マイナー能力者が往く異世界記   作:じろー

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メイシェンwith京 vs ヴァティ・レン


第65話

 九十九神武装形態「大自在天」、同調率100%

 

 戦闘型能力44同時発動開始―――

 

 常時発動型強化能力―――

 植物人間(プラントマン)、七ツノ(ミタマ)、傀牙の種、三只眼吽迦羅、高位妖精(ホッホ・エルフェ)、新造細胞、タトゥーハーツ『粋』、禁断サイキック「リザレクション」

 

 任意発動型強化能力―――

 闘鬼神前鬼第4段階、ラブリー眼帯、神の右(ゴッドハンド)、悪魔メフィスト、プロテクター

 

 ―――最大出力発動

 

 体内内蔵武装確認開始―――

 ジバクくん、キール、千手天衣、COFFIN及びケルベロス、魔剣、世界の墓標、ジョイスティック、古式銃キャスター、時計、金属推進装置、バイオリン

 

 ―――即時顕現可能

 

 「かっこう虫」侵食同化開始―――

 

 10%...20%...40%...70%...100%

 

 出力500%増加及び各種武装強化―――完了

 

 常時発動型特殊能力―――

 ボウグ、完全予知能力、モノマネ、EAT-MAN、明けの明星(ルシファー)、血仙蟲、重機人間ユンボル

 

 任意発動型特殊能力―――

 拘束する支配者 (バインドドミネーター)、何もかもをキノコにする魔法、フェティッシュ:写殺、VFXパワー、虚無場(ゼロフィールド)、WILL、時間の精霊使い(タイムショッカー)言霊の詩(ワード・ソウル)

 

 ―――即時発動可能

 

 戦闘技能―――

 ブレングリード流血闘術、肉体言語(サブミッション)、代折羅不動心眼流古武術、竈午(カマドウマ)影技(シャドウ・スキル)

 

 インストール対象―――マスター:メイシェン・トリンデン

 

 ―――完了

 

 内蔵エネルギー、呪力、妖力、神力、法力、チャクラ、気合―――循環開始

 

 夢、残り残量―――不明

 

 戦闘モード移行完了

 

 

「ヴァティ、お話しようか」

 

 巨大なキノコから這い出るように純白の破壊者が姿を現した。

 全身を純白の装甲で覆い隠し、顔すらも白いヘルメットによって覆われている。

 機械的で、しかし有機的なそのフォルムは見るものを魅了した。

 

 九十九神武装形態「大自在天」、最終形態ともいえるその姿に持ちえる全ての能力を注ぎ込む。

 

 数多の能力を

 

 合わせて、混ぜて、重ねて

 

 強化して、凶化して、狂化して

 

 それこそが京の大本の能力の真髄、際限なく混ざり合って、かつてないほどに強化がなされていく。

 純白のアーマーは歪に変形し、鋭角的に、凶悪な様相へと変化していった。

 それは京の歩んできた軌跡。

 今この時までの集大成。

 それでは、更にもう一歩踏み出そう。

 この時の為のとっておきだ。

 

 

 

 

 

――――――マシュランボーよりマシュラ、ゴッドマシュラ――――――

 

 

 

 

 

 黄金に輝くカードが目の前に現れる。

 それにメイシェンは手を差し伸べ

 

 握りつぶす。

 

 瞬間、純白のアーマーは黄金へと変じた。

 背にはブースターの他に新たに黄金の羽が生える。

 ゴッドマシュラ、神の戦士と成る為にゴッドカードを取り込み変じた姿、その能力は単純明快、強くなる。それだけだ。

 それだけでいい。

 相手はレヴァンティン、全てにおいて万能な厄介な存在、かつて京がメイシェンに求めた究極の形がアレなのだ。

 小細工など通用しない防御力、全てを破砕するありとあらゆる攻撃手段、そして数ある特殊な能力。

 それを破るならどうするか

 簡単だ。

 同じ次元に立って、真っ向から叩き潰す。

 これが本気にして全力、形振り構わない全力全開の能力だ。

 

「いい……ところ…だったのに」

 

 ゴボリと血の塊を吐き出しながらサヴァリスは後方で嘆いた。

 なんだ、まだ生きていたのか

 

『自業自得だ』

 

 京は呟いた。

 過去に遣り合った京とサヴァリスの戦闘、あの時、最後に食らった攻撃、何もかもをキノコにする魔法、それこそがこの現状を作り出した能力だった。

 一度でも触れて、魔法に掛かってしまえばもうそれまでだ。たとえキノコを除去しようとも魔法は解けることはなく残留し、いつでもどこでもキノコを生やすことができ、その派生でキノコ間を移動することもできる。

 京はサヴァリスを使ってグレンダンとの移動手段を用意していた。

 また残留した魔法は京と対象の視界も共有される。全てのレヴァンティンとの戦闘は見させてもらった。

 

『生きてれば次があるさ』

 

「それを…あなたが……言いますか」

 

 そう言い残してサヴァリスは事切れた。

 死んではいないだろう。活剄によって活性化した体は止血程度はしているし、武芸者はしぶといものだ。

 メイシェンが地を蹴り、都市外へと躍り出る。

 そこにはヴァティがいた。

 対峙するようにメイシェンが立ち塞がる。

 

「何故、あなたが」

 

「ごめんね」

 

 フルスキンの装備からはメイシェンの顔は見えない。ただきっと申し訳なさそうに笑っているのだろう。

 そして、ヴァティの疑問はそれこそ無粋というものだ。

 

「お話しに、来たんだ。聞いてくれる?」

 

「……」

 

 ヴァティは動かなかった。

 それは肯定の意味を持っていたのだろう。

 メイシェンは続きを述べる。

 

「全部聞いたよ。今でもわけがわからないくらい壮大で理解できていない。世界の崩壊とか、オーロラ粒子とか、わからないよ。でもね」

 

「ヴァティがその最前線にいて、全部全部壊そうとしてる。それだけわかれば十分、それがヴァティの最後の目的なんだよね」

 

「だから、その目的、壊すよ」

 

「全部私のエゴ、我儘、押し付け。それでも全て押し通すから」

 

「全部失くして、一からやり直せ」

 

 これは友人の特攻を止めるだけのつまらない話だ。

 最後の目的を持って、自分の存在意義を貫こうという一つの存在とそれを止めようというその友人の諍いだ。

 誰一人として間違ってなどいない。

 そして、双方共に譲り合いというものは、無い。

 

「……言いたいことはそれだけですか?」

 

「うん」

 

 本当にやるつもりなのかとヴァティは口には出さない。

 黄金の人型、自らのナノマシンが全て解析不能と出ているからだ。

 そして、目の前の敵は特級の障害と認識する。

 

「メイシェン・トリンデン、あなたを「異民」認定、障害として排除を開始します」

 

 戦いが始まった。

 

 ヴァティが腕を振るう。

 それに合わせて以前とは比較にならない茨が目の前から生え、津波のように襲い掛かってきた。

 対するメイシェンも負けはしない。

 

植物異常大繁殖(プラントバースト)!!」

 

 白い茨の津波に対して、緑の海が迎え撃つ。

 メイシェンは地面に右腕を突き刺すとそこから異常に繁殖、成長を繰り返したありとあらゆる植物が発生する。

 範囲指定など存在しない。無限に成長と繁殖を続ける緑の大群は用意に白い茨の津波を超えて見せた。

 1つ1つの固さはなけれど、それならば物量で封殺するまで

 双方の攻撃が拮抗したことで次はとメイシェンが動き出す。

 森の中を駆け抜けながらメイシェンは巨大な棺桶COFFINを取り出す。

 

『MACHSPEED』

 

 加速。

 猛スピードで駆け抜けながら、展開したCOFFINのバルカン砲を連射する。

 それに対してヴァティは茨を自身の前方に展開、それらを弾こうとした。

 だが甘い。

 バルカン砲から放たれる弾丸の雨は京による後先考えない規模のかっこう虫の侵食同化による強化によって、魔弾の嵐と変貌していた。

 鉄の弾丸は、緑色に光る凶悪なエネルギー弾となって、敵の盾を食い潰していく。

 

「らぁぁああああ!!!」

 

 次の行動を許す前にメイシェンはヴァティへと接近、棺桶を振り回し茨を砕く。

 茨の中にヴァティが、冷たい瞳でこちらを見つめていた。

 

 カチリ。

 

 返答は弾丸。

 続いて二丁拳銃ケルベロスから発せられるマズルフラッシュ。

 もはや拳銃などでない何かへと変貌を遂げている凶悪な弾丸は、ヴァティを蜂の巣にしようと乱射された。

 しかし、それは全て不発に終わる。

 当たる箇所から全てヴァティに小さな穴が開き、当たる前に全てを素通しさせてしまっていたからだ。

 

『ちっ』

 

 そこでメイシェンの攻撃は終わった。

 再生を開始した茨がメイシェンの周囲を覆い、全包囲から刺突を繰り出していた。

 それに瞬間的に反応したのはボウグ、極限にまで強化され、背に流れるようにあった髪は螺旋状に収束し、50を超えるドリルの触手となって全ての茨を貫き潰す。

 次の瞬間、ヴァティはメイシェンに肉薄していた。

 繰り出される拳撃をすかさず防御する。

 しかし、その衝撃はメイシェンを突き抜けて、それを吹き飛ばした。

 

「グ……ゥ…」

 

 白い茨を背で粉砕して、灰色の大地を転がる。

 だがそんなものでは終わらない。

 ヴァティの背後にはいつから発生していたのか巨人が鎮座していた。

 既に体中にレンズが現れ、チャージが完了している。

 そこから照射される光線の弾幕、100を超える光が襲い掛かった。

 

 それは京が許さない。

 

拘束する支配者(バインドドミネーター)!!』

 

 背後から現れる拘束の支配者、更に命令を続ける。

 

『オーダー! 収束、反射せよ!』

 

 拘束の支配者から無数の杭が放たれる。

 それは空に止まるように静止した。既に命令対象に杭は刺さっている。

 殺到する光線はメイシェンに当たる寸前で反射、四方八方に分散、傷つけることは無かった。

 命令したのは空気、空気中にあるあらゆる粒子、物質を支配下に置き、光線の軌道をずらさせた。

 

 互いに拮抗し合い、攻撃を受け付けない。

 だが長期戦はメイシェン達が不利だ。こちらの燃料は有限、あちらは空気中の汚染物質を食らうだけでエネルギーの充填ができる。実質無限だ。

 削り合いでこちらが不利ならば、一気に攻勢にでるしかないだろう。

 最も厄介なのはあの反応速度、空気中に漂うナノマシンはこちらの挙動を全て即座に把握し、こちらに対する有効打をカウンターで放ってくる。

 ならばどうするか

 簡単な問題だ。

 黄金のノーフェイスに2つの赤い目が現れる。

 

 こちらを常に捕らえ続けるナノマシン、ならば振り切ってやる。

 

『メイシェン』

 

「うん、平気」

 

 刹那を超えて、涅槃寂静の域に達さん。

 

 

――――――神移(カムイ)――――――

 

 

 刹那、メイシェンの姿は消失した。

 それに初めて目を見開いたのはヴァティ、それもそうだろうナノマシンによる補足を全て脱したのだから。

 神速とは、極限の速さ。

 己が肉体のみによる究極の移動術、影技最源流、神移(カムイ)、音も、姿も、気配も、果ては心まで置き去りにして、それは誰の目にも映ることは、捉えられることは無い。

 

 クルダ流交殺法影門死殺技―――

 

裂破(レイピア)!!」

 

 メイシェンが背後に立っていた。

 初めてヴァティがメイシェンの姿を認識したとき、ヴァティの腹は半分既になくなっていた。

 影技奥義の一つ、単純な一点集中の跳び蹴り、だがそれは蹴り穿つには十分過ぎる威力を持っている。

 腹部を破壊されながら振り向こうとしたヴァティを新たな奥義が襲う。

 

 クルダ流交殺法表技死殺技―――

 

渺阯(ハルバート)!!」

 

 流れるような動きで拳がヴァティに当たった。

 それは序曲に過ぎない。流れる川のように絶え間なく放たれる拳撃の嵐はヴァティを押し流し、防御の体勢をとらせず一方的な連打を浴びせた。

 

「はぁぁあ!!」

 

 最後の渾身の一撃、それによって吹き飛ばされ、ヴァティが半壊した。

 次で最後だ。

 そう一歩踏み出し

 

 足が止まった。

 

 ビシャリ、と地面が赤く染まる。

 メイシェンを捕捉したことで再び茨は襲い掛かり、巨人が光線を放つ。

 

「っ」

 

 メイシェンが消失する。

 全ての攻撃が空を切った。

 再び始まった無音の世界。

 ヴァティは再生を初め、体が修復されてきている。

 それは許さない。

 神速からの攻撃がヴァティを襲い。

 

 ガシリと音がして

 

 受け止められた。

 

「……カハッ」

 

 メイシェンの背から剣が生えた。

 メイシェンの右拳はヴァティの左手に受け止められ、ヴァティの突き出した剣はメイシェンを貫く。

 神速が破られる。それは不可能なはず、何故だ、何故だ。

 

「終わりです」

 

 そう宣言され、剣から電撃が流される。

 内部から電撃が襲い。焼き焦がし、死滅させる。

 まだ、まだ、まだ

 

 日出る時影は生まれる、影は森羅万象の姿身、故に陰こそは万象に至る。

 

 クルダ流交殺法陰流―――

 

「ぁぁぁぁぁぁあああああ!!」

 

 ―――聖爆(セイバー)

 

 電撃を受けながらもメイシェンが蹴り上げる。そこには一瞬で真空地帯が発生、電撃も消失させる。

 次の瞬間にはヴァティの剣を持っていた右腕が切断された。

 それと同時に、メイシェンは胸から血を噴出させながら後退、同時に更に技を放つ。

 

 クルダ流交殺法陰流―――

 

蛇乱(チャクラム)!」

 

 回し蹴りの要領で足を一回転、メイシェンの周囲から空気が散り、真空地帯となる。

 それによって着地地点から襲い掛かろうとしていた茨を一掃し、更に後退、距離をとった。

 クルダ流交殺法陰流、影を知る者、影技の真の意味、それを体現した流派、破壊だけを追い求めた最強の流派である。

 

 着地すると、そこには乾いた血の跡があった。

 なるほど、と理解する。

 メイシェンの脚部のアーマーの隙間から夥しい量の血が流れていた。これが原因だ。

 神速移動の神移(カムイ)、己が技だけでそこに至るには代償を必要とするもの、それは一度きり、一度でも使用すれば限界を超えた負荷に血管が破裂し、骨が折れ、筋肉が断裂する。

 メイシェンは歯を食いしばり神移(カムイ)を連続使用し、京による超速再生によってそれを可能にしていた。

 だが噴出す血は地面に跡を付け、ヴァティに察知させる隙を与えてしまう。

 少しでも隙を見せれば付け込まれる。

 もっと、もっと攻勢にでなければ

 そして、離れてもヴァティは追撃を止めることがない。

 控える巨人の胸部には巨大なレンズが発生。

 アレが来る。

 先の反射はできない。巨大すぎる破壊の光線はどうすることもできない。

 ならば

 

 掻き消すまで

 

 手には世界の墓標、あらゆるエネルギーを集中させ、全力で振り下ろす。

 

黒体輻射大借款(セカンド・ビックバン)

 

 極大の光線を切り裂いて、更に巨人を巻き込んで消滅させる。

 ヴァティも共に巻き込んだ。

 だが、簡単にはいくまい。

 直感的に、世界の墓標を振るう。

 そこには剣を構えたヴァティがいた。

 火花を散らして、剣と剣が凌ぎを削る。

 

「はぁっ!」

 

「……」

 

 打ち合う中で、段々とメイシェンが押され始めていた。

 剣技で負ける。二代目柳生十兵衛の能力も有しているはずなのに。

 事実、打ち合い始めた頃にはメイシェンが打ち勝っていた。だが時間が経つにつれヴァティの速度が増していた。

 この短時間でメイシェンの動きを学習している。

 それによって行動パターンを把握し、追い込みを駆けてきている。

 

『舐めるな』

 

 だが、それが何だという。

 京の強みはその異常な手札の数、読みきられる前に倒してしまえばいいことだ。

 一歩前に、最大の力を篭めて剣を振るう。

 更に、一歩前に、次は必殺の一撃を見舞う。

 

虚次元斬断(ゼロ・ジーザ・ソード)!!」

 

 振るわれる最大の単体攻撃。

 だがそれはかつて破られたのではなかったか

 ヴァティは剣でメイシェンの攻撃を受け止める。だがそれではこの攻撃を止めることはできない。貫通した斬撃は反射され、デジャブのようにメイシェンに向かう。

 そんなことはわかっている。

 

鏡影反転(ビフロンズ)

 

 反射された虚次元斬断(ゼロ・ジーザ・ソード)の斬撃を更に反射する。

 これならどうだ。

 

「まだです」

 

 ヴァティが冷たくそう言い放った。

 反射し、更に反射された斬撃を

 

 更に反射する。

 

 ヴァティを切り裂かんとした斬撃は当たる寸前で止まり、更に真逆のベクトルを加えられて、再びメイシェンを襲う。

 

『そうさ、まだまだ』

 

 わかっている、そんなことは

 それほどに強力な力、侮りはしない。

 だが、これならどうだろうか

 

 

――――――新型・千手(せんじゅ)天衣(アーマー)、展開――――――

 

 

 かっこう虫の強化によって形を変えた千手(せんじゅ)天衣(アーマー)の新形態。

 纏うような形となった18対の手は奥義を放つ。

 

『因果応報の構え』

 

 片方の18手は前方に展開、もう片方の18手は静かに控える。

 エネルギーは空に

 受け入れるように、手が差し出される。

 

 因果応報、他人にした行いは、必ず己に帰ってくるという仏の教え。

 

 ―――転じて

 

 それは技をそのまま跳ね返す究極のカウンター攻撃となる。

 

 跳ね返った斬撃は手に触れて、千手の手によって消え去った。

 いや、それは違う。

 斬撃のエネルギーは空の18手に浸透し、もう片方の手に伝わり、移動する。

 

『0距離なら反射もできまい』

 

 優しく、添えられるように18手がヴァティに触れる。

 

 力と力のぶつかり合いは人の愚かな戦争行為、これぞまさに究極の仏理攻撃なれば。

 

 これをどうにかする術などありはしまい。

 

 

――――――因果応報・千手パンチ――――――

 

 

 斬撃エネルギーをヴァティに0距離で跳ね返す。

 ピキリ、とヴァティに罅が入る。

 次いで剣を放棄。

 更に一歩、前に出る。

 

 クルダ流交殺法陰流。

 

 

――――――光と共に天高く昇り詰める亢竜の如く

 

 

「攻竜!!」

 

 ヴァティを蹴り上げる。

 超高速で繰り出される蹴りが撓り、鞭の様に畝って、真空の竜巻を発生させる。

 真空の竜巻はヴァティを襲い、削っていく。

 異常な再生力を持つ相手を削り殺すべく編み出された技だ。

 それだけでは終わりにさせない。

 更に跳躍し、竜巻に巻き込まれているヴァティに襲い掛かった。

 

 

――――――クルダ流交殺法陰流・口伝絶命奥技――――――

 

 

「――――――霊悪(レイア)――――――」

 

 

 両手で挟み込むように、それは大口を開ける獣のように

 両手を交差させる。

 あまりに速すぎるその攻撃は10指に真空刃を発生させ、ヴァティに10の傷跡を残した。

 着地。

 同時にヴァティが崩れ落ちるように墜落した。

 周囲の茨も崩れるように無くなっていく。

 

 終わったか

 

 ほんの少しずつしか再生しなくなったヴァティを見下ろして

 

「ヴァティ、まだ、やる?」

 

「はい」

 

「どうして」

 

「私に与えられた機能は『主人に仕える』ことです。万能のナノマシンを使って、あらゆる要求に応える事、私の本来の目的は、彼を愛するという目的は、私の兵器という概念によって裏切られた。ならば最後の命令は遂げてみせます」

 

「……そう」

 

 直りかけたヴァティが軋みを上げながら立ち上がろうとしている。

 壊して、壊しつくして、その力の大部分を奪って再起不能にして持ち帰ろうと思っていた。

 だが目算はまだ甘かったようだ。

 本当は世界破壊の目的なんてどうでもいいくせに、意地になって、縋りついて

 まだ、破壊が足りないらしい。

 

 メイシェンがヴァティに渾身の蹴りを入れようとして

 

 空を切った。

 

「…………ぇ?」

 

 次の瞬間、メイシェンの目の前にはヴァティの拳が映っていた。

 振り、下ろされて

 

「あぁっ!?」

 

 吹き飛ばされる。

 そして、吹き飛ばされているメイシェンに肉薄して、ヴァティがもうそこにいた。

 速い。

 

「クゥ…」

 

 空中で弾かれ、弾かれ、攻撃が加えられていく。

 以前とは比較にならない速さ。

 苦し紛れに放った拳がヴァティの頬を掠る。

 それを意にも介さず、超速の攻撃は繰り返されていた。

 これは、この攻撃は

 渺阯(ハルバート)だ。

 防御を一切させない連続攻撃、それをヴァティが模倣していた。

 武装に罅が入り、砕けていく。

 

「ガハッ!」

 

 顔面に拳が入り、面が砕けた。

 苦しそうにメイシェンが表情を歪ませる。

 種が割れた。

 ヴァティは、レヴァンティンは、全ての防御、再生能力を捨てて、運動能力に全てを注ぎ込んだのだ。

 事実、顔の傷は全く再生していなく、巨人と茨の追撃もこない。

 そして、学習を重ねたヴァティはメイシェンの技をも真似して見せた。

 

 これがお前の本気か

 

 背中のブースターから黒煙が噴出する。

 それに合わせてヴァティが距離をとった。

 

 ならば、こちらも最後の全力の攻撃を加えよう。

 

 

 

――――――――武技言語・開始――――――――

 

 

 

「我は混沌の化物なり」

 

 数多の能力を取り込んで異形に異形を重ねて、強化を重ねた。

 自分は化物だ。己の中には混沌が渦巻いている。

 故に無敵、最強、負けなど無い。

 

「我が「蹴撃」にかなうものなし」

 

 かつて、正義の必殺技は破られた。

 正義の味方の必殺技が破られた時、果たしてどうなるのだろうか

 簡単だ。

 新たな必殺技を引っさげて、再臨するのだ。

 何よりも速い一撃を繰り出すために、己の影技は全て封印しよう。

 

「我が一撃は無敵なり」

 

 食らい、終れ。

 今から放つは新たなる必殺技。

 正義のヒーローの、必殺技だ。

 

 煙が晴れる。

 

 ヴァティは煙の中にいるメイシェンを見た。

 

 メイシェンは構えていた。

 

 右手を右斜め45度に

 

 左手を胸に添えるように右斜め45度に

 

 両手は弧を描くように沿って、正反対の位置に付く

 

 それは正義のヒーローのポーズだ。

 

 

 レヴァンティン、いや、ヴァティ・レン

 

 

――――――――お前には足りないものがある

 

 

 心に愛が無いものは英雄(ヒーロー)には成り得ない。

 

 

――――――――それは

 

 

 

 

――――――――愛と正義――――――――

 

 

 

 食らうがいい。

 英雄(ヒーロー)の一撃を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「新   必   殺」




とちょっと最後まではいきませんでしたがvsヴァティでした。
残り2話、このまま飛ばしていきます。
戦闘は楽しいですね。


原作名:マシュランボー
ジャンル:アニメ&漫画
使用者:マシュラ
能力:ゴッドマシュラ
ゴットマシュラと呼ばれる神の戦士の力を内包したゴッドカードという力の結晶体。
それを取り込むことによりありえないレベルにまで身体能力が向上する。

とマシュランボーでした。
ドラゴンボールも真っ青のインフレを短期間で発生させたアニメ。
ハンター×ハンターの放送という修羅の時間帯にぶち当たってしまったために打ち切りを貰った不遇な作品。
アニメはほぼバッドエンド、漫画はグッドエンド。
おいアニメ、コヤクモはどこにいった。
主題歌は密かな名曲です。
手に取る機会があれば是非どうぞ。
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