「ケケ、悪ッポイ雰囲気ガ流レテヤガルナ」
月詠と京の間に流れる雰囲気にチャチャゼロはそう感想を漏らした。
先ほどの気の抜けた様子とは一変、京の気配もガラリと変わり嬉々としたものになっている。だが笑いあう2人の様子はいかにも企んでますといったもので、とてもではないが良いと言えるものではなかった。
「それで、内容は?」
ではさっそくと月詠に京は詳しく話を聞こうと切り出す。
チャチャゼロがここにいるにも関わらず話を続けられるのは主人であるエヴァンジェリンの立ち位置、スタンスがわかっているからだ。
学園の二重封印によって力のほとんどを失っている状態の彼女、京の血で受けた傷も薬に頼らざる得なかった現状に同時に納得もした。それを隠しもせずに京に話題の1つとして出す辺り、大物感が窺える。
要は、この学園内にいる限りエヴァンジェリンはほぼ無力に近いということ、つまり障害とはならないのだ。また彼女自身が学園に属してはいても学園の味方ではないということ、事件があれど無関心、または酒の摘みに傍観するとわかっているからである。彼女に関わることに手を出さなければ問題ない。
先のリョウメンスクナノカミとの一件も1つの学園側との取引、ギブアンドテイクである以上、こちらから事前に伝えておけば問題ないとの京の判断だ。
「簡単に説明すると学園の調査、ってやつです~、あの方も無茶を言いますなぁ」
「なるほど、それは難題だね」
今京がいる麻帆良学園都市、異常ともいえる広大な土地を持った都市である。図書館島や300mに届きそうな世界樹、それを疑問に思わせない認識阻害結界、調査の対象としては理解できた。先の京都襲撃もこれの延長線上と見ていいだろう。
「それを2人となるとかなり時間が掛かる、か」
学園都市は広大、そして勿論それを警備する魔法使いたちは多い。それらを掻い潜って調べ物をするにはそれなりな時間が掛かるだろう。
だが京のその考えは不要なようだった。
「大丈夫ですわ~、うち一人でやりますので~、その辺りは京はんには期待してないそうですわ」
「……あぁ、うん、そうかい」
ほんわかとした間延びした口調で無能と言われると何か傷つくものを感じる。
諜報なんて京にはできないのは確か、基本的には京は戦闘要員であるからだ。
「君にこの学園を全て調べられるのか?」
だがそれは月詠も同じではないかと疑問を持つ。
「うちを舐めたらあきまへんえ~、これでも神鳴流の雇われ稼業、大体のことはできるようにしてますわぁ」
「なるほど、ね」
月詠もまだ年端もいかない少女ではあるが傭われの傭兵のようなものだということは確か、襲撃よりも諜報など影で動く仕事が多いのかもしれない。
では何故、京にも任務が回ってきたのか、およそ今のところ聞いた限り京にできることはない。だがフェイトは京も指名した。それは何故か
それは学園都市の調査ともう1つの重要事項によるものだった。
「それともう1つ、ネギはんの実力の再調査及び神楽坂明日菜の完全魔法無効化能力の実態調査です~」
「俺の仕事はそっちか」
「はい~、あ! 刹那はんはうちにくださいね~」
「……」
違った。京は月詠のストッパー役だ。
恍惚とした笑みで刀を舐める月詠に自重の二文字は難しいだろう、斬ると言ったら最後まで斬ってしまいそうな雰囲気が窺える。既に刹那と闘うことが前提となっている辺りもうだめだ。
彼女の実力的にも単独潜入は少々キツイ、京が囚われていることも踏まえて都合がよかったのだろう。
「それで、遂行日は?」
「うちが粗方調査を終えてからなので~、ネギはん達の対応は1週間後がいいかと~」
「了解」
月詠は伝えることだけを伝え終え、一足飛びに飛び出すと闇の中に消えていった。
それを見送り、京は考える。
時期は一週間後、それまでにやることはなにかと言われれば、ある。事前に終らせないといけないことができた。それは敵陣の真っただ中で行われるこの任務における障害の排除である。
そう、たった今懸念事項になったことである。
「やりましたよ……エヴァさん、これで認めてもらえますよね……!」
たった今、目下でネギがエヴァンジェリンに師事する為の試験、それに合格してしまったところだった。
「ちっ……」
吐き捨てるように京は舌打を鳴らす。
ボロボロになりながらも試験に合格したネギに思うところは何も無かった。それ以上に、余計なことをという苛立ちに似た感情が先立つ。
これでネギは、エヴァンジェリンに師事することとなった。それはネギがエヴァンジェリンに関連するものとなったということ、例えエヴァンジェリンがネギを弟子にすることにあまり乗り気でなくとも約束は約束、それを彼女は反故には絶対にしないし責任を持つだろう。短い付き合いだが京にはそれがわかる。
つまり、ネギに手を出すということはエヴァンジェリンに手を出すとことと同じ意味合いを持つのだ。それは京とエヴァンジェリンが関係を持ち、エヴァンジェリンとネギが師弟関係にあるということを京が知っているという三角関係から生まれる事象である。
わかっていて私の弟子に手を手を出したな、そう追求される可能性もあるのだ。
後でなにをされるかわからない。事前に伝えようとも嫌な予感しかしない京だった。
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「ほぅ、私のぼーやに手を出すか、どんどんやれ」
「おろ」
その晩の事、帰宅したエヴァンジェリンに切り出した先に返ってきた言葉がそれだった。
眉をひそませる程度の反応はされるかと思ったがそれとは真逆の反応に京は面食らう。
だが「私のぼーや」と付けている限りネギに対する意識はそれなりにあるようで、それも京が混乱する要因となった。
「なんのつもりだ、くらいは言われると思っていたけれど」
「あぁ、貴様が属する組織とやらに興味は無い。あくまで私が興味を持ったのはお前だ。詮索をする気など鼻からないさ。それにぼーやを弟子にするとなってしまった以上は手は抜かない。
「俺も踏み台ってやつかな?」
「あぁ、成長材料くらいにはなってもらおうか、ぼーやの飲み込みの早さは異常だ。精々足元を掬われないようにするがいい。だが良かったな、私に事前にこうして話しておくのは良い結果になったと思うぞ? 思惑がわからないお前をただ放し飼いにするほど私は甘くない」
なるほど、エヴァンジェリンらしい理屈だ。そう京は思った。
結局彼女のスタンスは変わらない。傍観、それだけだ。だが同時に釘も刺されてしまう。未だお前は私の手中にあるのだと、勝手な行動は許さないと言われてしまった。
「肝に命じておくよ」
京はそう静かに笑った。
「ふん」
それにエヴァンジェリンはそっぽを向いて、応えた。
話も一通りの区切りがついたかと、京は席を立ち、エヴァンジェリンに背を向けてその場を後にしようとする。
しかし
「割に合わないな」
「うん?」
エヴァンジェリンの言葉に京は足を止め、振り返った。
「お前の話を要約すれば私の弟子にちょっかいを掛けるということだろう? なんだ私が損をしているようではないか」
「そうなの……かな?」
「そうだ!」
何故か理不尽が発動してるような気がした。
首を傾げる京に自慢げに10歳相当の慎ましい胸を反らしてエヴァンジェリンは言う。
「確か1週間だったな。それまでにお前に対抗できる程度にぼーやを強化してみようか」
その瞬間、ネギの未来に地獄の特訓コースが発生したのを京は理解した。
だがそれは果たして意味があるかどうか
「なら俺はそれを容易く越えてみせよう」
京の手札は尽きない。今の京の立つ次元は全盛期とは比べ物にならなくてもあの程度にやられる気はない。
京はそれに自信があるように不敵に笑った。
それに釣られるようにエヴァンジェリンも口だけを吊り上げて笑う。
「賭けをしようか」
それは遊びの提案をする子供のように無邪気な気配を含めてそれは提案された。
「お前が勝てば、もう帰っていいぞ」
予想外に放たれたおいしすぎる条件、京はそれに言葉がつまった。
どれだけネギの飲み込みが早かろうと最初期の時点でかなりの力の差があったのだ。それを1週間で埋められるほど甘くないつもりだ。
絶対に何かある。それは京が負けた場合のペナルティにあるのか、それとも
「だが、条件を付けさせてもらおう」
ネギと同じ土俵に立たせる縛りを京に加えるかだ。
しかし、エヴァンジェリンの提案する条件とは京の推測を凌駕するものだった。
「お前を見せてみろ」
一瞬、京から表情が抜けた。
「なにを言っているんだ?」
「つまらない受け答えはいい。受けるのか受けないのか、それだけだ。私の不干渉という約定を無条件で飲んでいるんだ。なんてことはないだろう? むしろお前にとっては良い事尽くめな賭けだと思うが」
エヴァンジェリンの言っていることは全て正しい。この賭けは京にとっては旨過ぎる話だ。ネギに勝つという前提条件が存在しても、それは覆りの無い事実だと京は考えている。そして、出された条件も京の力を阻害するものではない。
むしろ、その条件は京から手加減を奪うことになりかねないものだ。
そして、京は元々それを永遠に出すつもりは無かった。
「どうした? 黙りこんで、そんなに都合が悪いものだったのか?」
「……いや」
頭ではわかっている。飲まないデメリットが存在しない。
エヴァンジェリンの言った条件自体、言った本人でも当てずっぽうに近い適当なものだろう。それは曲がりなりにも京と自分がが同類だと言った彼女だからこその言葉なのか。
どちらにせよ。底が浅い京と年季が違うエヴァンジェリンの差なのは違いない。
「…………わかった」
「よし」
最終的に京は自らを殺すことで、その賭けに乗った。
短くない逡巡、それをエヴァンジェリンは面白そうに見つめ、京の了解と同時に拳を握った。
そして、本当に話は終ったのだと早足に京はその場を去る。
できるだけその場に居たくなかった。
だがふと、思い出したことがあって京は足を止め、顔だけ振り返り、横目にエヴァンジェリンに問いかける。
「聞き忘れていた。俺が負けた場合はどうする?」
「律儀な奴だな。まぁなんだ。私の……、いや負けることなど実際無いだろうさ、惨めに負けたらまた拾ってやるよ」
エヴァンジェリンは答えなかった。それは初めから京が勝つという前提で彼女も賭けを提案していたのだから、それは勝っても負けても彼女に利があるということで京はそういう風に誘導されたというだけの話なのだ。
それに京は苛立ちもしなかったし、ただ観念したように溜息を吐いただけだった。
そして、1週間後、幕は開けた。
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「さて、はて」
時は既に夜、暗闇の中、京は人っ子一人いない道を歩んでいた。いつものようにローブを羽織り、人相すら見せないようにしている。
既に月詠も認識阻害の結界を張り、準備は万端だ。
右手を握り、解く。思ったより調子は良くは無い。それに京は心当たりがあった。
学園結界、その1つに京も引っかかっている。
悪魔などの人外に対する力の抑制をされる結界、京もそういった魔に属する類の因子は持っているため引っかかった形になったのだ。大した能力も使えないのにこうデメリットだけ生きていると溜息の1つもつきたくなる。
体のスペックが若干下がっているかなと思いながら歩を進める。
目に前に宿舎、そこにターゲットは揃っている。
「どうするかな」
人質を取って誘き寄せるか、いや、まどろっこしいかもしれない。暴れればネギは出てくるだろう。そのパートナーである明日菜も然りだ。
月詠は既にいない。邪魔になるのを先に排除してきますと嬉々としながら消えていった。どこにいったかなどはもう知ったことではない。じきに弾きあう金属音となにかを切裂く音が聞こえることだろう。
京も適当に暴れるかと腕を回したところで
「待ちや」
止められる。
京の目の前に立ちはだかる様に見知った子供はいた。
「まさかあんたが来るとは思わなかったわ、京の兄ちゃん」
「……そういえば離反したんだったか、犬上小太郎」
話だけは聞かされていた。
京都襲撃の後、フェイトは千草以外の2人の声を掛けたのだ。そして、それを了解したのは片方だけで、小太郎はフェイトの手から逃げ出した。
「ネギの寝首を掻け言われてできるかっ!」
「あぁ、そういう理由」
つまり彼がここにいる理由はまだフェイト等がネギを狙っていると知って先回りし危機を知らせようとしていたのだろう。
ならば敵の罠に自ら踏み込んだのは京達ということになる。
「情でも移ったか?」
「何とでも言えばええ、ただ思ったより東の奴等も良い奴ばっかりだった。それだけや」
どこからか爆発音と斬撃の音が聞こえる。それは思ったよりも多く、京達の襲撃は知られていたということだった。
フェイトにしては詰めが甘い。小太郎を逃がしてどうなるか程度わかっていたはずなのに、それともそれを見越しての任務か。
どちらにしろこれは京は原因ではない。その辺りだけ安心した。
「なぁ、兄ちゃん。今のあんたらは袋の鼠や、降参せえへんか? 兄ちゃんはあんまり悪い奴には見えないんよ」
それは優位に立ったものの哀れみか、本心か
どちらでもいいし、どうでもいい。京の答えは決まっている。
「いや、断るよ。そっちに俺としてのメリットは存在しないんだ」
目線は小太郎に合わせ、気配を探る。
1人、2人、3人……、わかるだけで6人、京の周りに潜んでいた。
今の京は片手、輝装を展開するのしても片手分だけだ。それは出力の半分しか出せないことと同義で、この人数を相手するには些か分が悪い。
「準備はできているんだろ? 早くきな、お前等に用は無いんだ。知ってるだろ?」
こいつ等に用は無い。用があるのはネギと明日菜のみ。
さっさと片付けて、引きずり出す。
そうしなければ厄介なのがいつか来るだろう。つくづくエヴァンジェリンと話しておいて良かったと思う。
さぁ、始めよう。
「ワールドエンブリオより武部洋平、ナイフ型刃旗"空断" ……発動」
右手の甲に黒い球体が嵌め込まれるように現れる。
それが何なのか、知る者はいない。だが敵は理解していた。あれは拙いものだと。
小太郎を含め、周囲の敵7名は京に一直線に、最短距離を走り襲い掛かる。
だが敵の攻撃が京に触れるより早く、京が紡ぐほうが速かった。
「顕醒!」
右手が分解されるように解けてゆく、それと同時に黒い球体を軸に右腕が再構成されていった。
それはほんの一瞬の出来事、それだけでそれは
武器となるのだ。
「……ナイフ型刃旗"空断"」
手には逆手に持った50cmほどの大型ナイフ、そしてそれを握る黒い右腕だった。京の顔にも赤いタトゥーが現れている。
もうすぐそこには敵は京を囲むようにいた。
その囲いを抜け出すことはできないだろう。しかし、それ以上京に近寄ることは叶わない。
「なっ!?」
振り下ろされる拳、魔法、剣、だがそのどれもは京のいる2m手前でそれは全てを止めていた。
「魔法障壁……!」
「いえ! 障壁解除魔法は撃ち込みました!」
「多重障壁、それとも別の……」
予想外の防御法、よほどの実力差が無ければ覆せない攻撃だった。
敵もこの攻撃を防いだ結界のようなものが特殊なものであると瞬時に理解する。
しかし、これがどんなものか理解はできないし、把握させる気も京にはなかった。
「動きが止まってるよ」
相手の動きが止まる中、京は悠々とナイフを弦を引くように背にまで振りかぶり
「ふっ!」
思い切り斬りつけた。
真一文字に振られたナイフは白い軌跡を残し、斬撃が衝撃波の様に飛び散る。
振りぬいた後には京の周囲には誰もいない。全て吹き飛ばした。
「なんだあれは……」
先の攻撃の射程外にいた敵と京の背後にいた敵、そして直感的に後退し避けることのできた小太郎だけが無事だった。
各々の敵に目配せしながら京は構える。
まずは
「お前だ」
京がぶれるようにそこから消えると魔法攻撃で遠距離から攻撃していた敵に襲い掛かっていた。
敵も麻帆良学園を守護する教師の一人、その実力は本国魔法騎士団の実力に匹敵する高位の実力者だ。生半可な力では崩されないだろう。
だが未知の攻撃ならどうか
突きつけられるナイフが敵を襲う。
「っ……!」
幾重にも張り巡らされた魔法障壁、ナイフはそれを1枚、2枚と突き破り、3枚目でその勢いを止めた。
だが、駄目だ。
この能力の本質は正体不明の結界防御ではなく、ナイフという武器に似合わない攻撃力にあるのだがら
「脆いっ!」
更に力を篭めれば、それは簡単に砕け散る。
ナイフは障壁を貫通し、構えていた杖を真っ二つに切裂いた。
更に京は一歩前に出て、対面する敵に肉薄する。同時に体を独楽の様に回転、回し蹴りを食らわせた。
吹き飛んだ敵はビクリとも動かず、戦闘不能に持ち込んだことがわかる。
そして、味方がむざむざやられているところを見ているほど小太郎達は実践慣れしていない訳ではなかった。
「ちっ……、前と武器が違うやないか!」
「俺と戦るなら不意打ちに気をつけろよ」
小太郎が正面から殴りかかってくる。
だがそれは囮であり本命は背後の死角から切りかかる妙齢の女性、それは全て比喩表現でなく
既に京の手には黒い本が添えられていて、障壁を発動させる前にこちらに肉薄しようという相手の対応数式のページが捲られていた。
「y=ax+b」
目の前の小太郎と女、それは京を基点に一直線上に並んでいて、京の影から2つの巨大な白刃が現れると鮫の鰭のように地中を抉りながらニ方向同時に攻撃を開始した。
襲い掛かる白刃を両者は受け止める。一方は刀で、もう一方は白羽取りして。
だが動きは止まった。
座標特定終了。
「(x-a)^2+(y-b)^2=r2!」
パタンと黒い本を閉じたときにはそれは全て終っている。
受け止めていた白刃が白い霧となって消えると同時、代わりに現れたのは周囲を囲む白刃の群れだった。
円を描くように、連なり動いている白刃は云わばミキサー、奇襲するように全方位から現れたその攻撃を避ける術は無く、それは敵の全身を切り刻んだ。
「うぁっ……!」
終った。
倒れ伏す敵は死んではいないものの動けはしない。
右手の甲に嵌められた黒い球体がジジと音を鳴らしていた。
刃旗、それが今回得た能力である。
刃旗核と呼ばれる黒い球体を掌に宿すことで得ることのできる特殊能力。
身体能力が上がるなどを除き、得る力は大別して2つ。
1つ目は刃旗、個々によって形が違う攻撃武装、京は元となった人物の攻撃力に特化し斬撃の衝撃波を飛ばす空断。
2つ目は拡大意識効果領域"
背後から来る敵も見えていた。強固な防御結界を破るほどの攻撃はなかった。
負ける要素は、無い。
悠々と歩き、近づいてくる京に、小太郎は這い蹲りながらも睨み付けてくる。
「ネギには手ぇ出させん……!」
「いつの間にそんな熱い友情が芽生えたんだか」
「別にそんなんじゃあらへん、助けてもらった恩義と決着つけるってあいつと約束したんや」
「ま、いいんじゃないか? こっちは基本悪巧みだからなぁ、お前には合わなかっただろうし、そっちにいるほうが幸せだよ、その選択は間違ってない」
京は小太郎を見下ろしたまま、止めを刺すことはなかった。
会話の中でも元仲間とした気安い雰囲気があったのは違いない。別に憎くてやっているわけではないのだ。ただの障害その認識しか京にはない。
「まぁ礼を言っておくよ」
「……何やと?」
「お前等餌だって言ってるんだよ」
京はそう答えて、空を見上げた。
「
空から以前よりも数が増し拘束の風が京に襲い掛かり、
同時に京は跳び、退く、そこには明日菜が蹴りを繰り出しており、着地と同時に地面が砕けた。
「食いついたか、いや、堪え性がなかったのかな」
ターゲットの2人は既に目の前に、本来ありえない。標的とわかっている人間を出すほど学園側も頭が悪いわけではないのもわかっている。だが彼はまだ子供であり、実力が多少あり、目の前で自分の為に傷ついている者を黙ってみていられるほど人間ができているわけではなかった。
「なぁ? ネギ・スプリングフィールド」
「……また、貴方ですか」
既に両者は戦闘態勢、戦いは今すぐにでも始まろうとしていた。
「貴方には聞きたいことが山ほどあります。それに貴方は……僕の友達を傷つけた!」
怒りからか、ネギの周囲には目で見えるほどの魔力が展開されている。
それに京は若干目を見開きながらも嬉々と笑った。
「きな、第二ラウンドだ」
そして、前哨戦が終わり、本戦が開始されたのだった。
と前半終了となります。
段々と20話くらいで収まらないような気になってきて不安になってまいりました。
次回、vsネギ+α もう1つの輝装段階! 乞うご期待ください。
原作名:ワールドエンブリオ
ジャンル:漫画
使用者:武部洋平
能力:ナイフ型刃旗"空断"
刃旗核と呼ばれる黒い球体を掌に宿すことで得ることのできる特殊能力。
身体能力が上がるなどを除き、得る力は大別して2つ。
1つ目は刃旗、個々によって形が違う攻撃武装、京は元となった人物の攻撃力に特化し斬撃の衝撃波を飛ばす空断。
2つ目は拡大意識効果領域"
かなり強力な能力であるが弱点が2つある。
1つは
2つ目は刃旗核、顕醒時は核が剥き出しの状態になり、核が破壊されると使用者は死んでしまう。つまり、
とワールドエンブリオでした。
どこかシリアスでもの悲しい雰囲気のこの漫画、2巻のクライマックス振りがすごかった。
ぁ、貧乳は全然アリだと思います、まる。
面白いので機会があれば是非読んでみてください。