ISと無気力な救世主 作:憲彦
ショッカーの本拠地に強襲をかけた。しかし結果は惨敗。怪人の相手はできたがダークライダー達には全く歯が立たなかった。それどころかもう1人のオーガには「偽物」と言われる始末。
余りの実力差、人間を超えた怪人やライダー同士で戦うための本物のベルトと仮面ライダー。体力の消耗もそうだが、偽物と言う言葉が一夏達の心に重たくのし掛かってきた。
「クソっ!全然歯が立たねぇ……!」
悔しそうに一夏が言った。しかしそれは一夏だけではなく、全員が同じ思いだった。この世界では実力がある方だと思い、更に別世界の存在とは言え、怪人達を相手にできた。命懸けの戦いはこれまでもあったが、今回も勝てると思っていたのだ。しかし、結果はこの通り。唯一の幸運と言えば、敵地強襲の直前に時間が戻ったと言うことだけだ。
「村上。今すぐ全員分のプロトギアを用意しろ」
「正気ですか?あれを一度使えば、生きて帰れる可能性はほとんど0ですよ」
草加はベルトを用意させようとしたが、流石に簡単にその要求を飲み込む事はなかった。
「なら、ベルトに流れるフォトンブラッドの濃度を上げたらどうですか?出力はプロトギアよりは劣りますけど、体への負担は少なく出力も上げられる筈です」
ISとの大戦で、0コアがオーガギアに施した改造のあれだ。経験者である木場自身からの提案であり、どうなるかは木場が1番知っている。村上もそれならと受け入れ、早速作業に取り掛かった。
「作業が終わるまで俺たちにできることは無し。俺達が手を出さなければヤツらは取り敢えず犠牲者はでない。どうする?束の間の平穏でも楽しむか?」
「そんな気分じゃねーよ。馬鹿か?」
「だよな。俺達がプロトギアさえ使えれば……!」
「止めておけ。あのジャジャ馬は使うと死んじまうぞ。灰になってな」
「あ?なん―」
「じゃあ俺は少し休ませて貰うわ」
プロトギアについてやけに詳しく知っているような口振りに、草加は疑問に思って聞こうとしたが、それよりも早く一夏が社長室から出ていき、疑問の正体を突き止めることはできなかった。
「さてと、寝るか」
仮眠室に入るとベッドに飛び乗って眠りに入った。気は立っていたが、意外にもすぐに深い眠りに付くことができた。肉体的にも精神的にも疲労が溜まりすぎていたのだろう。
『……て!』
『ん?』
『…けて!助けて!!』
『本音?』
『助けて!!イッチー!!』
「ッ!?……夢?」
こんな状況でなら大切な誰かが助けを求めてる状態の夢を見てもおかしくない。しかも大分時間が経っている様で、既に外が薄暗くなっていた。
「変な夢見た……」
ドォオオオオン
「ッ!?正夢じゃねーだろうな?!」
仮眠室から飛び出て廊下を全速力で走り爆発音のした場所へと向かう。
「一夏くん!今の爆発音は?!」
「知るかよ!ベルトよこせ!」
「え?ちょ!まだ改造が済んでませんよ!!」
どうやらまだ弄っていなかった様だ。だがそんなこと無視してベルトを腰に巻きながら走っていった。
『555 ENTER』
『Standingby』
「変身!」
『complete』
「なんだよコイツら!?」
爆発の発生源に近付くと、黒い装束でベレー帽を被り、マントとゴーグルを装着して銃や剣、槍を武装した集団が暴れまわっていた。一夏を含め、ベルトは殆ど改造が済んでいない。現にファイズギアは改造開始前だった。ライオトルーパー達はまだ預けていなかったため対抗はできているが、隊長クラスはベルトを預けている。木場、草加達と同じ様に生身で戦っていた。
「お前ら道を開けろ!!」
折り畳んでいたファイズブラスターを展開。フォトンブラッド光弾を放ちまとめて敵を始末した。
「ちょっと!俺達に当たりかけましたよ!?確り狙って下さい!」
「危ないじゃないですか!」
「悪いが一々狙ってる暇が無いんだよ。なるべく当たらないようにするから避けろ」
「んな無茶な!?」
「全員にも伝えろ。少し無茶をするがどうにか対応しろと」
殆ど無茶振りだ。だが一夏に形振り構ってる暇はない。多少の無茶でもさせなくては為らないと言う状況だ。文句を言うライオトルーパー達を黙らせ、先へと向かっていく。
「本音!!」
「漸くお出ましか。仮面ライダーファイズ」
「誰だ!」
「初めましてだな。私はアポロガイスト。この世界を支配するショッカーに忠誠を誓う者だ。以後、お見知りおきを」
「黙れ!殺されたくなかったら本音を早く離すんだ!」
「ほう。このお嬢さんは本音と言うのか」
「気安く呼ぶな!」
アポロガイストは気絶している本音に長い銃を突き付けて一夏の反応を楽しんでいた。
「まぁ、返してやっても良いだろう。ほら」
「ッ!?フッ!本音?本音!!」
「ん…ん~」
「良かった……」
投げ渡された本音を一夏が受け止めると、体を揺さぶり生きているかを確認。反応があるのを確認すると安心した。
「ふん。喜んでいて良いのかな?」
「ッ!ファンガイア!?」
アポロガイストが鼻で笑うと、何処からともなくステンドグラスの様な装飾の入った怪人、ファンガイアが現れてきた。この時、一夏の頭の中では士の説明が駆け巡っていた。
「不味い!」
自分の頭上と首筋に注意しながら、その場から逃げることを選んだ。士の話を聞く限りでは、本音を守りながら戦える相手ではないからだ。しかも4体もいる。
「逃げられると思っているのか?」
一夏の背中に照準を合わせ、躊躇なく引き金を引いた。変身こそは解除されなかったが、余りの衝撃に本音を離してしまい、更に動けなくなってしまった。
「やれ」
1体のファンガイアの牙が本音の首筋を捉え、深々と突き刺さった。徐々にライフエナジーを吸われ、本音がステンドグラス化していっている。
「させるか……!」
『279 ENTER』
『burstmode』
「はぁ!」
突き刺さっている牙を正確に撃ち抜き、本音を助けた。牙を折られたファンガイアはもう一度突き刺そうとするのだが、アポロガイストに止められ、今度は一夏を突き刺す様に言われる。
「グッ!ウワァ……!」
抵抗する力は残っていない。しかも嫌なことにアポロガイストはジワジワ吸い取る様に指示。悪趣味なことこの上ない。
「グッ……!ウッ!」
『complete』
『startup』
「ウオオオオオ!!!」
『Exceed Charge』
動けない一夏だったが、無理矢理アクセルフォームに変身。4体のファンガイアにポインターを放ち一気に倒す。そして時間が残ってる内にファイズショットを装着し再びENTERキーを押し、加速を付けてグランインパクトをアポロガイストに叩き込んだ。
「グオッ!中々の一撃だな」
強烈な一撃だったことは確かだ。だが大きいダメージを受けてはいない、盾で防がれたからだ。若干後ろに仰け反った程度だった。
「今日はこれで退かせて貰おう。また会おうな。ファイズ」
「待ちやがれ!ウッ……!」
その一撃を最後に、一夏は意識を失ってしまった。
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