ソードアートBro's   作:名無しの権左衛門

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6:鏡の世界 決戦5 状況確認

6:鏡の世界 決戦5 状況確認

 

「おや、アスナ君。そちらもクリアしたようだね」

「ええ、茅彦さんも余裕だったようで」

 

 

 ここに邂逅するのはギルドで上位陣であるヒースクリフ団長とアスナ副団長だ。

彼等が今居るのは、プププランドのDDD城客間だ。

何故ここに彼等が居るのか。

 

 それは数分前、星の夢を破壊し『戦艦ハルバード』を亜空間へ移送した後、強制転移で皆が別空間に飛ばされた部屋に

アスナ達は戻ってきた。

そこにはまだシリカやキリトが帰ってきていなかった。

 

 ひとまずアスナとアーロイは、他のギルド員にセーフルームへいく鏡に入って行ってもらった。

彼女達は二人を待つことに決めた。

しかし途中でヒースクリフ団長含めた血盟騎士団が、亜空間より赤い子竜4匹とピンクボールを連れ、青い船にのって帰って来た。

 ピンクボールはカービィという者で、戦闘について一通り団長クラスが効いてびっくり仰天する。

ひとまず一番安心なセーフルームで、皆と合流してプププランドに向かう事にした。

この発言や案は、すんなりとヒースクリフに通ったようで、直ぐに説明を行い行動可能にした。

 

 鏡に入ると、闇の鏡の世界に出てしまう。

更にヒースクリフ団長ではない他団員も数名消える。

これに驚き出てきた鏡に入ると、セーフルームに入れないで光の鏡の世界に出る。

そこにはいなくなったギルド員や仲間達が居た。

 

 とにかくいろんな戦利品や情報の為に、光と闇の鏡の世界を行き来できる鏡の前に仲間を配置しておく。

戦勝の後、皆が戻ってくれれば万々歳。

 

そんな風に上位陣は思って、この場所に来た。

 

 プププランドのフームは、その攻略組の多さに驚くがそれだけこの鏡の世界に捕らわれていると初めて知る。

彼等の支援はできないが、ゆっくりしてもらうことはできる。

ただじっとしていることが苦手な人物には、この場所に来てはならざる者を攻撃してもらうことになった。

 キリトやシリカが帰ってくるまでの間、次の行動方針を決める。

まずは帰る方法だ。

フームもエスカルゴンから聞いているようで、帰還方法に関しては鏡で帰ることになるという。

そしてこの世界が破壊されない事も聴き、安堵する探索者たち。

 

 何せこのダンジョンの踏破率は、光と闇を合わせて半分も行っていない。

こんなに広大でいろんな誘惑とギミックがあるのだ、私欲も含め中々外に出られないだろう。

更に尋常じゃない情報や世界が混在している。

故にこれらの場所から、一か所しかないだろうと思われる外部への出口を見つけるのは至難の業だ。

 

 もしこの世界に再来できれば、中層プレイヤーが移住してくるに違いない。

それに圏外だろうと裏ボスを倒せば、プププランドだけは圏内に設定されるだろう。

実際に裏ダンジョン内の街が、裏ボス討伐後そのまま圏内設定となり安全地帯になった事例がある。

 これが起これば、資源の奪いが起こるのは必然だ。

それらの事を事前に回避するため、後方支援組はこの国で出来る事を遣っておくことにする。

 

 

「ふむ……フームさん、私達はボスを倒しましたが、個別に帰られないのですか?」

 

 ディアベルはわずかな希望を胸に、彼女に問う。

しかしフームは黄色のおさげを揺らし、拒否のしぐさをする。

やはり何事も、連帯責任が試される。

全ての敵を倒したというフラグが立たなければ、帰還するための鏡の出現すら叶わないだろう。

 彼はヒースクリフをちらっと見るが、団長殿はそっぽを向く。

どう見てもGM権限ではできないことが見て取れる。

 

 

「軍の皆さまが帰ってきました!」

 

 ワドルディ2360人を統率する、剣を帯剣するワドルドゥ隊長。

彼は高い聲で、物見のワドルディにより伝聞として伝える。

 

この報告に、この部屋の空気が少し引き締められる。

やはり一応の体裁はもっておかないと、ギルドとして嘗められる。

 

 黒の英傑連盟団副団長と血盟騎士団団長は、ワドルドゥ隊長に案内されて城門前まで行く。

この城は堀に水を入れている様で、城への入退場には橋をこちら側からかける必要がある。

架け橋自体、人力で上げ下ろしを行っている。

数匹しかいない彼らは、非常に物珍しい動物だ。

 

「ここやな、DDDのある城っちゅーんわ」

 

 キバオウ率いる軍の武装組織だ。

彼は最前線でダンジョン等に挑んでいる武装組織の組長であり、配下は最精鋭の勇猛果敢な猛者ばかりがいる。

彼等はスターロッドや虹の剣を入手したことで、二分割されそれぞれの敵と対峙していた。

 軍の規模は異様に大きい。

配給という慈善事業を効率よく行うために施しを受ける者は、ギルドに入るよう周囲に申告した。

これにより非戦闘員は多いが、全体的に英雄が一番多いギルドになる。

 

 これにより、一番影響力や名声が高いのは、軍というアインクラッド解放軍だ。

それでも前線にくれば、己の力量や才能を生かせられない三下は瞬く間に死ぬ世界である事は明白。

おかげで彼等は本当の実力ある攻略組を見て、差を思い知ることとなる。

 大規模になるほど人間の思惑とぶつかり合う、二分化や細分化が鳴りを潜めることにもなる。

ただし武装組織だけであるが……。

 

 

 キバオウ率いる軍の武装組織は、プププランドのDDD城で待機と共に首脳会議を行う事になる。

この説明や会議中は暇なので、解放軍の事情について説明しよう。

 

 

 最初期アインクラッド解放軍は、二つの小さな組織だった。

彼等はお互いの相互利用や思惑等、利害の一致が発生した。

これらが一因となって、一つのギルドとして合併する。

 

 そのギルドこそ、『アインクラッド解放軍』だ。

 

 最初は『始まりの街』。徐々に周辺区域にまで、その版図[はんと]を広げていった。

今頃全ての村や小規模な集団も、彼等の支配下になっている事だろう。

何せ彼らは2000人の人間を抱える、このSAO最大のギルドだからだ。

 

 商人ギルドとの提携や連携、小規模ギルドに負担分散して周辺領域の管理、英雄招致による人材確保……。

相互利用をして、お互いの利害を一致させながら繁栄してきた。

勿論いざこざや諍い[いさかい]がなかったとは言えない。

 

少なくとも大勢の中に居る例外や大多数に占められない異常者が、表立って周囲を煽って対立させたり軍内部をかき乱して、ギルドどころかSAO全てのプレイヤーの足並みを崩そうとしたこともある。

 資産や財産・食糧等の独占、違法占拠、オレンジやレッドによる殺人事件……。

本当に彼等は大変な思いをしてきた。

 

これ等爆弾のような者らが派手に暴れまわって、ギルドが内部分裂を引き起こしたりして軍に恨みを持っていたものによる、乱痴気騒ぎに陥ることは殆どなかった。

 

 理由の一つとして、英雄の存在だ。

少なくとオレンジやレッドにも、25層からAI転換によるダークヒーロー登場で英雄が付属し始めた。

しかしそれをも上回る奴が二人いる。

 

 

 その名は、曹操孟徳。そして、ジャンヌダルク。

 

 歴史に絶対に出てくる彼等の登場だった。

 

 最初に曹操孟徳からの話をしよう。

まず最初に出会ったのは、第一層クリア後の三層の頃だ。

出会った人物はキバオウだ。

 

 直感で曹操をパーティに引き入れ、フレンドからの料理を食わせた事で仲間になった。

また彼等は後に知ることになったが、曹操孟徳は確信をもってキバオウに仕えたという。

その理由は目にあるらしいが、天才の考えることは凡人にとって不可解極まりない。

 

 さて曹操がキバオウと出会う事で引き起こされるのは、キバオウの目的成就の為の組織行動だ。

つまり一層にいまだにたむろっている、一般プレイヤーに光を見せてやるという事だ。

そこで彼はキバオウ達と話し合い、一日で始まりの街の情報を集めきった。

 これらの情報を見て行うのは、ここらで慈善事業を行っているギルドと対話をしてギルドを合併させること。

そして二者による代表を立て、内政と外政に分割して大規模になるであろうギルドを支えることで、キバオウの悲願の初期段階を達成することになる。

 

 キバオウが目指すのは、SAOをクリアするに向けて攻略軍を作り上げ非戦闘員を導く事だ。

非戦闘員には、戦闘員に対していろんな援助をすること。

逆に戦闘員は非戦闘員に、入手してきた食糧等を与える事。

これらの関係や役割を明確にして分業させることで、お互いを不可欠にしギルドの地盤を盤石にすることが第一目的。

 

 上記目的は、曹操が早々に終わらせた。

 この後必要になるのが、合併したギルドマスターに内政を行いながら民のヘイト分散と軍の攻略軍の必要性を、刷り込ませる長期的洗脳だ。

 

 曹操はキバオウと合併先のギルドマスターである、シンカーという者と膝を突き合わせた。

 また討論から目的を知り、議論でお互いに目標を立ち上げ、ブレーンストーミングで意見の出し合いをする。

更に事態を加速させる英雄が、この時シンカーからもたらされる。

それはジャンヌダルクだ。

 

 つまり、外政はキバオウ、人事担当は曹操、総合決済をシンカー、人情操作をジャンヌダルクが受け持つことになる。

他内政は郭嘉という曹操が、どこからか見つけた人材を使って安定化させた。

そう……曹操は自身の功績を逆手にとって、自ら人事担当に落ち着かせたのだ。

更に国主としての重責・重荷等が、一切肩にかかっていないので大好きな人材育成や登用(盗用)を派手にやらかした。

 

 結果シンカーに怒られたり、キバオウが肩透かしにあったりしたが、概ね万事うまくいっているといえよう。

 

「わしは人妻が好きだ。幼女が好きだ、少女が好きだ、熟女が好きだ。ありとあらゆる女が好きだ。

 愛している。魂やわしの人生を捧げてもいい。これがわしの証左となる!

 というわけで、だ……ジャンヌよ、わしと閨に」

「なんという猛獣のような汚らわしい目、止めて頂けませんか?」

 

 三國無双だけでなく、三国志・演義等の性格が入っているようで実に可笑しな人物像となっているが気にしない。

ジャンヌもジャンヌで、BLADESTORMの他にも性格が入ってしまっているようだ。

 

 それはさておき、彼等統率者である英雄がいるおかげで、様々な感情の起伏を見せるプレイヤーを御すことができた。

乱闘騒ぎや死に対する恐怖・人格変化等、心情が肉体や思考に直結するこの世界では如実に行動に影響する。

だからこそ心を制御できるカリスマを持つ者で、荒療治をしたわけだ。

 

ただ彼らがいなくなってしまえば、この軍の組織はすぐに崩壊してしまうだろう。

 

 其れも含めてのギルドに属する小規模ギルドへの負担分散や税の取り立て、市民権・人権という存在価値の確立。

治安維持部隊である憲兵の設立、誉れ高き攻略軍の成立、情報操作による洗脳や幼いプレイヤーへの教育……。

シンカーとキバオウに外政と内政の主権を集める、二極化政権の樹立。

色々とあるが、目的の一つである相互利用と利用価値の確立を成立させた。

 

 一般市民は自分が関わらなければ、対岸の火事として処理する。

故に己の幸福が保たれれば、どうでもいいという考えしか持たなくなる。

その幸福を守るためにはどうすればいいか。

自分が助かり、一番安全に楽に自由に生きられるか。

 

 その結果がこの始まりの街に住むという選択肢だけにする。

勿論支配領域が及んだ場所なら、どこでもいいという緩い制限も付けておくことも忘れない。

 

 軍は衣食住・命の保全を周辺住民に確約する。

その為には、法を成立し税・権利・義務を課せ、ある程度の自由を拘束する。

人間は拘束されるのを嫌う。

故にその拘束は誰にも理解されないまま、軍という存在を放置する。

 

 しかし食い扶持にこまり、コルも尽きてしまう。

この世界では敵フラグを持つNPCに攻撃されることや敵認定を受けたPlayerにしか、HPを減らされることはない。

高所から落ちるという選択肢があるが、命の安全という絶対の選択肢がある今ではそれは選択の余地すらない。

 そんな物理的でシステム的プログラム死以外では死ぬことはない事に、プレイヤーは徐々に心を壊されていく。

長時間ゲームプレイで、飢餓に慣れているとは言っても水分すら取れない状況で何をいうのか。

水分で腹は満たされない。嗜好品の範囲内でなければ、腹は膨れない。

現実ではそうだが、こちらでは感じるだけ。

 

 人間は脆い。肉体の弱点は露出し、毛や頑丈な爪や守る骨等存在しない。

心もそうだ。戦争や人死が出る訓練で、無理やり鍛えられた精神を持っていない人間等……たかが己の自由を奪われただけで、

簡単に発狂する。

発狂すれば人は弱くなる。己を守るため最終的には誇りを埃塗れにしてでも、生き残る術を脳を無駄に活性化させてでも、命を生きながらえさせるため何でもする。

 目の前の大きな物に釣られ、影に隠れる真意を読み解くことなどできやしない。

そんな余裕もなければ、ただの葱を背負[しょ]った鴨でしかない。

 

 何故衣食住の配給制や権利や義務の責任を、ギルドへ入る事で全て有効化されるようにしたのか。

衣はいいとして、食は購入するか料理スキルでしか食べることができない。

果物があっても、何千人という人間がたった一滴の水を求めるが如く足りない。

住む場所も命を失う危険という最大の賭け賃を首から引っ下げなければ、隣の町に行くことなんてできやしない。

 

 街の中心に転移門があるが、ここは使用料や始まりの街通行許可証等が必要なので一般プレイヤーが通過することは不可能だ。

オレンジやレッドも、転移門なんて使えやしない。

街に近づいた瞬間、自警団に見つかった瞬間その首を斬られることになる。

 

 とにかく心体共々脆い現代の人間は、ギルドに入るだけの安い勘定を支払う。

そしてそれと同時に、自由を失い責任・権利・義務という重荷を担がされる。

始まりの街は今や要塞都市。

南側は断崖絶壁なので、実質5方向(西・北西・北・北東・東)にある城門で通行許可証やギルド入団の受付を行う。

 

 当初の人間は皆ここで並ばされたわけじゃない。

それでも偶に無茶をした人間が、堕ちてくることがあるのだ。

レッドやオレンジも此処へ、財産・食糧等を奪いにやってくるが牢獄(黒鉄宮)へ送られるか殺される。

 

 いやもっと有用な使い方がある。

 

 それは公開処刑だ。

 

 皆を集め、目の前でどんな事をしたか法螺を吹き・嘘八百で彩り、処刑を行う。

処刑されるものは口を、『沈黙』という異常状態にされつるされるのだ。

 

そう『軍』の在り方を正当化させるのに使うのだ。

 

 

 全ては『軍』が正しいと。

 

 子供や意思の弱い男女に、これはよく効いた。

文句を云う意思の強い古の記憶を持つ老婆や翁には、『軍』の直轄地である畑で労働させた。

 

 

 人間は自由を奪われるが、その中で隙を見つけそのつかの間の自由を楽しむ。

それを繰り返していくうちに、それに順応していく。

結果それになれ、その自由すぎる自由を恐れ、権利等の束縛が無くなる事を嫌がる迄長期的に洗脳する。

 

この中には仕事というものがあるし、ある程度の娯楽がある。

だからこそ、ここは小さな日本の縮図となっていったのだ。

 

 

 逃れる者には制裁を、抜け出す者には鉄槌を、組し反する者には粛清を。

飴と鞭、物事の匙加減というやつだ。

うまい具合に出汁を取ってやれば、後は調理するだけ。

最後においしい汁や料理を食すのは、これを画策しプレイヤーを拘束し偽善な慈善事業を行う二頭の者である。

 

 

 

 国民税金を使って整えた装備は、本当にまともで美しい。

趣味でやっていて、無限にあるスキルを人ひとりが覚えたとしても、研鑽等で己の能力を上げていく。

普通のギルドではできない。

だからこそ、武器の大量改良や創造・研究ができるのだ。

 

 それだけではない。英雄によって得た能力を使い、技術を進歩させ計画を進捗させる。

第28層はファミコンウォーズがテーマ。

故に彼等FWの英雄を解放し仲間にした瞬間、『軍』の日本化は進んでいった。

 

 この無駄な現実感から疎外感を受け、現実と幻想の境界を混濁しようとしたプレイヤーは多い。

その為今では第一層は、ほとんど人が入りこんでいない状態だ。

それでも、彼等は止まらない。

 

 

鳥かごや水槽で飼っている動物を世話し殺さないために、今日も出稼ぎに走る『軍』の攻略軍であった。

 

 

 

 

 さて、彼等の会議が終わったようだ。

 

「なんや、ブラッキーはんが帰ってこーへんと、表に出られへんっちゅーことか。

 しゃーない、適当にぶらつかせてもらうわ」

 

 キバオウは部下に一時解散を命じ、この場から立ち去る事になる。

彼自身も城下町に降りることになる。

 

彼がいなくなると、空気の緊張が緩和される。

幾らKoBや黒の英傑連盟団が攻略組で強いとは言っても、ギルドの大きさで言えば完全に負けて居る。

その為緩い空気を見せつけるわけにはいかないのだ。

 

 

「茅彦さん。そちらのボス戦はどんな感じでした?」

「ああ、非常に愉快なものだったよ」

 

 ヒースクリフ団長は、窓から見える中庭を見る。

そこにはKoBの団員とカービィら黒の英傑連盟団の仲間達が、模擬戦を行ったり文化の違いを色々体験している。

海の崖から少々離れたところにあるこの居城は、さわやかな潮風が常時吹きつけている。

それにもかかわらず、べたべたになるという情報がないのか涼しいという感覚しかない。

 

「まーた茅彦さんが無双したんじゃないのですか?」

「まさか。私の部下のモチベーションを上げる為、偶にタンクをやっていただけさ」

「嘘をつかないでくださいよ」

 

 アスナは壁に背中を付けて、少し態勢を楽にして彼と駄弁る。

命がかかっている戦闘にも関わらず、KoB勢力は楽しそうに命を賭ける。

理由はヒースクリフ団長による、『オーバーアシスト』と『神聖剣』のおかげでほぼ皆無傷という事だろう。

 しかし彼等にも英雄を仲間にしている人物が比較的多くいる。

 やはり前線に出る為、そういう人物と遭遇しやすいのだろう。

おかげさまでヘイトがヒースクリフ以外に行って、全体把握からの支持だしが容易にできるようになった。

 

 彼等の事については、後程記載するがそのボス戦は中々熾烈なものであったわけだ。

 

 

 

 空中に居座るは、体色が朱色の子竜ランディアが4匹と亜空間飛行帆船『ローア』。

 

 ランディアはカービィを背中に載せて、テーマフラグ英雄が邂逅する場所へ移動させる。

カービィだけでなく、隙を見てフーム・DDD・メタナイト卿がそこへ行く。

 『ローア』に集まる彼らの議題は、この事関連が終わった後どうするかという事。

 今現在でも襲来するモンスターはいる。

それでも確実に頭数が減ってきている。その為今回の事が終われば、平和が訪れることは城内PCでも確認されている。

だからこのプププランドで来たるべきその時の為に発展を続けるか、枠組みがなくなった現在外を見るために動くか。

既に物語という拘束から外れている彼等には、その自由が付与されている。

 

 

「わしはプププランドの王ゾイ。しかし、わしを求める愚鈍な輩が多い世の中。

 故にわしはこの天上天下を支配しに動くゾイ」

「エスカルゴンがいないのに、そんな強気になれるわね」

「面白い事を云うな、フーム。確かにこれは愚かともとれる滑稽な事ゾイ。

 しかし外には多くの者が、力に屈しているそうではないか。

 そこでわしの仁政を敷いてやれば、頭が花畑な連中はついてくるゾイ」

 

 最初に発言したDDD。

彼のいう事はめちゃくちゃだが、別天地に憧れる弱者がいる。

勿論現状に満足できず、もっと楽して過ごしたいという想いの方が強い。

 だからDDDは長続きしないかもしれないし、結果PKやMPKとあればギルド以外のプレイヤーに執拗に追いまわされることになる。

 現状『軍』により、ダークヒーロー以外の英雄は殺してはいけないという規定がある。

これは彼等が強大であるのと同時に、ただの一般プレイヤーに強大な力を手に入れさせると暴走する可能性があるからだ。

 普通は独り立ちをするために、普通に街を離れ共闘し成長する。

 それでも甘言や酔狂でプレイヤーを扇動する、英雄に紛れたダークヒーローが彼等を唆[そそのか]す。

これにより多くのプレイヤーが苦渋や辛酸を味わうことになる。

傷つくだけで、何の成果も得られない。

 

 結果。ダークヒーローだけは、ギルドが率先的に狩るか敵が使うフィギュア銃の餌食にさせた。

 

 それでもやはり、プレイヤーから率先して行動し能力だけを頂戴し、英雄を扇動者に見立てて処刑させ身の潔白を告げる者もいた。

 そういうプレイヤーが持つ能力やスキルは、テーマフラグが開放された層の英雄と出会いフレンドになる事で継承される。

 

 これこそ下層・中層プレイヤーが、前線に出しゃばれる最大の原因である。

 

 簡単に説明しよう。

テーマフラグ解放英雄はマリオだとする。彼をつれたギルドが、テーマフラグを解放しパックを貰ったとする。

するとマリオと同じマリオブラザーズ関連の英雄やダークヒーローのパックが、他プレイヤーに譲渡できるようになる。

この場合だと、マリオ以外にルイージ・ピーチ・クッパだ。

 

 ルイージが一人ぼっちの間に、テーマフラグ解放をされたとき誰かといつか友人になる。

その友人はルイージの心の内を、曝け出して云えるほど親密な関係になる。

そうするとルイージは、信頼関係の樹立でパックを渡す。

 テーマフラグ解放英雄程ではないが、強い装備や能力を貰えるようになる。

 このパックは売れないが、装備を売ることはできる。

だが英雄が邪魔だ。そこで英雄狩りを専門とするHK(Hero Killer)ギルドに依頼。

コルだけが報酬条件として出され、そのまま狩ることになる。

 英雄からの装備系は、基本的に本人の意思がなければ渡せない。

故にコルだけが報酬になってしまうのだ。

 逆手にとって命と装備を交換するという外道もいるが、そういうのはオレンジと化して『軍』に処刑されている。

 

「メタナイト卿は?」

「私はより強い相手と戦いたい。今回でわかったが、攻略組は私から言えば過ぎたる者ばかりで、真の武術を持つ者がいない。

 そこで私はその者を探し出し、戦い、真髄を見極めたい」

「外部進出するのね。分かったわ」

 

「フームはどうするのだ?」

「私が離れたら、ここはどうするのよ。それに私は頭脳だけが取り柄よ?

 戦闘能力なんてもっちゃいない。だからここに残って、プププランドの発展に取り組むわ。

 今は軽い独裁政権。だからこの状態を続けて、緩やかな感じを続けながら確実に進歩させるわ」

「ふっ、それは楽しみだ」

 

 メタナイト卿の想いとフームの想い。

両者を尊重しあって、この会話は終わる。

 

 最後にカービィだ。

 

 

「カービィはどうするの?」

「キリト達についてく。きっとまだ、ゼロ達が放っている負の感情に苦しんでいる人達がいるはず。

 だからボクがそれをどうにかするんだ」

「そんな建前は置いといて、本当はどうしたいの?今のあなたは、何事にも巻かれていないのよ?」

 

 フームはカービィに優しいまなざしを向けて諭す。

この彼女の視線に耐えきれないカービィは、背中を向けて話す。

 

「ボクはいろんなカービィが混ざってる。だから、整理しきれないんだ。

 だからボクはこの世界を巡ってみるよ。きっと、何か掴めると思うから」

「そっか」

 

 フームはカービィのちゃんとした考えを持っている事にうれしくなる。

今までぼけーっとしていた魔獣の赤ちゃんだったのに、今ではちゃんとした思考と思想を持って行動してくれる。

きっと彼は良い星の戦士になる。そんな気がする。

 

「それじゃ、キリト達が帰ってくるまで待っている事にしましょ」

 

 フーム達はランディアを使うか、そのまま自由落下して城に戻る。

しかしカービィだけは、『ローア』に残る。

今後の事を考えているのだろうか、憂いているように見える。

 




 たぶん次の一回で終わります。

 今回は一万文字行きませんでしたが、どうぞ楽しんでください。
ではまた、いつか。
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