銀河機攻隊マジェスティックプリンス 悪魔を操縦する者 作:ザルバ
ジアートとの戦いの後イズルは医務室のベッドで寝ていた。
急激なアッシュの覚醒によるものと阿頼耶識が組み合わさってイズルに多大な負荷をかけたのであった。
「イズル・・・・・」
イズルの側でケイが見つめていた。そこへアトラが入ってきた。
「ケイさん、食事持ってきましたよ。」
「ありがとう、いただくわ。」
ケイはアトラが持ってきた食事を口へ運ぶ。
「・・・・・・・おいしい。」
「良かったです。私の料理イズルいっつもおいしそうに食べてくれるんで、良かったらケイさんにもって。」
「そっか・・・・・・・・・・ねえ、アトラ。」
「なんですか?」
唐突な質問にアトラは首を傾げる。
「イズルってさ、前にもこんな感じで倒れたことあったりするの?」
「・・・・・・・・ありましたよ。初めてバルバトスを操縦したときに疲れて気絶しちゃったんです。その時のイズル、鼻から大量に鼻血出してたんです。阿頼耶識の負荷の影響があるのかもしれないんですけどね。」
阿頼耶識は脳への負担が大きい。そのため頭部に血圧が集中するのだが鼻血はまだいい方である。脳からの直接の出血、例えば耳から血が出るともなれば人体への負荷が計り知れないものなのである。
「私、イズルが起きたらイズルが食べたいものいっぱい作ってあげようと思うんです。ケイさんはどうですか?」
「私は・・・・・・・・そうね。イズルがおいしいって言ってくれた私のケーキを食べておらいたいな。」
「私と同じですね。」
「そうね。」
互いに笑顔になる側で、イズルは静かに寝ていた。
一方その頃スズカゼはシモンと共にモニター越しにイズルたちを見ていた。
「最近こちらにお見えになられませんでしたね。」
「アッシュの増産計画が軌道に乗るまでな。それと、ブラック6はどうだ?」
「戦況報告を。」
インカムを使って支持を出す。モニターにはブラック6のこれまでの戦闘データが出されていた。
「戦闘力は高いが連携がなっていないな。逆に鉄華団はここの戦力にばらつきがあるもののそれをお互いでカバーし合っている。GDFにはないものだ。」
「まぁ、都市学園多くの生徒の典型です。」
「実力はあるがエリート意識が高く、他の物を良く出し協調性がないか。」
「はい・・・・・・・・・一人の選手としては優秀ですが、軍には馴染めません。」
「ここの性能を重視するより多少スペックダウンしてもチームワーク重視、が君の持論だったな。」
「一人の英雄いた夜だけの戦闘は英雄が欠けるだけで戦線が崩壊しますから。」
スズカゼの言っていることはもっともであった。
アメフトですごく速いランナーにたよればパスやブロックなどに穴があることに気づかれる。また、ランナーを集中的に攻め落とせば脆くも崩れ去ってしまうものだ。
「しかし、来るべきサイ異臭決戦には・・・・・・」
シモン司令はある映像を見てこうつぶやいた。
「予想より早いな。」
「なにがですか?」
「ジュリアシステムはアッシュとパイロットの親和性を飛躍的に高める。それは知っているな?」
「はい・・・」
「それには理由がある。アッシュとパイロットは同じ遺伝子で作られている。アッシュにも、自我があるのだ。」
「まさか!」
スズカゼは驚いた。機会に自我という概念自体彼女には信じられなかった。
「アッシュが覚醒したとき、最悪パイロットの自我が失われることがある。」
「そんな危険なものを・・・・・・」
「我々が手に入れたのは、プロメテウスの火だ。」
手にした力は人を救うことをも破壊することをも出来てしまうものであった。
その頃ドッグではバルバトスルプスの修理が行われていた。激しい戦闘による損傷、スラスターの摩耗、機体への過負荷。数え上げればキリがない。
「もっと制度を上げないとダメかしら?」
「今回は派手に壊れたねー。」
マユがパーツを触りながらつぶやいているとイリーナとロナが助っ人に来た。
「私たちも手伝うわ。」
「こっちのアッシュは通常メンテナンスで終わっちゃったから。」
「ありがとう。」
「前衛が強いと後衛は安心出来るからいいのよ。それより次男出撃までに直せそう?」
「うーん、無理かも。さすがにここまで損傷が激しいとねー。それに関節付近のコードも総とっかえだし・・・・・・正直ここまで損傷が激しいの初めて。」
眉の顔が暗くなる。
「ここまで?今まではどうだったの?」
「ガスの消費と弾薬以外はほとんどない状態だった。整備する側にとっては楽でいいけど逆に怖いって思ってしまうの。戦果は多く挙げているのに消費は最小限。理想っちゃ理想だけどね。」
イズルの活躍が大きく貢献し、他のチームの整備班もバルバトスルプスの整備に当たっていた。
そのころイサリビではオルガがヤマギにあることを聞いていた。
「どうだ、あれは使えそうか?」
「ええ。やっとコアの方が直ったんで後はイズルさんの戦闘用に外装を取り付ければ問題ありません。」
「悪いな。防衛任務で疲れてるときに。」
「とんでもないですよ、団長!それにイズルさんに恩を返せるまたとない機会ですし。」
そう言いながら二人はある機体を見つめた。
医務室でスズカゼはルーラからあることを話されていた。
「二つ気になることがあるの。」
「致命的なことじゃないでしょうね?」
「安心して。ハーモニックレベルが上昇したままなのと、とても疲労が激しいの。」
「ハーモニックが?寝ているのに?」
「ええ。そのせいで疲労しているみたいね。」
その時スズカゼの脳裏にシモン司令の言葉がよぎった。
“アッシュが覚醒したとき、最悪パイロットの自我が失われることがある。”
その言葉にスズカゼは表情を曇らせる。
「高度精密検査をお願いできる?」
「っ!それは命令?」
「命令。」
真剣なまなざしで言うスズカゼにルーラは承諾する。
「わかったわ。それより聞いた?アマネの昇進の事。」
「ケレスの功績で昇進するって?」
「レイカがお祝いするって言ってたわ。」
「・・・・・・・・決定事項なの?」
「こんな状況だもの。飲まなきゃやってられないわよね。」
その言葉にスズカゼは微笑みで返した。
一方その頃アマネはチームド-ベルマンとテイワズと共にベスタ基地へと向かっていた。
「ベスタ基地。」
「戦線の後退が続いてこんなことになっちまいましたなー。」
「ここは、後方の燃料採掘基地だったのに。」
「ま、子ウサギちゃんたちと摘果団にテイワズの皆々様のおかげで楽になったし、我々もちょっとは頑張りますよ。」
「頼むわよ。」
アマネの言葉にランディは親指を立てて応えた。
ところ変わってハンマーヘッドではブリッジで名瀬とアミダが話していた。
「あの子たちもやるようになったね。」
「そうだな。んで、イズルの機体の方はどうだって?」
「戦線に出るにはまだ無理だそうよ。」
「そうか。まぁ、あいつらにあれを届けたし多分大丈夫だろ。それよりアミダ、あの映像見てどう思った。」
おちゃらけた顔から一転し真剣な顔になる名瀬。その言葉にアミダも真剣になった。
「正直言ってイズルらしくない戦い方だったわね。あんな状態のイズルはあたしでも勝てる気がしない。でも・・・・・・」
「あいつ自身が死んでしまう、か?」
名瀬の言葉にアミダは頷いた。
「ま、次はそうならないように頑張るだけだ。百錬と漏影、辟邪を出す準備をしててくれ。こっから先は小惑星が多い。」
「了解しました。」
ベスタ基地に到着すると代表してアマネが基地司令官に挨拶をする。
「アマネ少佐、着任しました。」
すると返ってきたのはとんでもない言葉であった。
「中佐昇進おめでとう。」
「私は少佐になったばかりですが?」
「先ほど追加事例が届いた。中佐に昇格だ。」
「・・・・・・・・どんな昇進速度ですか?」
アマネは呆れていた。
「それだけ有能な士官が不足しているんだ。」
ベスタ基地には司令官以外誰も席にいなかった。人員不足によるもので皆この時にしか休めないものであった。
「そこで着任早々だが、出撃してくれ。」
「敵ですか?」
「そうだ。基地前衛の偵察衛星が破壊された。明らかに進行の兆候だ。」
「了解しました。詳細データは?」
「すでに艦の方に送ってある。」
「・・・・・・・どの衛星も破壊される直前まで何も感知していませんね。」
「そうだ。的戦力が分からない以上基地主力は動かすわけにはいかん。頼りにしてるぞ。」
「はっ!直ちに出撃いたします!」
アマネは敬礼をしてその場を後にした。司令官は心を痛めた。
自分よりも若い人材を早くに昇格させて前線で戦わせる。なんと悲しいことだろうか。
そのころスターローズではイズルが目を覚まし、アトラの料理を食べていた。
「焦らないでイズル。おかわりあるから。」
「ありがとうアトラ。ケイも一緒に俺を診てくれてたんだよね?」
「私は料理を運ぶことしかできないけどね。」
「それでもだよ。ありがとう。」
イズルは微笑んで礼を言った。
その頃ベスタ基地から離れたところでチームドーベルマンとテイワズは交戦状態に入っていた。
「敵は九体単位で分かれて来ているわ。囲まれないようにかっこ連携を重視して!」
『了解!』
「あの子はちゃんと指揮ができるねー。あたしたちもあの子たちに後れを取るんじゃないよ!」
「もっちろん!」
「はい。」
アミダの言葉にラフタとアジ―は答える。
小型のウルガル機が連記を取って攻撃してくる。それをライノスと百錬、漏影と辟邪は回避する。
「少しはやるようだな。」
「いつもより速いです!」
「パトリック、離れるな。」
チャンドラがそう言った途端パトリックが分断される。
「アジー、サポートに回ってやりな!」
「了解!」
アジーの漏影がパトリックのサポートに回る。チャンドラ、ランディも分断されてしまうがラフタ、アミダとサポートに回る。
「こいつら並のウルガルじゃない・・・・・・・精鋭の方だね。」
「厄介な敵ね。どうすれば・・・・・」
名瀬とアマネが考える中、敵は迫ってきていた。
「スモッグミサイル発射。あいつらの近くで爆発させろ。」
「各機急上昇して背中合わせで迫ってくる敵周辺を攻撃!敵は光学迷彩を使っているわ。」
『了解!』
ハンマーヘッドから放たれる。それに気づいたウルガル機は迎撃するがミサイルが爆発すると同時にスモッグが発生する。各機急上昇し互いに背中合わせで迫ってくる敵の周辺に銃弾を放つ。
「命中!」
「こっちもだ!」
そのことに喜ぶアマネだがさらなる敵の増援に思考を切り替える。
「こちらドーベルマン!秘匿ポイントDD4に敵の造営接近中!支給救援要請!繰り返す!支給救援要請!」
その通信はゴディニオンに伝わった。
「ドーベルマンから救援要請が来ました!」
ジュリアーノがそう伝えるとシモン司令が指示を出す。
「出撃を許可する。」
「緊急発進!」
「了解!機関アイドリングから2ドライブまで30秒。」
「コースパターンAからNまで入力完了!」
「最速航路で!」
「了解!」
ゴディニオンが発進するとイサリビとホタルビも後に続く。
イズルたちはブリーフィングルームで作戦の説明を受けていた。
「状況は以上。今回のリーダーはアサギ・トシカズ。ヒタチ・イズルは機体が修理完了してないため待機よ。」
「・・・・・・・仕方ないか。」
「フォワードはクロキ・アンジュ。他はいつも通りよ。」
『了解!』
戦況は均衡を保っていたが数では負けていた。
「多すぎる・・・・・撤退は無理ね。」
「だな。援軍が来るまで戦力維持を優先しよう。聞こえたな・」
「了解。つっても全部倒すくらい言ってくれよ。」
「慢心は危険ですが大丈夫ですよ。」
「まだまだ余裕ですよ。」
チームドーベルマンは安心させよとそう言った。
「いい子たちだね。あたしたちも負けてらんないよ!」
「と言ってもちょろちょろ動きすぎてウザい!」
「仕方ないよ。手を動かそ。口よりも。」
アミダたちも敵を倒していく。
「終わったらディナーをおごるわ。」
「ラッキー!」
「それ死亡フラグだから駄目ですー!」
アマネの言葉に喜ぶアンディであったがそれとパトリックが注意する。
同時刻ゴディニオン、イサリビ、ホタルビから各機体が出撃していた。
「スズカゼ艦長、小型艇をそっちに向かわせるからイズルをこっちに寄こしてくれ。どうしてもソイツじゃねぇとできねぇことがある。」
「了解したわ。」
イズルは小型艇に乗りイサリビへ向かう。
「俺にしかできないことって?」
「見ればわかるぜ。」
小型艇はイサリビに着艦。そしてイズルはオルガに連れられて格納庫に向かった。
「ねえオルガ、何があるの?」
「お前にしか扱えねぇものだ。」
一方アサギたちはウルガル軍へ近づいていいた。
「適五分隊に分かれて接近!東拓速度はーーーー」
「来たのら!」
ケイが言う前にタマキが言った。光学迷彩によって姿を消している小型ウルガル機が攻撃を放つ。
「なにっ!?」
「ステルスだ!」
「センサーに反応無し!」
スルガが驚きアサギが分析、ケイが報告する。
「クソッ!タマキ、敵をかく乱!スルガ、援護射撃!ケイ、敵の位置を確認!アンジュはタマキの空けた穴を広げてくれ!」
『了解!』
アサギが的確な指示を出す。
ローズ3が敵の中へ突っ込み敵をかく乱しゴールド4が88式90mm70口径高位荷電粒子砲を放つが敵に回避される。ブラック6の後ろからウルガル軍が来るがブラック6の92式複合銃剣アバッシュガンで迎撃する。
「やるじゃん。」
「いいぞブラック6。」
「当然です。」
二人がアンジュを誉めるがアンジュは冷静であった。
「あたしもやるのら!」
ローズ3が敵をかく乱し隠れている敵をあぶり出す。
「敵発見多数!完全に囲まれている!」
ケイがモニターを見て報告する。
「こういう時にショートバレルってのは間違っていなかったな。」
「ロングバレルだと確実に邪魔だったな。」
シノが流星号のショートバレルキャノンの背部レールガンとアサルトライフルを放ちながらアサルトナイフで敵を倒し、昭弘が両腕とサブアームにバトルブレードを持ち敵を倒していく。
「でも小さい奴らばかりいてキリがない!」
ライドがサブマシンガンを放ちつつ愚痴をこぼす。
ブラック6の実力を持ってしても囲まれてしまえば被弾してしまう。
「くそ・・・・・・・・このゴミムシ共が!」
アンジュのスイッチが入るのに気づいたアサギは呼びかけをする。
「落ち着けアンジュ。深入りするな!」
「誰が呼び捨てにしていいと言った!」
ウルガル軍はアンジュを誘うかのように弾く。
「危険だ、退け!」
アサギが声を掛けるが冷静さを失ったアンジュにはその言葉は届かなかった。
「隠れてばかりいて存在感が無いんだよ!」
アンジュはツッコミ攻撃をする。すると突然別動隊が代わりに接近し交代する。
その隙をアサギは見逃さなかった。
「しめた!スルガ、援護射撃!タマキ、砲撃!」
「任せとけ!」
「了解!」
スルガとケイの攻撃で敵戦力を削っていく。しかし最前線で戦っているブラック6に攻撃は集中していた。
そしてブラック6には大きな弱点もあった。光学兵器を使うことにより機材に熱がこもる。それがある一定時間お礼客を必要としてしまうのだがブラック6の戦い方は見殺必中、容赦なしの言葉に限るため、機体全体に熱がたまってしまう。
それにより熱暴走を引き起こしてしまい重火器の使用が出来なくなってしまった。
『スズカゼ艦長、イズルを出すぞ。』
「ちょっと待って!イズルの機体は・・・・・」
『大丈夫だ。こっちにはイズルの本来の機体がある。イズル、できるな?』
「うん、できるよ。」
イサリビのハッチが開き、発射口にMSが乗せられていた。
「ヒタチ・イズル。バルバトス、出るよ。」
イサリビのハッチからイズルの本来の機体であるバルバトスが発進する。
バルバトスは緒距離移動のための使い捨てスラスターを腰部に搭載し右腕部には機関砲、左腕部には迫撃砲を装備。バックパックにはブレードとロングレンジライフルを装備し手にはメイスを持っていた。
「何とか突破口を作れ!」
ブルー1が接近し88式突撃刀アサントブレードで敵を斬りローズ3が突っ込み強引に道を開け退いたところをブルー1が攻撃する。その後でローズ3はブルー1に接近、ブルー1は右翼を掴み勢いをつけて斬っていくが後一撃が足りなかった。
「クソッ!後一撃が足りない!」
その時各機のレーダーにエイハブウェーブの反応が検知される。
「この反応!」
「ついにあれに乗ったか!」
「久しぶりに乗りましたね、イズルさん!」
シノ、昭弘、ライドにはそれが何なのかわかっていた。近づいてきたのは本来イズルの機体であるバルバトスであった。
「まずはこれ。」
バルバトスはロングレンジライフルを左腕に装備し加速しながら放つ。放たれた砲弾がウルガル兵を貫くと今度はメイスを投げウルガル兵に当てる。
「なんチュー戦い方だよ!」
「もう無茶苦茶!」
スルガとタマキは驚く。
バルバトスはメイスを回収し迫り来るウルガル兵を次々と薙ぎ払っていく。
イズルの攻撃を皮切りにブラック6周辺のウルガル兵が次々と堕とされていく。
「アンジュ、さっさと上昇して。カバーするから。
「っ!?」
アンジュは屈辱を感じながらも指示に従い上昇。その背中を守るようにバルバトスは付き、ロングレンジライフルと右腕部機関砲を放ちブラック6を援護する。
すると他とは違う機体が翼のように部分を大きく広げ迫ってくる。
「邪魔。」
バルバトスは左腕部迫撃砲を放つとその機体の周りを飛び始める。ウルガル機から放たれる攻撃に対してバルバトスは回避、ウルガル機の攻撃が周りの小型ウルガル機を落としていく。
「これで・・・・」
バルバトスの手にブレードが握られるとバルバトスは一気に加速しブレードをウルガル機の腕に突き刺した。
すると怯えたように撤退していった。