何故かというと恋愛描写が作者苦手なので…
ヒロインは存在しますが、甘い展開というものは皆無なのでご了承を
「嗚呼、今日も日光が心地良い…」
廃屋に拠点を置いてから早くも3週間目に突入し、京は見事に植物人間として順応していた。
見た目が人外と化してしまった為、迂闊に外に出るわけにもいかず、直す手段も当然のように思いつかない。
日陰者としての生活を余儀なくされ毎日廃ビルで過ごすしかなくなったのも植物人間として順応してしまった原因であった。
昼間は光合成をしながら昼寝をし、夜はなにもしないで寝るという植物同然の生活である。
「…」
外を眺め思考に耽る。
人として外れた身では私生活すら無理だろう、見た目がもう化け物である。
植物人間になってから気がついたが引き出した能力はもう自身に定着してしまい元に戻せない。
能力の重ね掛けによる弊害も考えた方が良さそうだ。
そして観測者/エントリー・モードで化け物でもなんとかなりそうな世界に行こうと思ったがエラーが発生した。
どうやら多少二次創作としてのアクションを起こさなければ別世界に行くのは許さないそうだ。
そもそも見た目が化け物を受け入れてくれる世界など無いだろう。
そしてこの世界よりはマシという程度だ、根本的な解決には至っていない。
「なぁ、どう思うポチ?」
「くぅーん」
傍らに立つ犬を撫でる。
その犬もまた異形であった。
全身が木で構成され、顔の中心には両目の変わりに京の右目と同じく3つの複眼が付いている。
流石に独りは寂しかったのかお供のようなものが欲しかった。
動物の死体を探し鳥、犬、魚のアレトゥーサを作り上げた。
アレトゥーサとは全身を木で構成された化け物だ。
全身を消滅でもされない限り死ぬことは無い。
基体として動物に死骸が必要でそれに植物を植えつけることで簡単に作る事が出来る。
「ようし、お前たちの名前はテバサキ、ポチ、マイケルギョギョッペンだ。よろしく頼むぞ」
魚のアレトゥーサだけ微妙顔に見える、何か文句があるのかマイケルギョギョッペン。
とりあえずアレトゥーサ達は自由行動をさせる、ポチは成長させると目立 って騒ぎになりそうなので控えさせた。
テバサキは空にマイケルは海に潜んでもらえば大丈夫だろう。
全身特殊木製な為レーダーにも引っかからない、そして彼らとは常に繋がっているため寂しくは無い。
「あとは…そうだな、やることないや光合成しよう」
いつものように光合成に入る。
物語は始まっているのだろうか、それだけが気掛かりだった。
もしも物語が始まっているのならば介入するだろう。
この世界にいるメリットは限りなく薄い。
ならばまだマシなところで人並みの生活に戻る事が出来たらとそう思っていた。
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半年後、廃屋は見事に植物プラントと化していた。
普通の廃屋だったはずなのだが京がいる5階は草花が生い茂りコンクリートの中には根と蔦が張り巡らされセキュリティーは極めて高い。
そして、廃屋の中心で静かに佇む植物のオブジェ…、京がいた。
何故こんな状態かというと朝起きれば体から生えている葉と根をいちいち抜くのが面倒になったからだ。
「………………………」
もはや人間植物である。
2ヶ月前からずっとこの調子であった。
人前に出られないので仕方ないのかもしれないが
そして植物人間の能力の一つである植物とのリンクによって鳴海一帯を常に監視しているが別段何も起きていない。
自分は物語の過去か未来に来たということだろう、過去であると信じたい。
いつものように光合成に勤しんでいると下の階から何やら音が聞こえる。
「…………ぉ?」
植物とリンクし下の階に意識を移すとなにやら紳士風の男と銃を持った強面の8人の男達が自分と同い年くらいの少女を運んでいる。
「はて、あれは誰だったか…」
どこか自分の知識に引っかかりを覚える。
誰だったかと頭を捻り、思い出す。
「あぁ、月村…、まぁいいや」
吸血鬼という設定があったはずだ、明言も仄めかしすらもされていないが
そしてご令嬢である。
現状を見ただけで誘拐か何かなど簡単に察する事が出来た。
正直スルーしたい、どうせ戦闘民族高町家長男が助けにくるだろう。
「電話越しに足でも切り落として悲鳴あげさせりゃ商談も円滑に進むだろうよ」
なにやら物騒なことを口走っている。
近くに他の気配は無い。
自分というイレギュラーがここにいる時点で助からないという事も視野に入れた方がいいのかもしれないと思案する。
そして京は地面にそっと手を付けた。
「じゃぁ、足とはお別れは済んだか?旦那、いいですかい?」
「構わん、切り落とせ」
紳士風の男が命令した。
「いやぁぁぁあああああああーーーーー!!!!!」
少女が悲鳴を上げると同時に天井から植物の蔓が飛び出す。
グチャリと何かが潰れたような音がした。
少女はいつまで経っても痛みが来ないことに疑問に思い、瞑っていた目を開け
「ひっ…」
絶句した。
天井から飛び出た蔓は刃物を振り下ろそうとした男の頭を貫通し絶命させていた。
頭が潰れてもまだ体は微かに生きているのかビクリと痙攣するように震えている。
そしてトントンと足音が聞こえてくる。
自分達以外にはここを知る者はいないはず、敵かと残りの男たちは身構えた。
「いい材料が手に入った」
「誰だ!?」
紳士風の男が声を荒げた。
「こんにちわ」
「!?」
現れたのは年端もいかない黒い髪の少年だった。
ボロボロの服とそれを突き破って生えている葉と蔦、顔の右側から耳にかけて覆われた黒いマスクのようなもの、そして人としては有り得ない右目があるはずの部分にある3つ目を除いて
「貴様…何だ…?」
「見れば分かるでしょう?ここに住んでいる化け物ですよ」
先程、人を1人殺したが特に何の感慨も浮かばない。
それほどに感情が希薄になりつつある証拠だった。
精神が植物に寄ってきている、これが原因だ。
目の前には刃物や銃を構えた男が7人、負ける気はなかった。
同時にここから逃がす気も無かった。
自分という存在を知られ生きて返すなど論外だ。
こんな姿だ、モルモットにされかねない、特にああいった輩には見つかるのは碌な結果にならないだろう。
「ふん…、汚らわしい姿だ。おい、処分しろ…いや、腕と足を破壊しろ持って帰る。」
予想通りの反応に口元が釣り上がる。
どう処理しようかと
能力を得たと同時にかつてそれを扱っていた者の経験も流れ込んでいる。
この能力も十全に使いこなせる。
「撃て!!」
男の号令と同時に数人が京に向けて銃弾を見舞わせる。
次々と聞こえる銃声
しかし
「…っ、バカな…」
体から、地面から、天井から、飛び出た蔦に全て銃弾が絡め取られている。
そのまま蔦は男達に目にも留まらぬスピードで襲いかかり瞬く間に残りの男たちの心臓を潰す。
「お前ら養分だ、異論は認めない。」
物騒な言葉を平然と吐く京、本当に精神が植物寄りになっているようだ。
まるで作業をするように淡々と殺していく。
「役立たずどもが…」
そう吐き捨てるように紳士風の男は言った。
そして紳士風の男が突然消えると同時に強い衝撃がくる。
「…っ」
吹き飛ばされる京、目の端で捕らえるのが精一杯だった。
本能的になのか咄嗟に殴られる部分から蔦が皮膚から突き破り防御にまわったおかげでダメージはないに等しい。
それにしても人間にあのような動きが出来るだろうか、不可能だろう。
「ふん、吸血鬼の攻撃を受けて死なないか、下賤な種としては頑丈だな」
なるほどと心の中で納得する。
同じ人外ならあの身体能力も頷けるというものだ。
「吸血鬼、同じ化け物ですか」
「貴様のような汚らしい化け物と一緒にするな、我らは高貴な種なのだよ」
よく口が回ると感心にも似た気持ちを抱く。
それと同時に吸血鬼ならば丁度いいものがあるとほくそ笑んだ。
「化け物には変わりないだろうに…」
「口だけは達者だな、これはこちらのセリフだ。手土産になって貰おうか」
高貴なる自分が負けるなど断じてありえないと、その過剰な自信が透けて見えるほどに傲慢な態度だった。
それに対して京は右腕を護るように構え、左腕を振りかぶるように構えた。
そして紡ぐ
「…
血界戦線よりクラウス・V・ラインヘルツ、ブレングリード流血闘術
発動!」
右手には赤いガントレット、左手には十字架を模ったメリケンサックが現れ装着される。
そして見えないところで京の体にも劇的な変化が起こっていた。
何か感じるものでもあったのか男は京に向かって変則的に動きながらこちらに高速で迫る。
「ブレングリード流血闘術11式
京が叫ぶと同時、左腕を突き出す。
メリケンサックから無数の血でできた手裏剣が襲い掛かった。
超高速の手裏剣、これに当たると拙いことになると直感的に理解した男は瞬時に回避へと移ろうとした。
「ちぃ、舐めるなぁああ…っ!?」
回避行動に移ろうとしたその時、初めに死んだはずの男が背後から拘束した。
「貴様離せぇぇえ………っ!?!?」
引き離そうと男の頭を掴んだところで男の顔を見てしまった。
男の顔はもはや人の形をしていない…いや人の形はしているのだ、それが木でできていることを除いて…
体中から蔦が皮膚を突き破って出てきている、あの
驚愕の合間、血の手裏剣は男2人を串刺しにする。
「がああああああああ!!」
「さようなら、
ブレングリード流血闘術111式
メリケンサックから現れた血でできた5メートルほどの大槍が男たちを串刺しにする。
「これは君たちとはまた違った種の吸血鬼を滅するために生まれた技術だ。相手の血に侵食し、細胞単位で相手の体を破壊する」
ブレングリード流血闘術、血界の血族と呼ばれる埒外の化け物を滅する為に生まれた能力、その能力は血液にある属性を付加し細胞単位で相手を駆逐するというものだ。
紳士風の男は細胞単位で破壊され声すらも出ない…やがて彼の体は黒ずみ灰のように崩れ去った。
「ふぅ…」
やっと終ったと一息つく。
突然にしてはじめての荒事、気疲れが激しかった。
「こい、ポチ」
その一言を発したと同時に京の傍らには寄り添うようにポチが立っていた。
「くぅーん」
「後片付け、よろしく」
「くぅーん!」
鳴き声はかわいいが見た目は2メートル級の木でできた犬である。しかも両目がなくなり顔の中心に京と同じ三つ目が張り付いている。
見るものが見れば怖いの一言で片付けられそうだ。
これでも大きさを抑えたはずなのだが一緒に光合成をし続けた結果ここまで大きくなってしまった。
そしてあることを忘れていることに気付く。
「ぁ…あの…」
「…ぁ」
少女に声を掛けれたと同時に自分の失態に気付く。
今も死体をポチがバリバリと食べていた。
何とも言えない空気が流れる、京は何とかしようと考えを巡らせるが思いつかない。
そしてガシャンと窓を突き破り両手に刀を持った男が現れた。
戦闘民族高町家長男が現れた。
遅すぎる登場だ。
そして最悪のタイミングだ。
まだこの騒動は終っていない、そう現状が物語っていた。
勘弁してくれと京はため息を吐くのだった。
能力第3弾、対吸血鬼決戦能力
やっと原作キャラが登場
の巻きでした。
主に戦闘がメインとなると思います。
作品名:血界戦線
ジャンル:漫画
使用者:クラウス・V・ラインヘルツ
能力:ブレングリード流血闘術
対吸血鬼用の決戦能力。
血液を変幻自在に操る能力であり相手の血に侵食し細胞単位で相手を滅する。
現在吸血種の中でも最上位種である血界の血族のに唯一対抗できる能力であるとされる。
数ある血に属性を付加する能力の中でも異質なものであり尤も強力なものである。
属性は「呪獄」、封印に超特化した究極封印術式を内包している。
と血界戦線でした。
超有名な「トライガン」の作者さんの作品、現在絶賛連載中です。
技名を叫んでから技を繰り出すというコンセプト上、非常に熱い。
ストーリーも練られていてとても面白いです。
是非読んでみてください、お勧めです。