銀河機攻隊マジェスティックプリンス 悪魔を操縦する者 作:ザルバ
グランツェーレ都市学園上空にあるスターローズの格納庫には4チームドーベルマンが操縦したライノスが格納されていた。
ランディがライノスを見つめる中、イズルが歩み寄って来た。
「よう。」
「どうも。」
イズルは軽いあいさつで返す。
「いやー、結構ハードな戦いだったからなー。メンテナンスは大変だ。聞いたぜ。活躍している割に機体へのダメージや消耗が弾以外少ないって。」
「別に。やればできるでしょ?」
「そういうところってスゲーって思うわ。俺たちのライノスは、俺たちのアッシュのプロトタイプだからな。ま、お前のはもっと古い骨董品だけど。」
「それでも戦えてるじゃん。」
「お前たちならもっと戦えるはずだ。しっかりと自分の機体を把握すればな。俺たちの機体はDNAが組み込まれているから乗りさえすれば操作は比較的たやすい。が、マシンの性能だけに頼るな。どちらかが頼るだけの関係は長くは続かない。」
「・・・・・・」
「で、何か用か?新しいエロビデオだったら手元にはないが。」
「いや。俺たちまた学園に戻れって命令が出たからあいさつに来ただけ。」
「そうか・・・・・・ま、またどっこかで一緒になるだろ。敵も、すでに動き出してるようだしな。」
イズルの脳裏には撤退していくウルガル軍の姿が映し出された。
「ああ、そうだ。丁度良かった。」
ランディはそう言うとメモリーを渡す。
「今回の戦闘データだ。ライノスに蓄積した。俺たちは次世代のデータを取る役割も担っているのだよ。」
「ある意味損な役回りだね。」
イズルはそう言いながら貰う。
「がんばれよ。」
「そっちも。早く彼女出来たらいいね。」
「痛いとこ突くな、おい。」
イズルとランディは握手をした。
「俺たちはこの後、最前線に戻る。またな。」
「うん。」
イズルはそう言うと格納庫を後にした。
グランツェーレ都市学園へ向かう軌道エレベーターの中でイズルはアサギたちにメモリを見せた。
「ライノスに蓄積されたデータか。」
「先輩たちも俺たちも、データみたいなもんだけどな。」
アサギが理解し、スルガが皮肉を言う。
「ドーベルマンはどこに行くの?」
「最前線に戻るって。」
タマキの問いにイズルは答えた。
「また会えるわよ。」
外を眺め顔を合わせないようにしているケイが言った。
そしてイズルたちはグランツェーレ都市学園に着き、グラウンドの近くを通っていた。グラウンドには訓練機で歩行訓練をしている生徒の姿があった。
「あれ、なんだお前たち?」
他のチームが声をかけてきた。
「なんでまた戻ってきたんだよ?」
「いや、よくわかんない。」
「相変わらず肝心なところが抜けてんなー。」
「さっすがザンネン5.」
「この間の攻撃が成功したのも、先輩たちのおかげじゃねーの?」
冷やかすチームにアサギが反応する。
「ま、俺達の評価が下がるような戦い方済んじゃねーぞ。っ!?」
リーダーが最後の冷やかしを言うとイズルが胸ぐらを掴んだ。
「ウザいから黙ってくれない?それにわかんないだろうけど、あそこで戦うってすっごい大変だから。わかる?昨日までいた奴が今日はいないってのが当たり前の日常にいるって?」
「っ?!」
イズルの殺気ある目と声にリーダーは冷や汗をかく。
「イズル!」
ケイがイズルに声をかけるとイズルはその手を緩めた。
「ふ、フン!」
チームは逃げるようにそこから去った。
「相変わらずね、ここは。」
「俺ら頑張ってんのに!」
「ほんとだよ・・・・」
ケイ、スルガ、タマキは不満を吐く。すると一人の後輩が声を掛けて来た。
「センパーイ、スズカゼ教官が。お呼びです。」
「そっか。ありがと。」
「いいえ。それでは失礼します、チームザンネンの先輩。」
後輩は一礼するとその場を去って行った。
「チーム、ザンネン?」
「今の、わざとか?」
「マジに間違えてんじゃ・・・」
互いに顔を見合わせたチームラビッツであった。
ところ変わって教官室にいるイズルたちはスズカゼから驚くべきことを聞かされた。
「え・・・・・・卒業と言うのは・・・・・」
アサギの問いにスズカゼが答える。
「つまり、あなたたちは養成機関を終えて正式にGDFの機関に配属されます。あなたたちは飛び級で卒業と言うことね。」
イズルとタマキだけは他の皆よりも歳が一つ少ないのである。
「私も、ここから移動になるわ。」
「どこに行くの?」
「ゴディニオンの艦長になるの。あなたたちの上官よ。」
「そっか。あの潰れたシュークリームみたいな奴じゃないなら尚嬉しいし。」
スズカゼは苦笑いする。
「では、寮に戻って荷物を整理して、明日にはスターローズに戻って次の任務のために待機。いいわね?」
『・・・・・・』
その言葉に一同返事はなかった。
夕方になる頃、イズル以外の一同の荷物の整理が終わった。
「いきなり卒業かよ。」
「これからは遠慮なく戦場にぶち込むぞーってことか。てかイズルは?」
「なんか用があるんだとよ。」
荷物の整理をしているアサギとスルガは話している中、イズルはタマキと一緒に校内を歩いていた。
「タマキの方の荷物の整理は終わってるの?」
「うん!どっちかと言うとごみが多かったけど、荷物の方は少ない方だから。でもなんで私と一緒に校内回ろうって言いだしたのら?」
タマキが首をかしげて問う。
「お前にデートの約束したでしょ?休む機会、多分すぐに取れないし、忘れない内にって思って構内デートって奴を考えたんだけど、ダメかな?」
「ううん、問題ないのら。ちゃんと約束覚えてくれてうれしいのら。」
二人は学校内を一緒に歩いた。ほんの少し前までいた場所なのにここ数日の間に度重なった戦闘。それがすごく長く感じられ、そしてとても切なくなるものになっていた。
明日には卒業。それは衝撃の事実であり、突然であった。そして二人は自然と自分たちの教室に入る。するとそこには他の三人もいた。
「あれ、何お前ら一緒に来たの?」
「うん。前に約束してたデートをしてたとこ。」
スルガの問いにイズルは答えた。
そしてイズルたちは訓練機が格納されている格納庫にいた。
「ここにいいたの。なにしてるの?」
スズカゼがイズルたちに声を掛ける。
「あ、いえ・・・・・」
「アサギが最後に校内を一周したいって――――」
「言ってねぇ!」
答えようとするアサギをスルガが茶化した。
「今、あなたたちのアッシュがこっちに向かってるわ。」
『?』
その言葉に理解できていないイズルたちにスズカゼは笑顔で返した。
翌日の朝、グランツェーレ都市学園にバルバトスルプス以外のアッシュが運び込まれていた。
「なんで今更模擬演習なんかするんだよ?と言うかイズルはどこだ?」
「俺に聞くなよ。」
アサギの文句にスルガが答えた。
「おはよう。早いわね。」
スズカゼが声をかっけて来た。
「ただの模擬演習よ。緊張することないわ。」
「模擬演習だから緊張するんです。」
「戦うより怖いかも。」
スズカゼの言葉にアサギとタマキは答えた。
「本当にやるんですか?」
「機能説明した通り、ブルー1はリンケージ。ゴールド4は1G重力下での射撃。実体弾だから重力、風、湿度、大気密度の測定と計算に注意して。パープル2は支援、ローズ3は援護を行う。バルバトス5だけは別の登場にするって鉄華団からの要望よ。ターゲット三つを破壊するだけの模擬演習だけどイズルのすごさを証明したいらしいわ。」
そして時間は過ぎて模擬演習直前。仮説の観覧席にはグランツェーレ都市学園に在学している全生徒が座っていた。皆アッシュの活躍を今か今かと楽しみに待っていた。
スズカゼがマイクを持って進行を促す。
「これより、チームラビッツによる模擬演習を行います。」
その光景を学園長室からシモン司令が見守っていた。
「ブルー1、ゴールド4.上昇。」
ケイの指示で二機は上昇する。
「ブルー1、リンケージ!」
ブルー1のコアユニットは変形しリンゲージを行う。リンゲージが成功したブルー1はポージングを取る。その光景に歓声が上がる中、一人だけ目を光らせていた。
「ローズ3、発射!」
ローズ3のメインスラスターが起動し両翼が開き、ゆっくりと上昇。そしてメインスラスターを一気に吹かし飛行する。ローズ3は空中でアクロバット飛行を演出する。
そしてグラウンドギリギリを低空飛行する。ローズ3が通り過ぎた後に学園の窓ガラスが割れ。強い突風が発生する。その際にスズカゼのスカートの中が見えるか見えないの瀬戸際になった。
「タマキ、予定より低い位置で飛んだわね。」
ケイが冷静に分析する中、男子生徒は興奮する。
「ゴールド4、ナウ!」
ケイの指示でゴールド4は空中の的をすべて一撃で撃墜するが男子生徒はローズ3へ感謝の拍手と喝さいを送っていた。
「ん?これは・・・・・」
ケイは情報が入り上空を見る。そこには輸送用シャトルがターゲットが三つ設置されている場所に接近しているのが見て取れた。
「イズル、ここいらが限界高度だ。後はお前が何とかしろよ。」
「うん、わかった。ありがと、おやっさん。」
輸送用シャトルからバルバトスルプスが飛び降りるとすべてのスラスターを吹かしながら減速。同時に両腕部に装備されている200mm砲をターゲットの一つに放つ。ターゲットはあっという間に消滅。土煙が立ちこむ。土煙の中、バルバトスルプスは装備されているソードメイスを手に取ると一気に前進し通り過ぎ様に回転しターゲットを後ろから破壊、そして最後のターゲットにソードメイスを振り下ろし縦に壊した。
「おおおぉおおおおおおおおおおおおおお!」
先ほどまでとは違った圧倒的力による破壊の演習に生徒たちは歓声を上げた。
「以上で模擬演習を終了する。」
スズカゼの言葉を皮切りに拍手が送られた。
そして卒業式が行われる会場には数人の先生と三人のGDFの官僚、そしてスズカゼとシモン司令がいた。
「卒業生、入場。」
スズカゼの言葉で扉が開き、卒業用の白の制服を着たイズルたちが入場する。
ラビッツは壇上前に横一列に並ぶ。
「階級賞授与。イリエ・タマキ。」
「はい!」
壇上には一人一人の階級章が用意され、それをシモン司令が付けていった。
「クギミヤ・ケイ。」
「アサギ・トシカズ。」
「スルガ・アタル。」
「ヒタチ・イズル。」
無事に卒業式が終わり、イズルたちは会場の外に出るとスズカゼが送迎バスのドア付近で待っていた。
「早く乗って。」
イズルたちはバスに乗る。するとスルガが口を開いた。
「もう帰ってくることはないんだよな、ここに。」
「そっか。寂しい・・・・」
そんなタマキをケイは引き寄せる。
「これからは、このみんながいるところが俺たちの居場所だよ。チームで頑張って行こう。」
「だな。」
「イズルが珍しくリーダーらしいことしたな。」
「昨日は男として珍しいことしたけどね。」
「ふふ。」
それぞれが反応する中、アジサイ畑が広がる道に送迎バスが出る。そして送迎バスが通るところには生徒たちが列を並べ、見送りをしていた。
全生徒が敬意をこめて敬礼をしていた。そしてイズルたちも敬礼で返した。
その光景をスズカゼは微笑ましく見ていた