機動戦士ガンダム K.D.A.   作:apride

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今回は短いです。前話からの続きの内容となり、話の流れも大きく変わります。

挿絵(ミハル・ザビ)があります。
ミハル殿下の公式設定画が存在しないので、勝手に好みの女の子にしました(笑)
結果的にソフィアと似てしまった…


月の令嬢 【挿絵有】

《 マハラジャ提督の執務室 》

 

マハラジャ提督の元には四人の幹部が集まっている。

マ・クベ少将 エンツォ・ベルニーニ大佐 シャア・アズナブル大佐 イリーナ・レスコ中佐である。

 

「彼女は私が投げ掛けた【キシリア機関】に眉ひとつ動かさず、無言で肯定したと受け取れる様子でした。ミハル・ザビ殿下のことも知っておりました。間違いなく彼女はキシリア機関の構成員です」

 

「ミハル様の消息についてはどうなのだ? 」

 

イリーナ中佐の報告を聞いたマハラジャはミハル・ザビの名が上がったことに強く反応した。

 

「消息までは知らないそうです」

 

「嘘だな…。キシリア様は兄君達は兎も角、弟君と妹君はいつも気にかけておいでだった。キシリア様だけはミハル様の消息をご存知だった筈だ。通信士官‥いや、情報士官のメルクロワ中尉が知らないとは思えない」

 

元キシリアの側近であるマ・クベはソフィアがミハルの消息を知らないのは嘘と判断した。

 

「腑に落ちませんな? キシリア様が亡くなられたことで【キシリア機関】も崩壊した。今更隠す必要があるのでしょうか? 嘘をつく理由がわかりません。本当に知らないのでは? 」

 

マ・クベの判断にシャアは疑問を呈する。

 

「ソフィア中尉がキシリア様の配下だったのは間違いない事実ですし、なんらかの情報を隠している疑いがあるのでしたら…拘束して尋問しては? 」

 

エンツォ大佐はいやらしい笑みを浮かべて提案した。その姿にマハラジャ以外の面々は不快感を顕す。

 

「イリーナ中佐…。君の話からするとソフィア中尉は自身がキシリア機関の者であると否定しなかったのだな?

ならば、ミハル様の消息ついては私が直接問い質してみるとしよう」

 

 

 

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室内にはマハラジャ・カーンとソフィア・メルクロワが向き合っている。他には同席者はなく二人きりだ。

アクシズ最高責任者の自分を前にして平静を保つソフィア中尉になにやら背中に寒気を感じた。

圧されそうな雰囲気をかき消すように鋭利な視線を正面に座る碧眼に向けた。

 

「単刀直入に言おう……ミハル様は何処に居られる? 」

 

 

「……フォン・ブラウンに居られます」

 

 

キシリアによって身分を隠して隠遁生活をおくるミハル・ザビは月面都市フォン・ブラウンに暮らしている。目に届く範囲で且つ安全な場所としての選定だ。

 

 

「よく話してくれた! 早速御迎えに… 」

「なりません!! 」

 

所在を聞いたマハラジャが逸るのを制するソフィア!

 

「何故かな?」

「ミハル様は表舞台に立つことをお望みでない! これはキシリア様の御遺志でもあるのです」

 

故デギン公王はガルマとミハルを溺愛していた。年老いての子であることもあるが、大きな理由は二人の容姿にある…ガルマについては公衆の面前でも貴公子然といったところで人気を博していた。反面ミハルは生来病弱であり公の場には殆ど姿を見せていないが…その容姿はまさに【深窓の令嬢】なのだ。病弱な末娘をデギンは不憫に思い極力政争の場から遠ざけたため、ミハルの存在は一部の高官しか知らなかった。公の場で姿を確認されたのはガルマ・ザビの国葬の場が最後である。

 

ミハルの容姿はザビ家の血筋からは想像できない美しさである。後年、ミネバが美少女に成長するのも強ち不思議ではない由縁だ。病弱でなければキシリアは嫉妬したかもしれないが……

 

 

 

内線の呼び出し音が不意に鳴り響いた。

 

「私だ……なんだと!? 」

 

報告を受けたマハラジャの様子が一変し蒼白になり振り向き様に…

 

「ゼナ様が危篤だ」

 

 

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《 フォン・ブラウン市 》

 

「アクシズから緊急伝です! ゼナ様がお亡くなりになりました! 」

 

 

「そうですか……。よく知らせてくれましたトワニング将軍」

 

敬愛する姉キシリアの死からようやく平静を取り戻しつつあったところへ義姉ゼナの悲報である。しかしながら、姉キシリアの情報ネットワークは死して尚健在である。

 

「ミネバは2歳になった頃かしら? どうやら私に御鉢がまわってきそうですわね…… 」

 

「ミハル様……… 」

 

「姉上との約束…忘れた訳ではないぞ? 私とて望んで矢面に立ちとうはないが、抗えない流れというものは致し方ないものよ」

 

 

【挿絵表示】

 

 

トワニング准将は涼やかな主人の声に悲壮なモノを感じ取り居た堪れない気分になった。ア・バオア・クーを脱出する間際にキシリアから託された言葉が甦る。

 

 

『ミハルを宜しく頼みます…私に万が一の事があろうと担ぐでないぞ! 』

 

 

 

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「ゼナ様が身罷れた。事は危急を要するのだ! 直ちにミハル・ザビ殿下を御迎えせねばならん! ソフィア・メルクロワ中尉命令だ……拒否することは許さん」

 

イリーナ中佐はマハラジャ提督からの命令書を読み上げ語気を強めソフィアに迫った。

 

「…わかりました。フォン・ブラウン市のトワニング准将に緊急伝を送ります! 」

 

ソフィア(キシリア)は既にこうなる流れは予測していた。実のところソフィアはただの一般士官に過ぎないのだが、中身はキシリア機関そのものであるといえる。秘匿通信の暗号コードは……【キシリア・ザビ】のものを使えば全てのネットワークにアクセス可能だ。

 

「私がキシリア・ザビのコードを使う言い訳などどうにでもなる! 許せよ……ミハル」

 

 

 

因果律の悪戯が始まろうとしていた……

 

 




ミハル・ザビ殿下のイメージを描いてみたのですが……
幼すぎず、またザビ一族より柔和な顔立ちにしました。
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