「もう、クロ先に家に帰ってるからね。」
「えぇ、お兄ちゃんやリゼ達に伝えておいてね。」
こんにちは、私イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。小学5年生。ついこの前までは普通の小学生だったのに、ちょっと変わった人たちに会ってからは、クラスカードを回収する魔法少女もやってます。クラスカードっていうのは、セイバー、ランサー、アーチャー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカーの7種類のカードの事で、それぞれに象徴となる英雄が宿っているの。
「珍しいこともあるもんですねぇ、クロさんが、保健室に用事がある~なんて言って先にイリヤさんを帰らせるなんて。」
今しゃっべたのは、ルビー。私が魔法少女になるきっかけになった不思議なステッキ。お風呂の窓から頭に突撃してきたのが初めての出会い。私の魔法少女生活はここから始まって、凛さんやエーデルフェルトさん、バゼットさん、それに美優に出会えた。クロは少し特殊だけど、私の妹。クロは自分がお姉ちゃんだって言ってるけど、私が絶対お姉ちゃんなんだから。魔法少女になってなくちゃ出会えなかった出会いもあるから、今の生活がすごく楽しいの。少し前に、美優が金色の王様(?)に攫われたけど、何事もなく日常に戻ることができた。これからも、私たちなら、何が来ても大丈夫だよね。
さぁ、今日の晩ご飯はお兄ちゃん特製の麻婆豆腐らしいから早く帰らなきゃ。
「きょ~う~は、おっにいちゃ~んの、ま~ぼ~ど~ふ~♪」
「はぁ、イリヤさん今日はいつにも増して上機嫌と言いますか、・・・士郎さんのことが大好きですねぇ。」
「だってルビー、麻婆豆腐だよ!それもお兄ちゃんの!泰山のじゃないんだよ!食べれるんだよ!」
「まぁ、あれは麻婆というよりマグマですからね。アイリスフィールさんが買ってきて晩ご飯に出した時は、地獄でしたね。」
「でしょ、それに比べてお兄ちゃんのは、ちょうどいい辛さで作ってくれるから、ご飯が進むの!」
「ところでイリヤさん。」
「何?ルビィー」
「さっきから大きな声で歌ってるものだから、周囲の注目がイリヤさんに集まってますよ?」
「・・・・・・・・・⁉そ、それを、さ、先に言ってよ、ルビィー‼」
「いやぁ、イリヤさんがいつ気づくかなぁって見てたんですけど全然気づかないものだから、ついつい言っちゃいました。いいですねぇ、その恥じらう乙女の赤面。ほらほら、うずくまってないで!Stand up!これは写真に撮っておかないと。」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、撮らないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
うぅ、みんながいなくてよかった。けど、これはさすがに恥ずかしいよぉ。もし、お兄ちゃんに「・・・・・・ヤさん!」見られでもしたら・・・・・・うぅ「・・・リヤさん!」ぅ、恥ずかしくておうちに入れないところだったよ。
「イリヤさん!」
「聞こえてるよ!なによ!ルビィー!」
「今すぐカードの枚数を調べてください!」
「どうしたの、突然?」
「いいから、早く!」
なんだかルビィーの様子が変だなぁ、早く見てみよう。
うん、私の分は全部ある。
「ルビィー、とくになにもないよ?私の分はちゃんとあるし。」
「では、早くサファイアの方に連絡を」
『姉さん、イリヤさん!』
とその時、サファイアから連絡が入ってきた。
「サファイア!」
『突然ですみませんが、クラスカードの枚数を数えてください。』
「それならこのルビィーが済ませました。変わりませんでしたよぉ。いまからそちらに連絡をとろうとしていたんです。そちらから連絡がきたということは・・・」
『はい、こちらも枚数に変わりはありませんでした。』
いったい何について話してるんだろう?
「ねぇ、ルビィー、クラスカードに何か異変があったの?」
「イリヤさん、異変なんてものじゃありません。今、この瞬間、新たなクラスカードの反応が出てるんです。イリヤさん回収に向かいますか?」
「ど、どうして?クラスカードは7枚と美優の時の合計8枚なんでしょ⁉」
「それが分からないから、調査に向かってほしいんです。生憎、凛さんたちは学校で器物損壊による反省文書いてる最中ですから動けませんし。この場にいるのはイリヤさんだけなんです!」
『イリ・・・ヤ・・・』
「美優⁉」
『私が・・・今から・・・向かう。だから、イリヤは休んでて。』
「そ、そんなの、美優の方こそ休んでなきゃダメじゃない。美優の方こそ休んでて、私が向かう。」
『美優さま、イリヤさんの言う通りです。今は休んでいてください。』
『それでも!・・・カード回収はやらなくちゃ---』
「『美優」さま!』
『・・・・・・2人がそういうなら・・・、でも、イリヤ、カードは取りに来て。私の分も持っていけばある程度は対策できると思う。ルヴィアさん達にも帰ってきたら応援に行くように頼んでおくから。だから、お願い』
「分かった、それじゃぁ、これから美優のおうちにむかうね。」
『うん、待ってるから』
よし、じゃぁ美優のおうちによってかないと。
「ルビィー、行くよ!」
「さぁ、さぁ、張り切っていきましょうか!」
冬木市某所―――――――――
「カードの反応があったのってこの辺なんだよね?」
「そうですねぇ、それじゃぁ、いつも通り、鏡面界いっちゃいますよ~」
『第五計測変数に虚数軸を追加
反転準備開始
複素空間の存在を確認
中心座標の固定を完了
半径2メートルで反射路を形成鏡界回廊を一部反転します
・
・
・
座標安定 空間転移完了で~・・・・・・す?あれ?』
「ねぇルビィー、さっきまでいた所とぜんっぜん景色が違うんだけど・・・」
「おかしいですね~、ちょっと待ってくださいね。座標固定間違えたのかなぁ。」
「それって、すごく危ないよね⁉」
「まぁまぁ、五体満足で転移できたことに感謝してくださいよ。」
「五体満足って何よぉ⁉そんなに危なかったの⁉」
「はいぃ、おかげでルビィーちゃんはクタクタですよぉ。今この瞬間に敵に出てこられたら一発ノックアウトされる自信がありますね!」
「そんな自信はいらない‼」
ルビィーが境界面の反転に失敗したことなんて一度も聞いた事が無いのに、それにここはどこなんだろう?それに転移してから頭も少し痛いし・・・
「Gyaaaaaaooooohhhhhh!」
「助けてぇ、敵だ~。」
「ヒーローはまだ来てくれないのか⁉」
「この近くで別の事件もあったらしくてそっちにも向かってるらしいよ」
そこには、全身包帯巻きになった人が暴れていた。
「・・・・・・ねぇ、ルビィー、聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
「はいはい、なんですかぁイリヤさん?鏡面界および魔法に関する事ならいつでもどこでもこのルビィーちゃんが責任をもって応対しますよ~」
「どうして鏡面界で普通の人たちがいるのよ⁉」
「その質問は受け付けておりません」
「なんでさ⁉」
しまった、お兄ちゃんの口癖がでちゃった。
「ま、正直なところ分からないの一言に尽きますねぇ。あと、今あそこで暴れているのが今回の敵のようですよぉ。わずかながらにクラスカードの魔力反応を感じますし。」
「分かった。一人でどこまでできるか分からないけど、やってみる!夢幻召喚!ランサー!」
『・・・いよ!』
・・・・・・・・・え?
「ルビィー、今カードから返答が来たんだけど?」
「いやいや、それはないですよイリヤさん。クラスカードに音声出力機能がついたなんて報告もらってませんよ?」
「でもさっき、何か聞こえて「イリヤさん!まえ!」ほぇ?」
「Ooooooooohhhhhhaaaaaaaaaaa!」
「ふぇぇぇぇぇぇぇぇ?!」
危なかったよぉ、とりあえず今は戦闘に集中しなきゃ。
「速攻で決めるよ!」
「はいはい、行きますよぉ!」
〈戦闘開始〉
その瞬間私は蒼い疾風に変わる。ランサーのカードはクー・フーリン。7騎のなかで一番早い移動速度を誇る槍使い。クー・フーリンはアイルランドの光の御子と呼ばれ、高い白兵戦の技術とサーヴァント中でも最速とされる敏捷性を持ち、神速の如き槍さばきは猛者でも躱しづらい。だから、速攻なら誰にも負けない自信はある。背後から一突きで行けるかな。
キンッ!!
イリヤは敵の背後に瞬き一つの間に走り抜け、朱槍を突き出す。しかし、想定以上に包帯が頑丈なのか体を貫くことはなかった。その攻撃により、敵も初めてイリヤの存在に気付いたのか、道端にある鉄パイプを拾い、袈裟懸けに振り下ろしてくる。理性が無い事によるものか、その動きの隙が大きかったため、イリヤは余裕をもって後方に跳躍し鉄パイプを回避した。
「ルビィー、あの敵想像以上に硬いよ。どうしよう?」
「硬いのなら、高火力で一撃のもとに、とかもありますよ?今回の敵は力だけのようなので溜めの大きなのも十分打てると思いますよ」
「分かった。アンインスト―『待ちな!』・・・ほぇ?」
「今のは・・・」
『嬢ちゃん、さっきから見てたが槍の使い方がなっちゃいねぇよぉ。そんなんじゃ、俺の槍は豆腐も何もつらぬくこたぁできねぇよ。』
ランサーのクラスカードから若い男の声が聞こえてくる。
「ほら、ルビィー!クラスカードがしゃべってる!」
「こんな現象は私も初めて見ますね。しかしカードさん、そう言ったって、今のイリヤさんの槍術はあなたの模倣にあたるんですよ?それをなって無いってご自身の槍を否定していることになりますよ?」
『ハッ、ちげぇねぇな。確かに嬢ちゃんの槍捌きは俺の能力によるものだよ。けどな、嬢ちゃんのそれは、槍を使ってるんじゃなくて、槍に使われてるって言いてぇんだよ。』
「しかし、それではあなたがイリヤさんに今から槍を教えるとでも言うのですか?」
『おぅおぅ、それができりゃどんだけ楽な事か。しかし生憎と俺はカードの中だ。それに目の前に敵もいることだしな。今回は超短縮版ってことで、・・・嬢ちゃん、俺のクラスカードをおでこに当てて「投影開始(トレース・オン)」って言ってみな。この前の青服黒髪の嬢ちゃん助けたことで、嬢ちゃんの今の魔力じゃ高火力なんて無理だから、こっちの方が燃費もいい。』
イリヤは言われたとおりに、おでこにカードを当てた。そして、
「投影、開始(トレース・オン)」
その瞬間カードがイリヤの中に溶けるように入っていき、身長が伸び、美しかった白銀の髪はタイツと同じ蒼の色に、目の色が夕焼けのような赤から血の赤色へと変わる。
「これは・・・」
「ランサー、クー・フーリン召喚に応じ参上した。ま、気楽にやろうや。ってな感じで俺が嬢ちゃんの体を借りる形で戦ってやるよ。安心しな、星形ステッキ。嬢ちゃんの意識はちゃんとある。ただ、今回は正規の手順じゃねぇから持続時間も短けぇ。5分ってとこだな。出てきていきなりで悪いが早速生かしてもらうぜ。質問はそのあとな。」
再度、少女、否、英雄は蒼き暴風となり消えたかと思うと次の瞬間には包帯男の後ろで槍を突き刺した格好で静止していた。
「ま、いっちょ上がりだな。」
そう言って、姿勢を楽にし、槍を消した瞬間、包帯男は綺麗な真っ赤な花を咲かせこの世から消えた。そして足元にカードの切れ端だけが残っていた。
(これが、本当の英霊の強さ。さっきの私の槍がおもちゃみたいってのにもうなずいちゃう。)
〈戦闘終了〉
「さて、一段落したことだし、質問に答えるとするぜ。嬢ちゃんも俺や星形ステッキの頭に直接声は届くから、質問しても大丈夫だぜ?」
「ではまず私から。どうしてクラスカードの中の存在であるはずのあなたがこちらに現界しているのですか?」
「それに関しちゃ、俺も詳しいこたぁ分からねぇが、こうして話せるようになったのはついさっきだ。現界にも本来なら長い詠唱しなくちゃならねぇんだが、今回は現界するための力を「強化」することでそれを為したってとこだな。」
(それじゃぁ、次は私。他のクラスカードも同じようになってるの?頭が痛いのもそれに関係してるのかな?)
「他のクラスカードも呼び掛けりゃ返事するんじゃねぇか?といっても、バーサーカーと話すことは難しいと思うけどな。頭痛に関しちゃ知らねぇなぁ。おい、星形ステッキ!何か知らねぇか?」
「えぇ~、そこで私に振りますか?…ちょっと待ってくださいね~イリヤさん?…………これは……いや、でも…」
どうしたんだろう?
(ルビィー、はやく言って。)
「イリヤさん、覚悟して聞いてください。
ここはどうやら異世界のようです。」
え?ここは鏡面界なんだから当たり前なんじゃ------
「本当の異世界。冬木市ではない別の世界なんですよ。ここは!」
(ちょ、ちょっと待ってよ。それじゃぁ、美優や皆は?どうしてそんなことになるの?)
「それに関しては、私の転移にサイシテ、外部からの干渉があったとしか……。それと、イリヤさんの頭が痛む理由は、この世界に来るときに、別世界のイリヤさんの記憶が部分的にはですが、混じったからだとおもわれます。今、把握しているだけでも、2人ですね。」
(……え?)
「あぁ、話してるとこ、わりんだけどよ。そろそろこの身も限界みてぇだ。嬢ちゃんに体返すぜ?」
(ちょっ、ちょっと待ってよ!まだ何も聞けてないのに!)
「まぁ正規の呼び方してくりゃぁ、嬢ちゃんの魔力なら3時間ぐらいいけそうだから、その時にまたしてくれや。」
その瞬間、私の中からカードが出てきて、同時に髪も目ももとに戻った。ただ身長だけがなかなか戻らない。
『あ、正規じゃねぇからそれなりに副作用残ること伝えるの忘れてたわ。今回は身長見てぇだな。』
「「それは、はじめにいっておいてよ!」ください!」
『じゃな』
「「逃げるなぁ!!」」
うぅ、身長が伸びてほしいとは思ってたけど、こんな形での伸びは望んでないよぉ。
「じゃぁルビィーカード回収してら私たちも帰ろっか。」
「すみませんイリヤさん。私も伝え忘れていたことがありまして……」
嫌な予感がする!
「元の世界に戻れなくなっちゃいました~!テヘッ 」
私はこれからどうしたらいいのよぉぉぉぉぉ!?
「わ~た~し~が~、来た!」
ホントにどうしたらいいの?
いかがでしたでしょうか?お気に召されましたでしょうか?と言っても、まだまだ始まったばかりですから、何とも言えないと思われます。とりあえず、明日ぐらいには次話が投稿できるかと思いますので、そちらもよろしくお願いしますorz