――――――――ゴッド☆土下座、発動――――――――
「貴様…ふざけているのか!!それでも英霊か!!」
ランサーは憤怒している。
無理もない、今まで自分と互角に渡り合っていた相手が突然土下座をかましたのだ。
勝っても負けても称え合える好敵手だと思っていたのに
しかし、もう遅い。
ゴッド☆土下座をさせてしまった。
大きかったはずの隙
もしもバーサーカーが相手であったなら土下座モーション中にミンチになっていただろう。
それほどの隙
ランサーはそれを見逃してしまった。
相手の本気とやらに警戒し、期待してしまった。
そして成功させてしまった。
ゴッド☆土下座を…
「もういい…去ね…貴様はこの聖杯戦争には相応しくない英霊だった…」
京はまだ土下座の体制のまま頭を上げない。
ランサーは無表情に槍を横に振るう。
京の頭を切り飛ばそうと
しかし…
もう遅いのだ…
――――――――RANK DOWN――――――――
トスッ
なにか軽い音が聞こえた。
「………なに?」
困惑はランサーから
槍が止まっている。
京の首筋に槍の矛先が当たったままピクリとも動かない。
それほどに京の体は頑丈だっただろうか、宝具の切れ味の前に弾くものなどそうはない。
京が頭を上げる。
その顔は…
嗤っていた。
してやったりという、これ以上ない笑顔だった。
「受けたな…我が渾身のゴッド☆土下座を…!」
「それがなんだという!!」
ランサーの槍の攻撃
突き、薙ぎ、切る。
しかし、遅い、軽い。
確かに人としてみるならばそれは達人の域なのだろう、人が食らえば致命 傷なほどの
しかし、遅い、軽い。
英霊としてならば下の下、話にすらならない、止まって見える、傷すらつけられないだろう。
先のランサーの動きからすれば考えられないような劣化
「どうなっている…!?」
ランサーも気付く、己の力が弱まっていることに、本気で動いているはずなのに体が追いついてこない。
「これがゴッド☆土下座だ」
「これを食らった者はステータスが全て最低になる」
即ちサーヴァントの場合だと、宝具以外の全てのステータスがEになるということ。
京の体に槍が通らなかったのもその為、筋力E如きがあらゆる宝具で強化され耐久Bの京の体に刃が通るはずもない。
これで勝敗は決した、なにもかも勝てる要素がランサーにはない。
「だが…それでも!!俺は諦めない!!」
槍を構えるランサー、その闘気は微塵も衰えてはいない。
「そうか…流石騎士といったところか、ならば消えてもらおう」
空の彼方に
「はぁぁぁああ!!」
こちらに向かって猛進するランサー。
――――――ゴッドリール技が一つ
「ぴよハント」
「ぐぉっ!?」
何かを掴み取るように右手を動かし、引き寄せる。
瞬間、ランサーが何に引き寄せられるように京に向かって宙を舞う。
そこに渾身の左フックを決めた。
「がッ」
ランサーの意識が朦朧とする、頭の上にはヒヨコがいるように見える。
まだ終らない。
――――――ゴッドリール技が一つ
「キンテキ」
渾身の後ろ蹴りをランサーに放つ、股間に
キーーーーーン
「はうっ!!」
ナニカの金属音と同時に京の技を食らったランサーは股間を押さえ顔を青くする。
【良い子はダメだぜ】
そして…
京が決めに入る。
――――――ゴッドリール技が奥義が一つ
「ゴッド本塁打」
突如空を割り、光り輝く黄金のバットが京の前に降りてくる。
「これで終いだ」
「ク……ソがぁぁああああ!!!」
「バイバイ」
カッキーーーーーーン!!!
恨み言を残してランサーは京によって遥か空の彼方にかっ飛ばされ星になった。
殺してはいない、セイバーの宝具封印の為にしばらくは生きていてもらわなければ
「さて…急いで桜のとこにいかないとな」
京は即座に桜の位置を確かめる。
そして見つけた。
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雁夜は桜を連れて逃げていた。
ケイネスのことはモンスターから聞いていた、相手にするなと、出会ったらならなにがなんでも逃げろと
「いつまで逃げるのかね?魔術師同士ここに試合おうではないか」
ケイネスが嘲笑うようにこちらに寄ってくる。
歩く度に周囲の器物、植物などがケイネスに襲い掛かるが
「Automatoportum defensio:Automatoportum quaerere:Dilectus incrisio」
ケイネスの周囲に展開する水銀がことごとく障害を排除をする。
ケイネスの持つ魔術礼装、
「桜ちゃん…このまま真っ直ぐ走って逃げるんだ、いいね?」
「雁夜おじさんは…?」
「おじさんはこれでも魔術師だからね、ここで足止めをするよ」
笑って見せるがどこか悲壮感を感じさせた。
「でも…」
「いいから!早く!!」
「うん…」
桜は走っていく。
そして見えなくなったとき
「まったく…手古摺らせてくれる…」
不機嫌そうに蔑んでいるかのような笑みを浮かべるケイネス。
「お前がモンスターのマスターか? フン、出来損ないの魔術師か、見ればわかるぞ。無理に詰め込もうとしたな?」
一流の魔術師ならわかるのか、まさに的を射ている。
「こんな塵共に苦渋を味合わせられたなど、一生の恥だ。疾くと去ね」
雁夜もただでやられるわけにはいかない、ケイネスは自分がモンスターのマスターと勘違いしているのだ、このままやられるにしてもモンスターの応援までは時間を稼ごうと蟲を出す。
「うが…ぁ…ぁああ」
吐血しながらも蟲を出す、この蟲の名は翅刃虫、牛の骨すら噛み砕く異形の蟲だ。
「いけっ!!」
蟲の大群がケイネスに向かって集る。
しかし
「Fervor,mei Sanguis」
詠唱と同時、ケイネスの周りに漂う水銀は無数の刃に姿を変え、襲い掛かる蟲達を1匹残らず切り落とす。
「ちぃっ」
「Scalp」
ムチのよう襲い掛かる水銀は雁夜の足に当たり引き裂く
「がぁっ」
「他愛ない、話にならん」
身体能力も蟲に侵された体では一般人以下、避けることすらできはしない。
「まだ…まだだぁ!」
地中から現れる蟲、不意討ちならば水銀も動かせまいと
「フン」
来る場所がわかっていたかのように虫を殲滅する水銀
月霊髄液は自立防御も備わっている、不意討ち程度ではびくともしない。
「Scalp」
肉を切り裂く音が聞こえる。
「グァァアア」
手を切られ
「あァアああ」
肩を刻まれ
「ゥ…ぅうう」
全身を傷つけられる、まるで弄るように
「愚図が…そのような身で魔術の恩恵に預かろうなど笑止」
「誰が好き好んで魔術になど縋るか!!」
それを聞き、雁夜の琴線に触れたように激怒する。
「なに?」
「お前達は平凡な幸福など塵だと言い、家族ですら地獄に突き落とす。それがどれだけ尊いかも知らず、人から外れた道を平然と行う!そんな外道に誰がなるか!」
それが雁夜の思い、極々平凡な幸福を貴い物とし、尊ぶ、人道に反した道を平然と突き進む魔術を心の底から嫌い、侮蔑する。
「我々の修める崇高な術をお前のような愚民が理解できてたまるか」
だがそんな叫びも生粋の魔術師たるケイネスには微塵も届かない。
ケイネスが号令をかけた瞬間、雁夜に向かって水銀の槍が突き殺さんと襲い掛かる。
しかし
「やめて!!」
聞こえてはいけない声がした。
「桜ちゃん…どうして!」
雁夜が叫ぶ、これでは2人諸共死んでしまう。
「だって…」
涙目で語る桜、しかしそれは切実な問題。
父は自分を地獄に叩き落し、母は黙って自分を送り出した、姉は自分のことなど気にもかけず幸せな人生を送っていに違いない。
それは桜がずっと思っていたこと、違いはあれど大筋では間違っていない。
桜が信用できる者は地獄に居ながらも励ましてくれた雁夜、そして地獄から助け出してくれたモンスターのみ、今その1人が自分を庇って傷ついている、桜には我慢できなかった。
「モンスターのマスターは私!!だから雁夜おじさんを苛めないで!!」
叫ぶ桜、感情に任せた行動、それは2人の立場をより悪くする。
「なんだ、そうだったのか。ならば初めに殺すべきはお前だったか」
無表情に水銀を操り桜に振るう
だが
「ジ!!!!」
桜の肩に引っ付いていたピンク色の丸い物体が飛び出し爆発する。
爆破地点から広がるピンク色の爆煙で辺りが見えなくなる。
「俺を忘れちゃ困るぜぇ?桜ちゃん!」
桜の隣に居るのは重そうに雁夜を運んでいるキース
「ここから離れるぞ!!」
雁夜も傷だらけの体を引きずりながら逃げ出そうとするが
「させるか」
爆煙を切り刻み消し飛ばしてケイネスが2人の前に立つ。
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植物とリンクし現場を見ながら全速力で向かっているがかなり拙い状況だ。
雁夜が傷だらけにされそれを桜が止めている。
「クソッ…」
これでは間に合わない、あと3分はかかる。
桜に令呪の事を話していなかったのが痛かった、できるだけ巻き込まないように何も知らずに居て欲しかったのに、甘い考えだったのかと悔やまれる。
桜が魔術を使えれば、そう思い、足を止めた。
ありもしない話を夢想し、そして思い至る。
ならば走り桜の元に駆けつけるより速い方法で桜を助ければよい。
心の中の黒い木の花が1つ、咲く
京が召還するのは身の丈ほどの大きさのバイオリン。
「…魔曲…」
届けるは魔の音楽
「…バッハ作…」
届く速度は音速なり
「…『主よ、人の望みの喜びよ』…」
魔の調べが桜に届く
桜の窮地を救うために
この状況を打破するために
‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡
目の前に立ち、水銀を侍らせながら、ゆっくりと歩んでいくケイネス
「手間を掛けさせる、これで終わりだ。」
距離は10mほど、まだ射程ではないが、雁夜がほぼ動けない状態だ、すぐに追いつかれてしまう。
雁夜は桜を背後に庇いケイネスを睨むことしかできないが
~♪
音楽が聞こえる。
それは人の尊さを表すようで、人の喜びを表すようで、人の望みを表すようだった。
あまりに場違いな音楽
しかし
「……………………」
聞き入る桜。
これは桜の為に送られた曲、桜を守るための曲、この状況を切り開くための曲。
桜に曲が入り込んでいく
まるで何かを教えているかのように
嘲笑の笑みを浮かびながら近寄ってくるケイネス。
桜は両腕を前にだす。
そして
「リングバインド」
異世界の魔法を使用した。
「ぬっ!?」
ケイネスの両手両足を黄色い輪のようなものが繋がれ固定されている。
「なんだこれは!?」
桜が続ける
「我が内に眠りし力よ、マスター桜が命じます。眼下の敵を打ち砕く力を、今、ここに。撃って、破壊の雷!」
桜の眼前に広がるは巨大な雷の猛攻
「…!?」
水銀を全展開させ必死に守るがギリギリ足りない。
ケイネスに一筋の雷が襲う。
「がぁぁぁああ」
雷に撃たれ体から煙を上げているケイネス、魔術刻印のお陰か再生が早い。
「この小娘が…」
京が桜に送った曲は「主よ、人の望みの喜びよ」、対象に高度な魔法使用を可能にさせる音楽である。
しかし、京が扱える魔法はモノマネでコピーした魔法のみ、しかしそれで十分なのだ。
それに運がよかった、魔法が使えてもこの世界の魔力では燃料として使えない、だが桜は極めて高い魔術の素養を持つ。架空元素・虚数だ、これが別世界の術式、魔力と結びついた、あるはずがない魔力と化した力は魔導師としての魔力と等しく変質した。
「舐めるなぁっ!!」
桜に水銀が振るわれる、食らえば真っ二つだ。
「MACHSPEED」
水銀が四散する、現れたのは眼帯をした軽装の男、京だった。
「やっと間に合った」
桜を守るように前に立つ。
「モンスター!!」
「ちょっと遅れた」
「貴様、ランサーはどうした!?」
「星になった」
「あの使えないサーヴァントが…」
ケイネスは苦い顔をする、これで形勢は完全に京の側に傾いた、自分ではサーヴァントには勝てない。
「桜」
京が桜に呼びかける
「なに?」
桜が応える。
「止めは任せるよ」
悪戯を提案をするように意地悪で無邪気な笑いをする。
「うん!」
「キール、大したナイトだったぞ、お姫様の為に1発頼むよ」
「任せろ!このナイト様によぉ!」
「キールロワイヤル!!」
大した威力は込めていない、相手を動けなくすればいいのだ。
月霊髄液の弱点は複数攻撃、多対一は向いていない、同時に別手段の攻撃には対処ができないのだ。
桜は紡ぐ
別世界では不屈の心で様々な人を救ってきた少女の言葉を
「これが私の全力全開」
放つは星の光の如き閃光、これを食らって無事でいられはしない。
「スターライトブレイカーEX」
桜色の極光がケイネスを包む。
「-----------っ!」
声を出すことすらできない、周りの木々が吹き飛び地面にはクレーターができている
大丈夫非殺傷設定だ、死なないよきっと
京が一人無残な跡地に近寄る。
哀れ。
思うのはその一言、自分も2回食らったことがあるからわかる、あれの怖さを
ケイネスはかろうじて生きているようだ、黒い焦げ目しか見えないが
また襲われても面倒、だが生きていてもらわないと困る。
背後から拘束する支配者が現れる。
「命じる、今後一切、モンスター、ライダー陣営に手を出すな、手引きすることも許さん」
ケイネスに命じる。
これでもう手出しされることはないだろう。
後はセイバーの抑止力としてせいぜい働いてもらうだけだ。
「大丈夫か?」
「これが…大丈夫に…見えるのか?」
意趣返しというやつだ、苦笑いしながら現象数式を起動させ傷を治す。
「完了」
傷を治し、立ち上がらせる。
「さて、桜、帰ろうか」
「うん!」
桜の両手には京と雁夜の手、3人仲良く拠点に帰るのだった。
ランサー星になる
ケイネス灰になる
の巻きでした。
新しい能力期待していた人は申し訳ありません、GOD HAND活躍させたかったので…