「レクイエム?」
外宇宙での旅が長いタシロ提督は聞き返す。
「はい。かつて地球軍が造り、ザフトが使用した非人道的兵器の一つで廃コロニーの残骸を中継機にして大出力ビーム砲を発射するモノです。既にオーブ軍が破壊して廃墟になっていますが、何者かの出入りが確認されました。」
ユリカがタシロ提督に説明する。
「その調査と制圧。さらに何者かの捕縛と、ナデシコや支給された機体の慣らしも兼ねて出撃したいと」
「ふむ。ではエルトリウムは」
「何が起こるかわかりません。艦とトップ部隊は基地に待機してもらえると。ただ、ガンバスターを貸してください。こちらもどうなるかって感じなので」
「いいだろう。気を付けるように」
ナデシコDはレクイエム発射口に到着した。
ダイダロス基地が見えた頃に、スレインが呟く。
「あれは……僕の揚陸城……」
「機動性のあるブラックサレナとタルシスが先攻して撹乱を。ガンバスターと超南極は正面突破して大型機の無力化。ヴァルヴレイヴ隊が遊撃、エステバリス隊はナデシコの防衛を」
エルエルフが手際よく指示してから、僅かに笑う。
《どうしたの?》
「いや。指揮官でありながらお前らと肩を並べて戦線を駆ける事が嬉しくてな」
《ならその喜びも、戦いの辛さも半分こだ。》
「そうだな……いくぞ!」
ダイダロス基地から、揚陸城から次々と出てくるのは地球軍の機体ばかり。
出てきたのはアレイオン、量産型ダイミダラー、量産型ファフナー、ダイテツジン、デストロイガンダム。
さらにはヘッドレス、ロングアーム、イエロークラブが。
「烈風ッ!ペンギン突きィィッ!!」
「バスタァーコレダァァッ!!」
超南極とガンバスターがデストロイガンダムに正面から突撃する。圧倒的パワーで突破口を開くと、それに続いてヴァルヴレイヴ二号機と一号機が量産型ファフナー等を蹴散らす。
「強敵がいるわけではないけど……相変わらずの物量押し……!」
《ショーコ!先行しなくていい。テンカワさん達が敵の動きを止めてくれる。》
ブラックサレナがザムザザーを弾き飛ばし、敵陣の中央をタルシス改が縫うように突き進む。
「また僕に未来を見て掴めというのか……」
エフィドルグに洗脳された地球軍兵士を不殺の構えで戦うのは至難の技。
スーパーロボットや不殺に向かないヴァルヴレイヴ隊、ナデシコの護衛戦力であるエステバリス隊以外で、敵のパイロットに対して配慮が出来るのはテンカワとスレインの二人に限られていた。
技量の高い二人ではあるが、何よりタルシス改の性能。防御面の信頼性とアルドノアによる未来予測によって敵の無力化に多大な功績を残すことになる。
ナデシコがダイダロス基地に到達。
未だ戦闘が続く中、ヴァルヴレイヴ六号機がレクイエムをハッキング。
オモイカネによるレクイエムのデータ上での完全掌握を完了する。
「あれ?このデータはプラントから?」
ルリが映像ファイルを見つける。
《わたくしはプラント最高評議会議長ラクス・クラインです。わざわざの御足労、感謝致します》
全機体に同時配信される。
《貴女方の軍勢は学ぶ事を知らないのですね……火星で同じ罠にかかっておきながら……哀れみすら覚えますわ》
ラクスの両目は赤く染まり、まるで人を見下すような眼差しを向けてくる。
《洗脳された身であっても人間を殺す事に躊躇い加減する……それが弱み……なので戦艦を50程、全方向から向かわせましたわ。抵抗しても構いませんが……戦艦をナデシコに当てるように指示していますので》
嫌な笑みを浮かべるラクス。
《ではご健闘を……そして》
映像を見ていた誰もが息を飲む。
《エフィドルグに安寧を》
エフィドルグに操られた地球軍のMS大部隊。
そして洗脳されたラクス・クライン。
月面での衝突により、エフィドルグがいかに侵略範囲が広いかを思い知らされる事になる。
ただ……なんだ。
いくら地球軍の機体や艦隊が束になっても、ガンバスターがいる時点で間違いなくヌルゲーになってしまう。
バランスブレイカーって恐い。