銀河機攻隊マジェスティックプリンス 悪魔を操縦する者 作:ザルバ
「ローズ3。第一、第二推進器損傷。出力40%ダウン」
「敵機、B34方向から接近中。」
ダニールとジークフリートが状況説明する中、だれもがその状況を唖然と見ていた。
「やられちゃった!」
「どうする!何とかできないのかケイ。ケイ!」
流石のケイも手が震えていた。目の前で仲間が死にそうになっている状況で恐怖を感じてしまったからだ。
「うぁあああああああ!」
スルガはゴールド4の武装を闇雲に撃っていた。
(皆焦ってる・・・・・この状況を何とかしないと死ぬ。俺が・・・・・あいつらを殺す!)
バルバトスルプスのツインアイが光る。
「バルバトス5、ハーモニックレベル上昇。」
「ハーモニック、1から3。」
バルバトスルプスはスラスターを吹かせると一気にウルガル機へ接近しソードメイスを振り下ろす。しかし大型メイスの攻撃は簡単に避けられてしまうがイズル破損ことも計算の内に入れていた。バルバトスルプスはソードメイスから手を離すと腕部200mm砲を近い敵から順に放つ。小型のウルガル機は消滅した。
「タマキ、大丈夫?」
「イズル・・・・もういいよ。逃げてみんな。」
「しっかりしろよ。いつものタマキじゃないぞ。」
「だってこのままだったらイズルやみんなだって!」
「絶対に生きて帰る!それが俺たちにとって重要なことだ。だから諦めるな。」
タマキはイズルの言葉に衝撃を受ける。
「私・・・私・・・・一度くらいデートしたかった――――――!」
「だったら俺がそれに付き合ってやるよ。だから死のうとするな。」
タマキの土壇場での叫びにイズルはそう返した。
「ケイ、敵の行動を分析して指示を出して。アサギは近くの敵をけん制、スルガはケイの指示で後方支援。タマキはブースターに内蔵されている装備のチェック。使えそうな武器があったら系に報告して。」
『了解!』
イズルが的確な指示を飛ばす。
「ブルー1、右上方A編隊四機を迎撃。ゴールド4、左下方B編隊を攻撃、これをけん制。ローズ3の進路を形成。」
「「了解!」」
激しい攻防を繰り返すが、圧倒的に追い詰められていた。
「味方損傷率32.6%。残弾10%。戦闘可能時間残り12分。機関可能係数-15。これ以上の戦闘続行不能。」
レイカが状況を説明するとスズカゼが撤退を進言する。
「参謀次長、退却命令をお願いします。」
「っ!・・・・・」
状況は分っていても彼のプライドが許さなかった。何の成果もあげられないままみすみす退却など恥をさらすだけであるからだ。
「次長!」
「退却は許さん!逃げるな!戦え!」
「無理です!このままでは全機やられます!」
「何が無理だ!あの子らに一体いくらかけてると思ってんだ!」
コミネのその言葉を聞いた瞬間、各機の反応が低下した。
「あのさ・・・・つぶれたシュークリーム。」
「なっ!君は私に「おい!」っ!?」
「勝手に俺たちの価値を決めんなよ・・・・・・・お前の出世の道具じゃない。俺たちは遺伝子を操作されて生まれたけど、人間だ!道具じゃない!」
イズルのマジギレにコミネは一歩引いてしまう。
「アサギ、スルガ。下手でもいいから撃って。俺が足止めしとく。」
イズルはそう言うとバルバトスルプスを敵の中へと突っ込ませる。
「こういう時は・・・・これ。」
バルバトスルプスはソードメイスを小惑星に突き刺すと背中に装備している小型メイスを手に取り振り下ろす。敵を追う形で交互に振り、後ろから接近するウルガル機を逆手に持ち変えた小型メイスのスピアで貫き破壊。片方の小型メイスを投げつけてぶつけると腕部200mm砲でウルガル機を破壊する。人型が上から攻めてくると上手く回避し片腕を掴み引きちぎる。そして傷口に鉛球を叩きこんだ。
「次長!退却の指示をお願いします!」
「・・・・・・・っ!」
コミネは黙って頷いた。その指示を受けるとスズカゼはすぐに伝えるようにレイカの方を向く。
「全機退却!」
「ローズ3を強制パージするわ。」
「了解。パープル2、ローズ3を強制パージ。わかるわね?」
「はい!」
ケイはローズ3のブースターを強制パージする。
「軽くなった!」
「ローズ3、撤退!」
「了解!」
ローズ3はコアだけで撤退を始める。
「スルガ、ブースターを撃て。」
「なに!・・・・なるほど、そういうことか。」
アサギはイズルの意図が分かりブースターを撃つ。案の定大量に詰まった火薬庫は大爆発を起こし、ウルガル機を多く巻き込んでいった。
「ブルー1はローズ3を守って撤退。ゴールド4は援護しつつ撤退。バルバトス5はゆっくり撤退して。」
「みんなは?」
「あと少しで撤退完了よ。」
「ケイも早く撤退して。そこだと的になる。」
「了解。」
ケイが撤退をしようとした時であった。上からウルガル機が一個小隊攻撃をしてくる。突然のことに反応できなかった。
「っ!?」
ケイは死ぬと思った。だがそれを阻止したものがいた。パルバトスルプスである。
「ぐっ!?」
バルバトスルプスは正面から攻撃を受けてしまう。
「イズル!イズル、大丈夫!?」
「・・・・・・いってぇ・・・・・結構ヤバいかも。」
レイカがバルバトスルプスの状態を確認する。
「バルバトス5、右腕部200mm砲大破。腰部スラスター破損、出力低下。」
「・・・・・・・一機くらい仕方あるまい。」
コミネは冷酷にもそう言った。
「全然大丈夫じゃないじゃない!」
「まだ手足は動くし、何とか戦えるから。それよりケイは撤退をして。」
「イズル!」
「パープル2、帰還しなさい!」
「でもイズルが!」
スズカゼの命令にケイは反論する。
「生きて帰る。そのためにも・・・・」
「イズルさん!助けに来ました!」
「危なかったな、イズル!」
「遅れてすまん!」
突然入ってきた通信に一同驚く中、イズルはその声に聞き覚えがあった。
「出力波、データ照合。クタン参式とエイハブウェーブです。」
「このエイハブウェーブ・・・・ガンダムタイプです!」
ジュリア―のとジークフリートは驚く。
クタンに搭載されている滑空砲が牽制をし、雷電号と|ガンダムフラウロス≪四代目流星号≫、ガンダムグシオンリベイクフルシティを切り離す。
「ライド、シノ、昭弘!なんでここに!」
「てめぇを助けに来たに決まってんだろ!」
シノはそう言うと専用マシンガンと廃部のショートバレルキャノンを放ちウルガル機を落としていく。
「俺たち、イズルさんに助けてもらってばっかなんですから、こんな時ぐらい助けなくてどうするって話です!」
ライドは雷電号の両腕に装備されているガントレッドをナックルガード代わりに使いながらウルガル機を殴り、至近距離でライフルを放ちウルガル機を破壊する。
「テメェは一人で突っ走るからな。俺たちはそれを止める役ってもんだ。」
昭弘はサブアームまでに装備したロングレンジライフルを精密射撃モードを使ってウルガル機を撃ち落としていく。
「な、なんなんだこいつらは!いったいどこから!」
混乱するコミネに通信が入った。
「聞こえてるか?こっちはシモン司令の依頼で来た鉄華団。その団長のオルガ・イツカだ。こっからは俺たちも参戦する。」
「なっ!子供が何を―――――」
「うるせぇ!まともな指揮もできないやつが指揮官の席座ってんじゃねぇ!黙って首縦に動かしやがれ!つぶれたシュークリーム野郎!」
「ひっ!」
オルガの怒鳴り声にコミネは思わず悲鳴を上げる。
「いいかおめぇら。まずはイズルたちを撤退させることが優先だ。」
「「「了解!」」」
オルガは昭弘達に指示を出すとイズルに通信を入れる。
「よぉ、イズル。元気そうだな。」
「オルガもね。ところで今どこ?」
「お前の船の後ろだ。つってもそっちに着く頃には撤退完了してるだろうがな。で、お前はどうする?」
「銃は使えるから銃をくれない?さすがにこのまま退くのは嫌だ。」
「だろうな。おい、クタンに装備している滑空砲を渡してやれ。」
「了解。イズルさん、受け取ってください。」
クタン参式を操縦しているパイロットが滑空砲を二つバルバトスルプスへと渡す。バルバトスルプスのバックパックと接続し射撃体勢に入る。
「ケイ、上手く繋がってる?」
「え・・・ええ・・・・・バルバトス5とのリンクに問題無し。でも撃った反動でバランスを崩すわ。」
「じゃあケイが支えて。あいつらに一矢報いたい。」
「わ、わかったわ。」
パープル2はバルバトスルプスを支える。バルバトスルプスは二つの滑空砲を交互に撃ち次々とウルガル機を撃ち落としていく。
すると別方向から三機のアッシュが援護射撃をしてきた。
「アッシュ・・・・味方?」
「あれは‥‥チームドーベルマン!」
ライノスを見てスズカゼはそう口にした。
「誰が出撃命令を!」
スズカゼの疑問に答えるかのようにモニターにシモン司令が映し出される。
「指令!」
「これよりチームドーベルマン、および鉄華団がバルバトス5の撤退を支援する。」
「ありがとうございます!」
「ふんっ!別動隊がいるなら最初から攻撃に加えさせればいいんだ。勿体ぶりおって。」
文句を言うコミネにオルガは怒鳴る。
「それじゃぁ別動隊の意味がねぇだろ!なんでもまとめりゃいいってもんじゃねぇんだよ!この馬鹿が!」
バルバトスルプス、鉄華団、チームドーベルマンの活躍もあってウルガル軍は撤退を始める。バルバトスルプスは雷電号と流星号に支えられながらピット艦へと戻った。
戦闘が終了しゴディニオンは強襲装甲艦イサリビとホタルビとともに基幹航路についていた。
ゴディニオンに設けられたバーでケイたちはイズルを待っていた。
扉が開く音がする一同その方向を向いた。そこにはイズルがいた。
「イズル!」
「お帰り!」
「何か飲む?」
アサギ、スルガ、タマキの順に声をかける。
「甘いのお願い。疲れたから。」
イズルはそう言うと椅子に座った。
「イズル、大丈夫?」
ケイはイズルを心配する。すると空いている扉から声が聞こえてくる。
「阿頼耶識使いまくったおかげでかなり体力消耗してんだ。無理もねぇ。」
「だな。てかあんな無茶苦茶な設定で操縦できんのお前くらいだろ。」
「でもそこがイズルさんのすごいところなんですよね。」
ケイたちは声のした方を向く。そこにはガッチリした男と体つきのいい男、そして幼い男の子がいた。
「あんた達は一体・・・・」
スルガの問いに答えるように三人は口を開いた。
「おっとすまねぇ。自己紹介がまだだったな。俺はノルバ・シノ。赤い機体、四代目流星号のパイロットだ。」
「俺は昭弘・アルトランド。四本腕のグシオンリベイクフルシティのパイロットだ。」
「俺はライド・マッス。雷電号のパイロットしてます。」
自己紹介を聞くなり一同驚きを隠せなかった。中でもライドはまだ自分たちよりも幼いのにあんな操縦をできているからである。
「しっかし久しぶりだな、イズル。」
「元気そうだな。オルガの奴も後でこっち来るってよ。」
「そっか。ライドも久しぶりだね。」
「はい!みんなイズルさんに会いたいって言ってました。後で俺たちの船にも来てください。」
「わかった。」
昔の仲間と話している光景にケイは少しばかり嫉妬する。そんな時、四人目の来客が来た。
「あ、やっと見つけた。三人とも先に行かないでよ。」
「・・・・・・・アトラ?」
イズルは四人目に入ってきた女性の顔を見てそう言う。その言葉にケイは反応する。
「・・・・・イズル?本当にイズル!?」
アトラは顔を近づけて見る。
アトラのは容姿はケイくらいの身長で胸があり、長い髪を後ろに束ねている。
「・・・・・・・・背も結構伸びたね。後美人になった。」
「ふえっ!?///////」
イズルの不意打ちにアトラは顔を赤くする。
「な、ななななに言ってるのイズル!じょ、冗談やめてよ!」
「俺別に冗談で言ったつもりないけど。ケイとは違った感じできれいだなーって。」
「「ふぇぇっ!?////」」
さらなる不意打ちにケイも顔を赤くする。
「出た。イズルさんの天然。」
「あれ喰らったら大抵落ちるんだよな。まぁ大概アトラだけだが。」
「今は追加要員もいるけどな。」
三人は小声でそう話す。
「アイツって無意識でやってんだよな?」
「ある意味スゲーな。」
「アタシ、イズルがすごいって思う。」
アサギたちも小声で話していた。
一方そのころ格納庫ではアッシュの整備が行われていた。
「三番から五番までのブロック、全部降ろして。ローズ3とバルバトス5はD整備。」
レイカが指示を飛ばす。そこへスズカゼが来た。
「どう?」
「応急処置はするけど本部でフル整備ね。特にローズ3とバルバトス5.ローズ3は航行用からブルー1と同じ敵ビームに耐えゆる最大主力型にしないと。」
そんな時格納庫に来客が来た。
「あの、鉄華団から来た整備班の者です。お手伝いに来ました。」
代表してそう言ったのはヤマギ・ギルマントであった。
「え、えぇ・・・・・じゃあ手分けしてお願いできるかしら?」
「わかりました。第一班は青、第二班は―――」
レイカはスズカゼに小声で話しかける。
「ちょっと!あの子たちまだ子供じゃない!」
「仕方ないでしょ。彼らが望んでやっているんだから。それにね、彼らは普通の人のように生活できないの。」
「どういうこと?」
スズカゼは別室で酒を飲みながら話す。
「あの子たちはね、みんなイズルと同じ阿頼耶識を埋め込まれているの。」
「それ本当?」
「ええ、本当よ。GDFが保護した後で彼らには普通の生活をするって選択肢もあったわ。でも、彼らはそれを望まなかった。正確に言えばその環境に慣れていないって言ったらいいのかしらね。
とにかく彼らは戦うことを選んだわ。それしか生きる道を知らないって感じかしらね。その時の私たちは何もできなかったわ。それに、彼らのように戦闘経験を積んだパイロットが欲しかったのは事実よ。」
「そうだったの・・・。でも、あの子たちまだ10歳くらいでしょ?」
「数えではね。でも本人たちも自分が何歳なのかよく知らないの。」
「そうなんだ。でも皮肉よね。私たちがしっかりリードしなきゃいけないのに、逆に引っ張られているだなんて。」
「ええ、全くよ。情けないわ。」
二人は同時に酒を口にした。
スターローズに帰還した翌日、チームラビッツはスズカゼと共にグランツェーレ都市学園に帰還。レイカは実家の方に戻ることになった。