京はいつものように光合成に励んでいた。
服装もあまり汚れていなく、清潔なようである。
それもこれも全てすずかのお陰だった。
服がボロボロなので黒いフード付きのコートなどの服をプレゼントしてくれた。餌付けもまだ続いている。
京はもはやすずかには完全に頭が上がらない状態になっていた。
ヒモ、そんな言葉が頭を過ぎる。
頭を振り浮かんだ言葉を消し飛ばした。
静かに空を見上げる。
空は夕日で赤く染まっていた。
すずかの年齢から自分が物語が始まる2年前に飛ばされたと知り、軽くげんなりともしていた。
そして、すずかと出会ってから既に1年半が経過している。
「そろそろ…かな」
そろそろ物語が始まりだすことだろう。
兆候はまだ感じられていないが、近いことは間違いない。
今、自分が持つ能力は4つ。
観測者/エントリー・モード、植物人間、ブレングリード流血闘術、拘束する支配者だ。
どれも強力でジュエルシードの暴走体相手でも引けは取らないだろうと思っている。
相性が悪ければ能力を追加すればいい。
準備は万全、いつでも出られる。
しかし懸念材料が1つ。
ジュエルシードを追う者達の対応に関してだ。
自分の目的は原作の介入というもの、手段が目的である。
それによって観測者/エントリー・モードの制限を開放し、別の世界に行く。
なのは、フェイトとは組むつもりは無い。
途中から現れる管理局と接触したくないからだ。
自分がこれから行うのは身勝手な理由の危険な行為、恐らく全ての陣営に対して敵対することとなる。
ジュエルシードを封印する手段は京にはない。
持っていても探知され追われるハメになる。自ら発信機を持つ必要もない。
ならばどうするか
破壊、それしかないと考える。
そしていつかは戦闘もありえる。
これが懸念材料だった。
自分の能力は非殺傷設定など存在しない。
ブレングリード流血闘術など当たれば即死しかねない。
あまり傷付けずに事を進めたいがそう上手くは進んでくれないだろう。
非殺傷の能力など全く思いつかない。
残りの能力2つで彼女達に対処できるだろうか
「むぅ…」
ずっと悩んでいたことだったが結局良い案は出なかった。
「…何悩んでるの…?」
思い悩んでいるところにいつものようにすずかがやってきた。
「いや、別に」
京の淡白な物言いもこの一年半で慣れたのかすずかは特に気にもせずいつしか定位置となっていたベットに腰掛けた。
「そっか、今日は翠屋っていう喫茶店のシュークリームを持ってきたよ。」
「ぉー!」
先の悩みもどこ吹く風、すずかの持っている包みに笑顔になった。
ここ最近になって笑顔も見せるようになっていることはすずかしか知らないことだ。
シュークリームを1つ受け取り、頬張る。
サクリとした触感と口に溶けるような甘さが口内を満たす。
「このシュークリームすごい美味い…」
「でしょ?今日サッカーの応援に行っててね、チームと一緒に食事会に行って貰ってきたんだぁ」
「…へ…?」
愕然とする。
それでもしっかりとシュークリームを手放さなかったのは余程気に入ったからだったのか
すずかの会話の内容になにか引っ掛かりを覚えたのだ。
「…」
引っ掛かりではない、もはや確信だった。
その話は知っている。
「どうしたの?顔色が悪くなってるよ…、大丈夫?」
「…問題ない。」
そして確認するように京はすずかに問いかけた。
「そこにフェレットはいた?」
「うん、友達のなのはって子がね、最近怪我してるところを拾ったんだって、どうして知ってるの?」
「いや…ただそんな気がしただけなんだ。」
既に物語が始まっていた。
結構注意していたはずなのにと少なからず後悔する。
魔力など微塵も持っていない中で某淫獣の念話など察知できるはずもな く、日々引きこもっているため周りの情報に疎かったのが原因である。
ちなみにアレトゥーサ達は京の命令ですずかの警護に全力を挙げていた。
日が暮れかかっている。
もう暴走体が現れるだろう。
「そろそろ暗くなってきた。」
帰れなど直接行くことはできないのでそう促す。
「そうだね、また明日来るね。」
「…シュークリーム、ご馳走様」
「うん、バイバイ」
すずかと別れ植物とリンクし町を探査するがまだ出ていないようだ。
廃ビルの屋上へと上がり辺りを見回す。
そこに見計らったかのように突如大きな揺れが発生した。
「…きた」
町から巨大な木の暴走体が出現する。
同時に空を飛んでやってくる白い服の魔法少女、高町なのはが見えた。
まずはどの程度の強さなのか小手調べだ。
「やれ」
号令を掛ける。
再度大きな揺れが発生した。
そして地面から突如巨大な人型の木の化け物が現れ暴走体に向かっていく。
その木の巨人もまた顔の中央に京の右目と同じ三つ目の複眼があった。
「っ!?もう1体いるよ!」
「まさかそんな…っ!?魔力反応がしない!?」
なのははもう1体現れたことに驚き、ユーノは魔力反応がないことに驚いていた。
魔力反応がしないのは当然、体の全てを純粋な木で構成されているのだから
名前を付けるならコジローといったところか
コジローはすずか誘拐事件の時の最初に死んだ1人である。
ブレングリード流血闘術を食らい人間部分がほとんど破壊されたせいで急激に植物化が進んだのかアレトゥーサになってしまっていた。
町ではコジローと暴走体が蔓による攻撃と殴り合いで戦いを繰り広げている。
しかしコジローの大きさはこの1年半で100mを超えている。
戦闘では優位には立っていた。
だが相手はジュエルシードの暴走体、魔力という力を入れられ破壊しようものならすぐさま再生する。
その光景をコジローとリンクしながら京は眺めていた。
力押しでも優位には立てるが決定打が足りない。
やはり魔法には同じ魔法が一番有効ということだろう。
「…ふむ」
今の手持ちであれを倒すのは難しい。
相手は巨大、対人戦向きの能力しかない自分では分が悪い。
木の化け物同士の戦闘をどうしようかと眺めているなのはの手を借りるのが一番効率的ではあるが
早速相性が悪いものと当たってしまったかと溜息をつく。
だが京の顔は諦めは浮かんでいなかった。
コジローのフルスイングパンチを食らった暴走体は真っ二つにへし折れ、折れ目から白い輝きが見える、ジュエルシードだ。
「なのはジュエルシードだ!封印するよ!」
「うん!」
それを好機と見たのかなのはが暴走体に向かう。
しかし、暴走体がへし折れても暴走を続けるジュエルシードはなのはにも蔓による攻撃を仕掛けた。
「きゃっ!」
暴走体の攻撃になのはが少し怯む。
その内に暴走体は再生を開始し元に戻ってしまった。
「…」
そろそろ頃合かと出る準備をする。
あれに対して丁度良い能力もある。
京はすずかから貰った黒いフード付きコートを目深にかぶり背から木でできた羽を生やす。
「……!」
コジローが全身から蔦を出し暴走体を拘束する。
それと同時、ビルから飛び立ち一直線で暴走に向かう京。
高速で飛翔する。
無限に再生する木の暴走体、対抗手段はなにがあるか
再生をさせないほどに殲滅する、これに尽きる。
新たな能力を得るために京は紡いだ。
「ドロヘドロより煙、何もかもをキノコにする魔法 発動」
特に見た感じでは変化は起こっていない。
だが京は体の中に何かが現れたのを感じていた。
なのはの横を通り過ぎる。
「えっ!」
新しい乱入者に驚きの声を上げるなのは。
京が接近すると同時にコジローが離れる。
危険だったからだ。
京が大きく口を開く。
瞬間口から黒い煙が放たれジュエルシードと暴走体を包みこんだ。
ぼんっと音をたて木からキノコが生えている。
違う、木がキノコに変わっていっているのだ。
そして黒い煙は木の暴走体をゆっくりゆっくりと侵食していく。
そして京の目の前には巨大なキノコになってしまった木の暴走体が聳え立っていたのだった。
腕を巨大なキノコに突き刺し、何かを引き抜くように抉り出す。
京の右手にはジュエルシードが握られていた。
そして
「ハァー!」
思い切り黒い煙をかけた。
念入りにかける。
そして音をたてジュエルシードは青い毒々しいキノコに姿を変えた。
終ったと息をつく。
魔法相手にも効くかどうか少々不安だったのだ。
辺りを見回す。
煙に触れた木、信号機、果ては瓦礫まで全てキノコに変わっていた。
さながらキノコの園だ。
調節を誤ったなと反省する。
初めてだっただけに出力を出しすぎたようだった。
「あ…あの!」
「ん…?」
そこになのはがこちらに近寄って話しかけてきた。
「あなたは誰…ですか?」
「…魔法使いだ。」
間違ってはいない。煙はこの能力のある世界においては魔法という扱いであり、これを扱うものは魔法使いなのだ。
「本当ですか?あなたからは魔力反応がしない!」
当然のように突込みが入る。
「さてね」
答える気はないと流す。
やることは全て終った。
あとは離脱するだけ。
立ち去ろうとなのは達に背を向け歩き出す。
「待ってください!」
なのはに呼び止められる。
立ち止まり振り返る。
「ジュエルシードをどうするつもりですか?」
そういえばまだ自分がまだ持っていたのだったと懐を探る。
ジュエルシードだったものだが
「ほら」
なのはにキノコを投げ渡す。
キョトンとした受け取る。
しかしそれを見てなのはは馬鹿にされたと思ったのか少々眉間にしわを寄せた。
「これはジュエルシードじゃないです!キノコです!」
「正確にはジュエルシードだったもの、だね」
「え?」
そういうと同時に飛び立ち離脱する。
魔力反応がないので追うこともできないだろう。
コジローは既に地面に潜り行方を眩ましている。
「いったいなんなの…」
訳のわからないことばかりでなのはは呆然と立ち尽くすだけだった。
こうして初めての介入は幕を閉じたのだった。
能力第5弾
なのはやっと登場
の巻きでした。
本格的に話が始まっていきます。
原作:ドロヘドロ
ジャンル:漫画
使用者:煙
能力:何もかもをキノコにする魔法
魔法使いという種族になり魔法使い特有の煙を精製する器官が現れる。
煙というキャラの特有の煙であり、この煙に触れたものは無機物有機物例外
なくキノコと化す。
一度キノコを生やした相手はいつでも補足でき、キノコ人形にケムリをかけて相手の人形にし、小さいキノコを埋め込むことにより、相手がどこにいても相手からキノコマンを生やすことができる。
このキノコマンは相手から魔力を取って生きているため相手は大きなダメージを受ける他、キノコマンを操作して戦える上に、視界も使える。
また、煙以外にもキノコからキノコ胞子を出し胞子を食らった者を内部から破壊することも可能。
最大範囲は町1つ分ほどであり、能力の凶悪さとも相まって非常にえげつない能力。
とドロヘドロでした。
スプラッターでダークな雰囲気の世界設定ながらジョークとユーモアを交え、良い意味でのシュールな感じを醸し出している隠れた傑作。
ストーリーも非常に作り込まれており飽きさせません。
キャラも特徴的で主人公、敵問わず非常に個性的な面々がいて愛着がもてるのもいいです。
現在連載中でそろそろ終わりが見えてきているところです。
是非見機会があれば見てみてください。
本当に面白いので