瀬戸内の提督日誌   作:シヴ熊

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想定よりも話が進んでないのですが、更新重視ということで。
※誤字脱字修正しました。


古屋敷と初建造艦

 夏の朝は日中の茹だるような暑さに比べて、あまりにも爽やかで清々しい。

 窓の外からは雀たちが忙しなく朝がきたことを祝うように囀り、まるで周囲の存在全てに朝を知らせる様に飛び回っている。

 夏は日の出が早く、まだ朝5時という早朝であるにもかかわらず窓から差し込む光は既に力強さを持ちつつあった。

 

「ん……」

 

 ほぼ〇五〇〇(マルゴーマルマル)かっちりという正確さで布団の中で身動ぎしたのは、長いモイストシルバーの髪を布団に散らして眠っていた吹雪型五番艦の叢雲だ。

 目は覚めたものの半覚醒の状態でしばらくの間、布団の中で昨日提督から貰った開発の失敗作であるぬいぐるみ二種を抱き締めたりしていたが、意識が本格的に覚醒して目をパッチリと開くと、すぐさま布団から上半身を起こして伸びをする。

 

「くぁ~……朝ね」

 

「朝だな」

 

 叢雲の本格的な覚醒に呼応して枕元に転がっていた一対のデバイスも起動し、叢雲の頭上へと浮遊するのだが、叢雲はそんなことよりも自分の独り言に答えが返ってきたことに驚いて、顔をゆっくりと声のした方へと向けた。

 そこには叢雲が眠った時とまったく同じ姿勢で、ミカン箱の執務机に向かう提督の姿があった。書類に何やら記入していた提督は片方の耳にイヤホンをしていたようで、それを取りながら視線を上げて叢雲の方へと顔を向けた。

 

「よく眠れたか?」

 

「え、えぇよく眠れたけど……あんたこそちゃんと寝たの?」

 

「習慣で早起きなだけだ。ちゃんと最低限必要な睡眠は取っているよ」

 

 叢雲の『本当かしら?』という疑惑の視線に苦笑しながら、提督がイヤホンの先にあったラジオからジャックを引き抜く。

 

『――の観点からも現在日本が置かれている食料危機は、依然として変わらず緊急性を伴う段階ではないと政府は今までと同じ見解を示しています。有識者からは飽食の時代に終止符を打ち、今一度食物の大切さを国民全体で噛みしめていく必要があるという見解を示しています。続いて――』

 

 そこでラジオを切った提督はミカン箱机の上を片付け始める。

 

「叢雲、七時に朝食をとれる様に準備しておく。それまでは好きにしていなさい」

 

 そう言っておもむろに立ち上がる提督に、叢雲は少し慌てたように声を上げた。

 

「あ、あんたはそれまでどうしてるのよ?」

 

「日課のジョギングだ」

 

 そう言って着替えを取りに部屋を出ようとする提督の足を叢雲が掴んだ。布団の上で寝起きで少しはだけた浴衣をそのままに、叢雲は意図せず上目遣いで提督を見つめる。

 

「待って、それなら私も行くわ。海軍総隊ではこの時間なら私もジョギングしてたし、こっちでもリズムを崩さずに済むなら歓迎よ」

 

 他者にも自己にも厳しい叢雲らしい発想であり、提督は拒否する理由もないと首肯した。それを見て叢雲も提督の足を掴んでいた手を放した。

 

一〇(ヒトマル)で準備をして本棟正面玄関で落ち合おう」

 

「分かったわ」

 

 提督が部屋を後にした後、叢雲もすぐに立ち上がり布団を畳もうとしたところで、自分が割とあられもない恰好をしていた事実に気づき、崩れる様に布団に没した。

 布団に頭を突っ込んだ状態でプルプルと震える主の頭上で、二つのデバイスがピンク色に発光をしながらクルクルと回転していた。

 

            ⚓⚓⚓⚓⚓

 

 朝日は眩しく鮮烈ではあるが、まだ日中感じるような容赦のない光は放っていない。

 

 提督は吸水速乾性が高い軍支給の黒いアンダーウェアに、同じく軍支給のカーゴパンツ、そして何故か靴はブーツタイプの安全靴。

 叢雲は軍()()のポリエステルが配合された綿素材の白字に紺色のラインの入った体操着に、その体操着に入っているラインと同じ紺色のブルマ、そして何故か黒タイツ。

 

「……ねぇ、なんでジョギングに安全靴なの? しかもブーツだし」

 

(おか)にいた頃の習慣だな」

 

 簡潔に答えた提督は叢雲の体操着と黒タイツには一切触れなかった。理由は単純で、常識的に考えればおかしな組み合わせだが、似合っていて運動に害がないなら特に注意する理由がないからだ。

 もっともこの提督は、女性ものの黒タイツをアンダーウェアと同位程度に思っている節があるので、性能的な面に関しては結構適当な推論で言っていた。

 ともあれ動きやすい恰好に着替えた二人は互いに軽く準備体操をした後、道を知っている提督が先に走り始め、その後を叢雲が追走し始めた。

 正門を出て左側へ曲がる。こちらの方向は叢雲が昨日船着き場からやってきたのとは逆の方向となり、こちら側の地理や景色も見ておきたいと思っていた叢雲は丁度いいと考えて口に笑みを浮かべた。

 

 堤防沿いにしばらく走るとすぐに妙なものが見え始めて、思わず叢雲は速度を落としてソレに目を奪われてしまう。

 

「司令官。これっていったい……」

 

「? ――あぁ」

 

 叢雲の足音が不意に聞こえなくなったのと、ソレを見た叢雲から質問があるだろうことも予見していた提督は、すぐに引き返してきて叢雲の近くまで戻ってきた。

 

 叢雲が見つめる先にあるのは、巨大な日本家屋だった。

 頑丈そうな作りの門が何かに破壊されたかのように倒壊しかかっているが、その奥にある家屋は玄関と思われる部分だけでも泊地にある宿舎のソレと比べても二倍ほどの大きさがある。

 建物そのものも高級で質のいい建材が使われていることが素人目にも分かるほどに、全体的な趣が今まで目にしてきた日本家屋とは一線を画すものがある。

 叢雲はほぅっと思わず溜め息をついてその古めかしい威容を見つめた。

 

「これは元々この島を所有していた人物の所有物件だったんだが、まぁ走りながら話そう。()()()()()()()()の方が理解し易いだろう」

 

 そう言って提督は話をしながら並走するのに容易い速度で走り、その隣を叢雲が苦も無く付いて走る。

 

「この島は元々は個人所有の島だったんだ。持ち主はこの辺り――古き時代に瀬戸内の海運を牛耳っていた一族。まぁ、言ってしまえばその筋の人間だ」

 

「その筋の人間って、ようするにヤクザ?」

 

 特に忌避することなくそのものズバリを言った叢雲に苦笑しながら、提督は頷いた。

 

「そう、ヤクザだ。とは言っても反社会的組織というよりは、昔ながらの顔役として地元に根付いた少し強面な相談役と言ったところかな」

 

「でも、私たちの泊地って元々は海洋研究所って聞いていたわよ」

 

 海軍総隊で事前に知っていた情報を尋ねると、提督は叢雲の方に顔をやや向けたまま速度を緩めることなく走りながら話を続ける。

 

「正確な情報かどうか判断の出来ない部分もあるが、伝わってきた情報によると一族の中に学者となった者が出て、その人物の研究を助けるためにあの施設を作ったそうだ」

 

「それはまた……随分と豪気な話ね」

 

「あぁ、感覚が少し違うのだろうな。それで後は知っての通り、深海棲艦の出現とその急激な侵攻に対応するために、この島にも守備軍が置かれた。幸いにも研究所施設を素直に徴発されたことによりこの屋敷は見逃されたようだが、結局は四国の部分的占領という事態に至って最終的に基地諸共放棄された」

 

「ふーん。でもその割にはこの屋敷、廃墟って感じがしないわね」

 

 走りながらでもずっと続く塀とその奥にある屋敷を見ることが出来ているのだが、泊地の施設よりもむしろ綺麗なんじゃなかろうか? ――までありえそうな雰囲気がある。

 

「今でも数日に一度空気の入れ替え程度は行っているからな。それをするだけでも家屋の痛みは随分と違ってくる」

 

「そうなの? まぁ確かに人が乗らなくなった艦はすぐに中も外も痛むし、人が住まなくなった家も同じようになるものなのね」

 

 妙な納得の仕方をした叢雲だったが、不意に何かに気づいたように左手にある塀に向かって声を上げた。

 

「ていうか、さすがにこの屋敷広すぎない? いつまで塀が続いてんのよ!」

 

「一族の人間が年に何度か全員集まって数日泊まり込むために作ったそうだからな。かなりアバウトな計算になるが、島の四分の一がこの屋敷に占拠されている」

 

「どんだけなのよ! ひょっとして泊地よりも広いんじゃないの?」

 

「面積だけの話をすればさすがに泊地の方が広いぞ」

 

「流石にそうよね……」

 

「ギリだけどな」

 

「ギリなのっ!?」

 

 そんな話をしている内にようやく塀も途切れて、左側には鬱蒼と茂る森が広がる。そこから二人はペースを上げながら、島を一時間掛けずに一周したのだった。

 

                   ⚓⚓⚓⚓⚓

 

 ジョギングを終えた二人は泊地本棟でシャワーを浴び、叢雲が髪を乾かして司令室に行くとそこには既に朝食が用意されていた。

 提督手製の朝食は御飯、味噌汁、出汁巻き卵、青菜漬け、鯵の塩焼き、小松菜とベーコンの炒め物。

 一汁三菜を意識したメニューで素朴ながらもとても美味しそうだった。

 昨日のカレーの味を思い出したのか、叢雲は料理の置かれている折り畳み机の前に正座してじっと料理を見つめる。

 

「さぁ、食べてしまおう。昨日の建造艦完成がもうすぐだ」

 

「そうね。私も早く仲間に会いたいし」

 

 叢雲は自分用にと提督から貰った『叢雲』と刻印された塗り箸を前に、行儀よく手を合わせた。

 

「頂きます」

 

 叢雲は提督が感心するほどに所作が整っており、行儀の悪さなど一切なく育ちの良ささえ感じる態度で食事を進めた。

 

「んぅ~おいしい。あんた本当に料理上手いわね」

 

「主計課に配属されるまではりんごの皮を剥くのが精一杯だったんだがな。そこの班長に気に入られて随分仕込まれたよ」

 

 少し懐かしそうに目を細める提督もまた仕草に粗野な部分がなく、教養ある所作を感じさせる。そんな提督の様子を見ながらも、叢雲はモグモグと美味しそうに朝食を次々と器用に箸で摘まんで口へと運ぶ。

 

 海軍総隊に居た時はまったく感じなかった食の喜び。しかしここに来てからたった二回の食事で、叢雲はその喜びと楽しさをこれ以上なく実感していた。

 艦船だった頃も燃料である重油をタンクに入れてもらえれば、満たされる充実感と補給を受けれたという喜びはあった。

 しかし今の姿で摂る食事は充実感は勿論のこと、味覚という新たなる感覚は艦船だった頃には無縁だった刺激と喜びを無限にくれるのだ。

 

 甘味、酸味、塩味、苦味、うま味。

 

 自分の舌が脳に伝えてくる鮮烈な感覚はとても刺激的で、叢雲は油断すれば相好を崩してしまいそうなほどに幸せを感じてしまう。

 きっとこの泊地にこれから着任する艦娘(なかま)たちも、自分と同じように美味しい食べ物を食すことに喜びを感じてくれることだろう。

 そう思うと叢雲はとても悪くない気分となり、笑みを浮かべた。

 

                    ⚓⚓⚓⚓⚓

 

 時刻は〇八〇〇(マルハチマルマル)を少し過ぎた辺り。

 提督と叢雲は昨日と同じように工廠地下にある工廠の心臓部、艦娘誕生の場所――建造ドックへと赴いていた。

 

 相変わらず無駄に広大と思える地下空間は照明が抑えられて薄暗く、部屋の最奥の壁にある建造ドックと装備生産装置の計器が発する光が怪しくも輝いていた。

 

 建造ドックにある巨大なモニターは昨日からずっと建造終了までの時間をカウントし続け、今の表示は以下のようになっていた。

 

『第一建造ドック 建造完了』

『第二建造ドック 建造完了』

 

 二隻の駆逐艦と思しき艦娘の建造は()()()()()終了していた。

 本当につい先ほどに――だ。

 

「まさかあの表示が十八時間後だったとはな」

 

 そう、駆逐艦二隻の建造時間は18分ではなく、18時間だったのだ。

 あの時、工廠のモニターには以下のような表示がされていた。

 

『第一建造ドック 建造完了予定時刻、現時点より00:18:00』

『第二建造ドック 建造完了予定時刻、現時点より00:18:00』

 

 どうやら最初の数字列は日数を示し、後は時と分だったらしい。

 

「そもそもなんでそんな勘違いしてたのよ? 大本営から艦娘建造に関しての資料ももらっていたんでしょう?」

 

 まだほんの短い付き合いでしかないが、色々と抜かりのないこの提督にしては珍しいくらいの凡ミスと言っていい。

 

「どうやら大本営は意図的に誤情報を記載していたようだ」

 

「はぁ? 何の為にそんなことをするのよ」

 

 叢雲の呆れたような疑問の声に、顎に手を当てて少し考える様にしていた提督が答える。

 

「艦娘は決して消耗品ではない――という戒めのようなものだろう。艦娘の存在が真に何であるか、大本営はいまだに最終的な結論を出してはいない。しかし我々が歯の立たなかった深海棲艦という存在に唯一対処できる存在が、わずか十数分で作れてしまう」

 

 そこで言葉を切った提督は帽子を被り直して、その位置を調整する。言葉を切った提督を不審に思い見上げた叢雲の目に映ったのは、鋭い眼差をした提督の横顔だった。

 

「――それは艦娘を道具としか見ない人間にとっては、さぞ朗報だろう。この建造の容易さこそ艦娘を単なる兵器という括りに押し留める鎖となりうる。大本営は新たに着任した提督がそういった考えに傾倒しないようにと、提督の頭に冷や水を浴びせるためにこういったことをしたのだろう」

 

「なるほど……ね。確かにそれなら納得だわ」

 

 大本営が自分たちを使い捨ての消耗品とは思ってはいない、ということに少しだけ喜びと過去の寂寥感を持ってしまい、叢雲の声もほんの少し湿っぽくなってしまった。

 

「とはいえ、18時間でも一つの生命が誕生するにはあまりに早すぎて短い時間だと思うがな」

 

「そうね……でも今はそれに感謝すべきじゃないの?」

 

 わざと茶化す様に笑みを浮かべてくれた叢雲のおかげで、提督も笑みを浮かべて頷いた。

 

「そうだな。今は急成熟な君たちに感謝しながら仲間を迎えるとしよう」

 

 建造ドックの前まで来た提督に、機械の影から三つの小さな人影が走り寄ってきた。

 昨日も応対をしてくれた三人組の工廠妖精が提督と叢雲の前に立つと、ビシっと敬礼を取る。それに返礼しつつ、提督が三人の先頭に立つ『工廠長代理』へと声をかけた。

 

「出迎えご苦労。工廠長代理、建造は無事完了したんだな?」

 

 工廠長代理は提督の問いに直立のまま良い笑顔で鷹揚に頷いた。

 

「では早速、我が泊地に加わる新たなる艦娘と対面するとしよう」

 

 提督の言葉にビシっと敬礼をすると、三人組の妖精は機械の方へと駆けていく。すると程なくして機械から音が鳴り始め、モニターに表示された文字には変化があった。

 

『第一建造ドック 建造完了 覚醒作業に移行』

『第二建造ドック 建造完了 覚醒作業に移行』

 

 しばらくの間、機械からは何かを乾燥させるような風が出る音がしていたが、やがてその音が止まると建造ドックがある壁の中央に位置する場所。その扉の上にある電光掲示板に『建造完了』という文字が灯ると共に、中から急に二種類の声が聞こえてきた。

 

『およ? なんですかなんですかぁー?』

 

『んぁ? ……ぁあ、もうなにぃー?』

 

『あっ! 最初誰だろーって思ったけど、睦月分かっちゃった~♪』

 

『えぇ~自分だけ分かっちゃうのズルくねぇー? って思ったけど、あたしも分かったからいいやぁー』

 

『えっ! なんで分かったのかにゃ?』

 

『えぇ~……自分で名乗ったじゃんかよぉ』

 

『およ? あっ! そっか! 睦月、睦月のこと睦月って言ってたにゃ!』

 

『ったくしっかりしてくれよなぁ……』

 

『えへへ、ごめんにゃしぃ。え? 妖精さん? これを着るのかにゃ?』

 

『げっ! この向こうで司令官が待ってんのぉ……?』

 

『えぇー! じゃあ、お待たせしちゃダメだねっ!』

 

 そこで声は一旦途切れると、扉の向こうで衣擦れの音が聞こえてくる。

 

「……」

 

「……」

 

 提督は気にした風もなく、中から聞こえてくるほのぼのし過ぎているくらいの会話に苦笑していた。

その斜め後ろで叢雲もまた手で顔を覆って呆れたような表情を浮かべていたが、それでもこれから対面する二人の仲間に期待を膨らませていた。

 

 やがて衣擦れの音がしなくなると、中から再び声が聞こえ始める。

 

『あーなんだか緊張してきたにゃ』

 

『挨拶とか面倒だから任せたぞぉ……』

 

『えぇー!? ダメだよ! 睦月だって緊張してるのにぃ~。それに望月ちゃんだって本当はどんな司令官かにゃ~ってドキドキしてるんじゃないのかにゃ~?』

 

『なっ!? ち、違うしっ! 怖そうな司令官だったらめんどいなって……思っただけだし』

 

『もぉ~! 心配だったら睦月に甘えてくれてもいいんだよぉ~!』

 

『ちょっ! こらっ! 抱きつくなよもぉ~! あつくるしいぞぉー!』

 

『ほらほら、もっと素直になるにゃしぃ!』

 

 扉の向こう側でドッタンバッタンと取っ組み合いをしている様子が伝わってきたところで、さすがに叢雲が切れた。

 

「妖精さんっ! とっとと扉開けてちょうだい!」

 

『わわっ! なんですかぁ誰ですかぁ?』

 

『知らねーけど怒ってんじゃんか! てか、早く降りろってのぉ!』

 

 そこで扉の上にある電光掲示板が『建造完了』から『進水排出』へと変わり、ブザーと共に扉が上へとスライドして開いていく。

 

『えぇー! 睦月まだ心の準備がぁ~』

 

『人の上であわてんなよなぁ~……あぁ、もういいやぁー』

 

 そして扉が開き切ると、そこには深みのある茶色いショ-トヘアーの女の子がクリクリっとした瞳を好奇心に輝かせながら、もう一人の少女――明るい茶髪のロングヘアと髪と同じ色をした瞳を眠たげにしている少女に馬乗りになっていた。

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

 四人とも微動だにせずに沈黙が流れたが、やがて諦めたように現れた二人の少女はそのままの体勢で、手を振りながら名乗った。

 

「睦月型1番艦、睦月です。はりきって、まいりましょー!」

 

「睦月型11番艦、望月でーす」

 

 何とも締まらない初建造艦たちとの初対面だった。

 




復原艦(ドロップ艦)はまた次回。
皆さんの初建造艦は何でしたか?
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