銀河機攻隊マジェスティックプリンス 悪魔を操縦する者 作:ザルバ
大気圏外から放ったゴールド4の攻撃は惜しくも当たらず、今だクレインの機体は健在であった。
「今の攻撃、あれ宇宙からか?」
「だとしても威力半端なかったぞ!」
「ダインスレイブより怖いじゃねぇか!」
警護をしている鉄華団の面々はその威力に驚いていた。
しかしその時一機のウルガル機が避難バスの方へと接近していた。
「っ!?MW隊、ミサイル発射!当たらなくてもいいから少しでも足止めをして!」
『了解!』
MW隊はミサイルポッドからミサイルを放ち牽制する。
「MS隊は撃ってなるべく離れたところに誘導して!アストン、僕たちであの機体を落とすよ!」
「わかった!」
二代目流星号とランドマン・ロディは予定ポイントへ移動する。MS隊はサブマシンガンを放ちヤマギたちが待ち構えているところへ行くように誘導する。
「行くぞ!」
二代目流星号のスラスターを吹かし上昇、バトルアックスを振り上げるとウルガル機の後ろから振り下ろす。ウルガル機の右腕が切り落とされる。ウルガル機は反転して手をドリルに変形させ二代目流星号を攻撃しようとする。
「させるか!」
ランドマン・ロディのサブマシンガンが火を噴きウルガル機の動きを止める。
「これなら!」
切った口にロングバレルを外したライフルを押し付け、二代目流星号は銃弾を食らわせる。ウルガル機は飽和状態のように膨れ上がり爆発する。
「うわぁあああああ!」
二代目流星号は右腕を失いそのまま地面へと落ちようとしていた。
「ヤマギ!」
ランドマン・ロディが落ちてくる二代目粒子柄号を受け止め、地面を削りながら勢いを殺していく。
「ヤマギ、大丈夫か?」
「うん。・・・・・・でも二代目流星号はもう・・・・・」
モニターを見ると各所にダメージが行き、動かすことが出来なくなっていた。
「MWの方に乗っていろよ。俺たちの指揮はそこで取ればいいから。」
「わかった。」
ヤマギは二代目流星号を降り、MWの方へと向かった。
その頃イズルたちは学園に向かおうとしているクレインの機体と対峙していた。
「これ以上は行かせないよ。」
バルバトスルプスは大型ブレードを手に取り構える。
《退け!原生体!》
「はぁ!」
バルバトスルプスはスラスターを吹かし一気に接近すると大型ブレードを横一線に振るう。クレインの機体は身を屈めて回避すると尻尾でバルバトスルプスを襲おうとするが右腕部200mm砲で軌道を反らし回避する。
クレインの機体は右腕を大きく振り上げるがバルバトスルプスはスラスターを吹かして上昇、右手に乗りさらに上へと上がると一気に地面へ加速し大型ブレードを振り下ろす。クレインの機体は後ろに跳び回避する。
一方そのころ大気圏外ではゴールド4が最重点を開始、地上ではブルー1がウルガル機の排除に当たっていた。ローズ3に関しては大気圏突入時の影響で操作がままならなかった。
「早く・・・・早く早くエネルギー溜まってくれー!」
「パープル2からもエネルギーを送るわ。少しは時間短縮になるはずよ。」
「ピット艦からもエネルギーを渡す。パープル2が中継してゴールド4にエネルギーを送り込め。」
ピット艦からパープル2へエネルギーが送られる。パープル2はそのエネルギーを88式複合軽粒子銃で送る。
「エネルギー確認。マイクロウェーブ、照射!」
「うおー!はえー!てか、これ速すぎてヤバいんじゃ・・・・・」
スルガは冷静に分析した。急激なエネルギーの充填は多大な負荷がかかるのだ。
「100%まで待っていたら間に合わない・・・・でも、パワーが足りなければあの期待を撃墜できない!」
ケイは考えた。今できる最善で最大の作戦を。
地上ではバルバトスルプスとクレインの機体が激しい攻防を繰り広げていた。
《お前たちの武器がこの僕に通用するものか!》
「いい加減・・・・・」
バルバトスルプスは左手に持った大型ブレードを逆手に持ち振り上げる。クレインの機体に傷を負わせるがそれは浅かった。
《くぉおおおおおおお!》
クレインの機体は一気に加速しバルバトスルプスを押し倒す。
「ありがとよ、そっちから来てくれて。」
バルバトスルプスの両腕部200mm砲をクレインの機体に限りなく近づけると砲弾をありったけ喰らわせる。
「はぁ!」
バルバトスは大型ブレードを手に取り一気に起き上がると今度は逆にクレインの機体を押し倒す。
「スルガ!ブレードを突き刺せ!」
「わかった!」
「タマキはこっちに向かって飛べ!ケイ、これでできる?」
「ええ、できるわ!スルガ、ローズ3を狙って!イズルとアサギはタマキを回収して!」
「ロース3を?・・・・・・そうか!了解!」
スルガはイズルとケイの作戦に気づく。
「ゴールド4は無理な再充填でオーバーロード寸前。これを逃せば次は無いわ!」
「わかった!落ち着け、スルガ・アタル!お前ならできる!お前ならできる・・・・・落ち着け・・・・・落ち着け・・・・・」
焦りの声は消え、澄んだ心のように静かな声で集中力を高める。
照準の精度が上がったことがそれを物語っていた。
「これで!」
バルバトスルプスは大型ブレードも突き刺し地面にくぎ付けにする。しかしクレインの機体はまだ動けていた。
「この腕、おさえる!」
腰部スラスターに内蔵されていたブレードを両手に取るとクレインの両腕に突き刺した。
「タマキ!」
「ひぃいいいいい!」
タマキは悲鳴を上げながらクレインの機体へ突っ込む。
「タマキ、脱出して!」
ケイの指示でパープル2はコアユニット以外を排出する。バルバトスルプスとブルー1が両腕を抱えるように回収するとすぐさまその場から離れる。
そしてその直後、大気圏外から90式超長距離狙撃用重集束ビーム砲フライッシュが放たれた。その直後、フライッシュは爆発する。
フライッシュから放たれたビームはローズ3のパージしたパーツの下敷きになっているクレインお機体目掛けて一直線へと向かう。直撃後、激しい轟音と爆発が発生し、クレインもろとも消滅した。
「・・・・・敵部隊、完全に沈黙。」
「チームラビッツは五人とも無事です。」
その報告に勝利を喜ぶレイカ。
「やったわね、リンリン。」
「ええ、何とかね。」
その頃絶対防衛圏では鉄華団、タービンズ、チームドーベルマンがウルガル機を排除していた。
「おらおら!このシノ様に次に倒されたい奴はどいつだ!」
「あまりガッツぎすぎるなよ。こいつらただでさえ力押ししてくるんだから。」
「正直キツイ・・・・」
鉄華団の面々でも弱音を吐く。
「こいつら多すぎ!それにしつこい!」
「しつこい男の女も嫌われるわね。」
「同感です。」
タービンズの面々も敵の粘り強さに呆れていた。
「例えタマキちゃんが見てなくても僕が!」
「おー、一途な重いってスゲーな。」
「お前もパトリックの働きを見習って活躍したらどうだ?」
チームドーベルマンも次々と敵を倒していく。
すると突然ウルガル軍が撤退を始めた。
地球のグランツェーレ都市学園。窓は全壊し敷地のアジサイ畑には大きなクレーターと戦闘の爪跡が生々しく残っていた。
「機体をばらして徹底的に整備!交換が必要なものは地上に連絡してすぐに運んでもらうように!またすぐに出動がかかるかもしれない!フルパワーで整備開始!」
角の子ではレイカが各般に指示を飛ばしていた。
「今日は一段と派手にやってくれたな~。」
「こりゃ夜なべだぞ。」
「まあ、イズぴょんが無事だっただけでもいいじゃない。それにいつも軽傷で済んでるからたまには忙しくならないと私たち丘しくなっちゃいそうだし。」
「ああ、これからは俺たちの仕事だよな。」
デガワたちがそう感想を述べる中ローズ3の整備藩たちは愚痴をこぼしていた。
「お前たちはすぐに整備出来ていいよな。ローズ3はコア以外すべて地上でバラバラなんだぞ!」
「「うん、うん!」」
「無事なのはコアだけ!それ以外は総取っ換えだ!ああ、早く地上に行って傷ついたローズ3を回収してやりたい!」
「「うん、うん!」」
ローズ3も無理な電力供給で損傷していた。
「うちのお嬢は無事なのよね?」
「ええ、機体の損傷激しいけどパイロットは無事よ。」
「よかった。お嬢に何かあったら私たちの責任だもん。」
「あとで祝勝パーティーやらなくっちゃね。ケーキと紅茶で。」
『賛成!』
ゴールド4の整備班もスルガの活躍を喜んでいた。
「うちのスルガが大活躍したそうじゃないか。」
「やはり俺たちの理論は正しかった。狙撃も最後は体力だ!」
「日頃ごろから筋トレに誘っていた成果が出たな。」
「今度はメニューを倍に増やそう。腕立て100回2セット、腹筋100回2セット!」
『賛成!』
そんな光景にダンは呆れていた。
「みんなテンション高いな。」
「嘉一戦の後ってのはこういうもんだ。」
「イズぴょんたちが頑張ったんだもんね。」
「あいつら今頃はベッドでぐっすりだろうなー。」
チームラビッツはスターローズのブリーフィングルームで現状報告を受けていた
「爆発の衝撃で学園の窓ガラスは一枚残らず破損、建物も破損、中の設備も大きな被害を受けた。さらに学園の敷地にも大きなクレーターが出来て当然外壁にもダメージ。ブルー1とバルバトス5にも伝達系に無数の損害、パープル2とゴールド4も超長距離収縮法の爆発に巻き込まれてほぼ全壊、ローズ3に至ってはコア以外ほとんど跡形もなし!予備パーツをここまで運んで使えるようにするにはだいぶんかかりそうな見込み!」
「いやー・・・・でもまぁ学園を守れたんだし、そんぐらいで済んだことで・・・・」
「物には限度が合る!」
スルガの言葉にスズカゼは怒鳴る。
「学園が全壊したらどうするつもりだったんだ!」
「それはそれでよかったんじゃない?だって敵の狙いを無くせば攻めてくる頻度減らせるかもしれないし。」
「そういう問題じゃない!大体君は・・・・・」
「俺はさ、戦うことしか知らないから。そこでしか生きられないから。人に教えるの多分向いてないし。それに、命より大事なものってあるの?自分だけ死んだら誰か悲しむんじゃないの?俺はあんまそう言う難しいことわかんないけど、戦って生き残ったら価値ってことじゃん。」
「・・・・・・・・」
スズカゼはイズルの言葉に何も言えなくなった。
戦うことしか知らない子だからこそ言えてしまう発言に、どうしよもない悲しみを感じてしまった。
イズルは一人格納庫でバルバトスルプスを見ていた。
「どうかしたの、イズル君?」
「整備長。」
レイカがイズルに気づき話しかける。
「俺さ、この戦い終わった後どうなるのかなって考えてた。」
「珍しいわね、君がそんなこと考えるなんて。」
レイカは驚いていた。
「うん。俺たち戦うために生まれてきたじゃん。この戦い終わったら俺らってどう扱われるのかなーって。」
「戦うためって・・・・・君たちはそんなために生まれて来たんじゃ!」
「わかってる。でも実際そうじゃん。名目上は宇宙に適合する人類を忌む出すためって。けど作られた命でしょ?だったら普通の人と違って命の勝ちって低いんじゃないのかなって思うんだ。実際、昔いた傭兵のところじゃ元グランツェーレ都市学園の人って結構いたよ。みんな価値がないって言われて記憶消された。けど情報が結構流出してるからそれで買われて、すぐに死んだ。」
その話を聞くとレイカは一昔前のあることを思い出した。
羊のドリー。クローン羊として有名な話である。
クローンの成功と言うのは科学の進歩としてはうれしくもあるがこれは同時に神の領域に踏み入るものであった。
羊が可能であるならば人間もと言うことになる。
しかしこれには倫理的問題がある。
人間以外の命が作られれば商品としての価値、人間が作られれば兵器としての価値と言うものがある。
その点、宇宙に適合した人間を作り出すということはそれと等しいと言ってもおかしくない。
「・・・・・そうなんだ。けどね、私たちは君たちがそんなことだけに生きてるんじゃないって思うわ。」
「思ってくれるはいいけど・・・・・・」
イズルはその場を離れながら話す。
「・・・・・それしか知らない奴らに、どう考えを変えろって言うの?」
「・・・・・・」
レイカはその言葉に答えることが出来なかった。