銀河機攻隊マジェスティックプリンス 悪魔を操縦する者   作:ザルバ

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「ウルガルからアッシュの情報を届けたの?」

 イズルは率直に疑問を投げかけた。

 そんな中タマキは興奮していた。先日の休暇の時に男性の方がイケメンであったためよく覚えていた。そんな光景を女性の方は微笑んでみていた。

「そうです。私が地球にアッシュの情報を届けたテオーリア。彼はダニール。ウルガルから私に付き添ってくれた者です。」

「付き合ってた!」

 その言葉にタマキは反応する。がそれをスズカゼが宥める。

「彼は私がウルガルにいたころから私の世話をしてくれています。私はウルガルでは・・・・・なんと言えばいいのでしょうか?」

「我々の言葉では貴族になるでしょう。」

 困っているテオーリアにシモン司令がフォローを入れる。その言葉に一同驚く。

「その方は、ウルガルで身分の高いご令嬢の方なのだ。」

「き、貴族のお嬢様かぁ~。」

「黙って聞いてろ!」

 興奮するスルガにアサギが注意をする。

「こうして皆さんにお会いしたのは、ウルガルの事、そしてアッシュのことを直接お話ししたかったのです。」

「どういうこと?」

 イズルの問いに答えるようにモニターの前に移動するテオーリア。

「ウルガルは、地球から遠く離れた銀河にある星です。私たちは気の遠くなるほど昔から続いてきた種族なのですが、すでに生物としては衰退期に入っています。何もしないでいれば、主としての活力は衰え、遺伝子も劣化の一途をたどり、やがて滅びてしまうでしょう。しかも人工的に寿命を延ばす研究はすべて失敗に終わりました。そこで、ある試みがなされたのです。

 それは、我々の遺伝子に進化を促す人工操作を加え、宇宙の各所に放つという実験です。異なる環境、惑星にさらされた遺伝子は独自の生態系を作り出すはず。その中にはウルガル人の衰えた生命力を補えるほどの力強い人種も現れるはずだと。」

「つまり、遺伝子の播種計画と言うことですか?」

 アサギの問いにテオーリアは「はい。」と答えた。

「計画は成功し、宇宙の各所に放たれた遺伝子は各々に進化を遂げました。そして今、わつぃたちはそれを収集し自分たちの命を保つために使っているのです。」

 モニターには巨大な装置が映しだされていた。

「かつて遺伝子を送り込んだ宇宙につながる空間通路をひらき、進化を遂げた種がいればこれを回収しているのです。私たちはこの行為を、“狩り”と呼んでいます。」

 そういうテオーリアの表情は暗かった。

「ふーん。ウルガルの人にとって俺たちって獲物なんだ。」

「我々も水産資源を保つために稚魚を放流して繁殖を促す。それと同じだ。」

 イズルの問い位にシモンは答えた。

「んじゃ俺たちもその獲物のための種族ってこと?」

 イズルの言葉にテオーリアは「そうです。」と答えた。

「ただ、その行いに反対する者もいるのです。私の母もその一人でした。」

「そうなんだ。」

「私の母は、ウルガルが様々な星を滅ぼし、自分たち丘手にしていることに心を痛めていました。たとえ元は採取用に播種されたとは言え、進化した者にはそれぞれの未来、それぞれの命がある。それを奪い取ることは許されないと。」

「・・・・・・・・」

 その言葉にイズルは何も言えなかった。イズルたちのような阿頼耶識を埋め込まれた人間は人間以下の扱いを受ける。結局ウルガルも地球人も変わらないのである。

「私は母の密命を受け地球に送り込まれました。ウルガルは、今度は地球を標的にしている。それに先んじてウルガルの脅威を伝えるために。そして、ウルガルに対抗するっ方策を知らせるために。」

「っ!!それがアッシュなんですね!」

 アサギが気付くと今度はシモンが説明をする。

「ここからは私が説明しよう。我々地球側が彼女らと接触したのはMJP機関発足直後の事だった。MJP機関は本来、宇宙に対応できる人間を育成するためのプロジェクトシステムだった。

 だがウルガル侵攻の知らせを受け、来るべき戦いに備えて変わったのだ。当時、宇宙空間における人間の活動についてMJP以上に研究が進んでいるところはどこにもなかったからである。プロジェクトは二つに分かれた。一つは兵器の開発。もう一つはその兵器を操れる人材を育てることだ。アッシュの開発は困難を極めた。異なる化学の技術を地球人用に転換しなければならなかったのだ。それを可能にしたのがジュリアシステムだ。MS技術もあったが知っての通り阿頼耶識は使用を禁止、そうでない機体ではウルガルに勝つことは不可能だと上層部は決断を下した。

 何度かの失敗を経て、実用化に成功したのはつい最近のことである。それを運用するための組織がMJPだ。そしてほぼ同時にウルガルが木星付近に現れた。我々はかろうじて枚あったのだ。現在こちらのお二人については技術顧問として協力してもらっている。無論、このことを知っているのは限られた人間だけだ。しかし今回、特例としては成したのには理由がある。」

「先ほど、バルバトス5がウルガルの機体と戦う映像を見せていただきました。彼はこう言っています。

“面白い戦いだった。また相まみえようぞ、原生種族よ。”」

「原生種族?」

「俺たちのことそんな呼び方してんのかよ!」

 アサギとスルガが声に出して反応する。

「彼はバルバトス5のパイロットを狩りの標的として認識したようです。」

「俺を?」

「それだけじゃないわ。ケレス大戦でウルガルの戦力にまともに対応できたのはあなたたちと鉄華団だけだった。あなたたちは優れた資質の持ち主として、ウルガルにマークされた可能性がある。」

 スズカゼの言葉に一同反応する。

「予想されていたことではあった。ウルガルの目的が、優秀な遺伝子の採取であるのだからな。知っての通り、ケレス大戦では地球側が大きな損害を被った。必然的にチームラビッツが戦闘の中核をなすことが多いだろう。その時、お前たちがウルガルの標的となることが作戦の要素として組み込まれるはずだ。」

「つまり、囮にされる可能性があると?」

 ケイの言葉に「その可能性がある。」とシモンは答えた。

「お前たちは、これらすべてに対する心構えを持たなければならん。こうして話を聞かせたのはそのためだ。」

 その言葉にイズルと鉄華団の面名以外は俯く。

「地球側にとってはあなたたちは切り札よ。そう簡単に危険な作戦に駆り出されることはないわ。」

 そんなスズカゼの言葉にオルガは言った。

「甘いな。危険じゃない作戦なんてねぇ。前の作戦でイズルたちが死にかけただろ。もうちょっと慎重に考えてやれ。」

 その時警報が鳴った。

「緊急だ。後は任せる。」

「はっ!」

 シモン司令はその場を後にした。

「何か質問は?」

「僕たちに次のミッションはいつぐらいですか?」

「未定よ。他には?」

 スルガの問いにスズカゼはさらっと答えた。

「二人が地球にいることって向こうは知ってるの?」

「おそらくは。」

「んじゃあんたのお母さんはどうなってるの?」

「わかりません。難を逃れてくれているといいのですが・・・・」

 イズルの問いにテオーリアは答えた。

「いいですか?」

「はい。」

 ケイがテオーリアに質問する。

「さっきの映像でイズルが戦っていたパイロットは誰ですか?」

「っ!」

「テオーリア様。」

 ダニールは何か言いそうであったがテオーリアは答えた。

「ジアート。」

「ジアート?」

「はい。彼の名はジアート。」

 するとテオーリアの表情が曇った。そんなテオーリアにケイは迷うことなく直球な言葉を投げかけた。

「テオーリアさんに似てますね。」

「そうでしょうか?」

 テオーリアはごまかすように言った。

「あのさ、あんたと前にどっかで会った?なんとなくだけど懐かしい感じがするんだけど。」

「そうですね・・・・私とあなたは昔一緒に過ごしていた・・・・・・・兄弟のようなものです。」

 少し誤魔化し気味の笑みにイズルは疑問に思った。

「申し訳ありませんが、それ以上の情報は教えできません。情報の提供はテオーリア様に与えられる自由や権利次第です。」

「ごめんなさい。いつかお話しできる時があればたくさんお話ししましょう。その時を楽しみにしていましょう、イズル。」

「わかった。」

 その光景を快く思っていないケイであった。

 

「で、なんで私の部屋にみんないるの!」

 テオーリアのとの会談も終わりイズルたちはケイの部屋に集まっていた。

「いつも俺の部屋じゃ不公平だろ。」

 アサギがそう言うとケイは言った。

「部屋に人入れるのあまり好きじゃないんだけど。」

「だったらアタシの部屋に来ればいいのら。」

「散らかってグチャグチャだろ、お前の部屋。」

「なんで知ってるの!きゃー、さては覗いたな!」

「見なくてもわかるって。」

 タマキの性格を知っていれば容易に想像できることだとスルガは言いたかった。

「静かにして。一度に色々聞かされて頭が混乱しているんだから。」

「地球人とウルガルの奴らと似ているのも当然だよな。同じ遺伝子からできた種族なんだから。」

「原生種族だとよ。冗談じゃないぜ!」

「これからの戦いはますますキツくなる。アッシュ部隊の補充が間に合えばいいのだが・・・・・」

 アサギが戦力の増強を口にするとケイが口を開いた。

「チームラビッツ。どうしてそんな名前が私たちに付けられたのか分かった気がするわ。ラビッツ、文字通り私たちは実験用のウサギだったのよ。」

「っ!!」

 ケイは行き場のない怒りに燃えていた。自分たちが生み出されたのがウルガルと戦うため。人としてではなく兵器として生み出され、観察され、記憶を消され、自由を奪われた。自分たちが人として生きているのかわからなくなってしまう程であった。

 しかしイズルだけは違った。

「俺、ウサギでイイと思うよ。」

「え?」

「だって俺は前に宇宙ネズミって呼ばれてたから。」

「あ・・・・・」

 ケイはイズルに埋め込まれている阿頼耶識についての知識を思い出した。

 宇宙ゴミ以外の呼ばれ方。生き物としては病原菌をもたらし、かつてはペストによる大災害を起こした生き物のように宇宙ネズミと呼ばれることがあるからだ。

「ウサギだとしても、俺たちは簡単に駆られたりしない。ウルガルの奴らは間違ってる。自分たちだけのために相手を殺す。確かに人間もそうしてるけど生態系のバランスは保ってる。そんな奴に俺たちは負けない。」

「でも、ジアートって敵はイズルを狙っているのよ?」

「大丈夫。それに次会う時にまでに強くなればいい。それに、守りたいって思えるのがいれば強くなれるっておやっさんが言ってた。」

 その言葉を聞くとケイは思った。

(その守りたいって存在に・・・・・私がなれたらいいな。)

 

 翌日の朝、イズルたちは鉄華団と共に朝のトレーニングをしていた。

「それで、昨日の検査結果は?」

 医務室の窓からスズカゼはルーラに聞いていた。

「好調ね。特にヒタチ・イズルはいつも以上。初期のころからその傾向はあったけど驚くほどの速さでジュリアシステムに適応しているわ。阿頼耶識もあるおかげかもしれないけど。でも医師としてはあの忌まわしいものをすべて回収して欲しいの。ガンダムタイプとコネクトすると文字通り悪魔に魂を売る行為だからね。」

「現在最もジュリアシステムに適応しているのはヒタチ・イズル。次にイリエ・タマキにスルガ・アタル。アサギ・トシカズとクギミヤ・ケイは他の三人ほどではありません。」

 経過をナオミが報告する。

「タマキとスルガが伸びているのは意外ね。」

「その二人は自分の感情に素直なのがいいわ。逆にアサギ君とケイちゃんは自意識が強すぎて自分をセーブしがち。」

「年齢的なものが関係しているのもあります。五人とも、予想以上です。」

「そのようね。」

 

 トレーニングを終え一同はシャワーを浴びていた。

(ジアート・・・・・)

 イズルの脳裏にはジアートの顔がはっきりと浮かんでいた。

(あそこまで苦戦した相手は初めてだ。もし、オルガやアトラ、ケイやみんなを殺そうってんなら・・・・・・・俺がその前に殺してやる!)

 イズルは秘かに闘志を燃やしていた。

 その頃シモン司令はテオーリアにあることを報告していた。

「昨日は席を中座して申し訳ありませんでした。」

「何か良くないことでもあったのですか?」

「いいえ、緊急の報告がありました。火星でウルガルの船が見つかったと。」

 そのことにテオーリアとダニールは驚いた。

 未開拓状態の火星。砂嵐が激しい荒野の中に一つ、船体が割れているウルガルの船が不時着していた。

 

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