目つきが悪いだけなんです   作:蛇神

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書いてみました。一応恋愛要素入れてくつもりですが、いかんせん初めてなもので。展開がかなりゆっくりになると思います。あれ、それって最早日常系?



一学期
醤油から始まる物語


四月六日、木曜日。普段なら平日だが、今は春休み。つまり休日である。

 

外では春特有の暖かい日差しが、八分咲きの桜並木を照らしている。絶好の散歩日和だな。後で散歩に行こう。しかし、今はまだやるべき事がある。

 

今の時刻は……九時ちょい過ぎか。ならスーパーも空いているだろう。なぜスーパーに行くのか。それは、昨日予期せぬ客が来たからだ。それも二人。あいつら、いつも人の家に勝手に上がり込んで飯食って帰るんだ。しかも、そのうち一人が食べ盛りの男子高校生なのだからタチが悪い。おかげで、今日の昼飯を作る程度の食料すら残っていない。俺を餓死させる気かこんちくしょう。

 

とまあ、こんなしょうもない理由で買い物に行くことになってしまったが、別に嫌なわけでは無い。いや、雨だったらそんなことはないと思うが、運良く晴れているからな。この天気に免じて許してやろう。

 

…よし、考え事終わり。財布とマイバッグとスマホを持って玄関へ。

 

「ちょっと出かけてくるからな」

 

と、日向ぼっこをしている同居人(人ではない)に声をかけるのも忘れない。もちろん、返事は返ってこない。ただ、声は聞こえたのか少しこちらを向いてくれた。可愛い。

…危ない人じゃないからね?俺。ペットを可愛がって何が悪い(誰も悪いなんて言ってない)。

うん、話が逸れた。とりあえずさっさと行ってしまおう。そして散歩しよう、そうしよう。

 

近くのスーパーまでは歩いて二十分くらい。自転車を使えばもっと早いけど、そんなに急いでないし荷物が多くなる予定もないし、徒歩でいいだろう。それにせっかく桜が咲いているんだ、ゆっくりするのも悪くない。

 

 

 

桜並木を歩いて二十分、スーパー『ヒマラヤ』に着いた。中に入ると外より涼しい風に出迎えられる。カートを押して店内を進む。今日は何を食べようかな。野菜食べたい気分だし、サラダは決定で…俺のペットの好きな人参はまだあって…あ、レタス切れてるわ。まずはこれだな。で、次は…お、キュウリが安い。

 

〜以下、買い物が続く〜

 

よし、こんなもんだな。買い忘れはない…はず。多分、きっと、メイビー。会計を済ませて店を出、来た道を戻って行く。ふと目を向ければ、公園で中学生くらいの子がサッカーをしている。ここの公園はかなり広いから、サッカーくらいはできてしまうのだ。人が多いとできないけどね。

 

今の中学生たちで思い出したけど、明日始業式だ。いや、なんで忘れてたんだよ俺。一応午前中だけだから弁当は…いや、きっとあいつは俺を部活見学に連れまわす。しかも運動部に。空きっ腹でそんなことやられたら俺死んじゃう。

 

てか、部活に乱入するのやめてほしい。付き合わされる方の身にもなってくれ。なに、自分で止めろ?無理。押しの弱い俺があんなグイグイくるやつに勝てるわけがない。ん、先生?黙認ですが何か?それで良いのか顧問よ。

 

なんて考えてるうちに自宅に到着。ここまでくればもうどうでも良くなる。なんせ、俺のペット、『たも』がいるからな!

 

「ただいまー」

 

いつもどおり部屋に戻ると、ケージの中から駆け寄ってくるたも。可愛い。ん、散歩?後でな。まずは食品をしまうからちょい待ち。

 

冷蔵庫にレタス、キュウリetc…をいれ、次に冷蔵庫に入れる必要のないものを取り出していたら、気付いてしまった。それは、調味料の棚を開けた時。みりんを入れようとしたらそこにあるべき黒い液体が無かった。そう、醤油である。あの「さしすせそ」の「せ」である醤油さん。あの万能調味料。そして、煮物を作るのに欠かせない一品。

 

そして、俺が昼に作ろうとしていたものは…肉じゃが。醤油がないと作れない。しかし、それがない。もちろん、肉じゃがを諦めるのは簡単だ。だが、材料は買って来てしまっているし、夕飯の分も作るつもりだったし。その上今の俺の舌は肉じゃがの舌なのだ。つまり、すごく食べたい。

 

これはもう、買いに行くしかない…が、わざわざスーパー『ヒマラヤ』に戻るのもなんかめんどくさい。近くにコンビニあるし、ちょい高いけどそこで買うか。

 

 

たもからの突き刺さる視線に気付かないふりをして、俺はコンビニに向かった。ごめんな、たも。あとで散歩行くから。

 

このコンビニは家から近く、五分もあれば着く。ほら、もう看板が見えて来た。あなたとコンビに『フレンドマート』。略して『フレマ』という有名なコンビニである。

 

角を曲がってフレマの入り口に向かうと、なんか厳ついチンピラみたいな連中五人が女の子と戯れている(?)のを見つけた。しかも入り口の前で。ナンパか?朝から元気だね。でも邪魔。てか戯れてないな。女の子嫌がってるし。

 

ほら、店の人も困ってるじゃん、どきなよ君たち。俺も通れないし。迷惑だぞオーラを声に出さずに発する。効果はないようだ。

 

なんだろ、今日はついてないのかな?買い忘れしたりこんな場面に出くわしたり。早く帰って仕込みしてたもにご飯あげて散歩行きたいのに…!

 

「アァン?なんだてめぇ、なにジロジロ見てんだよ!」

 

うわー、絡まれたー。なにジロジロ見てんだよって言われても、行き先にあんたらみたいなのがいたら見ちゃうじゃん。邪魔じゃん。俺には醤油を買うという使命があるんだよ、もう!

 

「黙ってねぇでなんか言いやがれ!」

 

「なんもねぇならどっか行きやがれ!」

 

うっわ、三人来た。めんどくさいな、もう。用があるからここに来てんだよ。お前ら背が高くて怖いんだよ、察しろ。

でも声に出すのは怖いから見上げるだけにする。うわ、逆光だ。チンピラA(今つけた)のスキンヘッドが輝いて眩しいぜ。思わず顔をしかめてしまった。とは言っても眉間に皺が少しよった程度だけど。

 

「ッ!?」

 

どうしたA。なにがあった?なんでそんな後ずさりしてんの?いくら目つきが悪いからってチンピラにまで怖がられたら泣くよ?俺、泣いちゃうよ?

 

「おいッテメェらずらかるぞ!」

 

「あ?なに言って……そうだな、そうしよう。」

 

「なんでこんな奴がいるんだよ!」

 

チンピラ達はそれぞれ好き勝手言いながら逃げていった。こんな奴って…そんなに怖がる?ちょっと顔しかめただけじゃん。やっぱ泣いていい?……もう疲れたよ。早く帰ってたもに癒されたい…。

 

「あ、あの……!」

 

んぁ?ああ、女の子か。無事でよかったよ。助けたつもりないけど。とりあえず顔はあげないどこ。泣かれたくないし。人は学ぶ生き物なんだよ、きっと。今まで何度泣かれたことか。

 

女の子は声を発したあと逃げるように店内に入ってしまった。なるほど、コンビニに用があって来たら捕まったのか。にしてもなんだったんだろう。なにが言いたかったんだ?

そして思う。あの子も俺と同じくらいついてないんじゃないか?そう思うと元気が出て来た。別に他人の不幸が美味しいとかじゃなくて、ただ単に仲間がいた的な嬉しさだからな?誤解すんなよ?

 

さて、かなり時間を食ってしまったが目的の醤油はすぐそこだ。さっさと買ってしまおう。

 

店内に入ると女の子は既に会計をしていた。早いな。さて、醤油は、と。あったあった。…プレートだけがな。例の黒い液体が入ったボトルがない。ただ、そこに虚しく【醤油:298円】のプレートがあるだけ。

 

思わず頭を抱えた。

 

……売り切れかい!!醤油が売り切れるなんてあるの!?なに、今日ほんとについてないんだけど!ああぁぁぁ!!もうやだ!お家帰る!

 

…いや、帰らないけどね?仕方ないから『ヒマラヤ』行くけどね?なんかこう、どうしようもない感情がね?あるでしょ?こう、叫びたい衝動とかさ?叫ばないけど。そんなことしたら変人扱いされるわ。目つき悪い変人とか不審者じゃん。

 

はぁ、一気に疲れた。『ヒマラヤ』行くか…。肩を落として店を出ると、あの女の子が待ち構えていた。え、なに?

 

「あ、あのっ!」

 

「ぅえ!?」

 

びっくりして変な声出たじゃん。なに、さっきから君はなにが言いたいの!?

 

ガサッと勢いよく突き出された袋に、ビクッとしてしまう。なに、その袋。なんでそんな限界まで腕突き出してんの!?近寄りたくないの?危険物なの?まさか…爆弾!?貴様のその凶悪な目を消し去ってやるとかそんな感じなの!?

 

「これっ、二本買っちゃってっ…!売り切れにしちゃって!」

 

フレマの半透明な袋に若干透けて見えるのは…黒。

 

「お醤油、まさかあなたも買いに来てたなんて思わなくって!」

 

「…醤油……?」

 

爆弾じゃなくて?え?てか、なんで醤油欲しいこと知ってんの?

 

「あ、ご、ごめんなさい!醤油の前で頭を抱えているの見てしまって……。違いましたか?」

 

……え?見られてた!?だめだ、もう手遅れだ…。きっとこの子の中では俺=変人ってなってるんだ。声をかけてくれたのも同情したからなんだ…。普通、そんな不審者に声かけたくないよね。あなたは女神か。

 

「迷惑でしたら…ごめんなさい。」

 

一行に返答しない俺に不安を抱いたのか、不安げに話してくる。そういや眼鏡かけてないな、今日。かけたから目つきが柔らかくなるとかそんなじゃないけど、ない状態で目が合うのはちょっとな。俺の精神的な問題だけど。あ、そうだ。醤油醤油。

 

「えっと…迷惑じゃないよ、ありがとう。確か298円だったよな?」

 

「お金はいいです!」

 

俺に醤油の入った袋を押しつけるように渡すと、女の子は「助けてくれてありがとうございました!」と逃げるように走り去ってしまった。待って、俺助けたつもり無い。って、足速いな。もう見えないんだけど。

 

「お金…いいですって言われてもなぁ。」

 

そう一人ごちる。でも、もうどこにいるかわからないし…。多分この辺に住んでるんだろうし、今度会えたらでいいか?とりま298円は常備決定だな。考えてもしゃーない、今は好意に甘えて帰ろ。それに、早く肉じゃが作らないと飯が遅くなる。

 

 

 

 

追記・肉じゃがは美味しくできましたとさ。

 

 

 

ーおまけー

 

「たも〜、ご飯だぞー」

 

(プイッ)

 

「機嫌直してくれよー、遅くなったの悪かったからさ。」

 

(ジー)

 

「ほら、散歩も行くだろ?」

 

(ジー)

 

「人参の気分じゃないのか?」

 

(パクっ)

 

「そんなことはなかったか、よかった。食べたら散歩行くぞ。」

 

「シャー」

 

このあとすぐに公園に行った。

 




誰も名前出てきませんね。次は出る…はず。やっぱあれですね、難しい。まだ1話目ですがこれからどうなるのか作者にもわかりません。

・スーパー『ヒマラヤ』…割と大きなお店。元ネタがわかる人も多いはず。うん、田舎の人ならきっと…。ヒントは造山帯。

・『フレンドマート』…有名なコンビニ。あなたとコンビにファm(殴

・たも…主人公のペット。何の生き物かかわかる人はいるかな?
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