スーパーロボット大戦Re・disk2   作:jupi

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10話-前兆

「お主らに頼みたい事があってのう」

 

 蒔苗東護之介とオルガに呼び出された万丈、キラ、伊奈帆。

 

「既に渡してある情報通りアーブラウまでワシと革命の乙女を護衛をしてもらう事なのだが」

 

「先に道中での補給ポイントの確保と、陽動を兼ねてダイターン3……万丈には単機での先行を頼みたい」

 

 万丈は平然としているも、キラと伊奈帆は万丈を見る。

 

「いくら何でも危険では?」

 

「いや、むしろ好都合だよ。ダイターン3は既に地球軍に登録されているし、変形してしまえば並の機体には追い付かれる事もない」

 

 オルガが付け加える。

 

「俺たち鉄華団はゲリラ戦とMS戦がメインでやってるんでな。ダイターン3みたいなデカイのと一緒では動き辛い」

 

「手厳しいねぇ」

 

「あの、いいですか?」

 

 キラが手をあげる。

 

「フリーダムやデスティニーに蒔苗氏とクーデリアさんを乗せて行くわけには?」

 

 一人のりのダイターン3は除外した上での発言。

 高速で空中移動が可能な機体であれば簡単に事が運ぶ、だが。

 

「やめた方がいいでしょう」

 

 伊奈帆に一蹴される。

 

「何故その二機が地球外縁軌道統制統合艦隊の許可を得られたのか疑問が残ります。孤立した所を包囲される危険性もあります」

 

 ザフトとオーブでは周知の二機。

 地球外縁軌道統制統合艦隊の網を抜ける時に突入艦にて二機は隠蔽して来たのだが、何故か登録された機体の中にその名前が記載されていたのだ。

 

「どこの誰だか解りませんが、手を回してあなた方を動かそうとした人物がいるようですね……」

 

「とにかく足並み揃えて海と雪山を抜ける。空戦もレーダーにかからない程度に低空じゃないと駄目だ」

 

 どこか腑に落ちないキラは黙って彼らの話を聞き続けることになった。

 

 

 その日の夕方。

 準備が完了しているMSハンガーの前を通った時に、灯りがついていたので足を運ぶキラ。

 

「確か……キラさんでしたか……」

 

「……ビスケットくんと呼ばせてもらうよ」

 

 お互い暇だったため、ビスケットはコーヒーを入れてキラに手渡す。

 

「……知り合いでコーヒーにやたらうるさい人がいてね、よく実験紛いの試飲に付き合わされたよ」

 

「それはそれは……」

 

 他愛の無い会話をしながらも、ビスケットの元気が無い事には気付いていたキラ。数分が経過した頃。

 

「あの、キラさん。この機体の名前は知ってます?」

 

「ガンダムバルバトスだったね」

 

「はい。昔の大きな戦争で活躍した骨董品です」

 

「……悪魔の名を持つガンダムか……本来ガンダムは戦いを終らせる平和の象徴なのに」

 

「鉄華団はこの機体を目覚めさせてから何人も仲間が犠牲になっています。どうせなら悪魔より’自由‘の名前であってほしかった」

 

 俯くビスケットにキラは直接的に聞く。

 

「よかったら話、聞くよ?」

 

「……団長のオルガと意見が合わなくなってしまったんです……本来ならクーデリアさんを地球に届けるまでが仕事だったのに、どんどん泥沼にはまっていって……このままじゃまた犠牲が出る。僕だって火星に妹達がいるんだ。地球じゃ死ねない……」

 

 吐き出すようなビスケットの言葉は続く。

 

「僕は鉄華団を抜ける。これ以上誰かが死ぬのを見たくない」

 

 それを聞いてキラは腰をあげる。

 

「……戦い続けるのは辛いよね。本当に火星に帰りたいのなら僕が手配するよ?オーブからプラント、それから火星に行くルートで……でもさ」

 

「わかってます。僕にとって鉄華団も家族なんです。わかっているんですけど……」

 

「……だったらもっと団長と話をするべきだよ。何度でも」

 

「そう……ですよね。なんかすみません。話聞いてもらって」

 

「大して役にたててないかもしれないけど、頑張ってみて」

 

 ビスケットは頭を下げてハンガーを出る。

 

 キラはバルバトスを見つめる。

 

「ビスケットの事、ありがとう」

 

 機体の足下から現れたのは、三日月だった。

 

「……三日月だったね。君はこのバルバトスで何を成し遂げたい?」

 

「は?……別に。オルガの指示に従うだけ。強いて言うならオルガの、鉄華団の邪魔をする奴は何人でも殺す。それくらいしか出来ないし」

 

 三日月とキラに思想の溝が生まれる。

 

 

 

 その夜。

 

「何これ」

 

「地球じゃよく食べられるお魚の料理だよ。午前中に見たやつ」

 

「ふ~ん」

 

 魚には手をつけずに、木の実を食べ始める。

 

「もう!ちょっとくらい食べてくれてもいいじゃない。そんな三日月は夕飯抜きだからね!」

 

 アトラを怒らせてしまう。

 

「まったく……伊奈帆さんと由希奈さんが手伝ってくれたのに……ん~。美味しい!」

 

 そんな三日月達の姿を見て難しい表情でいるキラに、シンと伊奈帆、騎士ユニコーンも気付く。

 

「キラさん。何かあったようだね」

 

「その左目でわからぬのか?」

 

「体温、心拍数、数字で表せるものなら分かるけど……内面的な問題はね。なにもなければいいけど」

 

 

 

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