次の日。
前の戦いでライダー、モンスターともに随分消耗しているので魔力回復もかねて休息を入れる。
各々が光合成や読書、ゲームなどを楽しんでいる。
するとそこに窓に宝石を埋め込まれた小鳥が降りてきた。
「…きたか」
京が予想していたように言う。
予想以上に早い。
窓を開け中に入れた。
特に危険な気配もしないので大丈夫だろう、ウェイバーも頷いている。
小鳥は机に降りると光だし手紙に変わった。
手紙を取る。
「読むぞ」
内容は簡潔、会ってモンスターと交渉がしたい、マスターも連れてこいという内容だ。
送り主は勿論遠坂時臣である。
どういった魂胆かは見え透いているがどうしたものかと思っていると
「行く必要なんてない!」
雁夜が発言する。
魔術師として、親として、男として時臣を全く信用していない雁夜、7割方私怨であるのは事実であるが桜を使ってこちらを利用しようとしている魂胆が見えるのも事実。
「桜はどうしたい?」
桜に聞く、ここは桜に委ねるべきだろうと京は思う。
マスター同士の交渉、それ以前に別れてていた父親との再会というのもある。自分を地獄に突き落とした1人だが自分から事実を知るのも必要だ。
危険が伴うのもわかる、だがこれも必要だと京は思う。
「…行く」
「わかった」
「桜ちゃん!!」
桜は行くと言った、桜が何を思って決断したかはわからないがこれで決まりだ。
「ライダーはどうする?」
「余は宝具の使用で魔力が残りが少なくてなぁ、しばらくは休養だ。なに、ピンチになれば駆けつけてやるわ」
「了解だ」
指定時刻は夜、場所は最初の戦いがあった場所だ。
それまでには魔力もフルに回復できるだろう。
京は静かに考える。
十中八九交渉は決裂、そして交戦だろう。つまりはギルガメッシュとの再戦である。
これまでにかなりの能力追加を行っているがまだ勝てる要素がない。
今持ちえる手札を全て使って何とかする必要があるということだ。
「やるしかない、か…」
覚悟を決める、ここで死ぬ気は全く無いが自分がどうなろうとも桜を連れて行く以上護りきらなければならない。
そして妙な緊張感の中で休養は終わり戦いが幕を上げようとしていた。
‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡
夜。
京、桜、雁夜が指定の場所に着く。
雁夜は無理矢理付いて来たようなものだ、正直京としては火種の予感しかしないので遠慮してほしかったのだが桜の護衛と言われると無碍にもできず、了承した形になった。
そこに現れる時臣。
どこからか殺気も窺える、ギルガメッシュも控えているということだろう。
「元気にしていたか、桜」
にこやかに言う時臣、が実際それは地雷だ。
「………」
京の背に隠れて時臣を睨みつける桜。
「お前はどうして桜ちゃんを間桐の養子にやった!?」
割り込むように怒鳴りつける雁夜
桜の言いたいことは全て代弁してくれそうだ。そういう意味ではここに連れてきたのは正解だったかもしれない。
「何故君のような魔術から背を向けた人間がここにいるかは知らないが…まぁいい、それは遠坂家の為だ。本来魔術師の家系は一子相伝、優秀な娘が2人いても受け継がれるのは1人だけだ。間桐の養子の話は渡りに船だった。間桐は廃れかけているとはいえこの聖杯戦争を管理している家の1つ、この戦争で勝つことが無くとも、遠坂の血が流れる者がいずれは聖杯を勝ち取る確立が増えるというものだ。」
ビクッと桜が反応する。
自分が地獄に落された理由を知る、桜はどう思うだろう?怒るだろうか、悲しむだろうか、そんな理由であのような目にあったのかと、それがわかるのは桜だけだが
「お前は…凛ちゃんと桜ちゃんが戦うことになってもいいと言うのか!」
「それはなんと良いことだろう、勝った方が聖杯を手にするのだ。どちらにしろ遠坂の血を汲むものが聖杯を手にする、負けたものもその礎になれるというなら本望だろう」
あっさりと答える。
京はじっとその光景を眺めていた。
事の成り行きを見守るだけ、魔術師の本懐に対して思うところも特には無い、その行いに対しては眉を顰めはするもののそれだけだ。
他人がどう思おうとどうなっとしても知ったことではない、身内が危険に曝されなければどうでもいい。
「話が逸れたな…、話があるのは桜、お前だ」
それを聞いて桜が見上げた。
とても無表情な顔だった、蟲から助け出した時のような顔だ。
「遠坂の元に戻って来い、間桐は潰えた。もうそちらにいる必要はない」
交渉などではない、命令だ、マスターを引き入れ駒とするための。
桜は未だ無言で見上げている。
京の服を握り締めるように掴む。
「遠坂家の為だ、そのサーヴァントも役に立つだろう、これで聖杯に手が掛かったようなものだ」
時臣が笑う。
その目は桜を見ていない、道具としか見ていない。なぜなら魔術師なのだから、自身を道具と認識して魔術を行使する存在、肉親であろうと平気で売り渡すモノ。
そして桜が口を開く。
「もういい…」
「桜?」
京は声を掛ける、桜の言葉の質に気がついて
「もういい…、知らないよ、わからないよ」
桜の目に涙が浮かぶ。
それは絶望と、諦めと、悲しみと、怒りを含んだ涙だった。
そして
「モンスター!殺して!!」
最悪の言葉を吐いた。
「っ!?」
桜の令呪が1つ消費される。
京の体に強制力が掛かる、それは親殺しの命令。
「桜!?待て!!」
京が必死に止めようとするももう遅い、体が自然に動きだそうとしている。
ここで京が自分が如何に迂闊だったか思い知った。
「ちぃ…!」
止まらない、時臣が死ぬのは別に構いはしない。しかしその原因が桜の命令となれば話は別だ、親殺しなどさせるわけにはいかない、これからのためにもそんな責を負わせるわけにはいかない。
必死の抵抗も空しく時臣に向かって京が突進する。
「っ、アーチャー!!」
京に向かって高速で飛来する3つの宝具
咄嗟に避ける京
「暗示か…?」
時臣は理解していない、できない。桜の思いを全く理解できない。今まで何があったか知らない、そして魔術師であるが故に今までしてきたことを悪いとも思っておらずそれを桜も同じであると思っているのだから
倉庫の上にギルガメッシュが現れる。
「我のエアを食らって生きながらえるか…どんな手品を使った?」
心底見下した目線、冷や汗が流れる。
今の令呪が掛かった状態では桜の防衛ができない、マスターとそのサーヴァントの攻撃行動に限定されてしまっている。
だがこの令呪によって一時的に京の魔力は倍近く増幅している、あの命令にどれだけの思いが詰まっていたか察する事が出来る。
打開策は
「はっ、そんな弱い宝具じゃ俺は倒せないんだよメッキ野郎」
挑発だ、正直自分で言っていても安い挑発だと思う。
だが効果はある。
「今度こそ塵も残さぬわ」
標的になったのは自分。
ギルガメッシュの背後には最大に展開した王の財宝。
「雁夜!桜を任せたぞ」
前回よりも切迫した状況、対ランサーのように速攻で倒すなどという事などギルガメッシュを前に言うことができない。そして雁夜は治療で蟲を全て取り除いてしまっている。時臣と戦うなど論外だ。
自分に降り注ぐ宝具達。
防衛行動に移りにくい、このままではエアを撃たれる前に敗北するのは必至、切り抜けなければいけない。
「
一帯を樹海に変える、目晦ましと雁夜のサポートを兼ねたものだ。
「小賢しい!!」
乱射される宝具、切り裂かれ貫かれても再生と成長を繰り返す植物だが宝具の嵐の前には分が悪い。
MACHSPEEDで高速移動し、姿を眩ませる。
さらに京は続ける。
「我解くる鬼神の呪縛 秘呪の刃にて封呪を断つ!破呪!ヴァジュラオンアーク!現臨せよ汝前鬼!」
唱えるは鬼神化の呪文
「鬼神前鬼ここに現臨」
魔力の消費はかなり大きいが致し方ない、これでも足りないほどなのだ。
狙うは出来るだけ早くギルガメッシュを倒すこと、その為に能力を全て使ってでも早期に決着をつける、つけなければならない。
何故なら魔力が持たないから、4つ5つ程なら1回の戦闘は長く持つだろう、だがそれではきっと倒せない。令呪で魔力が一時的に増えている今しかない。
だから全身全霊で早々に決着をつける。
「そこにいたが害獣が」
変身の余波でこちらの位置がバレたのか宝具郡が一斉にこちらに向かう。
「まだまだぁ!!」
自身の能力をフル発動させる。
心の中の黒い木の花が3つ、咲く。
七ツノ魂が活性化、体中から鎌が生える、そして妖怪としての第3の目が開眼した。
襲い掛かるは宝具群、その数は100以上
だが京は立ち止まらない、更に能力を同時発動させる。
「はぁぁあ!」
―――――――
宙に浮いた魔剣と背に千手天衣、COFFINが現れる。
髪をドリル状に形成し攻撃に備える、その数は明けの明星とボウグ併用により50の数のドリルになっていた。
千手アーマーの手を数本使いCOFFINを構え、体から突き出した蔓でCOFFINに内蔵している二丁拳銃ケルベロスを絡めとり銃口を向ける。
まだ終らない。
「キール!ジバクくん!!」
肩にジバクくんがそして左腕にキールが装着される。
同時に京に襲い掛からんとしていた宝具もすぐそこまで迫っていた。
バルカンと拳銃の銃口を向け乱射する。
正確無比な連射で落されている宝具。
だがそれでも圧倒的な数の前には素通しされる宝具が多数。
京の手もまだ終らない。
「ハァー!」
口から凄まじい量の煙を吐き出す、更に九十九神の能力で強風を起こし、煙を辺りに蔓延させる。ランクの低い宝具は対抗しきれず、悉くキノコと化していく。
京は立ち止まらない、更に前へ前へと進む。
京の攻撃を掻い潜り6つの宝具が京へと襲い掛かるが
「ブレングリード流血闘術111式
巨大な血の槍によって5つの宝具が弾き飛ばされる。
カチリ。
腕の拘束具が外れる
黄金に輝きだした腕は残る1つの宝具を掴む。
―――――――ゴッドリール技が奥義が一つ
「ワイルドピッチ」
掴んだ宝具に神の右から流れる闘気を纏わせギルガメッシュに向かって投擲する。
「ZOOM」
「ぬぅっ!」
咄嗟に避けようとするギルガメッシュだ間に合わない。
ギルガメッシュの体を掠るがそこから亀裂が入り、闘気が浸透する。
「がァっ」
ZOOMの効果により通常の威力よりも更に倍の威力を仕込んでいるため鎧に掠る程度だとしても大ダメージは逃れられない。
「害獣風情がぁぁあ!!」
京は駆ける、王の財宝のみを使用しているうちに倒しきる。
そしてテレポーテーションで一気に近づく。
「小癪な!」
更に勢いを増す宝具
だが更に前へ、前へ
「キールロワイヤル!!」
前方の宝具を一掃
更に進む、進む
「貴様…」
目の前にはギルガメッシュ
「金剛拳雷電!」
雷が宿る角が右手から突き出る、神の右との相乗効果で更に威力が上がる。
ギルガメッシュは盾を出すが
「っ!?」
力任せに砕き割る。
目の前にはギルガメッシュ
そして
無数の鎖が京を縛っていた。
盾をを隠れ蓑にしての奇襲
見事にそれに引っかかってしまった。
「グッ!?」
鬼神との相性は最悪、とても抜け出せるようなものではない。
そこに襲い掛かる宝具
両手両足は拘束されるもなんとか他の宝具で対処する。
だがかなりの行動の制限を食らった京は長くは続かない。
「ちぃぃい!?」
段々と体を削られていく。
直に血仙蟲が塞ぐがジリ貧なことには変わりない。
このままでは前回の焼き増しだ。
桜の方を確認する。
かなり遠くまで逃げ遂せたようだった、遠目からこちらを見ている。
幸い、キノコ魔法を辺りに撒き散らしたお陰で時臣も溜まらず退避したといったところだろう、まだ油断は禁物だが
「この我に傷を負わせエアおも耐えたか…、益々苛立たしいことだ。お前如きが我が朋友と並ぶべくも無いというのに」
似ているのが気に入らないと、朋友と同じ場所に立つなと、そう言っている。
京に殺到する宝具
ギリギリで致命傷を避け防いでいく。
そして残り魔力が半分を割った、予想以上に早い。
死のカウントダウンは刻一刻と迫っていた。
「なるほど、中々にやるようだ。だが至近距離からのエアは耐えれまい?」
「………」
エアを背後から引き抜くギルガメッシュ
ここに来て京の目的は瓦解した。
京は必死に頭を回しどうするかを考える。
「多少は認めてやろう、朋友には及ばないがお前も中々愉しませてくれたと」
エアが回転し魔力が荒れ狂う。
「死ぬがいい」
そのまま京に振り下ろされる。
「ァ゛ァァァァァァア゛ア゛ア゛!!」
力任せに千切る。
それでも目の前の攻撃を止めることはできない。
目の前に絶望が迫っていた。
「
絶望が吹き荒れる。
京はここで決死の一手を打った。
「…
「ルドラァァァア!!」
京の体から凄まじい光が爆発するように溢れる。
そして魔力と鬩ぎ合い。
大爆発を起こした。
「ふん…悪あがきを」
ギルガメッシュが言う、今の攻撃では傷1つ無い。
そしてギルガメッシュの視線の先には1つの黒い影
「ゴフッ…」
そこにいたのは鬼神化が解け血を噴出している京の姿があった。
ルドラ、それは鬼神の力でも最も強い技、自身から光の力を爆発させ超威力のダメージを発生させる。だがこれには自分の体の崩壊というリスクが付き纏う。それが今の結果だ。
エアに対抗するため本来の威力以上の力を捻り出した、その反動。
なんとか相殺はできなくても逸らすことでダメージは死ぬほどではないにしろ回避することができた。しかし、反動で体が崩れてきている、体中に罅が入り左腕は崩れてしまっていた。
他の能力も力の底がつき維持できずに四散している。
「見るに耐えん」
ギルガメッシュ背後から5つ宝具が現れ京に標準を定める。
「…」
崩れゆく体をなんとか繋ぎ止めることが精一杯の京には動くことも儘ならない。
目前に迫る宝具
「…ごめん…」
それは誰に向けた言葉だったのか
その時、光が見えた。
‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡
「ここまで来れば大丈夫かな」
雁夜がそう言う。
かなり遠くまで来た、突然辺りから木々が生え出して辺りを森の中、ジャングルのようにしてしまう。
そしてここを通れといわんばかりに1本の道が続いていた。
「桜ちゃん、大丈夫かい?」
雁夜が心配する。
だが桜の頭の中はあることで一杯だった。
「モンスター…」
父親の話に我を忘れてしまった。
覚悟はしていたはずなのに、予想以上の言葉に我慢ができなかった。
魔術師はこういうものなのかと自分が道具のように扱われていた、間桐とまるで変わっていないと理解した。
そして命令してしまった。
『モンスター!殺して!』
あの時のモンスターの顔は驚きと戸惑いが混ざったようなものだった。
そして今自分の父親を殺そうとモンスターが戦っている、自分の命令で
きっと嫌がっているだろう
なんてことをしてしまったのだと後悔する。
「………」
今のこの状況は自分の命令のせいだ。
こんな戦いでは自分はサポートすることもできない。
ただただ遠くから見守るだけ
するとそこに大きな光が辺りを照らし出した。
「これは…」
雁夜が見たことがあるのか呟く
「痛っ」
右手の甲に痛みが走る。
右手にあった令呪が段々と薄まっていた。
桜は目を見開く
視線の先、見えるのはボロボロで満身創痍のモンスターの姿
そして止めを刺そうとする敵の、父のサーヴァントの姿
「ぁ…ぁ…」
どうすることもできない。
右手が痛みで疼く
桜は気付く、令呪が1つ欠けていることに
モンスターが言っていたこと、これはサーヴァントに強制力を掛けるものだと、縛り付けることもサポートすることもできる、自分はこれを無意識に1つ使ってしまっていた。だからあんな命令も実行しようとしたのだ。
無理矢理やらせていたのかと更に自責の念に沈みそうになる。
しかし、今はその時ではない。
まだ令呪が2つあるのだ、使わない手は無い。
だがどうやって命令しようかわからない。
敵のサーヴァントが攻撃を繰り出そうとしている。
「がんばれ!モンスター!」
令呪が1つ使用された。
‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡
『がんばれ!モンスター!』
確かに聞こえた、彼女の声が
令呪の効果が発動する。
京の脳内に勝つための方法が能力が浮かび上がっていく、魔力も少し回復した。
「ありがとう、桜」
立ち上がる、まだ体は崩れかけているが応援されたのだ、がんばれと、ならばやるしかないだろう。
他ならないマスターの頼みだ。
ギルガメッシュの宝具が迫る。
「ユーベルブラットよりケインツェル、
「なに?」
ギルガメッシュから声が上がる。
京に向かう5つの宝具は全て弾き飛ばされたのだ。
弾き飛ばされた原因はただ1つ、京の右手の甲から生えている鎖のついた4本の黒い剣だ。
そして今日は満月、京の体が回復してゆく
発動した能力は
しかし回復はゆっくりとしたもの、しかし1つの能力を使う上では十分だ。
カチリ。
再び右腕のリミッターが外れる。
今なら放てる、最も強いゴッドリール技の1つを
――――――――ゴッドリール技が最奥之一
「真・ゴッド瞑想」
魔力が体力が体の傷が一瞬にして全回復する。
そして再びギルガメッシュと対峙した。
「まだやるか…」
「あぁ…マスターのお陰だ」
ギルガメッシュもそう何度もエアを連発することはできまい、2,3発といったところだろう。
ギルガメッシュは下がり王の財宝を展開する。
しかしまた以前と同じようなことをする気は京には無い。
「SCAPE-GODよりひつじさん、
京の頭から羊のような角が生える。
そして右手に現れるは身の丈を超えるほどの大剣「世界の墓標」。
京に向かい100以上の宝具が襲い掛かるが気にするべくも無い。
今日は両腕を前に突き出す。
「天満天神」
両腕に目視できないほどの電流が迸る。
「雷神招請、来たれい!ジュピター!」
――――――――――――
放つは神罰の雷。
京の前方を埋め尽くすほどの雷は宝具を全て飲み込み消し炭にした。
「貴様…その力は…」
半分神だからわかるであろうその力の性質を
「さてね」
ギルガメッシュに向かって突き進む、真直ぐに
「
世界の墓標を前方に向け唱える、空間が湾曲され盾のような形になる。
京に殺到する宝具だが
「なにっ!?」
盾に触れた宝具が当たった端から反転し他の宝具に当たり打ち消しあう。
鏡映反転、それは空間を一部湾曲させることにより本来ただ折る空間のルートを捻じ曲げること、当たった宝具は実際には直線運動しかしていない、紙に書いた直線を半分に折ったようなものだ。
迫る。
「猪口才なぁ!!」
エアを持ち振るおうとする。
京も負けてはいない。
「
天地を乖離させ開闢させる神域の斬撃
だが英雄王よ、知るがいい
宇宙を開闢させる神の一撃を
「
宇宙の世界のあらゆる方角より絶対零度の熱を持つ光を自身に集める、京の体は極光を発し、爆発した。
それは第二次宇宙開闢と呼ばれるものの縮図、絶対なる唯一神の力であるが故に完全には使いこなせないが十分だ。
ぶつかり合う2つの攻撃、鬩ぎ合い打ち消しあい、そして何も無くなった。
「我のエアと拮抗するだと…!?」
それは驚き、自身の最強宝具と肩を並べられたことによる驚愕。
京は未だかつて使ったことのない高出力の攻撃の反動で動けなくなっている。
「まだだ…まだ終らん!!」
3回目のエアを放とうとする、同時に背後に展開する王の財宝、同時攻撃、それはいかほどの威力なのか
「もうエアには飽きたよ」
もう3発は食らい、避け、相殺した。
もう懲り懲りだ。
令呪によって更に能力が1つ昇華している。
――――――――能力リミッター解除
――――――――対象
――――――――フェティッシュ:写殺
京の左目が真っ赤に充血してゆく、カメラも無しに
フェティッシュとは対象者の異常とも言える程の欲望から自身を変性させるもの、物を媒介にした能力を得るものではない、媒介物そのものに自身を変性させ、能力を持ったモノに自身を変えるのだ。
得た能力は写殺、その根源たる欲望は人の死の瞬間を撮ることを至上の快楽とすること
故に京の左目から脳にかけてフェティッシュ能力の真の能力が覚醒する。
ギルガメッシュに目の焦点を合わせる、それはまるでカメラのピントを合わせるように
カシャリ。
そしてあるはずのない音が聞こえた。
「ガァァァァアアア!?」
ギルガメッシュが爆発する。
それは30m以上の火柱を上げるほどの大爆発。
自身に体の一部をカメラに変性した京はもうカメラを媒介にする必要などなくなった、なぜなら自分自身こそがカメラなのだから、焦点を合わせるだけでいい、それだけで相手は爆死する。
「グォっ!?」
左目からは血が流れる、直に再生を始めるがそう乱発できるものではないようだ。
体が動く
左目を閉じ、ギルガメッシュに向かって突進する。
エアは止めたものの王の財宝は健在だ。
無数の宝具が主の号令を待っている。
取り出すのは眼帯、すぐさま装着する。
「2代目柳生十兵衛…見参」
同時に体から炎が噴出す、ゴーストライダーへと成る。
「p-----!」
口笛を吹きヘルバイクを呼び出す。
そして現れる巨大なバイオリンを召還
「魔曲…」
演奏するは勇壮な音楽
「ハチャトリアン作」
現れるは数え切れないほどの無数の剣
「『剣の舞』…!」
「貴様ァっ」
ギルガメッシュがダメージから回復したようだ
「もう遅い」
ギルガメッシュの号令で宝具が降り注ぐ。
京はバイクに乗り込み超高速で接近する
自身に集る宝具の群れ
それを両手の太刀で薙ぎ、右腕から生えた4本の黒い剣で打ち落とす。
前方には一気に襲い掛かろうとしているのか大量に展開している宝具
京は右手の太刀を前方に向け詠唱する。
「デアボリック・エミッション、闇に、染まれ」
モノマネで得た能力を全開にして撃つ
そこには何も無かったように宝具が消えている
「
ありとあらゆるものに支配者から放たれる釘が刺さり道が構成されていく
それはギルガメッシュへと続く一本道
「害獣風情がぁっ」
道が1本になったことにより攻撃が激しさを増す。
「
オーラの嵐で弱い宝具は次々と落ちていく
だかそれをも突き抜けてくる宝具が多数
だがそれにも動じはしない。
「"大"バクシンハ!!」
「ジ!!!!!!!」
ジバクくんから放たれるピンクのエネルギー波、それはゼロフィールドと相まって宝具を全て吹き払ってゆく。
そしてギルガメッシュは目前
最後の悪あがきと鎖が京の周りを絡め取るように縛り上げようとするが
それは既に予知によって読んでいることだ。
「完成!」
体中から10の宝具が現れ1つ残らず切り裂く
かつて戦ったときにEAT-MANで食べたものだ
ヘルバイクでギルガメッシュに体当たりをかます。
「ガハァッ!」
吹き飛ばされるギルガメッシュ
そしてギルガメッシュの背後にテレポーテーションする。
同時に最後にして最大の能力を発動する。
「漆黒のシャルノスよりM、喰らう牙 …発動」
「そこまでだ」
一言、これで終わりだと
辺りに漆黒の空間が展開される。
「かつて古代バビロニアを支配し世界の全てを有した人類最古の英雄、なるほど確かに英雄王と呼ばれることはある」
黒い影、暗がりに溶け込む誰か
どこか京に見覚えがある――――――
黒く、黒く染まっている。
京が受け入れたもの、新たに発動した能力
ギルガメッシュが目を見開く
誰だ。コイツは。誰だ。
不可解と、奇妙と、混乱だけがあった。
―――――――――誰だ、お前は
心がざわつく
―――――――――それに近づけば全てが終る
そう言っている。
「お前は誰だ…」
ギルガメッシュはそう問う。
「誰だっ!?」
叫ぶ。
―――――――――英雄王が悲鳴を上げる
あまりの奇妙さに
黒い影はギルガメッシュを向いたまま微動だにしない
「はは」
人影が漏らしたのは果たして嘲笑なのか
暗がりの中で肩を竦める。
英雄王を前にして
それは確かに嗤っていた。
「お前こそ誰だ」
黒い影が問う。
「全てを我が物とした英雄王。確かお前はそう驕っていたはずだったな」
続ける。
「孤高なるもの、いと高き頂において全てを治めるもの。世界の全てを手に入れた王。」
「英雄王」
「わかりやすいカタチだな。だからこそ英雄の中においても強いのだろうが」
両手に銃を構えギルガメッシュを撃つ
「ガッ」
倒れない、それは王としての吟詩からか
1つ、2つ、3つ
英雄王に穴が開いてゆく
けれどそれだけだ、英雄王は倒れはしない。
「流石に英雄王は違うか、流石頂点に立つ者、随分と頑丈なようだ」
「ここにいるのはお前と俺だけだ」
―――――――――そう言う人影
―――――――――嗤っている
ギルガメッシュは感じていた
―――――――――――――恐怖を
―――――――――――――嫌悪を
「提案しよう英雄王!!」
告げる。
「食事の時間だ!」
「害獣風情がァァアアア!!」
叫ぶギルガメッシュ
だがこの空間内では何もできることなど無い
紡ぐ
「―――――――――城よりこぼれた欠片の1つ」
「クルーシュチャの名を以て」
「方程式は導き出す」
「我が姿と我が権能、失われたもの」
「―――――――――喰らう牙―――――――――」
「足掻く全てを一とするもの」
―――――――――黒く染まった影の周囲が
―――――――――ざわつき、沸き立って、うねる
見えているものは幻か、それとも夢か
黒く、影を纏わせる。
それは何かを思わせるようで
カタチが形成されていく
―――――――――黒い文字
―――――――――カダスの碑文を思わせる
ぐるりと取り巻く文字のような黒い群れ
京の内から吐き出され、回転し、変形し 不規則な幾何学模様を描き出す。
それは数式、言葉ではない、複雑怪奇なモノ
黒い群れを京の体が咀嚼するのがわかる。
口で、足元の影で
―――――――――人間のカタチをしたものが
―――――――――怪物の成りそこないを食べていく
文字の羅列を京は食べる、喰らう。
ごくり、ごくりと
未だ多くの黒い群れを残したままで
京は静かに告げる。
「喰らうぞ」
―――――――――そして
―――――――――京の姿が変わる
―――――――――右目が赤く紅く輝いて
―――――――――闇に満ちた夜のように、影のように
―――――――――姿が変わってゆく
右目から漏れる光は奇妙な模様を描き出し
揺れる、揺れる、揺れる
―――――――――そして
京の右手が黒く、漆黒に歪む
それは獣の様で、怪物の様で、人の様だった。
肩口を突き破るのは黒い刃。
半身を蝕むのと同じく硬度のあるそれらは、
互いに擦り合わさって
軋む、軋む、軋む。
右端の末端にまで同じ変化が起こっていた。
服を破り、肉と骨を砕いて、幾つもの刃が
震える、震える、震える。
―――――――――そして
―――――――――最後に
―――――――――体に、赤色の亀裂が走る
―――――――――胴を、斜めに引き裂いて
男の右半身が歪んでいた。
鋭い助骨にも乱杭歯にも見える黒色の刃が
幾つも宙に突き出され、歪む、歪む、歪む。
眼帯に浮かぶものと同じ赤色をした亀裂は、
男の胴を引き裂きながらもその体を砕かず、
人型を保って蠢く、蠢く、蠢く。
脈動しているのだ。
まるで、巨大な生物の内蔵であるが如く
―――――――――人が歪んでゆく
―――――――――理解できない。怪物の、人の、カタチを
「英雄王の名を持つ哀れなものよ」
「お前の力は届かない」
ギルガメッシュがエアを発動させ消えても構わぬと最大出力で振り下ろす。
同時に振り下ろすは黒色の右腕
あまねく万物を砕き呑み、鏖殺することを許された黒色異形の“腕”を伸ばす…!
「 残 念 だ っ た な ! 」
―――――――――京の声が
―――――――――あらゆる闇を引き裂いて、砕く
エアなど何も無かったように掻き消され四散する。
ここは漆黒のシャルノス
永久無限に連なり重なり増殖する無限複層宇宙
お伽噺の最後の王の城
黒い腕がギルガメッシュを砕く
巻きつくように英雄王を取り込み、押しつぶす。
砕く、砕く、砕く、砕く、砕く。
元の形がなにであったのかすら認識することができない。
バラバラの破片になるまで、刹那の間に。
「……………!」
懇願、悲鳴、絶叫、憤怒、断末魔
果たして声にならぬ声はどんなものなのか
英雄王が破壊される。
そして
―――――――――喰らい尽くす
「は は は」
嗤い声が響く
夜の闇に
響く
「はは、ははは!」
嗤う
「英雄王を謳うのならば」
「この程度で死ぬな!足掻け!」
「あらゆる宝具を使いこなしてみせろ」
「パラケルススを嘲笑ってみせるがいい」
嗤い声は止まらない
「は、は、は、はっ!」
「はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」
京の嗤い声だけが響く。
長い英雄王との戦いが終った。
夜の闇に嗤い声だけが響いていく。
嘲笑うように、嘲笑するように。
漆黒の闇が消えていく。
終わりは、近い。
今までの全能力発動による戦闘
英雄王食べられる
の巻でした。
正直やり過ぎた感が否めない、テンションのままに好きな能力を突っ込んでしまいました。
原作名:ユーベルブラッド
ジャンル:漫画
使用者:ケインツェル
能力:
高位妖精を喰らうことで自身を高位精霊と化させる。
能力は3つ、精霊の声を聞くことができる、月の光を浴びることでの回復、4本の黒い剣を操ることができる、というのも
4本の黒い剣は手の甲から鎖のようなもので繋がれて現れており意思のままに動かせる。
とユーベルブラッドでした。
日本よりも海外での売り上げが高いという珍しい作品。
ぶれない復讐物、作者は大好物です。
戦闘も面白く、主人公もカッコいい、あとちょっとエロい。
最近2年のときを経てやっと復活しました、うれしすぎて涙がでるレベル。
原作名:SCAPE-GOD
ジャンル:漫画
使用者:ひつじさん
能力:
唯一神に体を変性させる。
唯一神だがそれといった全能性は特に無い。
神の武器として「世界の墓標」と呼ばれる大剣を召還できる。
また、神の力の一端として様々な魔法などを扱うことができる。
とSCAPE-GODでした。
超ドマイナー、全1巻、知ってる人がいたらちょっとうれしい。
なんだか超展開だったですがひつじさんが可愛かったから許す。
手にとることがあれば是非に
原作名:漆黒のシャルノス
ジャンル:ADV(エロゲー)
使用者:M
能力:喰らう牙
接触したものを時間と空間と因果を超えて取り込む能力。
実際は自身の支配する漆黒のシャルノスという無限複層宇宙の力の一端。
シャルノスを展開すればその中では自身は無敵に近い存在になる。
概念、物理、空間、あらゆる攻撃に対して無効である。
と漆黒のシャルノスでした。
作品はインガノックと同じ世界観を持つ作品。
主人公の少女の鋼メンタルでツンデレヒロイン(男)を口説き落とす作品。
とりあえず喰らう牙でボスだろうと瞬殺、強すぎですMさん。
例の如く全くエロくないのでこれなんでエロゲ?な感じではあります。
お勧めの作品です。