此処は駒王学園の会議室、此処には偽りのグレモリーと偽りのシトリー眷属達と魔王を自称する。サーゼクス・ルシファーとセラフォルー・レビアタン。天使長ミカエルとお付きの紫藤イリナ。そしてこの中で最も人間に被害を出していない堕天使総督アザゼルとコカビエル戦でアレックスに手も足も出なかったヴァーリ・ルシファー。今この瞬間、三大勢力の最重要人物が集まっている。
「それでは和平交渉の方に入りたいと思います。この場にいる全員は神の不在を知っている。………反論はありませんね?それでは開始します」
ミカエルがそう宣言し、会談が始まる………いや、此処にいるもの達は知らない、四人の不死がこの会談を狙っている事を。
「それではまず始めに今回の事件を起こした堕天使側から何かあるますか?」
「何も無いな。今回の事件は完全にコカビエルの奴が一人でやったものだ。しかもご丁寧にこっちに一切悟らせない様に内部工作までしてあった」
「部下の管理も出来ないなんて総督としての自覚あるの〜〜」
「けっ何とでも言え」
「こら、セラフォルー。今回の会談は和平が目的だ、そう邪険に扱わない様に」
「は〜〜い」
「でしたら悪魔側から送られてきたこの資料、本物ですか?」
「よく言ったミカエル。俺もそれは気になる」
「何だい?君達は私の愛しいのリーアたんの報告書が信じられないとでも?」
サーゼクスから滅びの魔力が溢れる。
「あぁ、信じられん。仮に真実だとしたら俺達
「あら?怖気付いたの?グリゴリの総督とあろう者が?大丈夫よ。私達には今代の赤龍帝のイッセーがいるもの、ね?イッセー」
「はい!絶対負けませんとも!!」
「無理だな」
「貴方今なんて言ったかしら?私の可愛いイッセーがあんな訳の分からない奴に負けるって。訂正なさい、イッセーは負けないわ」
「もう一度言ってやろう、そこの歴代最弱の赤龍帝では勝てない……いや、勝負にならないだろう。遊ばれて殺されるか、いや精神が狂って戦う前に終わるな」
「何だと!不死同盟に会ったこともない奴が勝手な事言ってんじゃね!やって見ないと分からないだろうが!」
「ストップだ、赤龍帝。そして残念だが此奴は不死同盟の頭の一人に会ってる。しかも息をするようにごく自然に殺されかけたんだとよ。な?今代の白龍皇ヴァーリ」
「アザゼル!そんな報告知らなぞ!何故教えなかった!」
「ヴァーリが精神崩壊寸前まで逝って治療に専念してたら忘れた」
「私達は精神崩壊なんてしなかったわ!もしかして不死同盟って大した事ないのかしら?」
「そうだろう、リーアたんの言うとうりだ。もし我々三大勢力に手を出したら三大勢力全てで排除すればいい」
「おい!聞いてなかったか⁉︎堕天使は和平なんざ結ばないって言ってんだろ!少しは人の話聞け!ミカエル!お前はどうすんだ、和平結ぶのか?」
「ええ、私達天使は悪魔との和平を結びますよ?逆に何で結ばないか分からないぐらいですね」
「クソ!俺は知らねえぞ!」
アザゼルが叫び終わると会議室に炎の渦、謎のランプ、この場の誰もが見た事の無い魔法陣そして黒い霧のような物が会議室に突如現れる。炎の渦からは、銀の甲冑を身に付け首から蒼いスカーフを巻いていて背中に教会のエクスカリバーを遥かに超える神聖さを放つ大剣を担いでいる。謎のランプからは目だけを出したスタイルで皮のコートや皮のズボンを身に付け、右手に綺麗でありながら妖しい雰囲気を放つ妖刀を抜き身で持ち、左手にフリントロック式拳銃を持つ。誰も知らない魔法陣からは、神聖であり偉大な森の妖精の力を放つ槍と共にアンデット・バンが現れる。黒い霧は徐々に集まり、人型を型取り完全に人型になるとてTシャツの上にパーカーを羽織り顔を隠しジーパンを履いている男になる。
「…………初めまして、人間に仇なす者達よ。我らは不死同盟。人間に仇なす者を滅ぼす存在。今宵は貴様等の処遇について伝えに来た」
銀の甲冑を身に付けたアルトリウスが静かに告げる。
「おい待て!堕天使は此奴らと和平なんざ結ばねぇからな!」
「落ち着け、堕ちた天使の長よ。静かに待っていろ、さもなくば…………狩るぞ」
ヤーナムの狩装束に身を包むアンデルセンが狂気を振り撒きながらアザゼルを黙らせる。
「貴方はあの時の!裕斗を返しなさい!返さないと滅ぼすわよ!」
「面白い、滅ぼしてみろよ」
霊槍シャスティフォルを背後に浮かせながら挑発するバン。バンの発言で悪魔側が騒がしくなる。
「黙れよ?喰い殺すぞ、贋作以下の汚物共が」
アレックスの殺気と何百億の生き物の負の感情が会議室を埋め尽くす。
「…………落ち着け、アレックス。此奴らには己が罪を理解させる必要がある。それまで危害を加える事は許さない」
「貴方が何者でもどうでもいいですが、その聖剣と槍を渡しなさい。それは我々天使が管理すべきものです」
「アレックス、アレの開帳を許す。奴等を黙らせろ」
「理解だアンデルセン。王律鍵バヴ=イル。開け!」
アレックスは懐から王律鍵バヴ=イルを取り出し、王の財宝接続。会議室に居る三大勢力全員に聖剣や聖槍などを波紋越しに向ける。
「なっ!何だよ!この武器の量は!」
「これは俺の唯一の王にして最高の友から借りたものだ。王は怒り狂っているぞ?神から人類を切り離したのは人類が自らの力で進め事を望んでいた。貴様等は人類を己の種族が繁栄する為の道具としか見てない。貴様等の罪の一つだ」
「それの何処が悪いんですか?」
サーゼクスがアレックスに問いかける。
「我々悪魔からすれば人間は取るに足らない下等種族、そんな下等種族が我々上位種族によってその生涯で最も素晴らしい功績として踏み台にしてあげてるんですよ?」
サーゼクスが喋る終わるとサーゼクスの首から上が消え失せる。
「もう良い、喋るな、悪魔の言い分は分かった。アルトリウス、アンデルセン、バン。お前等は冥界と天界の浄化の計画を進めろ。天使はもう手遅れだ、こんな汚物以下の存在と手を組んだって事はそうゆう事だ」
「お、お兄様ーーー!!許さない!絶対に許さない!!」
アレックスが右腕を鞭のようなモノに変化させ、サーゼクスの首を消し飛ばした事が分かる。
「…………了解した。ただし堕天使への攻撃は認めない。チャンスを与えたばかりだ。もう一仕事してから帰らせて貰おうか」
アルトリウスは一誠に右腕を向け、右腕に始まりの火を灯し何かを手繰り寄せる。
「がぁぁぁぁぁ!!!!ひ、左腕があ、熱い!!がぁぁぁぁぁ!!」
一誠の左腕には勝手にブーステッド・ギアが出現し、宝玉が激しく点滅し、紅いソウルがアルトリウスの右腕に収まる。
「………赤龍帝、ドライグのソウルの回収に成功だ。これで悪魔側から赤龍帝は消えた。拠点に帰り次第肉体の復元に取り掛かる」
「待ちなさい!私のイッセーに何をしたの!イッセーから何を奪ったの!!これ以上私から何も奪わないで!!!」
リアスの悲痛の叫びにアルトリウスは応えることもなく懐から帰還の骨片砕き拠点に戻る。アンデルセンは狩人の確かな微を使用し狩人の夢に帰る。バンはまた魔法による転移で帰る。残ったアレックスはリアスにこう返す。
「知るか。貴様等はこれまで数えられない程人類から何かを奪ってきただろ。たった肉親の一人と下僕の力を奪われたぐらいでギャアギャア喚くな。耳が腐る」
「貴方には分からないでしょうね!血も涙も無い化け物に大切な何を奪われる苦しさと悲しさは!貴方達の方がよっぽど人間に害を与えてるわ!裕斗を人から不死に変えたのですもの!!」
リアスは力の限りアレックスを睨む。それに対してアレックスは嗤った。
「大当たり。俺は産まれた時から人間以下のそして、人間以上のナニかだ。今まで喰らって来た悪魔や堕天使そして天使の考えや記憶と照らし合わせても我々が行う計画の方が人類に対する被害は少ない、いや全くと言って良いほど被害は出ない。そしてイザイヤの件だがあれはそもそも天使が聖剣計画や魔剣計画を考えなければ出なかった犠牲だ」
アレックスが右腕を元の腕に戻すのと同時にアレックスが氷結魔法で凍らされる。
「う〜〜ん口程にも無いね」
セラフォルーはポーズをしながら呟く。
「ええ、全く警戒して損しました。でもこれだけの聖剣があればまた信者を増やせるでしょう」
ミカエルは波紋中の聖剣に手を伸ばす。
「残念だか、その武器は全部王の物でな。汚い手で触るな」
アレックスはごく普通に歩み寄りミカエルの腕を握り潰す。
「あ”あ"あ”あ”あ”あ”あ”!!!」
「嘘!あれはお姉様の全力の魔法の筈!生き残れる訳無いわ!だって」
「だって、あの氷の温度は−273・15℃。つまり絶対零度。生物が生息出来る温度では無い。普通の生物ならな」
アレックスは肩を回しながらソーナ・シトリーの説明を奪い取る。
「なら、貴方は何なのよ!!」
「神さえも喰らう化け物だよ」
アレックスは波紋から二本の剣を取り出す。
「右の剣が
聖剣と魔剣を構え慈悲をかけるアレックス。
「ウルセェ!俺がブン殴ってやる!!ドライグ!」
一誠は神器を出し能力を使おうとした。
「おい!こんな時にまた力を寄越さないのかよ!おい!」
神器に付いている宝玉は一切光を放たない。
「残念だが、ドライグは2度と貴様に力を貸さないだろう。ドライグは先程我々が回収に成功した。今はアルトリウスの手によって肉体を取り戻しているだろう」
「出来るわけありません!我が主がその命を代価に二天龍を封印したのです!出来るはずが「それは貴様等の常識だ、我々には関係ない」そう言い切れる理由はあるのですか!」
「アルトリウスはこの世界が始まる前の時代、火の時代から生き続けてる不死人だ。そもそもこの世界を創造したのは薪の王の彼奴だ。世界を創れたんだ魂を自在に操れない筈が無い」
「そんな存在私達は知りません!嘘もいい加減にして下さい!!」
「知らないのも当たり前だ。アルトリウスが今の名を名乗り始めたのは今から500年前に四人が全て揃ってから憧れの騎士の名を名乗り始めたからな。そも、火の時代その物を知ってる者は存在しない、俺だってアルトリウスから聞いただけだ。アルトリウス曰く、「始まりの火をもってして世界の存在事焼き直した、故に俺以外に生き残った不死人は存在しない」との事だ」
「理解出来ない……狂ってるぞお前達不死同盟は」
「あぁ、元より承知だ。ヴァーリ。それ程にも我々は人類を愛している。我々に楽しみや生き甲斐を与えてくれる人類がな」
突如世界が変わる。色を失い、物が止まる。
「時が止まった。神器か、くだらん。時を止めたければ莫大な魔力と世界との接続をすれば止められるだろうに。逆もまた然り」
アレックスは剣を地面に刺し、己の中にある莫大な魔力を一部解放。世界を書き換える。
「ば、……化け物。神器のしかも禁手の力を無理矢理捻じ曲げやがった。それにこの魔力、神以上じゃねぇか」
「さて、これでこの世界に対する保護は終わった。こい、この世界は何をしようが壊れない。たとえ覇龍を使おうが、グレートレッドが本気を出そうがこの世界は一ミリたりとも変形しない」
剣を構え直したアレックスが告げ終わると、全ての者が絶望を顕にし震えることだけしかできなくなる。
「やはり貴様等はくだらん。この程度の絶望で心を折ったか。貴様等が見下してる人類はこの程度では心を折らんぞ。幾たびの絶望を経験しても必ず仲間と共に絶望を打ち砕く。人類の素晴らしさは其処にあると俺は考えてる。貴様等には無い物だ。もう良い、時間の無駄だ、死ね」
斬撃が放たれる。聖剣から魔を祓う一撃が、魔剣から邪龍を打ち滅ぼした一撃が、悪魔と天使目掛け放たれる。避ける事はほぼ不可能、仮に避けたとしても二撃目、三撃目が放たれる。その一撃は、宝具の真名解放に劣らない一撃。アレックスの魔力量は他の3人と比べ物にならない程多い。原因は悪魔が作り出した悪魔の駒。転生悪魔はこの駒を実力に合った数とチェスに見立てた役割持つ駒を体内に取り込む事により、どんな種族も悪魔に変える物。兵士、プロモーションと呼ばれる技により一時的に他の駒の特性を宿す事が出来る。騎士、他の駒とは比べ物にならない程の圧倒的速度の強化。僧侶、魔力の圧倒的強化。戦車、攻撃力と防御力の圧倒的強化。女王、騎士、僧侶、戦車の能力を自在に切り替えられる。アレックスは力に溺れて悪魔に成った者を取り込んだり、望まずして悪魔に変えられた者の駒を取り出してから駒だけを取り込むなどを行い、各駒の特性だけを取り込む事に成功、もはや数え切れないほどの駒を取り込み、その存在事態で世界が歪む。今は封印術式を億単位で掛け、被害を出さない様にしている。それでもグレートレッドを片腕だけで葬れる程の実力はある。斬撃が着弾する。プラスチック爆弾何万個を同時に爆破させた様な爆音が響き、とてつもない煙が吹き上がる。煙が晴れると何も無い。リアス・グレモリーもその眷属達も魔王も天使長も何も無い。唯、地面が焼けているだけ。
「後は先程の小細工を施した馬鹿を殺してから戻ろう。…………いつ迄其処でこそこそ隠れてる?カテレア・レビアタン」
アレックスは王の財宝を仕舞いながら背後に問う。