とらドラ!腐った目の物語   作:手乗りタイガー

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書き置きが少し出来たので投稿始めます。


1話「引っ越しは突然に」

千葉生まれの俺は小学生の頃から親父譲りの目のせいで虐められていた。

 

『目が腐っている』そんな言葉は中学に進級した時には慣れてしまっているくらいには言われ続けた。

 

俺と目を会わせた女子が急に泣き出したのも記憶に新しい。そんな生活も中学3年生の時に終わりを告げた。

 

中学3年生の卒業式前日。もう少しで中学生活も終わりを告げるように春の知らせをウグイスが鳴き教えてくれる。

 

春告鳥とはよく言ったものだ。

帰路に着いた俺は、家の庭で鳴いている、ウグイスの鳴き声を聞きながらリビングの扉を開けた。

 

 

「ん?」

 

不思議な光景だった。

 

普段俺の親父も母親も忙しく家にいない筈なのにリビングに妹の小町を含めて全員集合していた。

 

しかも雰囲気は重く、一瞬開けた扉を閉めようとしたが親父の「こっちにきなさい」と言う言葉で俺は少しの不安を覚えながらリビングに入った。

 

ソファに親父と母親、そして小町が対面するように座っており、小町の座っているソファには1人分の座るスペースがある。

 

恐らく俺も小町の隣に座る為に態々小町が少しズレて座っているのだろう。

 

俺がソファに座ると最初に口を開いたのは親父だった。

 

「八幡。お前学校で虐められているそうだな?」

 

開口一番がそれだった。

 

虐められていたのは小学生の時からなので別に今更気にすることでもないが親父の迫力に負けて押し黙ってしまう。

 

「.....」

 

「黙っていては分からんだろう」

 

「虐めは前からあったから別に今更気にしてない」

 

正直の気持ちを言ったつもりだった。

前からあったしその延長で現在も続いているだけで別に今更気にしていないと。

 

「.....そうか。いつ頃からあったんだ?」

 

少し口調が優しくなり、俺の緊張も少し解れていく。

 

「何時ってのは覚えてないけど....確か小学生の2年生の時くらいだった気がする」

 

確か隣の席の女の子が消ゴムを落としてそれを拾ってあげたら何故か泣かれて、その後クラスメートにリンチにあったのが最初の筈だ。

 

「そんなに早くから........ごめんなさい.....わたし」

 

母親が何故か涙を流しながら俺に謝ってくる。

でも俺は何故謝られているのか分からない。あの時虐めていたのはクラスメートであり母親ではないのだ。それに毎日いるときはご飯を作ってくれ、俺と小町の為に働いてくれている。それが事実であり感謝こそしても謝られることは無いと思っている。

 

「お前のせいじゃない。俺も家をあけすぎたのが原因だ。家族の時間を取らなかった俺の」

 

「.....またあなたはそうやって.....」

 

なんだろう、このまま家庭崩壊とかないよね?小町は一言も話さないし、あれ?これって俺が原因で離婚とかそういうアレな展開?

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ。確かに虐めは受けていた。でもそれは親父や母親のせいじゃない。むしろ今まで俺と小町の為に働いてくれて感謝してる。学校での事は俺に責任があるんだろうし、それに友達も欲しいとは思ってない。今では虐めも気にならないし気にしないでくれ」

 

「お兄ちゃん....」

 

小町がやっと口を開いて俺の名前を呼ぶ。声に覇気はないが喋らないで顔を青くさせている小町なんて俺は見たくない。

 

「この言い方.....あなたそっくりね.....」

 

「そうか?」

 

「ええ、自分の事なんかより相手の事を第1に思えるところ.....わたしが惚れたところでもあるけど....その生き方はとても辛く理解してくれる人は現れるかどうか分からない。そんな辛い中で息子をいさせたくない.....だから引っ越すことにしたのよ」

 

は?

 

 

 

..............おい、今俺の母親は何て言ったんだ?

 

やけに胸にくる言葉を言われたと思ったら引っ越すだと?

 

千葉から?いやいやあり得ないだろ。

 

俺の私服姿見たことないの?

 

大きくI love千葉!って書いてあるんだよ?この意味わかるでしょ?

 

「いや引っ越すなんて大袈裟な.....それに試験だってもう受かってるんですけど?」

 

そうなのだ。

 

俺は来年から総武高校と言われる、意外と偏差値高めの高校に入学が決まっているのだ。

 

数学以外は完璧な俺が数学を真面目に努力してなんとか受かったんだよ?それを無しにとか勘弁してもらいたい。

 

「大丈夫。お前の成績を見せたら先方の高校の校長が許可を出してくれた。実は父さんの顔が利く高校でね。校長とも結構長い付き合いなんだ」

 

良く思うが俺の両親って意外と顔が広い。

 

それも結構大物が多いのだ。いろんな意味で。

 

「小町はそれで良いのか?」

 

「小町から言い出した事なんだよ」

 

え?俺は隣に座っている小町を見ると真っ直ぐ目があった。

 

「お兄ちゃん...あのね、お兄ちゃんの事小町のクラスでも有名なんだ....皆お兄ちゃんの悪口言ってる」

 

そうか.....小町には迷惑をかけていたんだな...。それもそうか、同じ学校に通っているんだから噂も立つだろうし陰口とか言われていたのかもな.....。

 

「悪かったな小町....俺のせいで小町にまで嫌な思いをさせちゃったみたいで」

 

「ほんとだよ...小町の事は何も言ってこないけど、お兄ちゃんの事を悪く言われるのは小町嫌だよ」

 

......流石次世代の高性能ボッチだ。

基本他人との付き合いを嫌う小町だが、小町は人付き合いが非常に上手い。

 

顔が俺に似ずに可愛いというのもあるが一番はその人懐っこさだろう。

 

誰にでも優しく、誰にでも笑いかけれる小町は本当に凄いと思う。

 

俺は他人との距離感を取るために態々相手が嫌がることを言い距離を離す。他人の事なんて信じられないのだから当たり前だと思っている。

 

故に俺はボッチである自分を愛し胸を張ることが出来る。

 

ボッチであることで弱くなることはない。

 

ボッチであることで卑屈になることもない。

 

ボッチであることで周りの奴等には無い強さを得ることが出来ると思っている。

 

「でも小町だって中学校を転校することになるんだぞ?」

 

「あ、それなら問題ないよお兄ちゃん。小町なら何処でもやっていけるから♪」

 

いつもの笑顔が小町に戻り安心しながらも現状のままだと本当に引っ越すことになりそうなので策を練ることにする。

 

「小町なら問題ないだろうな.....俺達が新しく住む場所ってどこなの?」

 

「三重だ」

 

なん....だと?三重だと?いやいやいやあまりにも遠すぎませんか?ここ千葉だよ?何故三重?

 

確か400キロ以上も離れてるぞ?

 

「どうしてそんな遠いところに?」

 

「遠くなければ意味がないだろ?中学の時のクラスメートと会わないようにするんだからな」

 

親父の言っている事は尤もな事なのだろう。

 

俺が望んでいる事ならばだ。

 

だが俺は別に引っ越しなんて望んじゃいない。千葉に住んでる人間は嫌いだが、てか何処の奴も変わらないと思うし。だが俺には、たった1つの心の癒しMAXコーヒー、通称マッカンがあるのだ。千葉限定のマッカン。恐らく三重にはないだろう。

 

現実は何処でも苦いことばかりなのだ。せめてコーヒーくらい甘くても良いだろうに。

 

そのコーヒーすら苦くなってしまっては俺の癒しが無くなってしまうではないか。

 

「だ、だけどさ。ほらお金かかるし」

 

「金のことなら心配するな。今まで伊達に家にも帰らずに働いていたわけじゃない」

 

どうやら金はあるらしい。それなら俺のお小遣い増やしてくれよ!

こんなときに友達と別れると悲しいと言えれば良いのだが生憎俺に友達はいない。

 

それにそれがそもそもの問題になっているのだから嘘もつけない。

 

俺は最後に一言だけ両親に言うことにした。

 

「三重にもマッカンてあるかな?」




読みにくい場所など誤字雑字などあれば御指摘お願いします。

感想も出来れば欲しいです。
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