目を開けると僕は宙に浮いていた。
眼前には昔プレイした「ゆめにっき」の世界が広がっている。
僕が作った道具が目的通りに動いたという事実に、高ぶる気持ちを抑え、目の前に広がる世界を観察する。
赤みがかかったタワーマンションに1室だけ部屋とベランダが配備されており、その部屋から1メートルほど下は真っ暗闇になっている。
逆にその部屋から1メートルほど上は屋上のようになっており、夜明け前なのか太陽が優しく世界を照らしている。
世界は夜明けだというのに、地上は常闇とは何とも違和感があるが、そもそも描写のない部分なので反映されていないのかもしれない。
オリジナルなら反映されていたのだろうか?
「…補完できるように改良する必要があるな」
そう呟いて、部屋のベランダを改めて確認する。
エアコンの室外機以外のものは【見当たらなかった】
つまり、まだこの物語の結末へと至るトリガーは引かれていないということになる。
「…いや、本来なら既にあるのか?」
彼女の印象に残っていない、もしくは決意が固まっていない。
だから、そこにあるはずのものが見当たらないのだろうか?
そんな考えを巡らせながら、僕は窓付きの部屋へと向かう。
空を自力で飛ぶ経験などあるはずもないので、少し不格好な飛び方になっていたり、壁に激突しそうになったが、何とかベランダに着地した。
窓を開け中に侵入すると、おさげの女の子「窓付き」がベッドで眠っている。
ひとまず窓付きの姿を確認すると、僕は部屋の扉の前に立ち開けようと試みた。
が、ドアノブはぴくりとも動かなかった。
何度も動かそうと力を込めるもその扉、及びドアノブは動かない。
もし窓付きの部屋から僕が出て行くことが出来れば、結末は変わったのかもしれない。
その「変わったかもしれない」という可能性のその先を見ることが僕の目的だっただけに残念で仕方なかった。
まぁ…窓付き自身部屋から出ようとすると「だめ、むり」と言って首を振るので、開けられないほどの恐怖に支配されているからこの扉から出ることが出来ないと解釈する。
納得のいく理由ではないが、今の僕にはそう言い聞かせて納得させるしかなかった。
扉を開けるのは諦めて、僕は窓付きのベッドに近付いた。
…寝ている女の子に近付くというだけで通報されそうなものだけど、幸いこの世界には僕と彼女以外誰もいない。
つまり誰にも邪魔されることなく、窓付きに触れることが出来るという訳で…。
僕は1つ深呼吸して、窓付きに向かって手を伸ばしたーーーー