とらドラ!腐った目の物語   作:手乗りタイガー

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シリアスになります。


15話「川嶋break2」

「え?....えーー!!」

 

朝の通学路で小町の声が響き渡る。木に止まっていた鳥達が一斉に羽ばたき登校している生徒達からは嫉妬や非難の目で見られる。朝からほんと、どうしてこうなった。ボッチである俺には、こういった視線は馴れていないので正直どうすればいいのか分からない。そんな俺の気持ちを知ってか知らずか川嶋は胸を必要以上に背中に押し付けてくる。

 

「か、川嶋止め」

 

止めてくれ。そう言う筈だった。

 

「うぉぉぉりゃあああああ!!」

 

「ぐあっ!」

 

逢坂の叫び声を聞いたと思ったら俺は地面に倒れている。今一脈絡としない。だが静かに意識が落ちていくなかで最後に俺が聞いた声は、逢坂と川島が叫んでいる声だった。

 

 

 

 

体が痛い。うっすらとした意識が戻るとき俺はベッドの上で横になっていた。消毒液の匂いが漂うこの部屋は保健室だろうか。体を起こすと保健室には誰もいない。保険の先生くらいはいてもいいと思ったがいない方が正直助かった。携帯を開くと小町からメールがきており、帰ったら川島との関係を聞かれるらしい。

 

溜め息をつきながら起こした体を再びベッドに預ける。携帯を閉じて目を閉じる。川島との関係。

 

 

俺と川島がどんな関係なのか、正直俺が一番分かっていなかった。ただ小町に友達の話をしたときに、真っ先に思い浮かべたのは川島の顔だった。偽物の仮面を被り、自分すらも欺き続けた川島。その仮面に少しだが亀裂が入っている。それはこの間の学校内での出来事で分かる。以前の川島なら自分をよく見せる為にあの男子に対してあんな言葉は言わなかったはずだ。

 

俺が川嶋の仮面に亀裂をいれてしまったのか?...

いや俺はそんな出来た人間ではない。たまたま川嶋の逆鱗に触れたのか?今は考えていても仕方ない。時間は9時30分か。まだ1時限目の途中か。

 

よし二度寝するか。

サボれる時はしっかりサボる。それがうちの家訓だからな。

 

チャイムの音が聞こえ、目を覚ますと保険の先生が椅子に座っていた。どうでもいいが若いな。大学生って言われても信じちゃうレベル。

 

つまり、ボッチな俺として、話しかけることが出来ない。相手は保険の先生。されど女性である。これがおばあさん、とかだったら良かったのだがそう言うわけにもいかない。ヤバイ、早くも詰みそうだ。今日は一日保健室登校か。それも悪くないな、と考えていると保健室の扉が開く音がした。

 

慌てて目を瞑り寝たフリをする。

 

「「失礼します」」

 

二人の女子生徒の声がする。今朝からよく聞きなれた声だ。一人は櫛枝、もう一人は俺が保健室で寝る理由を作った逢坂だ。気のせいか聞こえてくる逢坂の声に元気が無さそうに聞こえるが。

 

「あのー比企谷君、起きてますか?」

 

今の声は櫛枝か。生憎、俺は今日一日いけるところまで保健室の暖かい布団のなかでサボるつもりだ。

 

「比企谷君ならさっき起きたみたいよ?まだ出てこないのは緊張してるのかしらね」

 

くす。と笑いながらカーテン越しにも此方を見ているのが分かる。え?何で気づいてるの?あなた一度もカーテン捲ってすらないよね?

 

「そうですか、ありがとうございます」

 

保健室の先生にお礼を言いながら足跡は近付いてくる。観念して布団から起き上がる。

 

カーテンを乱雑に開けながら櫛枝は笑顔で言ってくる。

 

「元気そうで良かったよ、比企谷きゅん」

 

いやだからきゅんって何だよ。後ろで保険の先生がコーヒーカップ片手に笑い堪えてんじゃねーか。凄い様になってて似合ってるから何も言えないが、あの人ほんとに何歳だよ...そして何者だよ。

 

「よお...」

 

櫛枝の答えに簡素に答える俺。あれ?何時もなら逢坂の声が一速く聞こえてくるが今は何故か櫛枝の後ろでモジモジしている。は?誰だよこいつ。

 

「その...」

 

櫛枝の後ろから顔だけを覗かせる逢坂。

 

「さっきは...悪かったわよ」

 

「大河?ちゃんと言うんでしょ?」

 

「...ごめん、なさい」

 

それだけ言うと逢坂は、保健室から走って出ていってしまう。俺の思考は止まったまま櫛枝を見ると苦笑いで返された。

 

「比企谷君。ちょっと着いてきてもらえるかな?」

 

どこに?とは聞けず頷くことで同意する。逢坂の奇行とも取れる行動が俺も気になっていたのかもしれない。

 

保健室を出ていく際に保険の先生から視線には気を付けなさい。と耳打ちで言われた。成る程、つまりカーテンの隙間から見た俺の視線で起きているのに気付いた、と。どこのゴルゴだよ。こえーよ。あと怖い。

 

女性の人の怖さを再確認した所で櫛枝に着いてきて辿り着いたのは、入学式当日に櫛枝と会った人通りの少ない体育館裏。

 

これがギャルゲーなら右上に体育館裏と何処か魅惑的に感じるシチュエーションであるが現実で起こるとそんな感じは一切しない。まず、高感度事態上がっていないのだから当然だ。そういうムフフ展開ではなく、女子高生に体育館裏まで連れて来られる。つまり、カツアゲである。小町ー、お兄ちゃんもう駄目かもしれない。

 

櫛枝の表情は、先程とはうって代わり真剣なものになっている。

 

「まず最初に授業サボらせちゃった事を謝っておくね。ごめんなさい」

 

そう言って頭を下げてくる櫛枝。

 

「いやそれは別に構わないんだけど。早くしてほしいというか、俺あんまり金持ってないぞ?」

 

「え?」

 

俺の言葉にキョトンとした顔になる櫛枝。いつも破天荒な奴がやると、ちょっと可愛いとか思っちゃうだろ。

 

「ああ、違う違う。カツアゲとかじゃないから」

 

なんだー良かった。引っ越してきてそうそう女子高生からカツアゲに合うのかと思ったわー。

 

「じゃあ何のようで呼び出したんだ?」

 

「うん、今朝の事でね。比企谷君も気になってるでしょ?あの後何があったか」

 

正直気になっている。逢坂があんなに素直に謝ってくるなんて思わなかった。

 

「それじゃ話すね。まずは、そうだね比企谷君が倒れた後、小町ちゃんが急変したんだ」

 

「小町が?」

 

「うん。凄く怒ってて、大河もあんなに怒られると思っていなかったみたいで取り乱して、あ、比企谷君を保健室まで運んだのは、あたしとあーみんだよ」

 

あーみん?誰だよ、あーみん。俺知らないんだけど。

 

「それでね、あーみんが大河もわざとじゃなくてやり過ぎちゃっただけだからって小町ちゃんに言い聞かせたり、あたしはあたしで大河落ち着かせたり。大変だったよ」

 

「そうか...」

 

「でね、ここからが本題。良かったら聞かせてくれないかな?小町ちゃんがどうしてあんなに怒ったのか。比企谷君なら分かるよね?あ、でも無理に聞こうとは思わないから話してくれればでいいよ」

 

小町が怒った理由は、想像がつく。原因は俺だ。千葉に住んでいた時の小町ならこの程度の事で取り乱したりしなかったはず。それだけ小町には迷惑と負担をかけてしまっているって事なんだろう。

 

「そうか、なら頼みがある」

 

「頼み?あたしに出来る事ならなんでもするよ!」

 

小町に迷惑がかからず、負担にもならない。そして今回迷惑をかけてしまっているのは何も小町だけではない。櫛枝や川嶋、それに逢坂もそうだ。

 

「俺と金輪際関わらないでくれ」

 

「...え?」




何故何小町ターイムのお時間です。

小町「いやー久し振りの登場にワクワクが止まりません!」

八幡「そだな」

小町「もう!お兄ちゃんしっかりしてよ、ここまで続いたのは読者がいたからだよ?」

八幡「いやだってさ、小町。今回サブタイトル川嶋break2なのに川嶋出てこないんだぞ?絶対突っ込まれるだろ」

小町「ふふふ甘い!マッカンよりも甘いよ!お兄ちゃん!」

八幡「え?俺マッカンより甘いの?何それ千葉のソウルドリンク越えちゃったよ。小町ちゃん、ついに俺の時代が来たみたいだぞ」

小町「はーい、お兄ちゃんの時代なんて永遠に来ません」

八幡「酷い...」

小町「まあ、お兄ちゃんとは違う読者様は気づいている人も多いと思いますが、川嶋breakは川嶋さんが独壇場になる回です。なので...次回から分かりまーす!」

八幡「結局大事な部分は次回なんだよな」

小町「当たり前だ前田のお兄ちゃんだよ!」

八幡「いや何言ってるの?」

小町「それじゃまた次回お会いしましょう!」
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