銀河機攻隊マジェスティックプリンス 悪魔を操縦する者 作:ザルバ
地球圏絶対防衛圏に向かいゴディニオンはイサリビとホタルビと共に航行していた。
ゴディニオンのバーではアサギが作ったお好みや機をタマキが口にしていた。
「おいひ~。アサギってこういう仕事の方が向いているんじゃない?」
「なんでお前が食ってるんだよ?もう作戦は始まっているんだぞ。」
「待たされっぱなしで退屈なんだもん。」
そんな話をしているとスズカゼが入ってきた。
「ブラック6は既に出撃体勢に入った。我々とは別行動だ。たった今、アマネ大佐から緊急連絡が入った。当館は進路を変更、地球へ引き返す。」
「何かあったの?」
イズルが問うとスズカゼは答えた。
「地球に向かっている敵の別動隊を捕捉した。目標は、グランツェーレ都市学園と思われる。」
『っ!?』
その言葉に一同衝撃が走る。
ブラック6のピット艦は絶対防衛繊維向かい移動。ゴディニオンは反転して地球へ進路を取る。
スズカゼがブリーフィングルームで現状を報告する。
「現在、ベラロシア軍、大中華連合、MJPの協約軍が絶対防衛圏を突破したウルガル軍と交戦中である。しかし、それとは別に敵の別動隊が動いていることが分かった。地球に向かっている敵部隊の映像がこれだ。」
そこに映し出されたのはクレインの機体と軍であった。
「少ないわね。」
「あの先頭の奴ってこの間アンジュにやられた奴に似てねぇか?」
「なんで学園に向かってるの?」
ケイが分析し、スルガが疑問に思い、イズルが質問する。
「シモン司令によれば学園にあるDNAサンプルのダッシュが目的であると推測される。先日、地球側の情報が大量に敵側に流失した情報がある。その情報に基づく行動だろう。現在、地球に最も近い位置にあるのが本艦だ。地球からも予備艦隊が出撃する。我々はその支援に向かう。」
一方その頃グランツェーレ都市の警護に当たっている地球組の鉄華団の面々はMSとMWをいつでも動かせるように準備していた。
「弾薬問題ないかチェックしろ!」
「エンジンの方は問題ないか?」
「MSのガスの補充は十分か?」
あわただしく動く一同。そんな中タカキは自部が扱い見代目流星号のチェックをしていた。
「各部スラスター稼働問題無し。機体チェック良好。アストン、そっちは?」
「こっち問題ない。作戦はどうする?」
「避難バスの先頭と最後尾にMW隊を置いてMSは間に入れる。そうすれば問題ないから。」
「わかった。各自整備が終わったら護衛の準備にかかって。」
『了解!』
ゴディニオンではいつでも発信できるように各自アッシュに乗り込んでいた。
「今前線で戦っている艦隊はこちらから注意をそらすための陽動ね。多分地球が本命だと思うわ。」
「地球が攻撃されるってこれが初めてだよな?」
「あいつ等、上手く避難誘導出来るといいんだけど・・・・」
ケイが零背に分析しスルガが思ったことを口にしイズルが地球組を心配する。
「シモン司令から情報が入った。敵占有部隊の指揮官はクレイン。ウルガルの軍団長の一人らしい。」
「軍団長?」
「なにそれ!なんか強そう。」
タマキが呑気に言う。
「交戦宙域に入り次第ピット艦を射出する。その後本艦も直接砲戦を行う。各自、出撃体勢に入れ。」
「敵の地球圏への予測ルートが出ました。」
ジュリアーノがモニターにルートを映し出す。
「追いつける稼働が微妙なところね。もしかしたら地上への降下を許してしまうかもしれない。」
例が心配する中ジークフリートが現状報告する。
「GDF呼び艦隊、防衛圏まで上昇。交戦に入ります。」
MSも無い呼び艦隊の数は少なく、雀の涙程度しかなかった。
《その程度でこの僕を止められるとでも思っているのか?速度を上げろ!まずはこいつらを蹴散らす!》
クレインの指示で呼び艦隊を次々と堕としていく。応戦するも小回りが利く相手に一撃も与えられずに落とされていく呼び艦隊。
「GDF呼び艦隊、ときは、プロミネンス大破!」
「ガルベスト、リトルロック轟沈!敵部隊損害無し!」
「射程圏内まであと20秒。」
「全艦、砲来戦用意。全火砲、使用自由。射程内に入り次第打ち方はじめ。目標、敵機動部隊。」
「敵の攻撃回避システムはかなり優秀みたいよ。当たるかどうか・・・・」
「当たらなくても構わない。敵を少しでも足止めできればいい。」
レイカの言葉にスズカゼは答える。
「この間で直接砲戦をやらかすことになるとはな。」
「それだけ切羽積もってるってことだ。場合によっては、我々も銃座に着くこといなるかもしれん。」
「悪冗談はよしてくれ。僕の射撃はずっとC判定だったんだから。」
ジュリアーノはそうならないことを願っていた。そして各ピット艦が発艦体勢に入る。
「全機発進!」
スズカゼの指示で全ピット艦が発艦する。その直後、ゴディニオンからミサイルが放たれクレインの部隊へ次々と直撃する。
《新手か!だが、構っている暇はない!》
クレインはまっすぐ地球へと向かう。行く手を阻むGDF呼び艦隊を次々とクモの子を散らすように落としていく。その光景は地球にいる人間すべての目に映った。
「敵部隊の損害、軽微。」
「敵部隊の動きが速いため命中してもダメージを与えられていません。」
「やはり、相当の高性能の防御システムを備えてるみたいね。通常の砲撃や実態団では逃げられてしまうわ。でもあれなら・・・・・」
「何か手があるの?」
レイカの言葉にスズカゼが問う。
「前にケレスで使って兵器を改良したの。遠距離から光の速度で動く強力な兵器よ。それでも、相当な長距離狙撃邪八社の前に気づかれてしまうけど。」
それを聞いてスズカゼは使うかどうか判断する。
しかしその間にもクレインは徐々に地球へと近づいて行っていた。
「やべぇ、このままじゃ突破されちまうぞ!」
「それでも少し敵の速度が落ちたわ。このペースなら、私たちの到着は間に合いそうよ。」
「絶対止めるぞ。あのムカデ人形を。」
「・・・・・・」
アサギはスズカゼから言われたことを考えていた。
――あなたの場合は、自分を見つめて、自分を超えることよ。
「予定宙域に到達!」
スズカゼの通信で現実に引き戻されるアサギ。
「チームラビッツは出撃体勢に入れ。ただし、ゴールド4は装備の変更を行う。」
「変更?変更って?」
スルガが疑問に思う中、突然ゴールド4の右腕武装が外される。
「チームラビッツ、ブラストオフ!」
スズカゼの指示のもと各ピット艦から全機発進する。
バルバトスルプスは両腕部に腕部200mm砲を装備、メインウェポンに大型メイス、バックパックには大型ブレードを装備している。
「くたばりやがれぇぇぇぇぇぇぇ!」
一方その頃絶対防衛圏ではスイッチが入ったアンジュがブラック6の武装を振るバーストで敵を倒していた。
「まだまだこんなもんじゃねぇぞ!束になってかかって来やが雑魚共!どんだけ来ようがこのブラック6様の敵じゃねぇぇ!」
戦場を掛けすれ違うたびに敵を落としていくブラック6。
その光景を少し離れたところからチームドーベルマンは見ていた。
「偉くいきのいいパイロットだな。」
「これがクロキ・アンジュの戦闘スタイルらしい。ま、こっちもだがな!」
チャンドラが見る先にはその場にいないタマキの分まで戦っているパトリックの姿があった。
「タマキちゃんだって頑張っているんです!後この僕が頑張らなくて誰が頑張るんですか!」
「う~ん、いいね~。若いってさ。」
「アンタも十分若いよ。」
「そうだよ。ダーリンも自信持って!」
「姐さん、私たちも負けられませんね。」
タービンズも戦闘へ参加し戦況を有利に運ぼうとする。
その頃地球圏ではクレインの部隊が大気圏突入を開始していた。
「大気圏に潜り込まれたわ。」
「タマキ、確かお前の機体って大気圏突入は理論上可能だったよな?」
「え、えっと・・・・」
イズルの言葉にタマキは回答が困った。
「大丈夫よ。バルバトス5の言うとおりローズ3は単体での地球効果が可能よ。シールドをはった状態での降下ならブルー1とバルバトス5がしがみついても行けるわ。」
「パープル2はその場で待機。各機の連携、支持を出せ。」
「了解、効果速度と入射角の計算に入ります。」
バルバトスとブルー1はローズ3にしがみつく。
「いってきマンモス!」
ローズ3は地球へ降下を開始する。
「軌道の計算データを計算するわ。スピードはローズ3の方が速いからぎりぎり間に合うはずよ。ただし、少しでも軌道が反れたら全然違う場所に降りてしまうから慎重に。」
「わかった!いってきマングース!」
ローズ3はパープル2のデータの下、地球へ降下を開始する。
地球へ降下するとともにシールドの表面が焼け始める。
「うぐぐ・・・・落っこちる!」
「機体表面温度急上昇!」
「まだ行ける!タマキ!」
「ローズ3、頑張って!」
ローズ3は速度を上げ地球へ降下する。ほぼ地球を一周するローズ3と地球へ押下するクレイン一同。ギリギリのところで間に合う。
「各機散開!」
イズルが指示を出すと各機は散開する。
クレインの機体が三機に向けレーザーを放つがイズルたちは回避する。
「思ったより遅い・・・・・こっちの方が有利だね。」
イズルはそう思うとバルバトスルプスの両腕部200mm砲を放つ。
地上ではその攻防を避難バスに乗っている生徒たちが双眼鏡越しに見ていた。
「イズルさんがあそこで・・・・・・俺たちも戦いたいけど今はやるべきことに集中だ!みんないいな!」
『了解!』
ヤマギの指示の下、鉄華団地球組は護衛の任務を続ける。
「死ね!」
バルバトスルプスの大型メイスがウルガル機に振り下ろされウルガル機は地面に向かい堕ちる。その機体をブルー1の88式可変斧槍銃ガンハルバードから放たれる攻撃で落とされる。
「一機撃墜!」
「学校が見えて来たのら!」
「ゴールド4の準備が整うまでまだ時間がかかるわ。なんとか時間を稼いで。」
その時アサギは考えた。自分のベストを尽くせる最善の方法を。
「イズル、お前がクレインを倒せ。俺たちで残りをやる。」
「アサギ・・・・・・・うん、わかった。もし何かあったら地球組の方に連絡して援護射撃してもらって。」
「そうさせてもらう。お前はエースの仕事をしろ。」
会話を終えるとバルバトスルプスはクレインの機体へと向かった。
「チームラビッツのエースってイズルだったの!?」
「悔しいがアイツの方が戦闘力も技術も上だ。」
「ガーン!あたしがエースだと思ってたのに!」
(それは無い。)
タマキの言葉にそう思ったケイであった。
「三機ともハーモニックレベルが高いわ!特にブルー1、これまでで最高の数値かも!」
レイカは三人のハーモニックレベルに驚かされた。
《この前戦った原生体か。丁度いい、復讐戦だ!》
「こっちの攻撃が完全に効かないわけじゃない。落とす!」
バルバトスルプスは腕部200mm砲を放ちながら大型メイスを振る。
その時ピット艦から90式超長距離狙撃用重集束ビーム砲フライッシュを持ったゴールド4が出る。
「お待たせ!ゴールド4、ただいま到着!」
「イズルたちはもう戦闘に入っているわ。すぐ射撃準備に入って。」
「そう焦るなよ。光学兵器ってのは何かとデリケートなんだ。光の速さで敵を貫くから正確に狙えば敵を外す可能性は0。その代わり針の穴を通すような正確な射撃が要求される。しかもこの場合めちゃくちゃ距離があるから気象と時点による大気の揺らぎ、重力の干渉にまで計算に入れなければならない。ま、地球で遠距離射撃するときのコリオリの原理までは考えなくてもいいけどな。おまけに出力をMAXにもっていかなきゃなんねーから一回撃ったら次撃つまで時間がかかんだとさ。はっ!こんな難しい任務この焦るのは地球でも俺くらいなもんだけどな!」
細かい説明をしながらも不安はぬぐえていないが自分を追い込み集中力を高めるスルガ。
「昇順の制御は越智らでもサポートする。射撃は相手が動いている以上ガンナーの腕次第だ。慎重に。」
「わかってますって。まかしといてください。あ、これに成功したら何かご褒美ください。GDFに保管されているG11とか、ステアACRとかIWH2000とか!」
冗談交じりに言うスルガ。そうでもしなければ不安で仕方ないのであろうが返ってきた言葉は思いもよらない言葉であった。
「考慮しよう。」
「マジで!」
「トリガーは自分のタイミングでいい。だが、あまり時間はかけるな。」
「あなたならできるわ。
「はは、優しくされると返ってプレッシャーなんだけど・・・・・」
スルガは不安になる。
「ゴールド4が狙撃体勢に入ったわ。何とか相手の動きを止めて。
「じゃあこれで!」
バルバトスルプスは一気に接近し大型メイスを振り下ろす。クレインの機体は片腕で受け止めるがバルバトスルプスは少し離れると一回転して地面へ叩き落とす。クレインの機体はアジサイの花畑に落下、そこから動かないようにバルバトスルプスは腕部200mm砲で釘付けにする。
《やってくれたな原生体!この僕に貴様らの星の土をなめさせるとは!》
「相手の動きが鈍っている内に早く!」
「そう焦んなって。下手したらイズルに当てちまいそうなんだから・・・・」
光学スコープにバルバトスルプスがいなくなったのを確認するとスルガはトリガーを引いた。90式超長距離狙撃用重集束ビーム砲フライッシュから放たれた攻撃が大気圏外から一気に地表へ向け放たれる。直撃した台地は爆発と同時に多くの土を舞い上げる。光景がホワイトアウトした後で土煙が舞う。
直撃したかと思われた攻撃は外れ、クレインは健在であった。