神話の世界へようこそ!   作:ぐらみす

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どうもぐらみすです。
いよいよここから本格的に物語が始まります!
ギリシャ神話のお話などをベースにしたストーリーがこれからちょいちょい出てきますが、若干の独自解釈を含んでいる場合があります。
それでも大丈夫な方は、どうか融希ともども宜しくお願いします!


知恵の女神アテナ

 「ええええええ!?!?!?」

 

 この人が……じゃなくて、この神様がゼウス!?

 半ば思考停止状態の俺に向かって、ゼウスが再び口を開いた。

 「なぜこの世界に自分のような人間が召喚されたのか、そう思っているだろう。」

 全くもってその通りだ。なぜギリシャ神話の最高神が、人間なんかをわざわざ天界に召喚したのだろう。しかもよりによってただの高校生である俺を。

 「……はい。正直まだ何が起きてるのか理解できていないので、是非そこらへんを詳しく教えて頂きたいです。」

 と、緊張でもつれる口を必死に動かしてそう返す。

 とりあえず、今は情報量が圧倒的に足りないので、聞けるだけ聞いてみる事にする。

 「それでは説明しよう。」

と、ゼウスが言った。俺も軽く背筋を伸ばし、それを聴く。

 「この天界の神々は、少々個性が豊かでな……。恥ずかしながら、神同士のいざこざが絶えないのだ……。それをお前に解決してもらう。」

 なるほど……確かにギリシャ神話の神々はそういった様々な逸話を残している。

 だがますます謎だ。俺なんか人間如きがどうにか出来る問題なのだろうか。と、俺が思っていると、それを見透かしたかのようにゼウスが言葉を重ねる。

 「なぜ人間が解決しなければならないのかという事については、至って簡単な話だ。神の厄介事に神が介入することは、時としてとても危険なのだよ。神々はそれぞれが絶大な力を持っている故、武力での抗争になった場合、この天界が崩壊しかねない。我はそれを恐れ、人間であるお前にどうにか穏便に解決してもらう事にしたと言う訳だ。」

 なるほど。簡単に言うと、神同士の揉め事に神が制止に入るというのは火に油を注ぐようなものらしい。

 最終的には止めに入った神も含めて力のぶつけ合いになり、そのお陰様で天界が崩壊、という最悪なビジョンを避けたい。

 そこで人間である俺がちょこまかと動き回り、どうにか事を穏便に解決する。

 つまり、俺に天界のバランサーになれと言っているのだ、この全能神は。

 「あー……。大体は理解できました。だけど何で俺なんですか? もしかして特殊な能力を持っているとか……?」

と、少し期待しながら、初めから気になっていた事を聞いてみる。

 「いや、地上からランダムで選出したというだけの事だ。もちろんお前は特殊な能力等は持ち合わせていない。」

 「あー……ハイ。」

 デスヨネー……と、若干がっかりしたが、それはそうとしてランダム選出だという話はにわかには信じ難い。なぜなら、あの時俺が読んでいたのは神話の本、そしてあの謎の白紙ページ…… とても偶然の産物だとは思えない。

 「あの……俺がここに召喚された時、俺は神話に関する本を読んでいたんです。」

「ほう。」

「その時に、不自然な空白のページを見つけて、そのページに触れた瞬間ここに飛ばされたんです。とても偶然とは思えないのですが……。」

 ゼウスは、考えるように少し間を空けてから言った。

「いや、あくまでランダム選出だ。恐らくそれは人間の単なる印刷ミスだろう。」

「ファーーーーwww」

もはや笑う事しか出来ない。どうやら現実世界は、異世界ものラノベの一話のようなファンタジックな幕開けはさせてくれないらしい。

 そう思いながら、再び視線を前に向けると、ゼウスが「不思議な事もあるものだな……。ハハハ!」と、愉快そうに笑っていた。

 「さて、早速明日からお前には仕事をしてもらう。」

と、笑みの気配を消したゼウスが言った。

 「分かりました。でも具体的には何をすれば……? というか俺まだこの世界のこと全然分かりませんし……。」

「それについては問題ない。アテナ!」

 ゼウスが何者かの名前を呼ぶ。そして俺はその何者かが誰なのか知っている。

 知恵や戦いを司る女神、アテナ。彼女は、その美貌と圧倒的な力から、神世界の中でもトップクラスの地位に立ついわば神の中の神だ。

 なんだか緊張してきた俺の耳に、背後からシュゥゥンという音が届く。

 振り返ってみると、磨きあげられた床に、半径五メートルはある巨大な魔法陣が張られていて、今まさに人影が……じゃなくて神影が出現しているところだった。

 一面ガラス張りのこの部屋にはもちろん扉なんてものが存在しないので、どうやって出入りするのか少し気になっていたが、そういうことか。よく考えれば、ここはなんでもありの神々の世界だ。

 などと考えているうちに、魔法陣からアテナが出現し終わっていた。

 その姿を見て、途端、息を呑む。

 そこには、淡く光を放つ小さな少女が佇んでいた。

 身長は140cmくらいだろうか、とても華奢で、どう見ても12、3歳程度にしか見えない。顔はありえないほどに整っていて、可憐という文字を具現化したかのようだ。艷やかな純白の髪はかなり長く、腰のあたりまで流れている。小さな身体を包むのは、濃紺と白を基調とした騎士風の戦闘服。

 ギリシャ神話の本ではトップ3を争うくらい綺麗だったと書かれていたが、その人形めいた雰囲気と相まってどちらかといえば"綺麗"よりも"可愛い"といった感じだ。

 しかし、その抜けるように碧い瞳からは、神の全能感とでも言うべきオーラが発せられている。

 そしてついに、彼女が小さな桜色の唇を震わせ、言葉を発した。

 「……お久しぶりです、お父様。」

高く澄んだ甘い声が響く。

 「うむ、よくぞ参った。アテナよ。そなたをここに呼んだのはもう言うまでも無かろう。その人間の青年をサポートして欲しいのだ。」

 え"……こんな位の高い神様にサポートしてもらえるの!? と、内心驚く。

 「分かりましたわ。私が責任をもって彼を導きます。」

「頼んだぞ。それでは人の子よ、しっかりと務めを果たすように。」

「あ……はい!」

なんか話がどんどん進んで行くので、とりあえず流れに身を任せて返事をする。

 「……それではお父様、失礼します。」

「し……失礼します……」

ぎこちなく挨拶をし、アテナとともに魔法陣の上に立つ。

 たちまち視界が青い光に覆われ、次の瞬間にはもう別の場所に転移していた。

 どうやらここは宮殿の中のようだ。背後に外に繋がるとおぼしき巨大な扉があるという事は、この場所はエントランスのようなものだろう。

 と、素早く考えを巡らせていると、隣の少女がんーっ!と大きく伸びをした。

 「ふぅ……。お父様と話すのは、やはり緊張するのです……。」

と呟き、長い純白の髪を翻してくるりと俺の方を向く。

 「はじめまして。私はアテナ、今日からよろしくお願いしますね!」

 なんだかさっきと感じが違うな、と思いつつも返す。

「ええと……お、俺は空上融希です!よろしくお願いします!」

そして現実世界では滅多にない超美少女との会話に、明らかにテンパる俺。

 「今日はとりあえず、貴方の生活スペースを案内しますね。……あと、そんなにかしこまらなくても大丈夫ですよ。普通に話してくれればそれでいいのです。」

「お、おう……。敬語とか使わなくても大丈夫なの?」

「全然大丈夫です。こちらの方が話しやすいですし。」

と、微笑みながら返される

 「でも何でそっちはそんな丁寧に話してるんだよ。人間の俺なんかにそこまで丁寧な言葉使う必要ないのに。」

「分かってないですね……。私くらいの神ともなれば、言葉使いも常に丁寧なのです!」

えっへんと言わんばかりに自慢げに胸を張るアテナ。……もちろん張る胸などほとんど無いが。

 「あーっ!今失礼な事考えていましたね!?」

「いっ……いやそんな事はないぞ! ただほらあれだ、小さくて可愛らしいなーと……」

「やっぱり考えているじゃないですか!あとそれフォローになっていないのです!」

「ハイハイ、それより早く行こうぜ。」

と、怪しい雲行きになっていく話しの流れを断ち切るべく歩き始める。

 アテナは、なおもその場で「……小さいということはまだまだ伸びしろがあるという事で……。身長だって浮遊魔法を使えば誰よりも高くなるのです……。」などとぶつぶつ呟いていた。

 浮遊魔法使ったら駄目だろ、と盛大にツッコミたいのを我慢して、代わりに「おーい!先行っちゃうぞー!」とだけ言う。

 「ああっ!置いていかないでくださいっ!」

慌てながらぱたぱたと走ってくるのを見て、これ本当に大丈夫かよ……などと思っていると、「きゃっ!」という可愛らしい声を響かせ、アテナが何もない床で転ぶ。

 俺は、はーっ……っと盛大なため息をつき、アテナを引っ張り起こすべく手を差し伸べた。

 これから始まる生活への少しの期待と、かなりの不安を胸に。

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくださった方、ありがとうございます!
今回は色々詰め込んだら話が長くなってしまいました……。
でも可愛らしいアテナさんを書けたので満足です←
今回も感想等ありましたら、お気軽にお願いします!
次回も是非読んで頂けたら嬉しいです!それでは!
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