マイナー能力者が往く異世界記   作:じろー

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第26話

ボロボロになった体を引きずって帰ってきた京。

そこに待っていたのはなんともいえない雰囲気の空間だった。

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「どうしたの?」

 

 手を縛られソファーに座らされているアイリスフィールとどうしたものかと悩むウェイバーとライダー。

 桜だけがキョトンとしている。

 

「おぉ、やっと帰ってきたわ、遅いぞモンスター、用があるのはお前だけなのだからな」

 

「人が死に物狂いでセイバー止めてきたというのに…」

 

「セイバーは!?」

 

 アイリスフィールが焦り声を荒げる。

 

「死んじゃいないよ、大ダメージだろうが」

 

 今思うとあそこで倒してしまってもいいような気がするが、キャスターとアサシン対策の為に生きていてもらわないと困る。

 

「こんばんわ、セイバーの仮のマスターさん?アイリスフィールと呼んでもいいかい?」

 

 そして京の用が始まった。

 

「あなたは…モンスター…」

 

「あぁ、貴方に用があるのは俺だけだ、ライダーには手伝ってもらった」

 

「何が目的…?」

 

 毅然としながら真っ直ぐにこちらを見つめるアイリスフィール。

 お姫様というのはこういう人を指すのだろうと場違いにも思ってしまう。

 

「聞きたいことは沢山あるんだが…」

 

「貴方に話すことは何もないわ!」

 

 当然、マスターとして、魔術師として、ぺらぺらと情報を喋るほど人として生きてはいないだろう。

 

「まぁそう普通はそう言うだろう…」

 

 手の感覚を確かめながらアイリスフィールに近づく。

 

「……」

 

「ヒッ…」

 

 不気味な雰囲気を出し始めた京。

 アイリスフィールが怖気を感じて後ずさる

 

「おい、モンスターなにするつもりだよ?」

 

「そうだぞモンスター、ご婦人はもって丁重に扱わないといかん」

 

 お前それでもありとあらゆるものを略奪していた征服王か

 

「なに、軽い尋問だ。」

 

 これからすることが尋問と呼べるかどうかは疑問だが

 

「そ…そんなもので…」

 

 声が上ずっている。

 その姿に少しだけ心の琴線に引っかかるナニカを感じた。

 

「あまり感心せんのぅ…」

 

「そう血生臭いものでもないし大丈夫、見てればわかるさ」

 

 京が不敵に笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「99ハッピーソウルよりタマキチ、アルダー …発動」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 特に京に何も変化はない。

 そこで京は唱える。

 

「HEAVEN'S WIND」

 

 京の周りに風が吹く。

 

「彼女に祝福を!GIVE&GREAT HER HAPPINESS!」

 

 そこに現れたのは別に特に変わりのない京。

 

「準備は整った…夫への謝罪の準備は十分か…?」

 

 不敵な笑みをしつつアイリスフィールに迫る。

 

「こ…来ないで…」

 

 アイリスフィールは逃げる場所がない、身を硬くすることしかできない。

 

 猿芝居の始まりだ。

 

「さて…、質問その1だ、聖杯の中身はサーヴァントだな?」

 

「ッ…」

 

 それでもアイリスフィールは答えない。

 だが答える必要は実はなのだ。

 何故ならこれは猿芝居、見せ掛けでやっているに過ぎない。

 

「いいだろう…」

 

 そっとアイリスフィールに触れる。

 

「知ってる?人は殴られなくても感じることができる」

 

 京の手が僅かに震動し始める。

 

「感じて、最高のスピリッツ」

 

 ゾクリとアイリスフィールは感じた。

 感じたことのある何か

 

「大切なエクスタシー」

 

 そしてついに

 

「ひぅっ」

 

 アイリスフィールが可愛い嬌声を上げた。

 

「おや?なんだか可愛らしい声が聞こえたような」

 

「ぅ…、貴方に話すことはないっ!」

 

「ふーん」

 

 ピタリとアイリスフィールに触れる。

 

「ぁぁああああ」

 

「話さないの?イッちゃうよ?」

 

 なにがとは言わない。

 

「わ…私には夫が…」

 

「質問に答えないと」

 

「ひぃぃやぁあああああああ」

 

 なんだか楽しくなってきた、何かに目覚めてしまいそうだ。

 

「さっさと吐いちゃいてくれ、サーヴァントが聖杯の中身なんだろう?」

 

「あ…なた……に話す…こと…はない…」

 

「強情だ、な」

 

 そして再び触れる。

 

「あんっ」

 

「よし、質問1つ目の結果がわかりました。」

 

 キリッと振り返りライダーたちに告げる。

 少しだけ京のテンションがおかしくなっていた。

 

「なにも答えてないじゃん!」

 

「いやいや、震動でわかるって、心拍数の」

 

 感度を上げるためだけに触れているのではない、心拍数も同時に測っている。

 

「さて…どんどん質問いきましょうか…」

 

「ィ…ィゃァァァァァアアア」

 

 ライダー陣営の拠点にアイリスフィールの悲鳴と嬌声が響き渡った。

 

 

 今回京が入手した能力、アルダー。それは自身が九十九神になるというものである。

 九十九神とは器物が人から大事に扱われ、それが意思を持ったものだといわれている。

 京の九十九神の元とは…

 

 

 

 ピンク〇ーターである。電動コ〇シともいう。

 

 

 

 主に震動と風を操る。

 真の能力はかなり強いのだが今はこんなことにしか役に立たない。

 尋問という名のナニカが終わる、アイリスフィールはブツブツと何かを嘆きながらぐったりしていた。

 

「今思ったんだが、別に尋問しなくても触れて質問すればいいだけじゃ…」

 

「ぁ…バレタ?」

 

 ただのストレス発散に近かった、ついでにいうとライダー陣営に聖杯戦争の真実を確信させるためにパフォーマンスともいう、今では単なる京の憶測でしかなかったのだから。

 目の前で全部わかりきった真実を質問し、それがあたかも当たっていたように見せかけたかっただけ

 

「さて…アイリスフィール」

 

「まだ…用があるというの…?」

 

 気丈にもこちらを睨みつけながら問うアイリスフィール。

 

「いや、ここからが本題だ」

 

 そう、ここからが

 京はアイリスフィールの頭にふれ最大級に感度を上げる

 

「ぁっ」

 

 あまりの衝撃にアイリスフィールは意識を失った。

 そして京は自分の手を薄く切る。

 手に血が滲む、それをアイリスフィールの口に1滴、血を入れた。

 そして

 

 アイリスフィールの胸に手を突っ込み、掴み、引っこ抜く。

 

「カフッ」

 

「すまない…」

 

 右手にアイリスフィールの心臓を持ちながら謝罪する。

 京はそのまま

 

 心臓を食べた

 

 食感が生々しい、吐きそうだ。

 食べ終わると抗議の声が上がる

 

「おいモンスター!殺しちまってどうするんだよ!」

 

「マスター、よく見てみろ」

 

「…ぇ?」

 

 迫るウェイバーをライダーが止める。

 ライダーが指す先には赤細い蟲のようなものが胸の穴を埋めるように覆いかぶさり心臓を形作っている様だった。

 

「なんだ…これ…」

 

「俺の宝具だ、俺の血を受けたものは不老不死になる、呪いとしてのな」

 

 血仙蟲、血に潜む蟲が体に入ったとき瞬間的に増殖し感染者を不老不死にする。

 娘と夫を残し余命幾ばくもない生を送るか、死のうと思えば死ねる不老不死なら後者のほうがいいだろう、京の勝手な判断だが

 

「なんだそれ!?吸血鬼になるのか!?」

 

「いや、普通の人間だよ、ただ本当に死に辛くなる。頭を潰すか、水に沈めるか、氷漬け以外では死なない、吸血鬼よりは不死性はある、魂も劣化はしない」

 

「俺にもそれを…」

 

「やめとけ、無限の生なんぞいいもんでもない」

 

「然り、止めておけマスター、お主は手を出してはいかんよ」

 

 いくらでも不死者を量産できるとなれば大問題だろう。

 

「それに協会に見つかったら不死身人間の大量発生だ」

 

「戦争が起こるな…協会と…」

 

「そういうことだ」

 

 あまり殺しはしない、やるべきときは殺しにかかるが必要なもの以外はできるだけ殺さないでおきたい。

 

「で、どうなんだ?聖杯の器を食ったのだろう?」

 

「あぁ、なにかあるな、くらいだ」

 

 小聖杯を食った以上これで惨劇は回避されたも同然、あとは大聖杯もできれば破壊しておきたいところだが…

 自身が汚染されることはありえない、EAT-MANは対界宝具、かつて世界の材料を完食し、世界そのものを作り出した宝具だ。体内で渦巻いているのもは世界という規模さえ超える、人の業如きに汚染し尽くせるものではない。

 

「これで用は完了した。」

 

「そうか、では送り届けるとするかのぅ」

 

「いや、待ってくれ」

 

 京が止める。

 

「ん?用は完了したのではないか?」

 

 京は続ける、ここで本来の道筋に無理矢理近づけたい。

 

「ライダー、戦うだけが聖杯の真の持ち主となるわけではないだろう?」

 

 京が切り出す、なにか含み笑いを浮かべて。

 

「ふむ、然りだ。お主にはなにか考えがあると?」

 

「あぁ、どうだろう征服王よ、王として杯を他の王と交わしてみては?」

 

 京は提案する、本来はライダー自身が己で提案するもの、しかしここのところ忙しかった為に思いつかなかった。

 そしてこの聖杯問答は回避してはいけない重要なファクターの1つであると京は考える、アサシンの敗退だ。

 ここでアサシンに敗退してもらわないといつ背後からマスターが刺されるかわかったものではない。

 

「おぉ、いい案だのぅ!」

 

「だろう?ここで英雄としての格を量るというのは」

 

 掛かったと内心でほくそ笑む。

 

「なーにー言ってるんだお前ら!英雄同士で酒盛りだぁ!?馬鹿言ってるんじゃない!」

 

 ウェイバーが反発する、京も実際そう思う、だがこれは重要なのだ。

 

「まぁ、いいじゃないか、セイバーはアイリスフィールを返すついでに挑発も掛けとけば乗ってくるさ、ギルガメッシュなんて煽れば乗るだろうよ」

 

「あやつはどこにいるか」

 

「高い所にいけばいるのでは?」

 

「「確かに」」

 

 アイリスフィールはまだ眠っているようだ。起きたら聖杯がないことに驚愕するだろうが

 ライダーはアイリスフィールを担いで外に出ようとする。

 

「では行ってくる!」

 

「今!?」

 

 京も流石に驚愕する。

 いくらなんでも行動力がありすぎだろう。

 そして今さっき襲撃してそして会いに行くとはどういう神経をしているのか

 

「思い立ったら吉日とこの国の言葉にあるじゃろうて」

 

「だからって!」

 

 京の魔力はかなり消費してしまっている。残り50%といったところだろうか

 ライダーはお構いなしに京の腕を掴み現れた戦車に乗せる。

 

「って俺もいくのか!?」

 

 そこにはギルガメッシュがいる、自分と会えば戦闘必至な気がする、アサシンがどうたらという話ではなくなってしまう。

 

「提案者だろうに、当たり前だろう?」

 

「ここは…!臣下としては!邪魔しないほうがいいかと!!」

 

 必死になにか断る術はないかと考える。

 

「なに、気にするでない、この酒盛りで余が!聖杯に相応しいと!見せ付けてやろうではないか!」

 

 戦車は走る、夜空へと

 

「いや…、おい!」

 

 京は宴会という名の戦場へと足を踏み込んでいった。




主人公、ピン〇ローターの九十九神になる。
この能力の出番はあるかって?滅茶苦茶重要な能力です。

原作名:99ハッピーソウル
ジャンル:漫画
使用者:タマキチ
能力:アルダー
ピンクローターの九十九神になる。
能力は風を操ること、感応能力。
自身の活動機関としてピンクローターがあり、電源をOFFにされると身動きできなくなる。
真の能力は九十九神として使用者と合体すること、相手を捕食し能力を奪い取る。
変身した姿はデモンベインのメタトロンに似ている。

と99ハッピーソウルでした。
知っている人がいたら作者が狂喜乱舞します。
この作品知ってる人いるかなぁ…?ドマイナーとかいうレベルじゃ…
「NHKへようこそ」書いてる人の作品なのですが
設定が面白い、ピンクローターの九十九神とか
この小説を書く前はこの能力主体でなのはと合体させるようかと思ってたり
なのは+ピンクローター=最強 的な!!
全1巻なので見かけたら是非お手に取ってみてください!
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