夢を、見た。
それはいくつもの物語だ。
一人の男が何かしらの役を演じて、物語の結末を見る。
そんな三文芝居もいいところな稚拙な物語だ。
チクタク、チクタク、チクタク
嗚呼、五月蝿い。
折角夢を見ていたのに、お陰で目が覚めてしまったではないか
はて、先ほどの夢はどこまで見たか
そうだ。
悪の組織に認められたところでラスボス的な何かに捕まってしまったところだった。
序盤も序盤、まだまだ物語は始まったばかりだ。
まだ、自分の真の立ち位置は決まっていない。
それはこれからの物語の成り行きと、自分の行動次第だ。
結末を見るまでの長い物語を。
夢を見て、自分を見る。
初めては乱入者、第3者だった。
その次はイレギュラー、駒の1つだった。
更に次は道具、味方の役だった。
今は悪役、立ちはだかる者だ。
自分を見て、夢を見る。
色々な自分を見る。
立場を変えて、境遇を変えて、舞台を変えて、そこに在る自分を見る。
ありえた自分を、物語を辿る自分を、もしもの自分を、見る。
この夢を見る自分も、もしかすればそれは逆であり、物語の中にいる自分が見ている夢なのかもしれない。
夢も現も虚ろであり、どれが自分なのかわからない。
チクタク、チクタク、チクタク
嗚呼、五月蝿い。
先ほどから五月蝿くてしようが無い。
鋼の心臓は鼓動を鳴らし続ける。
まだこれは本来の機能を一部たりとも使っていない。
元々の持ち主の残留思念を読み取って、その力を引き出して、使いこなした気になっている。
違うだろう。
この心臓は持ち主の意思を具現する科学の結晶、今の持ち主は、既に違う。彼の物だ。
故に、未だ能力を一切使っていない。
持ち主はそれを自覚している。だが使う気が一切無いだけだ。
鋼の心臓は識っている。
何を抱いているかを、真理を心得ている。
繰り返される数多の物語。
繰り返される結末と夢の目覚め。
繰り返される新たなる夢の始まり。
繰り返される戦いの記録。
――――――真理"胡蝶の夢"
それは役割を求めた自分の物語。
自分が見た自分でない自分の物語。
物語という名の真理。
胸の内、鋼の心臓の中、その扉を開ければそれはいる。
白い仮面を付けた鋼の死神。
繰り返される胡蝶の夢を見続ける化物がそこにいる。
"夢現の怪物"、全てが起動し、到達したとき、それは長い眠りから目覚めるのだ。
彼を相手取るならば、それは1人と相対するということではない。
彼が辿った「物語」を相手することと同義となる。
そして、"中庸の怪物"も同時に目覚めた時、1つの結末を見ることとなるだろう。
さぁ、目を閉じて物語の続きを、夢を見よう。
次に目を覚ますその時まで
鋼の死神は目を閉じた。
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「うぬぬぬぬぬぬ……」
カッと目を見開き、呻き声を上げながら集中する。
京の目線の先には自らの砕けた左腕があって、無残な木の断面が肘の先に見えていた。
その部分に全霊の集中を注ぎ込み。
そして
小さな花が咲いた。
「はぁ……」
その結果にガックリと項垂れて京は溜息をついた。
左腕の再生は絶望的と言っていいだろう。
ほんの微かに、ちょっぴりだけ能力が元に戻りつつあることだけわかったのが唯一の救いだった。
少なくともしばらくは片腕生活だ。
「ケケ、宴会芸ニシテハ派手サガネェナ」
「五月蝿い。お前のご主人様に砕かれなけりゃこんなことはしてないんだよ」
京の頭上からどこか片言の声が聞こえる。
それは京の上に肩車するように乗っている人形から発せられた言葉だった。
大きめなぬいぐるみ程度の大きさの緑髪の少女型の人形、人が見れば愛らしいと評するかもしれない。京の首筋にあてがわれ続けている巨大なナイフを無視すればだが。
チャチャゼロ、たしかそんな名前だったか。
京の集中を乱すように一言二言入れながら、京もそれに悪態で返す。
「それでお前のご主人様はいつ帰ってくるんだよ?」
「ウチノ御主人ハ今頃修学旅行ヲ楽シンデイルダロウナ」
「……良いご身分で」
もうしばらくはこの状況だということだ。かれこれ1日以上の日は経っている。
自分はあれからエヴァンジェリンに捕まり、影の中に放り込まれると知らない場所にいたのだ。
見渡せば簡素なログハウスに見え、窓からは木しか見えない。
その時、京に首筋に添えられていたナイフがスッと引かれた。
血が傷口から滲み出す。
「ムシロオ前ハ御主人ニ感謝シタ方ガイイ、アノママアッチニ引キ渡シテイレバオ前ハ終ワリダッタ」
「わかってるさ、十二分に感謝しているよ」
現状については大体理解していた。
京は確かに捕まったわけだがエヴァンジェリン個人に捕まえられたということである。
関西、関東どちらの組織にも引渡しは行われず、それはエヴァンジェリン個人の思惑によって隠されたということだった。
フェイトの助けも期待はしているが頼る気もなく、自分で何とかしようと思っている身としてはまだギリギリ話が通じそうなエヴァンジェリンの元にいるというのは他と比べればマシだった。
どちらにしろ首の皮が一枚繋がっている状況であるのは間違いない。
もう止めてくれと片手を上げて降参の合図をする。
ケケと笑ってチャチャゼロはナイフを放した。
「モウ脱走ハシナイノカ、ケケ」
「お前暇なだけだろう。それにもう懲りた」
京及び、このログハウスには尋常じゃない数の魔法が掛けられている。
逃げ出そうとして電撃が流れたり燃やされたり重力に潰されかけたりと結構散々な目に合っていた。解除してやろうにも見張り役のチャチャゼロがそれを許さない。迂闊に動けば首が飛ぶ。
そんなこんなで結構見た目ボロボロな京だった。
「チッ、ツマンネェナ」
「ははは、俺は無駄なことはしないんだよ」
正確には八方塞とも言う。
椅子に腰掛ける。
「それじゃご主人様が帰ってくるまで待ちますかね」
「意外ト順応性高イナ、オ前」
「慣れと諦めは早いほうがいいんだよ」
「ヘタレメ」
最後のチャチャゼロの言葉をどこ吹く風と聞き流して、ジッとする。
エヴァンジェリンにやられたダメージは酷くはないが抜け切ってはいないし、回復に専念するのもいいだろうと判断したのだ。
完全に観念したとチャチャゼロは見たのか、京の肩から降りて目の前の机に着地した。
しかし、向けられるナイフはそのまま、隙がなかった。
「アァ、ソウダ」
思い出したようにチャチャゼロは声を上げた。
辺りの温度が下がった。
「オ前、御主人ノ同類ナンダッタケカ」
「俺はお前の御主人がどういったものか知らない。だがエヴァンジェリンが言うには同族なんだそうだよ」
彼女は自分を元人間の化物といった。同族と言うのならばそれも同じで彼女も後天的に化物になったのであり、何かの要因で人間を辞めたということだろうかと思ってしまう。
しかし、自分と彼女では決定的に違う部分がある気がしてならなかった。
「ナラオ前ハ悪人カ?」
「そうなんじゃねーの?」
突然の質問に京は投げやり気味に返した。
とりあえず目の前の人形が何が言いたいのかわからない。
「オ前ハイツノ日カ同ジ悪ニ滅ボサレル覚悟ガアルカ? 誇リアル悪トシテノ矜持ハアルカ?」
「あるわけないだろうが」
あっけらかんとした然で京はチャチャゼロの問いに返した。
常に何かしらの笑みを浮かべているチャチャゼロだったが、少しだけ寂しそうな笑みに見える。
悪人とは、自らの欲求、目的の為に他を省みないものを指し、誇りある悪とは自らもいつか同じものに食い物にされるという覚悟を持つかどうかということだ。因果応報、それを受け入れないか受け入れないかという違いである。
「残念だけど、お前の期待する返答は無理だ」
何となく、チャチャゼロの言いたい事はわかった。その言葉の中にある意味も推測だが理解した。
物騒な言動と見た目からはわかりにくいが主人思いなのもなんとなくわかった。
「ナンダ、期待シタノガ馬鹿ミタイジャネェカ」
「若輩にそういうの求めたら酷だろ」
「ソレモ、ソウカ」
勝手に期待されて失望されても迷惑というものだ。
エヴァンジェリンも見た目があの年齢と言うのはないだろう。最低でも京よりは遥かに年上なのは間違いなく、大物的な雰囲気があった。
対する京は実質の生きていた時間は10年と少し、精神的なものはそれなりにはあっても大それた矜持や覚悟を持つような長い人生など送っていない。そんな自分が覚悟が何だと言ったところで薄っぺらい言葉なのは違いなかった。
京の言葉に一応の納得はしたのかチャチャゼロはちょこんとそれこそ人形のように座り込む。
「……」
「……」
それから会話はなかった。
気まずいというわけではなかったが居心地が悪い空気だったのは確か。
そこに
「ハハハ! 帰ったぞ!」
バタンと空気を読んでいるのか読んでいないのか豪快にドアを開けて、拉致った張本人が姿を現した。
正直、修学旅行明けのテンションが抜けていない子供のようにしか見えない。
あのときの冗談のような強さはやはり冗談のようなものだったのかと拉致られた自分は思ってしまう。
「ぉ、大人しくはしてるようだな。感心感心」
あれだけ徹底的に逃げられないようにしていれば大人しくもすると京は心の中だけで突っ込んだ。
京が脱走を試みていたことはわかっていたようで所々ボロボロな姿に口を歪ませているのは怒っていいのではないだろうかと思う。
そう言いながらエヴァンジェリンは土産と思わしき物や荷物を投げ捨て、京の目の前に立った。
「さて、せっかくこうして話す機会を得たんだ。有意義にいこう」
こうして人外同士の対話の場が整ったのだった。
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「それで、これはなんだ?」
「ふん、こちらの方がハッキリするだろう? 立場ってものが」
京は地べたに座り、エヴァンジェリンはベットに腰掛けている。要は京が見上げて、エヴァンジェリンが見下している構図になるわけだ。
なんとなくこういう趣向が好みというかSなんだなと理解する。
ともあれこの構図は実際に間違いはない。力量差は明確でここは敵の拠点の中、相手は従者2人を引き連れて、多勢に無勢の中で更に京は左腕が無いときた。これが今の立場の差というものを意味している。
「まぁ、いいけども」
釈然としないものも感じるが気にするほどのことではない。
とりあえず受け入れて話の続きを促した。
「それで、アチラに引き渡さなかったのは感謝するが何の目的があって俺をここに連れてきたんだ?」
本題に入る。
今京がここにいるのは目の前の
それがわかれば多少行動の指針にもなるし、さっさと帰ることもできるかもしれない。
しかし
「あー……、茶々丸、言え」
「ハイ、特にこういった目的もございません。マスターの気紛れです」
「ハッキリいうなっ!!」
「……」
エヴァンジェリンは取り繕って欲しかったのだろう。だが彼女の後ろに控える茶々丸と呼ばれた彼女は主人の真意を汲みはしなかったようだ。
拉致られて、特に意味は無いといわれたとき、どう反応すればいいだろうか
とりあえず今の京が間抜け面だったのは確かだった。
「まぁ、なんだ。希少種だったからとりあえず捕まえてみた。みたいな」
そして、エヴァンジェリンのフォローになっていない取り繕いも、京の疑惑を確信に変えただけだった。
あれだろう。リョウメンスクナノカミの一件、対峙し戦闘してから彼女が言う同族、始めて見たという京にとりあえずの興味を持って、引き渡してしまうのもアレだからという適当な理由で自分のところ放り込んでおいたというだけの話、要は理不尽だ。
「帰っていいかな」
「却下だ」
投げやり気味に放たれた京の呆れた言葉をエヴァンジェリンは跳ね除ける。
「そう言ってくれるなよ。私としてもお前の扱いがわからなかったんだ。なんといっても初めてのご同類、このまま帰してしまうのも勿体無い。まぁ私が飽きるまでは付き合ってもらおうか」
「ケケ、運ガ悪カッタト思ッテ諦メナ」
「ご愁傷様です」
何でこんなことになっているのだろうか、改めて京はそう思う。
今のところやることなすこと裏目というか地雷を踏みに行っている行為をしている気がする。親書を破壊しなければフルメンバーを引き出すことはおそらく無かった。リョウメンスクナノカミを開放しなければ今はなかったはず、だがそのどれもが京には必要なことであって、この一連の流れは回避不可能で、要は運がなかったのだ。
哀れみの目線が痛い。
エヴァンジェリンのしてやったりという勝ち誇った笑みがムカつく。
「ハハハ……」
乾いた笑みを浮かべながら京は笑うことしかできなかった。
京の首筋から血が一筋流れる。チャチャゼロに切られた傷は案外深かったようだ。
「む、勿体無い」
それに目敏く気付いたのはエヴァンジェリンで、その小さな顔を京の首筋に寄せ、舐め取ろうとして
「止めておけ」
京に止められた。
エヴァンジェリンの額に人差し指を突き、それ以上近寄らせなかった。
それに不満そうな顔をされても困る。もし京が考えている通りならばその行為は危険だ。
「お前に拒否権はないぞ? 家賃代わりに吸って何が悪い」
何が悪いと言われれば全てが悪い。勝手に拉致っておいて宿代を寄越せとは理不尽極まりないだろう。
だが今問題なのはそれではなく
「舐める前に指先で俺の血に触ってみろ」
京の体の問題だ。
その促されるようにエヴァンジェリンは素直に京の首筋から垂れる血を人差し指で触れた。
その瞬間
「っ!? 痛っ!」
痛みに指を引っ込める。
京もそれに予想通りだと苦い笑みをしながらその光景を眺めていた。
人差し指を口に加えながら若干涙目でエヴァンジェリンは問う。
「にゃんだこれふぁ」
「貴方の天敵さ」
対吸血鬼、それも最上位のエルダー級を封滅させるための「呪獄」属性の血、それを操る術は今のところ失われているがその血自体は生きていた。例えそれが魔法世界最強種の一角だとしてもその血は猛毒以外の何者でもない。
咄嗟に茶々丸は不気味な色の液体が入った魔法瓶をエヴァンジェリンに渡すと傷口にふりかけ傷を癒した。
あの理不尽なレベルの再生力はどこにいったのか、あの程度の血のダメージならへでもないはずなのにと疑問に感じる。同時に血の効力は生きていたことを知っていればこの現状は無かったかもしれないとも思った。
京の心の中の推察を他所に、エヴァンジェリンは一転、ご機嫌斜めだった。
「早く言わんか!」
「言ったじゃないか、一口飲んでたら結構やばい事になってたぞ?」
死にはしないだろうがかなり酷いことになったのは間違いない。
むしろ感謝して欲しいくらいだ。
「まったく、細胞単位で壊死させられたのは初めてだよ。おかげで一から構築する破目になった。前にも聞いたがお前は何だ?」
「さぁ、俺も聞きたい」
京自身、お前が何者かと問われれば首を傾げてしまうのは確かだ。
京の内には様々な因子、細胞が渦巻いている。ゴチャゴチャ過ぎて京にだって何かはわからない。
「ふん、答える気が無いならそれでもいい。お前は客人だからな」
「よろしくお願いします?」
今日のところは顔合わせのみだったのか、エヴァンジェリンは話は終わりだと手を振った。
こうして京の拘束された一日は呆気なく終ったのだった。
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今にして思ったことだが、自分はここから脱出したところで帰る方法が無かった。
この世界の魔法体系などどれだけ頑張っても習得不可能な京は実際、動かない方が良いのである。帰るにはフェイトの手引きによる転移が必要であり、自分が脱出してあてもなくウロウロとするよりは一箇所にいたほうがフェイトとしてはありがたいだろう。
つまりだ。
「つまらない」
やることがなかった。
動きたい。何かしたい。行動に移したい。
それだけが京の心に渦巻いていた。
「ケケ、御主人ノ相手ハ疲レタカ?」
「いや、普通すぎて拍子抜けしてる」
あれだけ冷や汗をかいたが自分の待遇は普通に良かった。
初めは家に軟禁に近い状態だったが次第にその縛りも解け始め、いつしか普通に外出すらできている。それは京から脱出する意思が無くなった事に加え意外とエヴァンジェリンが話せる人物だったのが起因していた。
間柄としてはただの話し相手、そんなところだ。彼女としては今はそれで満足だと言い。京から根掘り葉掘り聞きだそうという事もしない。京からすれば拍子抜けもいいところだが贅沢過ぎる物言いだろう。
夜の町、その一角、ある屋根の上で京は目下で行われている事に目を向けていた。
「あれは何をしているんだ?」
「アァ、アノガキガ御主人二弟子入リシタイラシイ、ソノ試験ダトサ」
「ふぅん」
茶々丸と呼ばれた人型の人形、彼女にネギが仕掛けている。
それをつまらなさそうに京は見つめていた。
「オ前ハ、アレニ興味ハ無イノカ」
「いや全く、俺以外は興味津々な様だけれど」
ネギ、彼に着目している者は多い。フェイトもそうだったし、エヴァンジェリンも彼から目を離してはいない。英雄の息子というだけではない。その年に似合わぬ実力も合わせて彼は異常なのだ。
だが同時に危うさも見える。それは違いはあれどいつかの少女に近い歪み。
それがネギを見た京の感想、そしてそれ以上の意味を見出せはしない。
「オ前ハ、何ニ興味ヲ持ツンダ?」
「事件、襲撃、厄介事、色んな出来事さ、それさえあれば他の事はいいよ」
手を加えられる出来事を京は求めている。
何だっていい。荒らしてやる。それが全てだ。
今回はそれを起こす側だというのに、京は動けないでいる。それがもどかしい。
だが京の願いはすぐ成就されることになる。
「お久しゅう京はん、月詠どす~」
下を見下ろす京に背後から音も無くそれはそこにいた。
突き付けれる刀、それは正確に京の喉元に突き立てられようとしていた。
「迎えか、早いような早くないような」
だがそれが血を吸うことは無かった。
彼女は動けない。
彼女に絡みつくように無数の白刃が月詠の周囲を円柱を描くように旋回していたからだ。
月詠が動くよりも早く、それはその体を微塵に切り裂くだろう。
「x^2+y^2=1、動けやしないよ」
「あ~ん、斬り甲斐がありそうなのにぃ~」
「他でやってくれ」
月詠の戯言を流して、京は問いを投げた。
隣にいたチャチャゼロは特に興味もなさげに目下で行われている妹の戦いを眺めている。
「で、彼は?」
「あぁ、勘違いしたら困ります~」
フェイトが宣言どおり迎えに着たのではないかとの京の問いにその意味を察して月詠はそれを否定とともに返した。
「任務のお時間ですえ~」
「へぇ」
ニッコリとどこか人懐っこい笑みで月詠は笑う。
それに釣られるように口元だけ歪ませて京も笑うのだった。
とここまででした。
次回から戦闘に入ります。