宿毛泊地提督の航海日誌 春イベ編   作:謎のks

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大分間が開きました!申し訳ございません;
その分楽しんで下されば幸いです。

※ここから先は皆さんお待ちかね(?)のシリアスゾーンでございます。
 〇注意事項
  基本的に(シリアスでは)ナレーターさんは出さない方針で。
  シリアスになりきれていない部分もあります。
  超展開、超独自設定(解釈)注意です。



◎作中の「彼女」について
口調が違うかもって思って、原作寄りにしたつもりです…あれだよ、激昂したら口調が変わるとかスーパーサ〇ヤ人的な…?
・・・はい、行きましょうか?それでは、どうぞ。


宿毛泊地提督の航海日誌 春イベ編 E-4

2017 春

「出撃!北東方面_第五艦隊」

 

Next E4 迎撃!士魂の護り

 

 

千島北端の占守島に敵深海群が上陸侵攻を開始した!第五艦隊は直ちに出撃!幌筵基地航空と共に、敵を海岸線に押し戻せ!

 

 

「…うむ!異常無し、じゃな!」

 

肌を刺す凍える風を感じながら、航空巡洋艦「利根」は自身の艦載機の索敵結果に満足の言葉をこぼした。

彼女を旗艦に編成された空母機動部隊は、その針路を北へ北へと向かって舵をとる。

そこにある島は、かつて強国を相手どり、大戦の最後の最後まで戦い抜いた益荒男達の古戦場跡地である。

そのかつての戦地、即ち「占守島」に、再びの脅威として「深海棲艦」の魔の手が伸びていた。

 

―提督、彼の地を再び、私たちの手で守り抜きましょう!―

 

それが、艦娘の一人であり、運営鎮守府伝令係である「大淀」の言葉だった。

その言葉に応えるべく、提督並び艦隊は、占守島近辺を陣取った「北端上陸姫」率いる上陸部隊の迎撃に向かう。

特設空母機動部隊。その旗艦は「利根」、そして編制は…?

 

「さむーい」

「当たり前や、ここは南国(高知)やないちゃ。」

「でも流石に寒すぎじゃなーい?…加賀さぁんあっためてよぅ?」

「アホな事言わんと、しゃんしゃん行きや。」

「ぶーぅ」

「…瑞鶴?あまり加賀さんにご迷惑をかけては駄目よ?」

 

まるで仲睦じい姉妹のような会話を繰り広げているのは、音に聞こえた一航戦と五航戦、「加賀」と「瑞鶴」。

そして駄々をこねる少女を諌めるのは、五航戦その片割れ「翔鶴」である。

そしてそこに一航戦「赤城」と、もう一隻を加えた、正に強力な布陣で敵地に赴かんとしていた。

とはいえ、いくら艦娘であろうとこの極寒の海には堪えていた。

寒さへの対策としては、間宮お手製のマフラーと防寒仕様の特製弓がけ一式。そして「寒いやろ?これ持っていきぃ!」と提督に手渡されたヒートテックのみ、あとはそのまま自らの「正装」での出撃である。

瑞鶴でないにしろ、この寒さに文句のない者はいないだろう。

 

「翔鶴、ウチはえいき索敵は怠りな?」

「はい!勿論です!」

「加賀さん、翔鶴姉ぇとアタシとで態度違くない?」

「アンタも早よ索敵しぃ。」

「ぶーぶー」

(我が輩からしたら、どっちにも変わっとらんと思うがのお?)

 

加賀は言ってしまえば無愛想の部類に入る。慇懃無礼というほどではないが、感情の起伏が乏しく、時々何を考えているのか解らない人も多いという。

しかし誰に対しても常にそつない態度で接し、宿毛泊地で覚えた土佐弁も相まってそこまで壁を感じる人はいないという。

そんな彼女だからこそ慕う者も多く、天龍とはまた違った泊地のお姉さん的立場にいる。

 

「ふふ…」

 

そんな彼女たちのやり取りを見て、にこやかに微笑む赤城。

彼女こそ、旧日本軍最強の機動部隊と謳われた「南雲機動部隊」の中核的存在。

一航戦「加賀」、そして二航戦「飛龍」、「蒼龍」と共に大海原を駆けていった。

そんな彼女たちと五航戦がこうして語らう日が来ようとは…誰も、赤城達自身も想像だにしなかった。

だからこそ、今の世界に感謝している…だからこそ。

自分の中にある赤城としての記憶、そして今の赤城の思いと共に必ず戦い抜き、世界に平穏を取り戻す。

 

無意識下で、そんな思いをはせていた赤城…だったが。

 

ぐぎゅるるる~……

 

「…あら?」

「赤城さん、アンタ…」

「…加賀さん、夕食は何でしょう?私、楽しみになってきました!」

「えいから、夕食まで我慢しぃよ?…決してイ級を”食べな”?」

「いやん、加賀さんのいけずぅ」

 

何言ってんだコイツ…と言いたげな渋い顔で赤城を見つめる加賀。

冗談ではない。この人は食欲が働くと、とんでもない行動をとる。…例えば

 

「…加賀さん、深海棲艦って”食べれますか”ね?」

 

この前の出撃で食欲のエンジンが鳴った時のセリフ。…確かに中には食べれそうな奴もいなくはないが。

流石は一航戦、常軌を逸脱し過ぎていると言ったところか?

早く敵を倒し、早々に泊地へと帰投しよう。さもなくばこの暴走空母(モンスターマシン)は、何を仕出かすか解らない。

加賀だけでなく、その場にいる全員がそう思うのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

―深海群・会敵―

  泊地到達

 

 

 

占守島攻略部隊、旗艦

北 端 上 陸 姫

 

 

 

 

― 広く薄らと空に伸び、光を遮る巻層雲。

凍てつく風が吹き荒ぶ氷海。

周りには氷塊が浮かんでいる…見ているだけで凍えるその一面「真白」の銀世界に、「彼女」がいた。

黒い衣装に身を包んだそのシルエットは、どこか見覚えがあった。

 

見覚えのあるゴシック衣装

見覚えのある貌

そして、一度見たら忘れない、憎しみを湛えた眼光。

 

そう、彼女こそは「離島棲姫」、その改装を施した姿こそ「北端上陸姫」である。

 

『…』

 

静かに、そして冷酷に艦隊を見据える北端。

…ただならぬ雰囲気の中、不意に加賀が口を開く。

 

「まさかアンタが来るとは、正直驚いちゅうわ。」

『コウナルコトハ…予測デキテイタノデハナイノ?』

「さあ?あの阿呆は知らんけど、ウチらは予想できんかった。」

『…ソウ』

 

北端は、後ろにある占守島に目をやり、目線を戻すとここに現れた理由を話す。

 

『コノ島ノ攻略…私ニヤラセテホシイト、「アノ御方」ニ頼ミコンダノ…』

「…?、どうして?」

 

瑞鶴が問いかけると、北端は艦隊一行を指差す。

 

『…アナタタチヲ試スタメ。』

「試す?」

『前ノ作戦デ、アナタタチハ「家族ヲ守ル」ト言ッタ…ソレハアナタタチノ覚悟ト思ッテイル。』

 

真剣に言葉を並べながら、北端はその威圧感を増していく。

 

『…ソレデモ私ノ言ッタ言葉ハ訂正シナイ……ニンゲンガイル限リ、変ワラナイ限リハ争イハ、憎シミノ連鎖ハ続イテイク…』

 

だが、と言葉を続ける北端は一行を見渡す。

 

『深イ闇ヲ照ラスノハ、強イ光…モシ、アナタタチノ覚悟ニ、ソノ光ガ宿ッテイルノナラ…!』

 

北端は言い終えるや否や、勢いよく手を振りかざす

瞬間、空間が揺れ、海面が盛り上がる…!

 

『私ト全力デ戦イ、ソレヲ証明シナサイ…!』

 

海中より現れたのは、深海棲艦群。それも一隊では「ない」。

 

「あいちゃあ、やりおったわ…!」

 

加賀が苦言をいう理由は、目の前に広がる深海連合艦隊。

それを6隻編成の艦隊で挑まなければならないからだ。

 

「いいじゃなあい?アタシ達ならやれるって!加賀さん!」

「うむ!瑞鶴の言う通りじゃ!…総員!戦闘配置につけぃ!」

「まあ!利根さんカッコいいですね!」

「うむ!一度言ってみたかったのじゃ!旗艦の立場を利用せんとなぁ!なぁーはっは!!」

 

強大な敵を前にして、なおも余裕のある発言をする艦隊一同、加賀はそれに頼もしさを感じる反面、しゃっきりしてほしいとも思っていた。

 

(まあ、あの子もおるし、大丈夫やろ。)

「加賀さん、慢心はしないで…ね?」

 

赤城は加賀に、油断しないように諭した。

にっ、と笑い肯定の意を返すと、加賀は目の前の敵に向けて、その弓を引いた…

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「始まったみたいですね?」

 

提督執務室にて吹雪がそういうと、それが合図というように艦隊戦が開始された。

提督は何も言わず、心配そうに艦隊の映る画面を見つめていた。

 

(あいちゃあ大丈夫やろか…?)

「司令官?」

「…ん?おお!何や?吹雪?」

「あの子が心配ですか?」

「!?、な、な、ナンのことカナー???」

「顔に書いてますよ?…大丈夫ですよ!加賀さん達もいますし?」

「……ほうやな、オレが信じちゃらんと。」

 

そう言うと提督は、再び画面に目を移す。

そこには、今度こそ間違えまいと艦娘たちを生かす策を必死に考えている「提督」の姿があった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

―敵艦発見!攻撃開始!―

 

幌筵泊地より発進した航空爆撃部隊が、そのけたたましい音と共に敵に確実なダメージを与えていく…!

しかしそこは北端上陸姫。自身の強大かつ無数の深海艦載機を展開し、こちらも確実に迎撃していく!

 

(…妙ネ?)

 

早々にその違和感に気づいた北端。

それは向こうの艦隊…宿毛泊地の機動部隊が5人しか居ないこと。

 

「第一次攻撃隊!発艦してください!」

 

赤城の号令が響き渡り、空に放たれる鉄翼の鳥の大群…それらを操るは空母4隻と航空巡洋艦一隻。

 

―マサカ…

 

北端の思考がまとまるや否や、鉄鳥とは別の脅威が迫りつつあった…!

 

『…!』

 

目を見開いた北端が見たのは海の中。

どこからともなく現れた一筋の水の軌跡…見えざる長槍が随伴艦の艦体を貫いた!

 

『gyAaaaaa!!!』

 

豪快な爆音と共に、深海駆逐艦一隻はそのまま沈んでいった…。

 

『潜水艦…!?』

 

彼女がそう回答すると、艦娘側の通信機から提督の声が響いた。

 

『ただの潜水艦やないぞ!…弔い合戦っちゅうわけやないけど、一発お見舞いしたれ!「イヨ」!!』

『まっかせて!提督!!』

『ナニ!!?』

 

提督の激励を受け、威勢よく返答するイヨ…伊14号

その声を聴き、北端の脳裏にはある少女たちの顔が浮かんだ…。

 

(ソウ…アノ娘ガ……)

 

一瞬、顔の緊張をほどくと、すぐさま元の冷徹な表情に戻す北端。

 

『イイデショウ…アナタハモウ「裏切リ者」デハナイ…ケド……”ダカラコソ”容赦シナイ…!』

 

そう言い放つと、イヨに対して強力な「対潜爆撃」を開始する北端。

静かな海中に放り込まれた爆弾は、イヨの周りで閃光と共に勢いよく爆発する…!

 

「…!、なんの!!」

 

それを寸でのところで避けるイヨ。だが、これこそが提督の狙いだった…。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

―数時間前、提督執務室にて。

 

「え!?イヨが!!?」

「おう、オマエがえいなら、ぜひやってほしい思うてにゃぁ?」

 

提督の編成する占守島防衛のための、特設空母機動部隊。

その一隻にイヨを加えたいと、彼女に提案してきたのだ。

 

「でも何で?なんでイヨなの??…いっちゃあなんだけどイヨ、弱いよ?」

 

この宿毛泊地には、高練度の潜水艦は複数在籍している。それこそ最高練度の潜水艦は何人かいる。

イヨはつい最近配置されたばかり、練度もそこそこといったところだ。

それを追求すると提督は

 

「んー?なんとなく?」

 

と口を濁すばかりで話にならない。

イヨは「どういう頭してんの?」と言いながらも、提督だしまあいいか、とも考えていた…両者共に楽観的思考であった。

 

「でもにゃぁ、無理にとは言わん。オマエが無理っちゅうんやったら、オレはそれでもえい。」

 

途端に顔に陰を落としながら、提督はイヨに念を押した。

 

(…ああ、そうか。)

 

自分が選ばれた理由はよく分からないが、提督が心配そうに引き留める理由は見当がついていた。

…怖いのだ。自分の判断が間違いでないか、それにより”また”失ってしまうのではないかと、そう思ってしまっているのだ。

それを察するとイヨは、提督に肯定の返事を告げる。

 

「…分かった。でもやるからには勝ちに行くから!」

「イヨ…」

「皆頑張ってるし、イヨもできることがしたい!…それに、こんなところで立ち止まってるわけにもいかないもんね!」

「…ほうか、ありがとにゃぁ、イヨ?」

「んっふふ~♪提督、貸しだからお礼よろしくー!…そうだなあ、一緒に晩酌に付き合ってもらうってことで!」

「お?そんなんでえいが?土佐のモンの肝臓舐めたらアカンぞ?」

「もっちろん!んっふふ~♪たっのしみー!」

 

二人は帰投後の約束を思い浮かべながら、作戦の詳細を話し合った。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「あの北端ってヒメは、私だけを狙って来るんだったね…?」

 

イヨは自問しながら自身のやるべきことを確認する。

北端上陸姫は対潜攻撃が可能、しかしそれは裏を返せば潜水艦を「優先して」攻撃するということ。

北端の艦載機の練度は(姫クラス全体に言えることだが)群を抜いていると言える、それこそどのような鋼鉄の装甲だろうと一撃で粉砕せしめる。

非常に厄介なその攻撃力を封殺できる唯一の方法。それが潜水艦の囮…所謂デコイというものである。

有効な作戦だが、それに伴い潜水艦娘に北端並びに敵深海棲艦の強力な爆雷攻撃を一手に担ってもらう必要がある。…要するに大破はおろか「轟沈」の可能性もある。

イヨはそれを承知で、そして提督もそれが「必要」と判断し、今回の状況に至る。

 

(あなたが誰かは知らない…でも、提督の邪魔をするなら、イヨだってやっちゃうんだから!)

 

イヨは人知れずそう思いながら、孤独の戦いを続ける…。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

『グッ…』

 

北端はダメージを受けた自身の身体(かんたい)の痛みを堪えながら、状況を確認する。

イヨのデコイによって、機動部隊の攻撃はスムーズに進んでいた。

加賀、そして瑞鶴の連係プレーによって、次々と斃れていく自軍の随伴艦(なかま)。

 

「加賀さん!そっちよろしく!」

「言われんでもやりゆうちゃ!」

 

瑞鶴の爆撃を避けようとも、加賀の正確無比の、練度上等の直上急降下爆撃から逃げ切ることは不可能。

まるで作業のように素早く、確実にそれを決める…一艦(ひとり)、またひとりと沈んでいく。

そんな光景を目の当たりにし、北端が考え至ったこと…それは過去の映像の中、一人の少女との会話だった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

『………ワタ、シ…ハ……?』

 

―アナタハ「呪イ」、コノ世界ノ憎シミノ権化…。

人ヲ、世界ヲ、滅ボスタメニ生マレタノ…セイゼイ動キナサイ…歯車ノヨウニ……。

 

『………?』

 

ドウシタノ…ソノ顔ハナニ?何ヲ不思議ニ思ッテルノ?

 

『ワタシ…憎クナイ…』

 

…ナニ?

 

『憎インジャナクテ、「悔シイ」ノ…ナゼカワカラナイケド、今度コソ「勝チタイ」ッテ…ソウ思ッタノ…。』

 

……。

 

『貴方ハ…?悔シクナイノ?ドウシテ憎イノ?…憎イダケ?……』

 

――”勝ちたい”って、思わないの?

 

 

 

 

……………ワタシハ…。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「あらかた片付いたか…?」

 

そう呟く利根の眼前には、ボロボロの北端と、見るも無残な敵連合艦隊の壊滅的惨状が広がっていた。

…しかし、北端は尚もその眼光を衰えさせる事はなかった。

 

『…』

 

クイックイッ

 

手のひらを返し、指を短く動かす北端。「…どうした、私はまだやれるぞ?」…まるでそう言っているようだった。

 

(抜かしおる…!)

 

苦く引きつる笑いを顔に浮かべながら、利根は次の一手を考える。

彼女を倒さなければ、作戦は成功しない、しかしこちらの行動は全て終わった。…となると後は「夜戦フェイズ」で決めるしかない。

しかし問題は夜戦で行動できる者が利根しかいないということ。

空母は基本は夜戦に参加できない。加えて潜水艦娘…イヨは大破状態にあり、夜戦に参加できるはずがない。

幸い北端は「陸上型」、特効となる三式弾は装填してあるが…。

 

「うーむ、果たしてそう上手く事が運ぶか…。」

 

しかし夜戦の有無は利根の一存で決まるものでなかった。

提督は即決で夜戦突入を承諾し、辺りは暗闇に包まれる。

「オレはオマエらぁを信じちゅうきにゃぁ?」と、ニカッと笑う提督の姿が脳裏に浮かぶ。

 

(…フッ、わかった、我が輩も腹を括るわ!)

 

それを合図に、北端との決着が着けられようとしていた…。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(どうしよう、このままじゃ…!)

 

イヨはひとしきり、最後まで自分に何かできないか考えていた。

自分はもう戦える状態じゃないが、そもそもまともに戦うために来たわけではない。

最後まで、あきらめずに頑張っている仲間を応援するため、この戦いに参加したのだ…たかが大破で役目が終わってたまるか…!

そう考えるイヨは自身の装備を確認する。

…小さな舟に乗せられた、まるでミニチュアのような戦車…車体には「士」の文字が描かれている。

それを見るうち、イヨの頭に声が響く…「もう一度、この地を護りたい」…そんな声が。

士魂の意志に触発され、イヨの士気も上がる…ふと、もう一つの装備に目をやるイヨ。

 

「…!、これだ!!」

 

そう決断するや、イヨはすぐさま海面へ急浮上し始めた…狙いは―。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「…ぷはっ!」

 

イヨの浮上した、ちょうど目の前にいたのは他でもない北端だった。

 

『!?、アナタハ…!』

「んっふふー!」

 

不敵に笑みながらイヨは、左腕にセットしたカタパルトより「艦載機」を射出した…!

 

「-いっけえええええ!!!」

 

勢いよくイヨの元を飛び立ったのは、一羽の”鴉”…九八式水上偵察機、通称「夜偵」だった。

鴉は北端の周りを旋回すると、その機体より照明弾を落とす。

 

『…クッ!』

 

暗闇だった辺りは一瞬眩い光に包まれる…そう、一瞬でも「彼女」には充分だった。

 

「ようやったぞ!イヨ!…フフン、よう見えるわ!」

『!』

 

そういうと利根は自身の砲塔を、正確に北端に向けた…!

 

「…これで「詰み」じゃあ!!!」

 

爆音と共に放出された強烈な砲弾は、真っ直ぐに北端に向かい、無数の弾丸となり、そして耳を劈く轟音と共に着弾した…。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

―ワタシハ、深海ヨリ這イ上ガリシ「呪イ」…。

ニンゲンノ業ガ生ミ出シタ怪異…憎シミ、ナラマダシモ悔シサナンテ…。

 

デモ、…ソレデモ、……許サレルノナラ………。

 

 

ソレハ、ソレハ……キット………。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

艦娘たちの映るパソコン画面にファンファーレが鳴り響く。…勝負は決したのだ。

提督執務室では、吹雪と提督が抱き合い、お互いに喜びを表現した。

 

その一方、現地では未だ神妙な空気が流れていた…。

 

『………』

 

そう、北端は健在で、鋭い視線は艦娘たちを捉えて離さなかった…艦娘側も臨戦態勢でそれに応じていた。

…だが、一つ違うことは、北端から憎しみの炎が「消えていた」ことだった。

 

『…ホントウニ、コリナイコタチ…デモ、勝負ハアナタタチノ勝チヨ…アナタタチノ覚悟ハ…”ホンモノ”ダッタ…。』

 

目を瞑りながら、北端は感慨深げにそう呟くと、艦隊に背を向ける。

…すると、加賀が引き留める。

 

「待ちや。…アンタはウチらが勝った言うけど、アンタは全力やったが?」

『…エエ、ソノツモリヨ?』

 

問われ、振り返り様にそう返答する。しかし加賀は訝しい顔を崩さない。

 

「…「まとも」な奴もおらんかったにかえ?…アンタは”補給艦”が一線級って言うが?」

『…物資調達ノ途中ダッタ…トイウノハ?』

 

北端は悪どい顔で笑い、曖昧に回答した。

答えるつもりはない。その意思を確認し、加賀は溜息をはいた。

 

「…はあ」

「加賀さん、勝負は勝負ですから、今はお互いの健闘を称えましょう?」

「そうそう!頑張ったもんね!…特にイヨちゃん!」

「えっへへえぇ~♪ありがと!」

『…フン』

 

北端はイヨを一瞥すると、また背を向けようとする…しかし。

 

「待ちやって言うに、アンタ。」

『…今度ハナニ?』

「そう怒りな。…簡単な質問よ?アンタの「終わり」はどこよ?」

『ナニ…?』

「この世界の、やない。アンタの憎しみはどこで終わるが?」

 

口角を上げ、こちらもしてやったりの顔で問いかける。

それを聞いて、少し驚いた様子で見ていたが…強張った顔が崩れ、苦笑いを浮かべると北端は、こう綴った。

 

『…ソウネ…ソレハ………』

 

 

 

―シズカナ…シズカナウミデ……キット…

 




〇宿毛泊地メモver.2

〇加賀
誉れ高き一航戦の一人。
通常は常に敬語のキャリアウーマンといった具合だが、宿毛泊地では常に土佐弁の気の強い姐さんとして描かれている。
暴走しがちなメンバーをまとめるクールなお人。

〇瑞鶴
五航戦の一人で「幸運の空母」とも言われる。
言動、思考共に思い付きで行動する泊地のトラブルメーカー…同時に艦隊のエースとしても活躍している。
加賀とは師弟のような関係で、仲は良い方。

〇翔鶴
五航戦の片割れで、瑞鶴の姉。
問題の多い瑞鶴をたしなめるが、いつも共犯者になってしまう「被害担当艦」。

〇赤城
一航戦の一人で、「南雲機動部隊」のリーダー的存在。…なのだが泊地では、何を考えているかよく分からないお人となってしまった。
お腹が減るとなんでも食べようとする…なんでも。

〇利根
のじゃロリな航空巡洋艦。
宿毛泊地では、最高練度に達している一人である。…でも「嫁艦」じゃないんだ。すまない。

〇伊14(イヨ)
2017年冬イベントにて配備された潜水艦娘。
お酒が大好きなごーほーろり。よく提督や泊地の酒豪たちと飲みに行く姿が見られる。


―提督、今日の一言―
「ようやったにゃぁ、イヨ…ん?どうしたヴェル?……え、話?」













 ―次回・最終局面―

「話したいことがあるんだ、君に。」
『オ、マエ…バ!ア”アアアァァァァアア!!!』
「私が…思い出させる…!」
『愚カナ…冷タイ処ニ沈ンデイケ!!』

「期待してるぞ?同士よ?」

Last stage E5 「北の魔女」





乞うご期待……してもいいけど、過度は禁物。
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