魔法少女リリカルなのは Endless Story 作:ヨシュア・ブライト
こちらでは始めてですが、精一杯書いて行きますのでよろしくです♪
恐らくこの小説は不定期になるかと思いますが、ちまちまやっていく所存ですので更新された時には楽しんでいってくださいなー♪
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今の世には魔法と呼ばれる不思議な力が存在する。後にベルカ式、ミッドチルダ式と名づけられ、この二つは繁栄の道を辿る。
だが、この二つが繁栄していく中、滅びていく力もまた存在していた。
遥か昔、次元航行技術が存在せず、お互いの世界を認知出来ず、無干渉であった時代、『グルム』という小さな星が存在し、独自の力、魔術を発展させる。
魔術は概念存在から力を借り受けることを可能とした力であり、小規模なものであっても力は絶大で、極めれば神にすら匹敵するとされるほどであったという。
だが、魔術が後世に伝わることはなかった。
理由は簡単、他の世界へ渡る前に星の文明を伝える物がいなくなったからだ。
滅ぼされたのだ。魔王と呼ばれる存在によって。
平和な村で育った少女がいた。
少女は生まれながらに強い力を持っていた。少女が雨を願えば雨が降り、晴れを願えば空は晴れる。
お陰で少女が住む村は毎年のように豊作続きであり、貧しい者など誰一人としていなかった。
神の遣いだと崇められる一方で、少女を化け物扱いする村人もまた少なくはなかった。
そんなある日、少女を化け物と見ていた村人達が少女を襲う。
理由など無茶苦茶であった。このまま平穏な時を過したいと願う少女の想いを聞かず、一方的な暴行が加えられた。
骨が砕け、内臓が潰れ、血反吐を吐きだし、悲鳴すらあげられなくなった少女を見ても尚、暴行は終わらない。
村人達の目には殺意しかなかった。
殺す。殺さねばならない。それこそが正しいのだと村人達の目は語っていた。
何故? 何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故。
ぶつけられる殺意と暴力、理由もわからない少女の心は答えを求めて自問自答を繰り返し、暗闇の中をのたうちまわる。
そして悟った。答えなど、ないのだと。
理解した瞬間、クリアになる思考。自分が死にかけであることなど他人事のように感じていた。
漠然と自分の死を見つめていた。この瞬間、少女の心は死んだのだ。
崩壊した心の断片にはもう村人のことなど残ってはいなかった。
恨んだ。憎んだ。村人ではなく、この『世界』を。
殺されるためだけに世界に今まで生かされた。こんな世界を創造しているシステムを。
部品扱いされたことに少女はこれ以上ないほどに憎しみを覚える。
しかし、いくら恨もうが、憎しもうが、”少女には”世界に抗う術は無かった。
凶刃が迫る。終わりが近づく。瞬きの間に少女の命は消えるだろう。
理不尽過ぎる世界に少女は思った。この世界を、この人の命を部品としか思わない狂ったシステムを消してしまいたいと。
己の不幸を悲しむでもなく、貶めた相手を恨むのでもなく、その境遇を設定した世界を憎む。
断言出来る。この瞬間、少女の憎しみはグルムの世界で一番であったと。
これが、引き金だったのだ――
……魔王、認証。
――魔王となるための。
どこか機械的な音声が少女の脳に直接響き渡る。瞬間、グルムの世界で生まれた負の感情が少女に流れ込んだ。
何も覚えていない。込みあがってきた冷たい力に身を任せただけだ。
それだけ。それだけで地表から村が消滅したのだ。
悲鳴も怒号も何も聞こえなかった。息をした。程度の認識しか少女には無いにも関わらず、村一つが消し飛んだ。
「あは……! あははははははははははははははははははは!!!!」
跡形も残らず、風が吹くのみとなっただけの荒野で少女は笑った。
泣きながら、笑った。
世界に喧嘩を売る力を手に入れたから嬉しかったから。人間としての自分が死んでしまったことが悲しくて。
ただただ、笑い続けた。
こうして、魔王は誕生する。
魔王となった少女は強大な力を意のままに振るい、魔術によって異界を創造。魔人や魔獣と呼ばれる存在を作り出す。
そう、世界への復讐は終わらないのだ。この世界がある限り。そして、少女が生きている限り。
瞬く間に世界は大混乱へと陥った。
人々も兵を募り抵抗したが、魔族の数は無尽蔵に増え続け、次々と城や街が破壊されていく。
戦争、とも言えない。一方的な蹂躙であった。
だが、混乱の中に生まれるモノがあった。
希望や願いだ。
それらは絶望の色が濃いほど多い。
人々が魔族に完全に屈さない限り、生まれ続ける光の力だ。
それらが十分に集まった時、傭兵を営んでいた一人の青年が死亡する。
青年は魔王に対抗するために結集された傭兵の一人だ。
十六歳という年齢で人一倍強い正義感から志願した青年は、運悪く魔人と交戦。
魔人は通常の魔獣などと比べて知能や力が高く、一体の相手にも一個大隊は必要とされていた。
戦闘のプロの傭兵と言えど人と魔人では基礎となる能力に差がありすぎる。かなう筈が無かった。
嬲り殺しと呼ぶに相応しい形で青年は血の海に沈んだ。
それでも尚、否、死の間際だからこそ青年は想うのだ。世界を救いたいと。
……勇者、認証。
青年の脳内に響き渡る機械音。
燃えるように身体が熱くなり、傷口から血が噴き出すのも構わずに咆哮をあげながら立ち上がる。
全身で理解出来る希望と願い。自分は勇者であると直感的に理解する。
故に、魔人を殺せることもまた理解していた。核心と共に振り抜いた刃は防御を行った魔人の刃ごと首を跳ね飛ばし、一撃の下に打ち倒す。
「今よりこのアレン・テスタクルが人類の希望だ! 着いて来い!!」
ここより、人間達の大反撃が始まった。
アレンが名乗りをあげるのを待っていたかのように次々と仲間が集ったのだ。
『百芸手』『重戦鬼』『『無音剣』『護康陣』そして『天災司』。
それぞれが一騎当千の実力者であり、集合した際の爆発力は凄まじい勢いがあった。
アレン達は破竹の勢いで魔族に支配されていた土地を驚異的な勢いで取り戻し、このまま魔王をも倒さんと意気込む。
数年の歳月が流れ、アレン達一行は遂に魔王を追い詰める。
「何だ貴様ら。私を倒すと言っておきながらこの程度で終わりなのか?」
「嘘、だろ……」
が、結末は、全滅。
個々の能力どころか、集団で打ちかかってさえ魔王の力は圧倒的であり、一人、また一人と倒れ伏していく勇者達。
魔族に対しては無敵と言われた勇者ですら手傷すら与えられず数合の後に打ち倒される。
血の池へと沈みゆくアレンを見下し、息があることを確認すると魔王は先刻に打ち倒したばかりの女性の首元を掴み、放り投げた。
「なぁ、アレン・テスタクル?」
「ぁ……ぅ……!」
「フィルッ!!」
最後まで共に戦った女性であり、恋仲でもあった人間。『天災司』フィル・クレーディト。
それを知る魔王は残忍な笑みを浮かべながら魔方陣の中へフィルを捕らえた。
嫌な予感がアレンを背筋を突き抜ける。
フィルを捕らえる魔法陣の周囲にもまた魔方陣が浮かんでいる。
見たくない。全力で阻止すべく、ボロボロの身体に鞭打ち、立ち上がる。
「好きな人間が死んだ時、貴様は奮い立つか? それとも砕けるか? どっちかな?」
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
「実に、楽しみだ」
止めろ、止めなくてはならない。
今一度、命のここで燃やし尽くしても構わない。それだけはやらせてはならないと、愛する人を助けろと魂が叫ぶ。
今こそ全身全霊を持って、魔王を殺すべき時だと。
動いてくれた身体。発動してくれた魔術。届いてくれた剣。横凪ぎに凪いだ大剣は魔王の首に叩きつけられる。
全てが奇跡。これこそアレンが勇者として選ばれたという証拠。
「惜しかったな。これで私の首が取れればハッピーエンドだったろうに」
「ア……レン……ごめん、ね……」
だが、目の前には絶望が笑っていた。
首に入りながらも半ばから折れたアレンの剣。魔術の槍に全身を串刺しにされるフィル。
命すら賭けた渾身の一撃で削り取ったのは魔王の首の薄皮一枚。報酬は好きだった人の血雨。
「あ……あ……」
「ふむ。砕けたか。存外くだらん反応だ――死ね」
放心するアレンに吐き捨てるように評価を下すと魔王は右手で空を凪ぐ。
小さく風が鳴いたかと思うと、膝をついていたアレンの首が切断され、大量の血を流しながら地に落ちる。
一言の声すらなく、拍子抜けするほどあっさりと、魔王と勇者の戦いは魔王の勝利に終わった。
「実力はゴミ屑だったが、それなりにお前という人間は面白かったよ。アレン・テスタクル」
祭りが終わった後のようだと魔王は思う。
あんなにも賑やかに騒ぎ、俺は魔王を倒すと毎日言っていたのだ。
そんな連中が一日でいなくなれば寂しくもなるというもの。
特にアレンは面白い男だった。お気に入りと言っても間違いではないほどに。
だからこそ惜しいと思う。
「貴様なら、この世界をどう統べたのかな……」
新しい勇者の誕生を肌に感じながら魔王は一人ぼやく。
今度の勇者は弱い。アレンとは比べるべくもない。
相対すれば瞬きの間に殺せるだろうし、そもそもとして魔人にすら勝てるかどうか怪しいレベルだ。
「なぁ? 貴様もこんな結末は後味が悪いだろう?」
物言わぬアレンの首へ魔王が語りかける。
その表情は魔王ではなく、歳相応の少女の笑顔であったという。
詳しくあげるならば特大の悪戯を思いついたかのようなと追記する。
どちらにせよ、弱小勇者が魔王に勝つという奇跡も起こることなく、グルムの星は滅亡したのであった。
はい、ありがとうございました♪
まぁ、始まりの部分なんで世界観をちょろちょろっと。
実際始まってもいないんですが(笑
次回からなのは世界に絡んでいくつもりです。