海上のダイミダラーを撃退して優勢になりかけた頃に、上空からの部隊が展開を終える。
「我ら、地球外縁軌道統制統合艦隊!面壁九年、堅牢堅固!」
三日月達の部隊とタンカーの間に割ってはいるように現れたのは、指揮官のカルタ・イシューだった。
陣形を整え、名乗りを挙げた途端に、昭弘のガンダムグシオンリベイクによる狙撃が兵の機体を捉えた。
「……撃ってよかったんだよな?」
「当たり前じゃん」
不意の一撃に激昂するカルタ。
「おのれ……無作法な……行くぞ!長蛇の陣!」
「疾風怒濤!」
MS隊が大地を滑るように接近してくる。
一切の迷い無く一機目に対してレンチメイスを叩き付けるバルバトス。
バルバトスの背後に回る機体をクロムクロが蹴り倒す。
「ね、ねぇ剣之介。この人達」
「うむ。素人……いや訓練はしているのだろうが、恐らく実戦は経験が無いのかもしれぬ」
僅かに躊躇いを覚えた剣之介。しかし三日月、昭弘、シノの機体は容赦なく敵MSを蹂躙していく。
「ね、ねぇ剣之介。この人達」
「戦を楽しんでいるように見えるな。子供がこんな……言ってる場合ではないな。推して参る!」
クロムクロがカルタの機体に斬りかかり、鍔迫り合いになる。
「このような不粋な戦いを……名乗りも挙げぬ、誇りを持たぬ輩にこんな!」
「ならば名乗りを挙げよう!鷲羽家家臣、青馬剣之介時貞!義によって鉄華団と共に戦う者なり!」
「な、名前が長ぁぁい!」
カルタが剣を振るも、剣之介には当たらない。
「カルタ様!」
クロムクロの背後から敵が近付く。
「剣之介、後ろ」
「遅い」
逆手に刀を持ち、機体を貫く。
「なんか……やり辛いよね」
「ここまで弱い相手も初めてだ」
由希奈と剣之介はカルタの機体を正面に捉えた。
「退け。お主らの練度でこの場は……」
「何してるの剣之介」
カルタに警告を出そうとすると、三日月が攻撃を仕掛けた。
「……やはり倒すしかないか……」
「剣之介。オルガさんから通信」
音声のみでオルガから。
「陽動作戦は佳境だ!船への撤退戦をしながら奴等を追っ払え!」
既にタンカーに移動を始めている味方機もいる。
「剣之介もさがって。後はこっちで片付ける」
「そうさせてもらおう」
クロムクロが背を向けた時だった。
撤退中のモビルワーカーの姿が見えた。
「不用意過ぎる!」
「指揮官はそこかぁ!」
カルタは銃を取り出し、モビルワーカーの、オルガとビスケットに対し急接近して剣を降り下ろす。
「オルガ!手を離して!」
「ビスケット!何を……」
モビルワーカーが横転。オルガが振り落とされる。
そして、ビスケットが乗ったままのモビルワーカーに降り下ろされた剣が直撃する。
「ビスケットォッ!」
「お前は……何をやっている!!」
激昂する三日月。
「カルタ様!ここはお退きを!」
カルタを逃がすためにバルバトスへ攻撃する部下。
「オルガ!」
バルバトスが敵を撃破する間にカルタは撤退した。
「ビスケットォ!ビスケット……」
「オルガ……鉄華団を……」
息絶えたビスケット。
「オルガ……」
「……」
既に敵の姿はない。
「三日月。俺がビスケットとオルガをタンカーまで運ぶ。いくぞ」
「……うん」
クロムクロがモビルワーカーの残骸とビスケットの遺体を一まとめにして、オルガをコクピットに乗せる。
由希奈がオルガの応急手当をしながら涙を浮かべていた。
「クロムクロ、着艦します」