銀河機攻隊マジェスティックプリンス 悪魔を操縦する者   作:ザルバ

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 ベスタ基地防衛後のゴディニオン医務室。そこでスズカゼとレイカ、ルーラはブラック6の戦闘記録を見ていた。

「クロキ・アンジュ、15歳。いろいろと問題ある子みたいね。」

「パイロットとしては優秀よ。機体の性能を十分に引き出してるし。」

「でも協調性、ソーシャルスキルに不安要素が多いわ。もう少しメンタリティが安定しないと。」

 褒めるレイカに対してルーラは不安を口にする。

「そのせいでチームラビッツのイズル以外は戦々恐々としているわ。」

「こうなるとイズル君がリーダーで良かったわね。彼以外の誰かだったらチーム内はゴタゴタしていただろうし。」

「彼にまた難題を押し付ける形になってしまうけどねー。」

 ルーラーとレイカは愚痴をこぼす。

 一方その頃タービンズのアミダとイズルはシミレーションで模擬戦をしていた。

「やるじゃない!くっ!」

「そっちはまだまだ余裕じゃん。ぐっ!」

 互いに会話を交わしながら戦っている外では昭弘が壁に背中を預け、息を切らしながら座っていた。その横ではラフタがぐったりと倒れていた。

「ほらラフタ、女の子がそんな恰好で寝てたらダメだよ。それに風邪をひくし。」

「だってー、昭弘しつこいんだもん!15回だよ!15回!そりゃこうもなるって~。」

 ラフタかはアージーに注意されながら文句を言う。

「いいじゃない。婚くらいしつこい奴らを相手にしたって。映像で見てたけどウルガルも結構しつこいよ。こいつらくらいだよ。訓練に積極的で執念深く戦うのは。」

「そうなんだけどさー。」

 文句を垂れるラフタ。そんなラフタに昭弘が声を掛ける。

「すまねぇな。だが俺たちも自分の居場所守りてぇんだ。それに、あいつにあの時助けられて返せる時っつったらこの戦いくらいしか思い浮かばなくてな。」

「べ、別に迷惑じゃないわよ。ただちょっとペースってもんを・・・・・」

 少し顔を赤くしながら言うラフタを微笑ましく見るアージ。

(全く、鉄華団の奴らもトンだものを寄こすよ。でも、それで仲間が幸せならいいんだけどね。)

 一人クールにそう思ったアージはライドとの訓練のために自分のMSの方へと戻って行った。

 

 イズルは一人気分転換糸スターローズの噴水広場で腰を掛けていた。

(こうして一人で落ち着くのってどんくらい久しぶりかな?思えば最近戦ってばかりで休むってのも考えてなかった。メリビットさんやルーラさんからも適度に休めって言われてたっけ?)

 ふと一人黄昏ていると声を掛けられた。

「イズル。」

「テオーリア、なんでここに?」

「緯線より自由に動けるようになったのです。以前よりGDF上層部の方々に私が地球人の味方であることがわかっていただけたようです。もちろん、まだだれとでも話せるわけとはいきませんが。」

「でも事情を知っている人であればだれとでもプライベートのお話をしてもいいと。」

「え?」

「だから、真っ先にあなたに会いたくて。」

「・・・・・・・・・そっか。」

 イズルたちは腰を掛ける。

「ねえテオーリア、二つ聞いてもいい?」

「なんですか?」

「あのダニールって男だけど・・・・・・・・もしかしてお兄さん?」

「っ!?」

 テオーリアはイズルの問いに驚いた。

「どうしてそう思われるのですか?」

「だって前にメリビットさんが言ってた。髪色や顔の形って義兄弟でも似ているところがあるって。テオーリアは白髪でしょ。だからそうなんじゃないかなって思った。」

「・・・・・・・・・ええ。あなたの言う通り、あの人は私の兄です。そして何よりあの人は一度決めた相手を全力で倒しに行きます。」

「ふーん・・・・・・じゃあ俺もがんばって殺さないといけないんだね。」

「・・・・・・・・そうなりますね。」

 テオーリアの表情は暗くなった。

「もう一個の方も聞いてもいいかな?」

「え、ええ・・・・・・・・なんですか?」

「もしかして俺の母親の方の遺伝子ってテオーリアの?」

「っ!?」

 テオーリアはまたしても驚かされる。

「ど、どうしてそう思うのですか?」

「・・・・・・・・よくわかんないけど、頭の片隅にあるんだ。テオーリアと一緒に遊んだ記憶みたいなもの。よくはわかんないけどそんな感じがした。違ってたらごめん。」

「・・・・・・・・・・・・いいえ、その通りです。やはりあの人から聞いてた通り記憶は残っているみたいですね。母親に当たるのが私なのは間違いありません。ですが父親は・・・・・・」

「いいよ、無理に言わなくて。」

 テオーリアは目を見開いた。

「テオーリアはどうしても言えないんでしょ?だった話そうって思ったときに話せばいいよ。」

「・・・・・・・ありがとうございますイズル。一つだけ、私と約束してくれませんか」?

「なに?」

「・・・・・・・・・必ず生きて帰ってきてください。貴方は私の・・・・・・・・・大事な家族なんですから。」

「うん。」

 その時イズルの端末に緊急呼び出しがかかった。

 

 ゴディニオンはある注意機に向け航行、ブリーフィングルームではチームラビッツはスズカゼから作戦内容を聞かされていた。

「今回の作戦はオペレーション・ゴライアス。戦闘ではなく、損傷した補給艦の救助を行う。チームドーベルマンが臨時運用していた補給艦がシップグレードアドラクターの重力異常帯に捕まった。現在脱出不能だ。観戦での接近・救護は不可能。チームラビッツは補給艦の修理を行い脱出に貢献せよ。以上。」

 各機ピット艦から発進し重力異常帯へと向かう。今回のバルバトスルプスの装備は腕部200mm砲に大型ブレードである。

「しっかし随分平和なミッションだよなー。遭難した船の救助なんて。」

「気を抜かないで生きて帰ろう。」

「なんかいつもとお前違うくないか?」

 スルガの言葉にイズルが言うとアサギが疑問に思った。

 遡ることゴディニオンに入る前の事。

『イズル。』

『アトラ、どうかしたの?』

『はいこれ。洗っておいたから。』

 アトラはイズルにミサンガを渡す。

『ありがと。』

『ううん、いいよ。それよりちゃんと生きて帰ってきてね。私もケイさんも、イズルが死んじゃうのは嫌だから。』

 少し悲しそうな顔をするアトラの頭にイズルは手を乗せる。

『わかってる。』

『・・・・・・・・・』

 アトラは少し不満そうな顔になった。

『どうかしたの?』

『こういう時は抱きしめてあげるのが普通なんだよ、イズル。女の子が悲しそうにしているときはね。』

『そっか。ごめん、次はそうするよ。』

 そして現在に至る。

「六機ともピット艦からブラストオフしました。」

「目標までの進路クリア。」

 ジークフリートとジュリアーノが現状報告する中、レイカがあることに気づいた。

「バルバトス5のハーモニックレベルが高いわ。何かあったのかしら?」

「珍しいわね。」

 スズカゼも驚いていた。

 ケイがシップグレードアトラクターについて説明を始める。

「シップグレードアトラクターは天体の位置関係と空間の歪みで発生する重力の急流よ。名前の通り、過去に脱出できなくなった艦船の墓場になっているから残骸に注意して。」

「アンジュ、調子はどう?」

「はい、問題ないです。」

 イズルがアンジュに気を使う。

「まだ大丈夫みたいだな。」

「油断するな。何がきっかけでスイッチが入るかわからん。」

 安心するスルガにアサギが注意する。するとケイが警告をする。

「重力異常帯に突入するわ。気を付けて。」

 刹那、機体が急に重力によって流される。

「うっほー!ウォータースライダーみたいなのら―!」

「流される―!落ちる―?どっちー!?」

 ハイテンションのタマキに対してスルガは訳が分からず戸惑う。そんな中イズルが指示を出す。

「前方に障害物だ!各機回避行動!」

 小惑星を回避するラビッツ。だがその小惑星の一つにセンサーのようなものが取り付けられていた。

 そのころ輸送船の操縦室ではチームドーベルマンが救助を待っていた。

「ひたすら~ながれに~みをまかせ~っと。情けねぇことになったもんだ。」

「お前が近道しようだなんていうからだ。」

「なに!?」

「おかげでライのうすの使えず成す術なしだぜ。」

「お前だって早く帰りたいって賛成してたじゃねぇか!」

 ランディっとチャンドラが喧嘩する中パトリックは心配していた。

「でも誰が助けに来るんでしょうね?GDFは艦隊の再編成中で人手不足ですし・・・・」

 その時イズルから通信が入った。

「こちらラビッツ、先輩たち大丈夫?」

「イズル?お前たちが助けに来たのか!」

「どんな状況ですか?」

 イズルの問いにチャンドラが答えた。

「俺たちは問題ない。だが推進機関にデブリが食い込んで動きが取れない。」

「僕らも手伝いたいけど外に出られないんだ。」

 その時ケイが補給艦をサーチする。

「一番三番ブースターは損害が軽微。この二つを直せば脱出に必要な推力が得られるわ。」

「パープル2は修理の指示、ブラック6は周辺の警備を。」

 スズカゼが指示を飛ばす。

 その時イズルの野生の勘が働いた。

「アイツ!」

 バルバトスルプスは大型ブレードを構える。

「イズル?」

「ケイは修理作業の指示を続行、タマキはデブリの排除、スルガは修理。アサギはみんなを守って!奴が来る!」

 その時ブラック6のレーダーに反応が出る。

「上方に敵機接近!」

 戦闘にある機体はジアートの機体であった。

《待ちかねたぞ、地球人。》

「敵奇襲!多数接近!」

「ケレス大戦でバルバトス5と戦った奴です!」

「まずいわ!こっちは救助用の軽装備しかないわ!」

 バルバトスルプスはジアート気に向かい進む。

「急ぐぞタマキ!」

「うがー!」

「可愛い♡」

「いいっ!」

「パトリック!」

「マジか!」

 パトリックの反応に二人は驚いた。

《私のラマタはあれだけだ。後は適当にやっておけ。》

 ジアートがそう言うと他のウルガル機は散開する。

「ブラック6迎撃します。」

 ブラック6の92式複合銃剣アバッシュガンが火を噴く。

しかしその攻撃は簡単に避けられてしまう。

《楽しませてもらうぞ、我がラマタよ!》

 攻撃してくるブラック6に対してジアートは興味を示さなかった。

「迎撃します!」

 ブラック6は92式複合銃剣アバッシュガンで攻撃するが蹴り飛ばされてしまう。

「っ!?この野郎!やりやがったな―!」

 アンジュのスイッチが入る。

「下がって他の奴を。あいつの狙いは俺だから。」

「邪魔スンナ!」

 バルバトスルプスを振り払いブラック6は深追いする。

「逃げるな臆病者!男なら正面から向かってこいや!」

 ブラック6のアバッシュガンが火を噴くがその攻撃は全て避けられてしまっていた。

「ブラック6が追いつけない!」

「ブラック6下がって!機動力では追いつけないわ!」

 アサギが驚きケイが指示を出す。しかしアンジュは従わなかった。

「さっきからごちゃごちゃうぜーんだよ!私に構うんじゃねー!」

 ブラック6の目の前から突如姿を消したジアート機。ブラック6は辺りを見渡すがその姿はなかった。

 一瞬にしてジアート機はブラック6の後ろを取った。

《私のラマタとしては物足りんな。遺伝子を回収するまでもない。》

気づいたときには遅く至近距離でビームを喰らう。

「あのバカ・・・!」

 補給艦の方ではその光景を見ているだけしかできなかった。

「ライノスで出られたら僕も助けに行けられるのに!」

「援護射撃くらいしてやれんのか!」

「砲塔のコントロールユニットが死んでいる。旋回できれば・・・・」

「おい聞いたか子ウサギ共。さっさと修理を終わらせろ。グズグズしていると、あとで説教だぞ。」

「最後の一個!いっせーのっせ!」

 ローズ3が最後のデブリを排除する。

「よーし、あとは任せろ。」

 ゴールド4が修理を始める。

 そのころブラック6は全力掃射でジアート機を撃ち落とそうとしていたが接近を今も許している状況であった。

《私に駆られることを光栄に思え。っ!》

 その時ジアート時は咄嗟に後ろに跳んだ。その瞬間上方から砲撃が来た。

 ブラック6を守るようにバルバトスルプスが前に立ちはだかる。ジアート機は接近し剣を振るうとバルバトスルプスは大型ブレードで応戦する。その時至近距離でビームを喰らう。

「・・・・・・・・うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

《っ!?》

 その瞬間ジアートは気迫に押された。

 バルバトスルプスがパワーで押し、そしてブラック6から遠ざけるように移動するとジアート機も追いかけ始める。スピードでは互角であった。

 バルバトスルプスは左腕部200mm砲を放ちながらジアート機を追う。

《それだ!それを私は待っていたのだ!》

 バルバトスルプスの猛攻を避けていくジアート機は小惑星の中をかいくぐって行く。

「どこに・・・っ!?」

 突如下からの大型ビームを受けてしまったバルバトスルプス。一時的に動きが止まってしまった。

《ここまでか。だがなかなか楽しませてもらったぞ。》

 ジアート機はもう一本の剣を抜きイズルに止めを刺そうとする。その時イズルの脳裏にあの言葉が蘇った。

 ――――ちゃんと生きて帰ってきてね。私もケイさんも、イズルが死んじゃうのは嫌だから。

「っ!?」

 その時であった。バルバトスルプスから青い光が発せられる。その光景に一同くぎ付けとなった。

「あああああああああああああぁああああああああああぁぁああああああああぁぁぁああああああああ!」

 バルバトスルプスの筋が青く光り、冷却部からは青い炎状の物が噴き出ていた。

「バルバトスから炎が!」

「イズル!」

「なんだよあれ!」

「また新しいアッシュ!?」

 一同驚く中バルバトスルプスの大型ブレードに青い炎が纏わり付く。

「バルバトス5の数値が過去最高の数値だわ!そんな・・・・・・・・信じられない!阿頼耶識とのつながりもこれまで以上に強くなってる!」

「イズル!」

 レイカが驚く中スズカゼはイズルを心配する。

 バルバトスルプスは急接近し大型ブレードをぶつける。ジアート機はその攻撃を受け止めるが衝撃波が発生する。

 バルバトスルプスはスラスターを吹かせ一気に力押しをしジアート機を離すと両腕部200mm砲を放つ。ジアート機はその砲弾をすべて切り裂いて回避。しかしその隙にバルバトスルプスの接近を許してしまい、つばぜり合いの最中に頭部に砲弾を喰らってしまう。

 ジアート機はビームを撃ち離れようとするが最小限の動きで回避され拳を叩きこまれる。

《ちぃ!》

「はぁあああああ!」

 荒々しく野性的に攻めて来るバルバトスルプスにジアートは感動していた。

《そうか・・・・・・・・・まだ私を楽しませてくれるのか!》

 ジアート機の流れるように鋭い剣捌きをバルバトスルプスは応戦し両腕部200mm砲で距離を離すと一気に大型ブレードを振り下ろした。ジアート機も両手の剣を交差させ受け止める。ジアート機は少しバルバトスルプスを離すと両手の剣を水平に振り抜こうとするがバルバトスルプスの大型ブレードに防がれる。

バルバトスルプスは両腕部200mm砲を放つがそれをジアート機は軽々と避け接近しバルバトスルプスが急上昇するとジアート機も追いかける。バルバトスルプスが両腕部200mm砲を放つとジアート機は両手の剣の柄を繋げ回転させ砲弾を防ぎバルバトスルプスへ投げ、両腕からビームを放つ。

バルバトスルプスも大型ブレードでビームを斬りながら腕部200mm砲を放ち投げられたブレードを回避、そして一気に両腕部200mm砲を放つと急上昇する。

武器が手元に戻ってきたジアート機はバルバトスルプスを追いかける。

しかしその時すでにバルバトスへの負荷は限界を迎えていた。

激しくぶつかり合う両者。一瞬一瞬沖のゆるみが死を招く状況の中、両者一歩も引かず、譲らなかった。激しく剣と剣が交わり合う。

《お前は俺の遺伝子を燃え上がらせる!うぉああああああああああ!》

 その瞬間ジアート機の形状が変化し腕は四本、青い光は紫色へと変化した。

「ぐっ!」

 バルバトスルプスは接近し大型ブレードを振るうが軽く弾かれてしまう。そして手先を素早く動かし攻めていくが四本の腕に相殺されてしまう。一旦距離を取ろうとするが鞭のように伸びる剣がバルバトスルプスの大型ブレードを捉え引き寄せる。

 バルバトスルプスは至近距離で両腕部200mm砲を放つが鞭のように動く剣が高速で動き砲弾を相殺する。そして大振りでありながらも鋭い剣捌きでバルバトスルプスを襲う。

《うぉおおおおおおおおおお!》

「はぁあああああああああ!」

 互いの攻撃が激しく交わるのをスルガ達はただ見ているだけしかできなかった。

「あれ本当にイズルなのか!」

 驚くスルガ。だがその時ケイの目には驚くべき光景があった。バルバトスルプスの関節部からスパークが発生していた。

「バルバトス5の機体が、イズルの操縦についていけてない!」

 そのことはゴディニオンのモニターにも映し出されていた。

「なんだこれは!」

「機体が持たない!バルバトス5の性能は極限まで高めてあるのに!」

 ちょうどその頃補給艦の修理が終わった。

「ありがとうタマキちゃん!」

「推進装置OK。」

「よーし、三時方向に回頭。砲塔を敵に向けさせろ!」

 バルバトスルプスは関節部の多大な負荷によって動くこともっままならなくなっていた。

《そこまでだ!》

 ジアート機が止めを刺そうとした瞬間であった。補給艦からの援護射撃がイズルの命を救った。

《また邪魔者か!》

 その時コックピットに時間切れを知らせるかのごとく色の変化が出た。

《時間切れか。だがこれで楽しみが大きくなった。》

 機体の筋から光を失っても高速移動で砲撃を避けるジアート機は撤退する。後位には宙域で浮遊するバルバトスルプスが残されていた。

「イズル!大丈夫かイズル!」

「イズル!」

「イズル!」

「イズル!」

 チームの返事にイズルは答えることなく気を失った。

 

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