白義蒼仁~浅井長政伝~   作:楽一

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第四章 独立

第四章 独立

 

 

「兄上!」

 

 オレが綱親と共に佐和山城から少し離れた野良(のら)田(だ)に来るとそこには政元を筆頭にかなりの将と兵士たちがいた。

 

 そして新たにオレの馬印とでも言うべきもの『白義蒼仁』の旗が掲げられた。それを見た兵士たちはおぉおおと歓声を上げていた。

 

「ごらんください。六角に不満を持つ民兵はむろんですが、我ら浅井に力を貸そうとする将たちもいます」

 

「数は?」

 

「およそ一万と千」

 

「ふむ」

 

「ですが残念なお知らせもあります」

 

 そういうのは三成だった。

 

「先ほど斥候を放って物見をさせたところ六角の軍勢はおよそ二万五千。倍の開きがあります」

 

「そうか。直経。いるか?」

 

「・・・ここに」

 

「六角の動きは?」

 

「・・・これより少し先で休息」

 

「勝ったな」

 

「どうしてですか?」

 

「相手は完全に油断している。おそらく織田が負けたということ。浅井が六角を裏切るはずがないと思い込んでいる。この二点に完全に胡坐をかいた」

 

 兵士たちはオォとあちこちで称賛しているが、オレは後ろを振り返り兵士たちにこう言った。

 

「だが油断するな! これは大きな賭けである! この戦に負ければ我ら浅井は完全につぶされる」

 

 それを聞いた皆は息をのんだ。

 

「それだけじゃない! オレたちには守らねばならない者がいる! もしここでオレたちが朽ちるということはお前らの守りたい者の命が奪われるということだ! なにがなんでも守り通すぞ! 意地でもだ!」

 

『オォオオオオオオオオ!!!』

 

 その意気にオレは呑みかけられた。だが、ここで飲まれてはならない。オレたちはここで六角に勝たねばならない。その後ならいくらでも飲まれよう。

 

「全軍構え!」

 

 兵士たちは覚悟を決めた目をして、その先にいる敵を見据えた。

 

「我らは勝ちにいく! 我が旗、白義蒼仁に続け! 全軍突撃ぃ!!!!!!」

 

『ウォオオオオオオオオ!!!!!!』

 

 それはまるで津波のように相手を飲み込もうとしていた。

 

 六角軍の方でもどうやらこの状態に気付いたものたちが武器を取り対応していた。

 

「浅井軍など所詮は寡兵! 数で勝る我らの方が有利! 突撃!」

 

 そういってなにも考えていない六角軍がこちらに向かって突撃を開始し始めた。

 

「バカが。敵の先方の軍の種類は?」

 

「騎兵! 後方、少し離れた場所に歩兵!」

 

「ならよし。鉄砲隊構え!」

 

 すると、横一列に鉄砲隊が鉄砲を構え待機した。鉄砲隊の布陣は立って構えるもの百人、かがんで構えるもの百人の計二百人による二段構え。

 

「撃てぇええええ!」

 

 ドドォオオオン

 

 一斉に発射された鉛玉はそのまま敵騎馬隊の胸、頭、体のどこかに命中。人に当たらなくても馬に当たり馬が倒れ、人が落馬する。こうなれば騎兵はただの歩兵だ。つまり機動力が落ちればこちら側に来るまでの時間が稼げる。

 

「鉄砲は弾込めに時間がかかる。そこに突っ込め!」

 

「ばーか。何のために鉄砲を五百も用意したと思ってる。二段目構え!」

 

 すると一団目はすぐに後ろに下がり次の弾込めを開始した。そして一団目と同様の数が再び鉄砲を構える。当然狙いは六角軍の騎馬隊の残りと歩兵隊。

 

「てぇええええ!」

 

 ドドォオオオン

 

「ぐわぁ」

 

「な、なんであんなに早く鉄砲を放てる!?」

 

 この鉄砲の乱射の速さに六角軍は驚き、もはや統率がとれないでいる。そしてとどめの一発。といっても三段目は残りの百人だから威力は多少下がるものの現状では十分だ。

 

「撃てぇえええ!」

 

 ドォオオン

 

「三回も、三回もあんなに早く撃てるなんて・・・・」

 

それを数回繰り返し、六角の騎馬軍勢は壊滅、歩兵隊もかなりの大打撃を受けていた。

 

 すると、オレの後ろには清貞と清綱、政元が待機していた。

 

「兄上、馬です」

 

 そういって政元はオレの愛馬『蒼穹(そら)』を持ってきた。まぁ産まれたときから共にいる愛馬でその毛並みはとても美しい。鬣(たてがみ)は雪のように白く、体毛は黒い。その黒さは黒真珠にもひきを取らないほどの黒さである。

 

「んじゃ行きますか。浅井騎馬隊構え!!」

 

 オレの一言によって騎馬兵は槍を前に構えた。

 

「恐れるな! 勝利は我らの手にある! 我らは我らが護る者たちの明日のために戦うのだ! 勝利を! 勝利を我らの手に!」

 

『オォオオオオオ!!!』

 

「全軍突撃!」

 

 その勢いは本当に騎馬隊で有名な武田騎馬軍団を凌駕する勢いだった。

 

「なんなんだあれ・・・」

 

「あれは、本当に浅井軍なのか!?」

 

「退け、退けぇええ!」

 

「どけぇ!」

 

 オレは六角軍を指揮をしているものを斬りつけた。その後、ある者には首を刎ね、ある者には足を、ある者には腕を、徹底的に斬りつけて行った。

 

「全軍このまま六角本陣に突撃!」

 

 その勢いに六角軍はもろくも崩れ去った。

 

 

SIDE六角

 

 

「ははっは。賢政め、織田を蹴散らしたか」

 

「さすがはと言うべきでしょう。これからも我らの下でこき使ってやらねば」

 

「左様。我らの天下のためうつけを蹴散らし、京へ上洛しましょうぞ」

 

 その場にいるのは義賢、賢豊、平井の三人だ。

 

 彼らは長政が織田を蹴散らしたことに胡坐をかき酒宴を開いていた。

 

 だが、

 

「なんだ、外が騒がしいぞ?」

 

「喧嘩でしょう。酒の取り合いでしょうぞ」

 

「気にすることはないでしょう」

 

 しかし、その場に来た伝令によって完全にそれは覆った。

 

「て、敵襲です!!」

 

「家紋は? どうせマムシが仕掛けた伏兵じゃ。我らが出るまでもなかろう」

 

「しかり、うつけなど――」

 

「家紋は三つ盛亀甲の紋と白義蒼仁の旗! 浅井でございます!」

 

「・・・なにぃい!?」

 

「浅井賢政率いる浅井軍! 謀反と思われ――ぐはっ」

 

 すると、伝令に来た兵を斬り殺す将が一人、

 

「誰が謀反だ。謀反とは家臣が主君に仇なすこと。オレはもとより六角に仕えていた気はない」

 

「あ、浅井!」

 

「賢政!?」

 

 

END

 

 

 オレが本陣に突っ込み六角義賢を見つけると、その場に伝令兵と共に後藤、平井の三名がいた。

 

「賢政、貴様!」

 

「六角の恩義あだで返すつもりか!」

 

「ふっ、ハハッハッハハ!」

 

 恩義? 仇? 笑わしてくれる。

 

「黙れ糞どもが。なにが恩義だ。オレをこき使い今回の戦もオレたち浅井の連中に回す。それを恩義と感じる奴が言ったらそいつはバカだ。残念ながらオレはバカじゃない」

 

 そういって刀を構えた。

 

「オレたちがお前に感じているのは憎しみ、怒り、怨みの三つだ。怨みこそあれど恩義など感じん!」

 

「や、やめろ! 賢政!」

 

「あと、オレの名は賢政じゃない。長政だ!!」

 

 そう言ってオレは刀を振り下ろした。

 

「ひぃいい」

 

 ちっ、外したか。まぁいい。

 

 オレはそのまま義賢に追いつき、そのまま首元に刀を当て、

 

「お前に生かせる条件を出す。返答次第では首が宙を飛ぶ」

 

「わ、わかった、わかった! な、何でも聞く!」

 

 その脅しにあっさりと応じる義賢。オレはこんな奴のために武を振るっていたのか。自分で言っておいて何だがなんか情けないな。そしてこんな奴のために尻尾振っていた四翼が憎い。

 

「なら浅井の独立を認め、北近江に二度と攻めてくるな」

 

「な・・・」

 

「それができないというのであればオレらはこのまま観音寺城まで攻め六角家を攻め滅ぼす」

 

「バカな、そんなこと!?」

 

「できないとでも思うか? お前の軍勢は総崩れ。観音寺城にこもっている者たちにこのことを伝えればどうなるかわかるか?」

 

「くっ、卑怯者!」

 

「卑怯者? 誰がその言葉を吐くか!!」

 

「ひっ」

 

 あまりのことにオレも意識しないでここまで覇気を出してしまった。

 

「お前が父のいない間に小谷城に忍びをしのばせ妹を誘拐した。それを阻止したオレが代わりに身代わりとなったがお前が仕組んだ罠としった。その後浅井家はやむをえず降伏、従属した! 貴様らの方が卑怯者だろう!」

 

 そういって昔を思い出した。

 

 父久政と母小野が戦場に出向いていたとき留守を頼まれていた磯野がその手をさぼったときに六角の忍びが本丸に入っていた。そしてその時に妹をさらおうとしたがあらかじめ予期していたオレは女装をし妹に化け妹を救った。

 

 いや~、女装はあれを最初で最後にしたいね。

 

「・・・思い出したら腹立ってきた。やっぱお前殺そうかな」

 

「!? ま、待て! 独立を認める! だから命だけは!?」

 

「本当だな」

 

「あ、あぁ」

 

 すると、オレはにやりと笑い。

 

「直経!」

 

「・・・ここに」

 

「こいつをしばれ。縛り方はお前に任す」

 

「・・・御意」

 

「まて、降伏した者にこの仕打ちちか!?」

 

「・・・長政様。こいつうるさい」

 

「だな。ていっ」

 

 オレは軽くこいつの首元に手刀をかまし静かにさせた。

 

 そして直経に縛らせ、そのまま野良田にいる六角軍に、

 

「六角義賢、浅井家当主浅井長政と我が家臣遠藤直経が召し捕った! 六角軍に告げる!大人しく武器を解け! さもなくばお前らとまだ戦うことになるぞ!」

 

 そう告げると六角軍は大人しく武装を解除した。

 

「よし。このまま観音寺城に向かうぞ」

 

「・・・御意!」

 

 その後オレたちは義賢を捕え観音寺城に向かった。

 

「うわっ、なにこれ・・・」

 

 そこにはある意味近代的な城が建っていた。それこそ復元された清須城や彦根城のような感じだ。だが、

 

「年貢の無駄遣い」

 

「農民がかわいそうだ!」

 

「兵役に年貢」

 

「・・・苦労するのは民」

 

 そう言いつつもオレは観音寺城にこもっている六角軍に対し、

 

「我は浅井長政! 我らは六角義賢を捕えた! 抵抗する気が無ければ降伏し開門せよ!」

 

 そういうとギギギッとゆっくりだが、城門が開いた。そして出てきたのは。

 

「やっぱり」

 

 鉄砲を構えた六角軍だった。

 

 だか、あらかた予想していたオレたちは、すぐに、

 

「おい、てめぇら、これが見えねぇのか? あん?」

 

 そういって義賢を見せる。

 

「!!」

 

「義賢様!」

 

 そこにいたのは蒲生氏だった。

 

「大人しく降伏しろ。命だけは助けてやる」

 

 そういうと蒲生氏は大人しく武器を下ろすように指示をし、無血開城をした。

 

 そして、今はといと。

 

「お目覚めかな、義賢殿?」

 

「なっ! ここは!?」 

 

「あんたの居城、観音寺城だ」

 

 オレは観音寺城の上座に座り下座に縛り付けた六角義賢とその家臣団どもを座らせていた。

 

「な、何が目的だ! 独立なら認めたはずだ!」

 

 そういうと思っていましたよ。でもオレって用心深い人間でね。

 

「これに調印しろ」

 

 そういって義賢の前に一枚の紙を出した。

 

「なんだこれは?」

 

「まぁ、読んでみろ」

 

「・・・・・!?」

 

 そこに書かれていた内容はこうだ。

 

 

 一つ、六角家は無条件で浅井家の独立を認める

 

 一つ、六角家にある武器、武具、鉄砲の四分の一を浅井家に無償で譲る

 

 一つ、六角家は浅井家当主浅井長政に備前守の官位を認める

 

 一つ、六角家の蔵にある現金四分の一を賠償金として支払う

 

 一つ、六角家は金輪際浅井家の内政干渉を行わず浅井家の領土に侵略しない不可侵を約束

 

 一つ、前項目全てのうちどれか一つでも違反するものであれば南近江を浅井家に譲る

 

 

 

「巫山戯るな!?」

 

 まぁ、そういうだろうな。

 

「敗者が吠えるな。負け犬が」

 

「なっ・・・」

 

「お前らに残っているのはこれを認め南近江を統治するか、認めずこの場で死ぬかどちらがお前らにとって得かは分かっているだろう」

 

「・・・・」

 

「選べ! 六角義賢! これはお前が浅井家を愚かにも見下していた結果だ! それが浅井家の怒りに触れ戦になった! そしてお前らは負けたのだ! 浅井家にな!!!」

 

 そういうと、義賢は、

 

「わかった」

 

 といったため縛っているひもを斬らせ、調印させた。

 

「お前らにもこれに調印してもらう」

 

 そういって六角家家臣並びに六角家一族にも調印させた。

 

 ここに浅井家は六角家から完全な独立をしたのだ。

 

 そして、このうわさは全国に一気に波及した。

 

 

 

――近江の鬼神浅井長政、六角家から完全独立

 

 

SIDE信長

 

 ここは岐阜城。以前は稲葉山城と呼ばれ義母である斎藤道三が居城として利用していた。

今宵は良い月が出ている。何かに惹かれるように酒を持って縁側に来ていた。

 

「よい月だ。じゃが、私みたいなものがなぜ・・・」

 

 その月を見ながら私は一口酒を飲んだところに、

 

「御報告申し上げます」

 

 光秀が来た。

 

「なんだ」

 

「浅井長政、六角より独立! 北近江を平定いたしました!」

 

「なっ・・・」

 

 私が、利用された・・・

 

「・・・それはいつだ」

 

「はっ。報告によりますと今日の正午ごろには六角は降伏し、浅井家の独立を認めたもよう!」

 

 と言うことは私が北近江から撤退してすぐに反転、六角を討ったと言うのか・・・

 

「その攻撃は過激。鉄砲隊を上下に分けそれを三段に分け六角隊を壊滅させたところに武田騎馬隊に勝らずとも劣らない騎馬隊で突撃・・・。六角はそのまま敗北」

 

 浅井長政、あ奴何者だ。

 

「敵に回せば恐ろしい男、いや人間だな」

 

「はぁ」

 

「光秀、あやつをここに呼べ。長政をこちら側に引き寄せる」

 

「そ、それはつまり・・・」

 

「なにをボケっとしている。行け!」

 

「は、はい!」

 

 浅井長政、お前ほど私を愉しませてくれる人間がいるとはな。

 

END

 

 

SIDE???

 

 

 ところ変わって川中島

 

「はぁあああああああ!」

 

「でやぁああああああ!」

 

 川の中にある島の上では二人の女性が互いの武器を持って戦っていた。片や風林火山と書かれた軍配を楯に刀を振るい、片や身の丈ほどある槍を振るう。

 

「ふわあぁあ~」

 

「むにゃむにゃ」

 

 そしてその者たちの家臣であろう二人はその川に架かる橋の上で欠伸をかみしめていた。

 

「幸村殿」

 

「なんでしょう、兼継どの」

 

「これで何度目でしょうな?」

 

「さぁ?」

 

 片や六問銭の家紋を背に書いた赤い甲冑に十文字槍をもった若い女性。見た目はショートの紅い髪に同様の色をした瞳。真田幸村である。

 

そして、片や雪のように白い甲冑に兜に愛とデカデカと書いた文字を掲げ女性。見た目は瞳は黒いが、髪はピンクがかった長い髪。直江兼続だ。

 

 そして二人の使える主君はと言うと。

 

「「うぉおおおおおおおお!!」」

 

 片方はおなじみ武田信玄。そしてもう一人は上杉謙信だ。

 

「いい加減ここまで来ると仲が良いとしか」

 

「ですな」

 

 川中島で武田、上杉がぶつかった最初こそこの二人も仲が悪かったがいざ合戦ではなく一騎打ちがメインになるとただの観戦者となり、たがいに苦労する主君を持ったという共感できる部分から仲が良くなった(?)のだ。

 

「幸村様! おや、これは兼続殿も」

 

 そこに武田の赤い甲冑を来た兵士が幸村の元へ来てその場にいた兼続にもあいさつした。

 

「どうした?」

 

「はい。北近江で動きが!」

 

「北近江?」

 

「六角が浅井をつぶしたか、あるいは織田か」

 

「ほぉ。面白そうな話をしているな」

 

「我らも混ぜてくれないか?」

 

「お、御館様!」

 

「謙信様!」

 

 橋の手すりの部分に二人が建っていた。

 

「話せ」

 

「はっ。北近江の動きは浅井軍が織田を破り、さらに六角軍をそのまま撃破。北近江からの独立を果たしたと!」

 

「「!?」」

 

 信玄と謙信はかなり驚いていたが、幸村と兼続は。

 

「浅井が」

 

「やりますな。政元公の軍略は――」

 

 つまり彼女たちは浅井の総大将は政元であり、男である長政がそのようなことができるわけがないと思っていたのだ。だが、

 

「兼続、これは政元公ではない」

 

「では誰が?」

 

「北近江の鬼神」

 

「浅井長政だな」

 

「「・・・・」」

 

 すると、二人は唖然とし、そして。

 

「「えぇえええええーーーー!?」」

 

 

END

 

 

 さてところもどってここは小谷城。

 

「さて、四翼よ、何か言うことはあるか?」

 

 そういってオレは六角とその家臣団が調印、並びにわざわざ頼んでいないのに血印まで押した書状を四翼の前に突き出した。

 

「いや~、お前らが独立だなんだの騒いで何年かかっても成し遂げれなかった独立をこうも簡単にできるなど、オレもすごいな~」

 

 わざとらしくいって四翼の顔を見るとスゴイ悔しそうで、磯野なんか苦虫を噛んだみたいな顔をしていた。

 

 そして、その後ろの庭には六角から押収した武器、武具、現金、鉄砲の数々。

 

「さて、これでもオレが当主にふさわしくないと?」

 

 オレは屈み磯野達の視線に合わせる、

 

「他のものたちはどうだ?」

 

 すると、無論四天王(清貞、清綱、綱親、直経のこと。今日からオレがそう呼ぶようにした。四翼に対抗して!)はむろん。

 

『長政様(御館様・主)で問題なし!』

 

 政元や三成、高虎も問題なしといった。

 

 それを皮切りに他のものたちも長政を当主にするといった。

 

「どうするんだ、お前らは?」

 

 だが黙りきっている四人に、

 

「答えろ! さもなくばお前らにはこの北近江から出ていってもらうぞ!?」

 

『問題ないです!!』

 

 脊髄反射のごとく素早くこたえてくれた四翼であった。

 

「では認めるんだな?」

 

『はい!』

 

 その時後ろに待機していた家臣たちもなぜがガタガタと震えていた。

 

 その後政元たちにその時オレはどんな顔をしていたのかと聞いてみると全員一致で、

 

『般若の仮面が後ろに見えた。それもこっちを睨んで、私たちを喰らおうとしていた』

 

 と答えてくれた。

 

 オレって怒ると怖い?

 

 否! そんなことない! ・・・・と思いたい。

 

 

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