銀河機攻隊マジェスティックプリンス 悪魔を操縦する者   作:ザルバ

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 グランツェーレ都市学園上空。イズル達チームラビッツはチームドーベルマンと模擬戦を行っていた。

 今までの訓練は無重力下での戦闘であったため、地球の重力下での戦闘には慣れていなかった。

(マズいな・・・・・あっちの方が慣れてる。それに空気もあるし・・・・・空気?)

 イズルはふとケイに尋ねた。

「ケイ、大気の流れわかる?」

「え?ええ・・・・・でも今それどころじゃ・・・・・」

「調べて欲しいことがあるんだ。」

 イズルはケイに調べて欲しいことを言うと四人とも驚いた。

「おいイズル、さすがにその作戦は無理があるだろ。」

「絶対失敗するのら。」

「無茶苦茶すぎるって。」

「正気を疑ってしまうわ。」

「でもこれしか思いつかないよ。それに、せめて一矢報いたいでしょ?」

 そういわれると言い返せない四人は承諾する。

「イズル、10時の方向のマークしているところがポイントよ。そこを逃したらその作戦はもう通用しないわ。」

「わかった。」

 イズルが乗っている訓練機はケイが指定したポイントへと向かう。

「おっと!ウサギが群れから離れたら格好の獲物だぜ!」

 チームドーベルマンのリーダーであるランディ・マクスウエルがイズルに狙いを定め、追いかけ始める。

「お前たち二人は残りのウサギを狩っておきな。あいつは俺が落とす!」

「失敗するなよ。」

「こういう時に限って失敗しますからね、先輩は。」

「うるせぇ!ちっとは励ましのエールでも送りやがれ!」

 通称”漫才3”とも呼ばれていた。

 イズルの訓練機が地上に向かい高度を落としていく。ランディはペイント弾を放つがイズルは最小限の動きで回避をする。

「伊達に戦場にいたってわけじゃなさそうだな。だがこれで終いだ!」

 ランディは確実に閉められる距離でペイント弾を放った。

 だがその直後、イズルの機体は突然消えた。

「なにっ!」

 ランディは足を止め、辺りを見回すがイズルの姿はどこにもなかった。

「どこに・・・・」

「ランディ!上だ!」

 ラケシュ・チャンドセカールこと通称“チャンドラ”の言葉でランディーは上を見る。s子にはペイント弾を放っているイズルの訓練機の姿があった。

「いつの間に!うぉおおおおおお!」

 ランディの訓練機はペイント弾まみれになる。

「ランディ!」

「チャンドラ先輩!前!」

「なっ!?」

 パトリック・ホイルに言われ前を見るとそこには突っ込んでくるスルガとタマキの訓練機の姿があった。

「喰らえ!」

「うらぁあ!」

 ペイント弾を放ちながら迫ってくるに気をぎりぎりで回避する。が、少しばかりペイント弾を喰らってしまった。

「この!」

 チャンドラは通り過ぎた二機の背中にペイント弾を放ちリタイヤさせる。

「どうだ!・・・・・しまっ!」

 チャンドラが二人を打ち取った瞬間、真下からイズルの機体が体当たりをしてくる。

「この・・・・・・!」

 チャンドラは引き剥がそうとするがイズルは離れなかった。

「先輩!」

「おっと!」

「イズルの邪魔はさせない!」

 ケイとスルガが牽制射撃を行う。パトリックも突然のことにパニックになり冷静な判断ができなくなっていた。

 そのころイズルはチャンドラの機体から離れるとまた急降下を始める。

「何度も同じ手が通用すると思うな!」

 チャンドラは地表ぎりぎりにまで敵を引き付けてからの急上昇をすることによる不意打ちだと考えていた。確かにその作戦は半分正解であった。

 しかしその考えは彼の目の前で覆された。

 イズルが地表からだいぶ離れたところで一気に急上昇をした。通常の加速では到底出せない速度である。

「なにっ!?」

 チャンドラは驚くがイズルは急上昇しながらペイント弾を放つ。チャンドラの機体はペイント弾まみれとなった。

〔模擬戦終了。各自ピットに戻るように。〕

 スズカゼに言われ両チームはピットへと戻る。

 ピットに戻るとチームドーベルマンと対峙し、そして放送でスズカゼからブリーフィングルームに集まるように命令を受けた。

「私たち自分の力で勝ってきたと思っていたけど、実はアッシュに助けられていたのね。」

「でもイズルはちょっと違う気がするのら。」

 ケイが自分たちの実力のなさを言うとタマキがイズルのことについて指摘する。

「そうだよなー。あんな作戦思いつくなんて流石としか言いようがねーよ。」

「言うな。また胃が痛む。」

 そう話しながら廊下を歩いていると白髪に赤いスーツを着た男と出くわした。

 スルガ達は見た瞬間にビビるが、イズルは違っていた。

「オルガ、久しぶり。」

「よー、イズル。元気そうだな。」

 オルガはイズルの頭に手を置いた。

「オルガもここに?」

「まあな。今度の作戦で俺たちも戦うんだ。また一緒だな、イズル。」

「そうだね。」

 そんな話をしている二人にケイが挙手をして質問をする。

「あの・・・・失礼ですがイズルとお知り合いですか?」

「ん?ああ、すまねぇな。俺はオルガ・イツカ。鉄華団の団長だ。お前さんたちはイズルの・・・・・・・仲間か?」

「え、ええ・・・・・あっ!私はクギミヤ・ケイです。」

「わ、私はイリエ・タマキです!」

「お、俺はスルガ・アタル。」

「アサギ・トシカズです。」

 四人はオルガに自己紹介をする。

「まぁここで話してもなんだ。さっさとスズカゼさんのところに行くぞ。」

『は、はい!』

 オルガに促されイズルたちはブリーフィングルームへ向かう。

「そういやオルガ。チビたちは?」

「大抵はこの学園で警備の仕事をしているよ。MWやこの間手に入れたマン・ロディとか、回収した機体で警備に当たらせてる。つっても、まだ戦闘は始まってねぇがな。」

「ふーん。ねぇ、シノが乗ってた機体ってバルバトスと同じタイプ?」

「ガンダムフレームのことか?ああ、そうだ。採掘作業をしてたら発見してな。あんな変な機体。あいつくらいしか扱えねぇよ。」

「変な機体?」

「ま、その話についてはおいおいだ。着いたぜ。」

 イズルとオルガが話をしているうちにブリーフィングルームに着いた。

 

 チームラビッツ、チームドーベルマン、そしてオルガが席に座りスズカゼの話を聞いていた。

「アッシュの整備が完了したわ。明日スターローズに移動。到着次第三チームで次のミッションを行います。・・・・・・・ん?どうかしたの?」

 スズカゼは浮かない顔をするスルガ達に気づいた。

「あの・・・・・また失敗したら・・・・・」

「そんなこと考えていたら余計上手くいかないわよ。」

 マイナスなことを言うアサギにスズカゼが言った。

「大丈夫。次は鉄華団もチームドーベルマンも一緒だし。」

 それを聞くなりアサギたちの表情は明るくなった。

 するとランディが挙手をした。

「少佐、質問がある。前から聞きたかったことなんだが。」

「どうぞ、大尉。」

「プライベートアドレスと、暇な曜日を教えて欲しい。」

 その言葉を聞くなりアサギたちはズッコケた。イズルはどうでもいいと思いポケットに入れている宇宙ヤシの実を口に運ぶ。

「ランディ、ミーティング中だぞ。不謹慎な発言は控えろ。」

「固いこと言うなよ。こういう時は聞けるときに聞いておかないとチャンスを逃すんだ。」

「リーダーのお前がそんなんだから我々は“ガッカリ3”だの“漫才3”だの“トリオザドーベルマン“などと言われるんだぞ。」

 ランディとチャンドラが漫才をしている中、スルガは小声で話した。

「ガッカリ3・・・・」

「さすがあたしたちの先輩!」

 タマキの観点外れていた。

「ガッカリの何が悪い!大体お前は俺よりもいつも偉そうなんだよ!同期だからって、遠慮なさすぎだろ!」

「リーダーの生活指導もサブリーダーの役目だ。」

「お前は風紀委員かよ!」

 そんな光景にアサギたちは笑ってしまう。さっきまでとは違う表情になっていることにスズカゼは微笑んだ。

「悪いけど、暇はないの。」

「ええ!?」

「他に質問がなければ以上。解散。」

 スズカゼはそう言うとその場を後にした。

「ごめんね。うちのチームはいつもこんな調子なんだ。」

「面白いチームですね。」

 パトリックの言葉にイズルはそう返した。

「一人だけ部外者のような顔をするんじゃない!」

 ランディがパトリックにヘッドロックをかける。

「イズル、この後ちょっといいか?チビたちがお前に会いたがてるんだ。」

「いいよ。」

 イズルはオルガについて行った。

「そういやアイツ、鉄華団の連中と仲いいよな?」

「前にどこかで会ったのら?」

「でもそれはないんじゃねーの?記憶消されてるんだし。」

 アサギたちがそう言う中、ケイだけは知っていた。イズルが記憶を持っていることを。

「ま、なんで仲良しなのかって理由は置いといて、ちょっと見に行ってみようぜ。」

 ランディ―を先頭に二人を追いかけた。

 

 グランツェーレ都市学園にある格納庫の一角、そこに鉄華団のチビたちがいた。

「あっ!団長だ!その隣にいるのは・・・・・・イズルさんだ!」

「本当か!」

「うわ!マジでイズルさんだ!」

 オルガとイズルの姿を見るなりチビたちは二人の下に集まる。

「イズルさん、お久しぶりです!」

「元気にしてましたか?」

「アレから俺たち少しずつですけど力付けてるんです!」

 チビたち一同イズルを歓迎していた。

「落ち着けお前ら。それと土産のお菓子もある。後で仲良く分けろよ。」

『はい!』

 久しぶりの面々の光景にイズルは微笑んでいた。

「イズル、ちょっと久しぶりにあれやってみるか?」

 オルガが親指で刺す方向にはMWがあった。

「模擬戦だね。手加減しないよ。」

「当たり前だ。」

 二人は久しぶりに模擬戦をした。バルバトスルプスを操縦するときと大して変わらないため、イズルは問題なく操縦する。

「やっぱイズルさん御操縦技術ってすごいよな!」

「ああ。俺たちもイズルさんみたいにうまく操縦できればいいのにな。」

「でも今の俺たちじゃ足手まといだ。それに俺たちには団長からここを守るって命令を受けてんだ。我慢だ我慢!」

 そんな光景をランディたちはアサギたちと共に陰から見ていた。

「イズルって奴、もしかして阿頼耶識埋め込まれているのか?」

「それって非人道のじゃないですか!」

「今でもGDFが目を光らせてはいるが、あれはそう簡単になくならないしな。」

 そんな話をしていると七人に一人の団員が声をかける。

「あの~、何か用ですか?」

 突然声を掛けられたことに一同驚く。

「あ、驚かしてすみません。ここって整備藩の人以外あまり来ないもんですから・・・・・あ、ごめんなさい。僕ヤマギって言います。ヤマギ・ウノ。」

 ヤマギが自己紹介すると一同も自己紹介をした。

「もしかしてイズルさんを見にここへ?」

 ヤマギがそう尋ねると一同頷いた。

「そうなんですか。やっぱりイズルさんはすごいですね。こうして他の人にも気にかけてもらっているんですから。」

 ヤマギがそう話しているとケイがある質問をした。

「ねぇ。その・・・・・・あなたたちにとってイズルってどんな存在なの?」

「僕たちにとってのイズルさんですか?そうですね・・・・・・・・・恩人で、憧れで、そして夢ですかね。」

「夢?」

「はい。僕たちは自分で生き方を選ぶって考えをあの時までは持っていませんでした。でも、イズルさんが僕たちに希望をくれました。あそこから連れ出してくれたんです。だから、僕たちにとっての夢でもあるんです。そしてもし、イズルさんに何かあって、助けが必要なら僕たちは迷わず力を貸します。それが僕たちにできる、唯一の恩返しですから。」

 ヤマギはそう言うと再びイズルとオルガの方へと歩いて行った。

 

 夕方、イズルはお気に入りの場所で夕焼けを眺めていた。するとそこへランディが来た。

「よう。」

「どうも。」

 ランディは隣に立つ。

「お前らも大変だな。まだ学生なのに、実践に駆り出されて。」

「別に。ただ生きるために目の前の敵を殺せばいいんだから。」

「言うねー。周りの奴らはとやかく言うかもしれないが、気にするな。」

「それ、アサギに言ってやってください。ブルー1の。あいつ無駄にストレス感じるから。」

「お前辛口だな。」

 ランディは指をさしながら言った。

「それと、戦闘の映像を見たがお前、敵全部を一人でぶっ潰すつもりだったろ?」

「何か問題?」

「大ありだ。仲間を信用してないのか?」

「そんなんじゃない。けどアイツ等はまだ戦いに慣れていない。死を今まで感じてなかった。あの潰れたシュークリームが下手な作戦を出してたせいもあるけど。」

「そこは同感だな。あのオッサン、輝かしい功績を欲してるからなぁ。まぁそんなことよりもだ。お前、二号機と三号機の子、どっちを狙ってるんだ?」

「?」

 イズルはランディの言っている意味が分からなかった。

「味方だから攻撃もなんも・・・」

「いやいやいや!どっちとも可愛いだろ!どっちかと付き合ってんのか?それともどっちとも好みなのか?」

「う~ん・・・・・ケイはお菓子上手で好きだけど、タマキは・・・・あ!」

「どうした!」

「あの時、死にそうになった時にデートしたいっていうから付き合ってあげるって約束してたんだった。」

 イズルはタマキとの約束を思い出した。

「ほう!つまり!タマキって子が好みだと!」

「そうじゃないですけど・・・・・・でもアトラとケイって一緒にいると落ち着く感じがするな。」

「ちょっと待て!アトラって誰だ!」

「鉄華団の給仕係。料理はおいしいよ。」

「なにー!もう女の手料理とスイーツを口にしているのか!お前、俺が思っている以上の強者だな!」

「???」

 何が言いたいのかさっぱりわからないイズルであった。

「まぁ・・・いいか?俺たちはいつ死んでもおかしくないような場所にいる。死んだ後でも、だれかに覚えていてもらいたいだろ?お前がそうしてもらうように、お前もそうしろ。」

 ランディはそう言うと一枚のチップを渡した。

「貸してやる。一号機、四号機の奴とこいつを見ろ。」

「俺たちの戦闘の映像?」

「そんなとこだ。」

「ふーん。」

 イズルはそれを受け取った。

「これを見て頑張れ。」

「伝えておきます。」

 

 そして夜。イズルはメンバーとアトラを自分の部屋へと呼んだ。他の鉄華団のメンツも呼びたかったが機体の調整や細かな資材の確認でいっぱいであったため、代わりに呼ばれたのである。(という建前でくっ付かせる目的だったのは鉄華団のごく一部しか知らない理由である。)

「みんなで見よ。」

「なんだよ?何かの映像記録か?」

「ランディ先輩がアサギとスルガと見ろって。でもどうせならみんなで見ようと思って。」

 イズルはそう言うとチップを入れて映像を再生する。

 しかし映し出されたのはいわゆる大人のビデオであった。その映像にケイ、アサギ、アトラは開いた口が閉じず、スルガは目を点にするとあとずさりパニックを起こし、イズルとたまきはその映像が分からなかった。

「お前何考えてんだ!」

 アサギが怒鳴る。

「この映像ってプロレスなの?裸で―――」

 パンッ・・・・・・

 乾いたいい音がイズルの顔面に炸裂し、ケイは部屋を出て行った。

「プロレスなの?アサギ。」

「いや!あの!これは!その!」

 わかっていないタマキにろれつが回らないアトラは一生懸命説明しようとしていたが、ケイが戻ってきて二人を強制的に退出させた。

「俺もさすがにこれは・・・・・」

「お前いつもナンパしまくってんだろ。」

 部屋を出て行こうとするスルガにアサギが声をかける。

「なんで焦るんだよ?」

「い、いや!それと俺とは別っていうか・・・・・っ!?」

スルガは過激なシーンを目撃してしまい、さらに顔を赤くする。

「やっぱ俺パス―!」

 そしてイズルとアサギだけとなった。

「全く、こんなのがバレたらレポートじゃすまないぞ!」

「ランディ先輩が男ならこれを見るのは当然だって・・・・」

「下らん!」

 アサギはそう言いながらも横目で何度も見る。そして二人で正座して大人のビデオを見た。

 するアサギがあることに気づいた。

「っ!?重大なことに気が付いた。」

「重大なことって?」

「この女優さん、スズカゼ教官に似ている。」

「・・・・・・・確かに。」

 

 そのころ女子の部屋。

「全く!呆れたわ!」

「なんの映像だったのら?」

「タマキは知らなくていいの!」

 怒りながらタマキの疑問を封じ込めるケイ。

「あはは・・・・・でも私、イズルがそっちの方の知識も持てくれたらって思ってます。」

「ええ!?」

 アトラの発言にケイは驚く。

「ど、どうして・・・・・」

「だってイズル、ずっと戦いのことばかりで娯楽とかそういうの全くしている様子なかったでしょ?」

「え、ええ・・・・・」

「私、できればイズルにはそう言ったことを知ってほしいんです。それに/////」

 アトラは急に顔を赤くする。

「その・・・・・・・私も心の準備できるし///////」

「え・・・・・えええぇ!!!!!!」

 アトラが言いたいことはつまりそう言うことであった。

 

 翌日、チームラビッツ、チームドーベルマン、そして鉄華団のオルガと副団長のユージン・セブンスターク、昭弘にシノにライドがスズカゼから作戦内容を聞いていた。

「作戦名はオペレーション・マクリーン。小惑星RA221上にある敵の基地に潜入。爆破するのが任務よ。」

 作戦を聞きながらランディはラビッツの方を向くとケイが睨み、スルガが疲れ、アサギとイズルは少し眠そうにし、タマキはなぜと皆の顔を見ていた。

「集中!」

 スズカゼが鞭を手に叩く。すると一同集中する。

「先輩、彼ら何かあったんですかね?」

「さーね。」

 パトリックの問いにわざとらしく答えるランディ。

「内部の様子は不明。さほど大きくはないけれど基地の人口重力が働いていると思われあなたたちの機体も重力下使用にしているわ。

「事前に地上訓練したのはそのため?」

「そうよ。」

 イズルのと言うにスズカゼは答える。

「戦闘エリアから離れているから敵は手薄なはず。ただし、通信状況が悪く私たちとの交信は不能。爆破装置はゴールド4が管理。設置もゴールド4のコンピューターで。」

 作戦の説明が終わると各自自分の機体がある方へと向かおうとしていた。

 通路の途中、イズルたちはアトラと出くわした。

「あっ!イズル!」

「アトラ。」

「はいこれ。戦闘前の食事。」

「ありがと。」

 イズルはアトラから渡された食事を口に運ぶ。

「なんかスッゲーて慣れてるな。」

「鉄華団で給仕係しているだけのことはあるな。」

 スルガとアサギがアトラの姿を見てそう思った。

「それとこれ。」

「?」

 アトラはミサンガを手渡してきた。

「お守り作ったの。イズルが無事に帰ってこれるようにって。」

「ありがと。」

 イズルは受け取ると腕に付ける。

「ケイさんにもありますよ。」

「え?私?」

「はい!」

 アトラはケイにミサンガを渡す。

「あ、ありがとう・・・・」

 突然のことに戸惑いながらもケイはミサンガを腕に付ける。

「あれ?アトラの腕に付けてない?」

「うん!これで三人お揃いだよ!」

 アトラは自分の腕に付けているミサンガを見せる。

「おい、スルガ、あれって・・・・・」

「多分そういうんじゃねーの。」

 二人が小声で話す中、イズルはアトラに言った。

「アトラ。」

「なに、イズル?」

「今度はあったかいのが食べたい。」

「っ!うん!たくさん作っておくから早く帰ってきてね!」

「わかった。」

 アトラはイズルにどういうとイサリビの方へと戻って行った。

 

 作戦宙域にはチームラビッツ、チームドーベルマン、流星隊、筋肉隊、雷電隊が作戦宙域に向かっていた。

「なんだか訥々な任務ですね。戦闘と無関係な基地を爆破なんて。」

「多分、あいつらに手柄を立てさてたいんだろ。MJPのイメージを描き服させるためにな。」

「とにかく、勝ったと言う事実が欲しいわけだ。我々と合同なのも成功率を上げたいからだと思う。」

「はぁ‥‥でも大丈夫かな~。」

 パトリックの問いに答える二人。そして不安があった。

「昨夜、結局見たの?」

「俺は見てないから!俺は!」

 スルガは強く強調する。

「ケイ、教官に言いつけたり・・・・」

「しないわそんなこと!」

 心配するアサギはそれを聞くと安堵を吐く。

「でもなんであれが必要なのかわからなくてさ。何度も見たけど結局意味わからなかった。ケイ、あれってどういう意味で作られて映像なの?」

「っ!?」

 激しくにらんだ眼がズームされると通信をカットした。

 すると今度はイズルの方にランディから通信が入る。

「どうだ。気分転換できたか?」

「それがケイとタマキにも見せたんだけど・・・・」

「なにっ!?恐るべき逸材だな、お前・・・・俺なんかよりはるかにデンジャラスな真似をしてのけるな」

「???」

 イズルは言っている意味が分からなかった。

 

 イズルたちが敵基地へと繋がる渓谷に身を潜め、ケイが進路を探知していた。

「敵の基地を確認。映像を転送するわ。」

 映し出された映像には情報とは真逆のウルガル艦とウルガル機が映し出されていた。

「なんだよこれ!」

「ここは手薄なはずじゃなかったのか!」

 スルガとアサギは戸惑う。

「どうする?一旦戻って支持を仰ぐか?」

「上との通信は不能です。我々がここで決めないと。」

 チャンドラとパトリックがそう言うとランディは決断した。

「作戦を続行する。いるはずのないところに敵がいるってことは何か企んでるってことだ。それに、手ぶらじゃ帰れないだろ。」

「わかった。けどちょっといい?」

「なんだ、イズル?」

「こんだけの敵にバレずに占有するとしても最低で三機として残りは孤立するって話になるけど・・・・・・シノ、昭弘、ライド。囮役ってできる?派手に目立つ。」

「な~る、そういうことか。」

「こっちは問題ないぜ。」

「むしろそっちの方が俺たちスタイルです。」

 イズルの提案に三人は了解する。

「ケイ、シノの機体のえっと・・・・・ギャラクシーキャノンってここから届くことできる?」

「ちょっと待って。」

 ケイは鉄華団から提供されているフラウロスのデータを見る。

「こんなのをMSに!常識外れね・・・・・」

「できるの?」

「ええ、問題なく。地上だったら無理だけどここだったら無重力で空気抵抗もないわ。このポイントだとよく狙える上に人口重力圏内に入っても多少の誤差が生じるだけでダメージを与えることができるわ。」

「だってさ、シノ。」

「了解!んじゃイッチョ、派手にやるか!」

 シノはケイから指定されたポイントに移動するとフラウロスを砲撃モードへと変形させる。背部レールガンをリアクターに直結し、照準を定める。

「なんだよアレ!」

「アレがガンダムフレーム!」

「砲台になったのら!」

 スルガ達はフラウロスの姿を見て驚く。

「唸れ!ギャラクシーキャノン、発射!」

 ロングバレるから放たれるレールガンの威力はすさまじく、地面を削る。放たれた弾丸がそのまま敵基地へと着弾する。

「見たか!四代目流星号の力!イズル、敵の基地をぶっ飛ばしてこい!」

「うん。ありがとう、シノ。みんな、行くよ。」

「わ、わかったわ。」

 イズルを先頭に基地への道を進んでいく。

「さってと・・・」

「こっちに来る敵は・・・・」

「俺たちがぶっ潰しますか!」

 流星隊、筋肉隊、雷電隊は迫りくるウルガル機に武器を構える。

 

「大丈夫か、あいつ等?いくらMSだからって・・・・・」

「アサギ、それは余計だよ。それにあいつ等はアサギたち以上に戦闘も経験してるし技量もあるから。」

 アサギの不安にイズルがそう答えた。

「さっきのレールガン、あれってもしかしてリアクターに直結して撃ったのか?」

「ええ、その通りよ。厄災戦の遺産とはいえど今の技術より強力だわ。ビーム兵器がないにしても実弾でアレですもの。」

 スルガの疑問にケイが答える。

「よーし、俺らはこのまま・・・・・と言いたいところだが見つかっちまったようだな。」

 ランディが接近してくるウルガル機に気づいた。

「やっぱタマキの機体がデカいからかな?」

「え!あたし太ってるの!太ってるの!?」

「そういうんじゃないって。ブースターとかが俺たちの機体みたいに小さかったらッてのはあるけど。」

「ガーン!やっぱりアタシ太ってるんだ!」

 かみ合わない会話の中でタマキはショックを受ける。

「仕方ない。ここは俺たちが囮になる。こっちのことは心配するな!」

「基地の中心に動力炉があるはずだ。それを爆破しろ。」

「大丈夫、君達ならできるよ。」

 チームドーベルマンはセントを行いながらそう話す。

 しかしアサギたちのアッシュは生き残ろうとする生存本能を働かせていた。

「私たちだけで基地の中に?」

「アッシュが嫌がってんですけど!」

「逃げちゃダメ―!」

 各々抵抗するがアッシュが言うことを聞かない。

「ジュリアシステムの生き残ろうとする本能をお前たちの意思で制御しろ!行け!」

「わかった。みんな、行くよ。」

 バルバトスルプスを先頭に渓谷の中を進んでいくチームラビッツ。

「また見つかっちゃったらどうしよう・・・・」

「敵は鉄華団とドーベルマンが惹きつけてくれている。大丈夫だ。・・・・・・・と思う。・・・・・・・・・・多分。」

 タマキの不安にアサギが答える我当の本人も徐々に不安になっていた。

 イズルたちが侵入ポイント付近に到達すると警備をしているウルガル機がチームドーベルマンの方へと向かって行くのが見えた。

「この基地の警備部隊には私たちに気づいていないようだわ。」

「あそこから入れそうだ。」

 ケイが冷静に状況を分析し、アサギが侵入口を見る。するとケイがあることに気づいた。

「あの大きさじゃローズ3は入れない。どうする、イズル?」

イズルは少し考えた。

(スルガは当然メンバーに入るとして基地の探索はケイがいる。でも二人だけだと戦力は足りない。俺とスルガが入ればいいかもしれないけどタマキは一人じゃ不安だし・・・・ここは頼むか。)

 イズルは答えを出した。

「アサギ、タマキを守ってくれる?」

「イズル?・・・・・・わかった。行ってこい。」

「うん。ケイも俺と一緒に基地内部に侵入して。下手に動き回って敵に倒されるより最短で早く帰りたいから。アトラとの約束もあるしね。」

「わかったわ。」

 バルバトス、パープル2、ゴールド4は敵基地内部へ侵入を始めた。

「ここが、ウルガルの基地・・・・」

 基地の内部は正六角形の膜で覆われている、まるで生きているかのようなものであっ

た。

「ここより下方250mに動力炉を探知。これを破壊すれば基地全体が崩壊するはずよ。」

「例えそうじゃなくても敵には大打撃だからね。ケイ、お願い。」

「わかったわ。このまま直進・・・・っ!二時の方向から敵機!」

「わかった。」

 バルバトスルプスは腕部200mm砲を放ち迎撃する。

「多分この先荒れるな。スルガ、爆破装置守って。ケイ、防御シールド展開して。」

「できるけど、この基地の解析探査が難しくなるわ。」

「わかった。じゃあこのまま押し切る!」

 イズルは加速して目の前の敵を落としていく。すると今度は通路から砲台が出現しイズルたちに向け攻撃をしてくる。

「いちいちうざったいなぁっ!」

 イズルは起こりながら砲撃をして落としていく。

「地上訓練のせいかあったなぁ~。」

 スルガが感心する中、今度は進路を阻むように隔壁が降ろされた。

「前方右90゜ターン!」

 ケイが指示を出すとスルガは87式大型対艦誘導弾デスファイアーを放ち隔壁を破壊。そしてケイの指示通り動くと通路の陰から敵が姿を現し、バルバトスルプスが迎撃する。しかし全てを落とせるわけではなくいくつか取りこぼしがあった。後ろから接近してくるウルガル機をスルガは87式大型対艦誘導弾デスファイアーで撃ち落とす。

「次は垂直に90゜降下!」

 降下口に砲台が出現する。バルバトスルプスは先行して腕部200mm砲を放ちながら接近しソードメイスで砲台を潰していく。スルガも80式90mm70口径高位荷電粒子砲で砲台を宇都としていく。そして降下口に入り降下しているとケイがあることに気づいた。

「思ったより周りの熱量が大きい。急激な温度変化でセンサーが異常を起こし始めたわ。」

「方向はわかる?」

「人口重力の働いている方へ向かえば辿り着けると思うけど・・・・」

「それって、どこまでも落っこちるってことじゃねぇのかよ。」

「さすがに終わりはあると思うよ。」

 焦るスルガにイズルはツッコミを入れた。

 そして隔壁を破壊してついにイズルたちは人口重力が働いている動力炉に辿り着いた。

 すると他の隔壁からウルガル機が姿を現し、攻撃を仕掛けてきた。

「基地の中なのに構わず撃ってくるね。」

「当然よ!ここを破壊されたら全体が吹き飛ぶんだから!」

 パープル2も88式複合軽粒子銃と89式自立防御用粒子砲でウルガル機を迎撃していく。

「うぁー!」

 そんな時スルガが悲鳴を上げた。スルガが見る先には被弾した起爆装置があった。

「どっかで弾に当たったんだ!ヤバい!これじゃセットできない!」

「え!」

 そのことにケイは驚く。

「失敗だ。すぐに撤退しよう!」

「ダメだ。」

「イズル!」

 イズルの言葉にスルガは声を上げる。

「スルガ、装置の修理できる?」

「できなくはないともうけど・・・・」

「だったらやって。もしここで撤退したら、次の作戦の時にこっちが不利になる。それにみんなで生き延びるにはやるしかない。ケイ、スルガをシールドで守って。こっちは気にしなくていいから。」

「本気かよ!」

「スルガならできるでしょ、これくらい?」

 そんな言葉を言われるとスルガは燃えずにはいられなかった。

「じゃ、頼んだよ。」

 イズルはそう言うとバルバトスルプスを敵の中へと進める。

「イズル!」

「お前ら・・・・俺だけ見てろ!」

 イズルはソードメイスを振り回し敵を落としながら反転させた状態の腕部200mm砲で後ろの敵も落としていく。

「やるしかないか!」

 スルガは起爆装置の修理を始め、ケイは91式機動粒子防御機アクティブガーターを展開してスルガを全力で守る。

(アトラと約束した。帰ってあったかいご飯食べるんだ。)

 一方外の方でも苦戦を強いられているチームドーベルマン。そこへ鉄華団がやってきた。

「待たせちまったな、お前ら!」

「こっちの敵を片付けるのに時間がかかっちまった。」

「加勢します!」

「助かる!」

 ランディは鉄華団に礼を言う。

 外で待機しているタマキとアサギはイズルたちを心配していた。

「みんな大丈夫かな・・・・・」

「ああ。みんな無事に戻ってきてくれ。じゃないと俺の胃が・・・・・」

 アサギは腹を押さえていた。

 そして再び基地内部ではパープル2がゴールド4を守っていた。しかし度重なる敵の攻撃にシールドに使うエネルギーは激しく消耗していた。

「こっちだけ・・・・・見ろ!」

 イズルはバックパックにマウントしてあるサブアームも使ってウルガル機を落としていく。

「急いでスルガ!いくらイズルでも持たない!」

 スルガは急ぎながらも着実に直していく。そして起爆装置の修理が完了した。

「設置完了!俺って天才!」

「よし!すぐに撤退するよ!」

 全機裁断出力で撤退を始めた。そのすぐ後で起爆装置が爆発する。

 誘爆の勢いは通路を伝わってイズルたちの方へ迫ってくる。

「成功だね。」

「やったー!」

「誘爆の速度が速い!急がないと巻き込まれるわ!」

「なんで・・・・奴ら、一体どんなエネルギー使ってんだよ!」

 文句を言いながらも脱出を急ぐ三機。通路のあちらこちらからも爆発が始まった。

 出口まであと少しのところで隔壁が閉じていた。

「間に合わない!」

「舐めるな!」

 ケイが口を開くとイズルがそう言い腕部200mm砲をありったけぶち込み隔壁を破壊する。ぎりぎりで脱出した三機だが基地の爆発に巻き込まれる。

「「うわぁああああああああああああああああああああああ!」」

 ケイとスルガが悲鳴を上げる中、ローズ3とともに三つのアンカーが三機に放たれた。ローズ3が爆炎の中から出ると同時に三機も爆炎から脱出する。

「生き延びようとする本能・・・半端ねー。」

「タマキ、ありがとう。」

 スルガが感心しケイがタマキに礼を言う。

「全く。みんなアタシがいないとダメなんだから。」

 その言葉にケイとスルガは怒る。

 そして四機は急いで小惑星から離れる。小惑星はあちらこちらにきれいな光を放っていた。

「みんな無事か?」

「アサギ、無事だよ。」

 ブルー1、チームドーベルマン、鉄華団と合流する四機。

その直後、小惑星は爆発した。

「今度こそ、死ぬかと思った。」

 スルガの言葉に各々思うところがあった。

 そんな中イズルは爆発から逃れたウルガル機に目をやった。

(あの規模で逃げた・・・・・・敵が何を企んでたかは知らないけど、要注意しておかないと。)

 イズルは一人そう思った。

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