本当はあの坊さん達のくだりも書こうか考えたのですが、主人公があっさり倒してしまう未来しか見えなかったので今回は無しの方向です!ごめんなさい!!
ゆらぎ荘にやって来て1日目がスタートした。
俺を抱き枕にしてたコガラシと幽奈はなんとか落ち着き(顔はまだ赤いが)、2人とも布団を片付けて朝風呂に向かった。
朝からあんな温泉に浸かれるなんてなんともまぁ贅沢な話だ。
そんな2人を他所に、俺は1人ゆらぎ荘を出て裏山に出かけていた。
ちとせ曰く、裏山の山道を辿って行くと奥には小さな滝があり、身を清める為の滝行に使われているらしい。
「滝行は生まれてからやったことねぇし、いっちょやってみるか」
と軽い気持ちで山道を進んでいると、やがてザーと小さく滝の流れる音が聞こえてきた。そろそろ着きそうだ。
それから少し歩くと、目的の場所にやってきた。
だがそこには先客がいた。
「・・・・・・・・・・・・」
白装束を纏い、滝に打たれながらも真っ直ぐ姿勢を保ちながら立ち、両手を合わせて目を閉じている狭霧がそこにいた。
(真面目な狭霧のことだし毎朝やってんだろうな。関心関心)
俺は彼女が終わるまで待つことにし、近くにあった岩場に腰を下ろした。
「ふぅ・・・・・・え?ミゾレさん!?」
数分が経つと狭霧が滝壺から出て、俺に気づき驚く。
「よう、毎朝ここで滝行してるのか?」
「えっえぇまぁ・・・その、全く気配が感じられなかったんですが」
「あぁ、邪魔しちまうのも悪いと思ってな。気配消してたわ」
「そう、ですか・・・(自惚れているわけではないが、まさか私が気づけないとは・・・拳人は伊達ではないということか)」
狭霧は複雑な顔をしてなにやら考え込んでいる。
「ほらよ、これ使いな」
「わぷっ」
そんな狭霧に俺は持ってきていたタオルの予備を投げ渡す。
タオルはそのまま狭霧の顔に当たり、狭霧は変な声を出した。
「早く拭きな。考えるのはいいがそんな格好でいたら風邪引いちまうぞ」
「あ、ありがとうございます・・・」
狭霧にタオルを渡した俺は持ってきていたバッグから白装束を取り出し、上のシャツを脱ぐ。
「っ!?なっ何をしてるんですか!!」
「何って、白装束に着替えてるんだが・・・」
「だとしても突然服を脱ぎ始めないでください!!////」
狭霧は顔を真っ赤にしタオルで顔を隠す。が、目はしっかりと俺の体を見ている。
(そういや狭霧は男にあんま免疫がなかったか・・・にしては俺の体メッチャ体見てるけど)
(すっ凄い体つきだ・・・どうやったらこんな綺麗な肉体を作れるんだ・・・・・・って何をマジマジと見ているんだ私は!!)
白装束を上に羽織り、下も着替える。(流石にこれはちゃんと物陰に隠れて行った)
そしていよいよ滝行をしようと滝壺に足を突っ込み・・・。
「冷たっ!やっぱやめよ」
「えぇっ!!?」
「まったく・・・まさかあんなすぐに諦めるなんて」
「ハハハッ、兄貴らしいな」
「ミゾレちゃんったら案外子供っぽいとこあるのね~」
「ミゾレさん可愛いです♪」
「モグモグ」
滝行を速攻で終わらせた俺は狭霧と一緒にゆらぎ荘に戻り、今は皆で朝食をとっている。
机を囲む面々(猫娘除く)は飯を食いながら俺のことを弄ってくる。
「うるせぇなぁ。俺だってあそこで諦めるとか思ってなかったっての」
俺は文句を言いつつ味噌汁を啜る。美味いなこれ。
「まぁまぁ皆さんもそこまでにしてあげてください。あ、ミゾレさんご飯のおかわりはいりますか?」
そこにちとせが白米の入ったおひつを持ってやってきた。
「おう頼む、しっかしちとせの作った飯どれも美味いなぁ」
「ふふっ、ありがとうございます。お世辞でも嬉しいです」
「いやいやホントに美味いよちとせちゃんの作ったご飯!何杯でもいけちゃう!!」
俺の言葉に同意するようにコガラシも笑顔で言いながら飯をかきこむ。
「お前なぁ・・・少しは女らしく上品に食えよな。見てみろ狭霧を、あそこまで手本になりそうな綺麗な飯の食い方はそうそうお目にかかれねぇぞ?」
「え!?そ、そうか・・・?」
狭霧は突然の俺の褒め言葉に戸惑いつつも微笑む。
「えー、美味い物は自由に食いたい主義なんだよなぁ」
「ったくお前ずっとそれ言ってるよな・・・ほら米粒ついてるし」
コガラシの頬についた米粒を取って食べる。
「えへへ、ありがと兄貴」
それに嬉しそうな顔をするコガラシ。たかが米粒取っただけで変なやつ。
「おー・・・ミゾレちゃんったら物凄く自然にしてあげたわね」ヒソヒソ
「わっ私があんなことされたら・・・っ」コショコショ
「やはり兄妹だからと言うべきか、とても手慣れてますね」ボソボソ
そんな俺らを見て夜々以外の三人がなにやら小声で喋っている。
「どうしたんだお前ら?」
「「「いえなにも!!」」」
俺が聞くと三人揃って誤魔化された。
「ふーん・・・ん、夜々もついてんじゃねぇか」
「う?」
左隣に座っていた夜々の頬にも米粒がついているのに気づき、コガラシ同様に取って食う。
「ありがと」
「おう」
夜々にそう返し、二人して食事に戻る。
「「「「(なんでそんな自然なの2人とも)」」」」
夜々はなんかわからんが猫っぽいところも相まって甘やかしてしまう俺であった。
夜々ちゃん可愛いですよね・・・(上手く文中で表現しきれない歯痒さ)
次回はコガラシの入学に向けての準備のため街を探索しようと思っています!!
今回同様に少しオリジナル展開になると思いますのでご了承ください!!