「もういいから黙っとけよ」

 

即座に行動に出る。

テレポーテーションし声の主の背後に周りこむ。

声の主は戦いの場の遥か上、高みの見物と決め込んでいたのだろう。

そして右手を向け

 

「なぁっ!?」

 

「サイコバズーカー」

 

「ラ…ランサー!」

 

突然、左腕を弾かれる。

 

「あぁ、ランサーのマスターだったか」

 

現れるはランサー、咄嗟に令呪で呼んだといったところだろう。

 

「貴様…マスターに手を出そうとするとは…」

 

「よく言う、1人で高みの見物決めておいて不意討ちに対して令呪使ってるんじゃ世話ないね」

 

「主を愚弄することは許さん!」

 

ランサーの2本の槍をいなしながら思考する。

戦う場所は上空の工事現場、足元が悪い

ここは様々な戦法がある京が有利だが、今ここで戦っても手の内が晒されるだけで得策ではない。

ほぼ全員のマスターがこちらを監視しているだろう。

だから仕切り直すことにする。

 

「サイコボマー」

 

そして足場ごと吹き飛ばし、戦闘を強制的に終らせる。

落下する京とランサーとそのマスター、マスターは銀の液体で自身の周りを囲み対ショックをしているようだ。

 

「どうだろう、ライダーのマスターよ、耳の痛い話だったようなので黙らせてみたのだが」

 

態々口に出してまでそういう。

露骨な方が今はまだ何かと勘繰られるより良いだろう。

 

「え?」

 

「そういうことだマスター、あちらの誠意と受け取っておけ」

 

「ぁ…あぁ…」

 

まさかそんな理由で攻撃をしたとは思わなかったウェイバーは閉口してしまっている。

 

「まさか…空間転移…!?あのサーヴァントは一体…?」

 

実際のところ超能力の類なのだが魔術師相手にはそう見えるのだろう、空間転移など魔法スレスレの域だ。

 

「本来なら余自らがあの不遜なマスターに渇を入れなければならかったのだが…、マスターに代わり礼を言おう」

 

「構わない」

 

ランサーのマスターも戦いの場に引き摺り出した、今の場はセイバー、ランサー、ライダーの陣営が全て揃っているともいえる。

緊迫した状況、誰かが動けば即戦いに発展するだろう。

 

「おい!他にもまだ見ておる奴がいるだろうが!闇にまぎれて覗き見をしておる連中は!」

 

この状況を割ったのはライダー

 

「どういうことだライダー?」

 

「お前達の戦いを見ていた者が今いる余達だけなわけなかろう?」

 

「そこに銃構えている人もね」

 

「っ!?」

 

少し毒を吐く。

 

「そういうことだ、英霊ともあろう豪傑達とそのマスターが!よもやコソコソと覗き見などと!この場で真っ向から戦ったセイバーとランサーを見習うがいい、英霊の名が聞いて呆れるとは思わないか?」

 

ライダーの熱弁は続く。

 

「聖杯に招かれし英霊は、今!ここに集うがいい。なおも顔見せを怖じるような臆病者は、征服王イスカンダルの侮辱を免れぬものと知れ!」

 

そして、この状況を眺めていたサーヴァントにこの熱弁は挑発と映る。

 

「我を差し置いて“王”を称する不埒者が、一夜に二匹も沸くとはな」

 

現れるは全身黄金の鎧に包まれた男。

セイバー、ランサー、ライダーとここにいるのだ、アーチャーだろう。

口調は不愉快極まりないといったものでこちらに対する目は塵芥もかくやといったところだ。

英雄王ギルガメッシュ、あの男の真名。最大出力では今の自分で勝てるかは少し微妙だ。

 

「ほぅ、それならば名乗るがよい、貴様も王たる者ならば、まさか己の威名を憚りはすまい?」

 

「問いを投げるか?雑種風情が、王たるこの我に向けて?万死に値するぞ」

 

不機嫌そうに眉を顰める。

 

「しかし、知らんものは知らんものでなぁ」

 

「我が拝謁の栄に浴して尚この面貌を知らぬと申すなら、こんな無知蒙昧は生かしておく価値すらない」

 

知っていて当然、そう言わんばかりの横暴。

知らぬ不敬は死を以って償え。

だがこの英霊にはそれが罷り通るだけの実力がある。

ギルガメッシュの背後の空間が歪みあらゆる武器という武器が現れる。

しかし、京を見てそれが止まる。

 

「お前…」

 

京に目を向く。

 

「お前…人ではないな?比べるまでもないがどこか奴に似た匂いを感じる」

 

「へぇ…」

 

流石にわかるのか、神の泥人形であったエンキドゥが生涯ただ1人の友であった彼なら

混ざりに混ざってもはや京にも自分がなんの種族かわからない。

 

「何故お前のような人の形をした化け物がいる?」

 

「泥と一緒にするなよ」

 

「雑種風情が…、我が朋友を侮辱するでないわぁ!」

 

ギルガメッシュの背後から武器という武器が射出される。

その数は12。

面と向かって化け物と言われ、ついつい毒を入れて返してしまう。

少しだけ後悔した。

ポケットの中に素早く手を突っ込み探る、幸い残りの部品は1つのようだ。

手には1つの小さなネジ。

それを宙に放り

 

思い切り噛み砕いた。

 

右手を前に出す。

そして唱えた。

 

「完成!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ガングレイヴよりビヨンド・ザ・グレイヴ、COFFIN)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

右手から現れるは鎖につながれた巨大な棺桶。

京は素早く鎖を手に取り、棺桶をを振り回し、自身に飛来する宝具をなぎ払った。

吹き飛ばされる宝具。

まずは2つ。

2つの宝具をなぎ払い、棺桶を展開、担ぐ、展開したものから出てきたのは巨大なバルカン砲。

 

「…食らえ」

 

バルカンを瞬間的に連射する。

空の薬莢が数え切れないほど放出され小気味良い音が聞こえる。

この武器も自身が持つ能力の1つだ、これも宝具と化している。1発1発は弱くても瞬時に何十発も当たれば軌道程度は容易く変わる。

打ち落とされる4つの宝具

 

ガチャリと音がする。

 

更に展開した棺桶から発射されるのは4発のマイクロミサイル、その全てが追尾するように更に4つの宝具を打ち落とす。

最後に向かってくるのは左右から襲い掛かる魔剣、聖剣

棺桶に収納されている2丁拳銃ケルベロスを取り出し左右に構え打ち落とす。

 

「貴様…」

 

不愉快な目をするギルガメッシュ。

この武器は本来前の世界で対吸血鬼、オートマタ用に取り出しておいたのだが以降は襲われなかったので分解してEAT-MANで食べ腹の中に入れておいたのだが役にたった。

管理局相手に質量兵器の塊であるこの武器を使うわけにもいかず、ずっとお蔵入りになっていたのだ。

 

「なにあの武器!?英霊が銃とバルカンにミサイル!?」

 

「マスター、余はとんだ拾いもんをしたのかもしれんぞ?」

 

「あぁ、出自が全くわからない…、ミサイルまで使うってことはかなり最近の英霊…?」

 

「さてなぁ、後で直接聞けばよかろう」

 

こちらの出自がわからないのも無理はない、そんなものはないのだから

まだバーサーカーが現れていない、それまでどう凌いでみるか

 

「ふん…そこまでして死にたいのなら是非はない、死ぬがいい害獣が!!」

 

更に放たれる宝具、数は20

囲むように放たれる宝具に早速京に逃げ場などない

着弾と同時に砂埃が宙に舞う

砂埃が晴れそこにいるのは

 

千手天衣(せんじゅアーマー)…!」

 

20の宝具を全て20の手で掴み取っている京の姿だった。

そしてそのまま

 

食べた。

 

「宝具を…食べてる…?」

 

「ほぅ…」

 

「それになんだあの宝具は…?」

 

「貴様…我の至高の財をその手に取り尚且つ食べるだと…?ふざけるなよこの害獣…っ!?」

 

だが気付かなかった。

ギルガメッシュの頭上に突如現れる黒い鎧を纏った者に

そのまま落下とともに手にした鉄骨を振り下ろした。

 

「■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ !!」

 

「がぁ!?」

 

咄嗟に避けるが避け切れなかったのか鎧が砕けている。

 

「貴様ぁ…王たるこの我に手傷を負わせるだと、死ごときでは生ぬるいと知れこの雑種が…」

 

京の時とは比べ物にならないほどの怒気、殺気が大気に満ちている、それほどに王たる自分の傷は重いのかギルガメッシュの目には黒い騎士しか映っていない。

 

「塵と残さん…去ぬがいい狂犬がぁっ!」

 

ギルガメッシュが突如止まる。

 

「時臣ぃ…貴様…」

 

本来のように令呪を使われているのだろう

しかし、抵抗がかなり強いようだ、今も尚バーサーカーを睨みつけている。

 

「狂犬よ、覚えておくがいい、貴様を殺すのはこの我だ。他の雑種もこれに手を出すことは許さん」

 

有無を言わさない命令口調、しかしそれほどの怒りを窺わせる。

そして、金色の粒子になりながらギルガメッシュは霊体化し、この場から退場した。

 

 

 

一時の騒乱が終わり、バーサーカーを加えた5人のサーヴァントが揃った形になった。

 

「■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ !!」

 

叫びだすセイバーに向かって突進するバーサーカー

腕に持つ鉄骨を振りセイバーを潰そうと襲い掛かる。

 

「っ!!」

 

咄嗟に防御するセイバーだがおかしい、バーサーカーが持つものはただの鉄骨、宝具と遣り合えば砕けるのは必至だ。

そう、つまり

 

「…そういうことか。あの黒いのが摑んだものは、なんであれヤツの宝具になるわけか」

 

厄介な宝具だ、いくつか奪われてはいけないものを京も所持している。

セイバーとバーサーカーの攻防、セイバーは防戦一方だ、槍の傷が効いているのだろう。

しかし、京も黙っているわけにはいかない、せっかくの接触のチャンスなのだ、今を逃す手はない。

セイバーに鉄骨が振り下ろされる。

京はそれに割り込み。

 

左腕で掴んだ。

 

顔と腕の包帯が外れ、急速再生する。

その手と顔は異形そのもの

 

「なるほど…モンスターか」

 

誰かがそう言う。

京はバーサーカーに肉薄しつつバーサーカーにしか聞こえないように言葉を出す。

 

「…桜を預かっている…」

 

バーサーカーが停止した。

本来制御できないはずのバーサーカー、マスターがどれほどの想いで命じたのか

 

「止まった…?」

 

「なんで…?」

 

京は続ける。

 

「明日、夜の〇〇〇公園で待っている」

 

そして、バーサーカーは消えていった。

 

「お主、何をした?」

 

「なに、ちょっとした交渉事を」

 

「まぁよい、さてまだ続けるか?セイバーにランサーよ」

 

「主…」

 

ランサーが問いかける。

 

「しょうがあるまい、ここは退散するとしよう。そして覚えておくがいいイレギュラーサーヴァントよ、貴様を八つ裂きにするのはこのケイネス・エルメロイ・アーチボルトということを」

 

気丈に振舞っているがケイネスの顔は憎悪に歪んでいる。

 

「期待せずに待ってるよ」

 

京が事も無げに答えた。

 

「帰りましょうセイバー」

 

「はい、アイリスフィール」

 

セイバーとランサー陣営が去る。

これからが交渉の開始だ。

 

「して、モンスターよ、条件というのはなんだ?」

 

ライダーが早速交渉に移る。

 

「待ってくれ、マスターの所へ案内する、乗せていってくれ」

 

「わかった」

 

ライダーの戦車に乗り廃屋に向かって飛び立つ。

京は知らない。

原作としての流れは対して変わっていない、京が合間にちょっかいを入れたような形である。

しかし、個人の感情としての流れは随分と逸れたことを

これを切欠として予想もしない方向に流れが変わりつつあることを

 




…今回だいぶ突っ込みどころが多い気がします、生暖かい目で見て置いてください。
ご指摘、感想、お待ちしております。

原作名:ガングレイヴ
ジャンル:ゲーム&アニメ
使用者:ビヨンド・ザ・グレイヴ
能力:COFFIN
能力名ではなく武器の名称。
巨大な2m弱の黒い棺桶、様々な武器を内蔵している。
凄まじいほどの重量を誇り、振り回すだけでかなりの威力がある。
内蔵している武器は2丁拳銃ケルベロス、バルカン、マイクロミサイル。
弾数は無限のコスモガンである。

とガングレイヴでした。
ゲームの方はスタイリッシュ系のガンアクションゲーム、爽快で面白いです。
アニメは名作、戦闘は後半からですが熱い上に泣けるいい話です。
やっとまともに撃てる遠距離武器が手に入ったよ!
使用頻度はそこそこ高いかもしれません。
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